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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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七十六話 浮遊精霊

 迷宮都市を出発して森に到着した。死の大地に戻る前にサラとマルコの精霊契約と、沢山生きている土を持って帰らないといけない。

「ねえ、シルフィ。森の土や木は勝手に持って行って良いの?」

「そうね。一気に一つの場所から取らなければ大丈夫よ。トゥルとタマモの意見を聞いて回収すれば間違い無いわ」

「了解。トゥル。タマモ指示をお願いね」

「がんばる」「ククー」

 拳を握りめてやる気を示してくれるトゥル。森の精霊であるタマモも自分のホームである森の中で、気合が入っている。可愛いモフモフ尻尾もブンブンとやる気をみなぎらしている。

 キツネって尻尾を振ったりしなかったと思うんだけど……まあ、精霊だから関係ないのか。レインはイルカなのに陸上で空を飛んでるからな。深く考えるだけ無駄だ。

「ベルとレインは俺とサラ達の護衛をお願いね。シルフィはサラとマルコが契約出来る浮遊精霊を連れて来てくれ」

「ごえいー。べるがまもるの!」「キューキュー」

 ベルとレインが高々と右手と右ヒレを突き上げて宣言する。頼もしい。しぐさがシンクロしているのは練習しているのか?

「風と土の浮遊精霊よね。サラとマルコに風か土のどちらと契約するのか聞いてくれる?」

「わかった。えーっと、サラとマルコは風と土の精霊のどちらと契約するか決まってる?」

「ちゃんと昨日話し合った。俺は土の精霊と契約したい」

 およ? ちょっと予想外だ。マルコは飛ぶ事に興味を持ってたから、風の精霊だと思ってたんだけどな。

「そうなると、サラが風の精霊だね。サラは問題無い?」

「はい。大丈夫です」

「そう言う事だから、シルフィ。お願いね」

「ええ、行って来るわ」

 飛んで行くシルフィを見送る。

「しかし、俺はマルコが風の精霊と契約すると思ってたから、ちょっと驚いたよ。飛びたがってただろ?」

「そうだけど、守るのは土の精霊が向いてるって聞いたからな。俺がサラ姉ちゃんとキッカを守るんだ」

 おー。男なんだな。こういう所がマルコって主人公っぽいよね。風の浮遊精霊だと風壁が使えるようになるけど、浮遊精霊だと防御力は弱いってシルフィが言ってたもんね。風で物理に対抗するには浮遊精霊だと力が足りないらしい。マルコよく聞いてたな。

「それなら土の精霊が向いてるね」

 思わずマルコの頭をグリグリしてしまう。ケモミミが素晴らしい、何気に初めてケモミミに触れた相手が少年なのがチョット残念だ。あっ、手を振り払われた。

「師匠。子ども扱いするなよな!」

 子供だよね。あれか、大人ぶりたい年頃ってやつか? 

「ああ、ごめん、ごめん。そう言えばマルコとキッカってなんの獣人なんだ? 犬?」

「犬じゃねえよ。狼だ!」

 なるほど。狼か……うーん。狼と犬って違いが分かり辛い気がする。でもマルコには大きな違いなんだろう。強く否定された。

「そうか、狼か。もう間違えないよ。さて、そろそろ土を回収に行くよ。みんなお願いね」

 トゥルとタマモの指示にしたがって、魔法のシャベルで土をすくい取って収納する。そうすると魔法の鞄に入らなかった虫がパラパラとシャベルの上に残る。

 ひとすくいしただけなのに虫が結構いる。知っている虫はミミズぐらいだけど、豊かな森の証拠なんだろうな。この虫も持って帰らないといけないんだ。雑貨屋で買った布の袋を取り出し、マルコに手伝って貰おうと振り向くと、呆然ぼうぜんとしたサラ達が居た。

「どうしたんだ?」

 俺が問い掛けるとマルコが再起動した。

「し、師匠って精霊術師なんだよな。なんでそんなにデッカイシャベルであんなに大量な土が持ち上げられるんだ? 精霊術師って力も強くなるのか? それより何でシャベルの大きさが変わるんだ? 魔法具か?」

 なるほど。開拓ツールに関しては全く説明してなかったな。レベルが上がってるから、力はかなり強いとは思うけど、それはあんまり関係ない。

「レベルが上がれば力も強くなるけど、今回のはあんまり関係ないよ。詳しくは落ち着いたら説明するから、今はこっちを手伝ってね」

 布の袋をマルコの渡し中に三分の一ほど土を入れてもらう。そこにシャベルに残った虫を流し込む。

「師匠。この虫を食うのか? あんまり美味くないと思うぞ」

 ゾッとする事を言わないで欲しい。虫を食べる文化がある事は知っているが、俺は体験したくない。サラやキッカも嫌そうにしている。ちょっとホッとした。スラムでは虫もご馳走とか言い出したら、泣いてしまいそうだ。

「食べないよ。虫は良い土を作るのに重要な協力者だから、確保しておくんだ」

 分かったのか分かっていないのか、サラ達は曖昧あいまいうなずいている。死の大地を見れば、俺のやりたい事も分かるだろう。今は土の回収にする。

 ベルとレインに護衛されながら、トゥルとタマモの指示通りに土や木を収納する。木を沢山手に入れたらログハウスとかも作りたい。作り方が分からないけど、何とかなるだろうか? 大工を紹介して貰うか?

 うーん、でもあれだけ日差しが強い死の大地だと、木材の家は痛みが心配だな。何かしら木を保護する塗料とかがあれば良いんだけど。

 家は、最初は大工さんに頼んだ方が良いかもな。色々自分で作りたい気持ちもあるけど、最初は物置ぐらいから始めるのが無難だろう。良い道具があってもいきなり快適な家が作れるとは思えないよね。

 間伐で初めて魔法の斧が活躍する事になる。別に魔法のノコギリでも簡単に切れると思うんだけど、木をるのなら斧だよね。

 木に目印をつけるために、軽く魔法の斧を木に当てると、スルリと幹にめり込みそのまま通り抜けてしまう。

 ……俺、思うんだけど開拓ツールって性能が良すぎて、どれも変わらない気がする。斧とノコギリとサバイバルナイフの違いって何処にあるんだろう? 見た目? 気分の問題?

 ……まあいい。楽な事は良い事だ。魔法の鞄にハンマー、ノミ、カンナ。他にも使い勝手の良い道具は沢山ある。いずれ開拓ツールの真価も分かるはずだ。……たぶん。

 偶に襲って来る魔物はベルとレインに瞬殺されるので、最初は怖がっていたサラ達も今では気にしないで、作業を手伝ってくれるようになった。

 それどころか、ゴブリンを倒して幾ら。オークを倒して幾ら。何か分からない魔物を倒してこれは幾らとつぶやいている。

「マルコは何で魔物の値段にそんなに詳しいんだ?」

「冒険者に登録できるお金が貯まったら、冒険者になるつもりだったから勉強したんだ」

 偶に冒険者の話を盗み聞きしていたらしい。それだけで魔物まで判別できるのは凄いな。簡単な薬草も見分ける事が出来るそうだ。冒険者としての基礎知識では負けてる気がするな。軽くへこんでいるとシルフィが戻ってきた。 

「お帰りシルフィ。その子たちが風の精霊と土の精霊なの?」

 シルフィの後ろでフヨフヨと飛んでいる、小さなフクロウと小さなイノシシ。とても可愛い。レインとタマモもそうだけど、動物の子供を模した精霊って多いのかな? そんなもん可愛いに決まってるよね。

 そう言えば迷宮都市でも森の中でも、ふよふよと浮かんでいる精霊達はみんな可愛かったな。精霊って姿が見えたら物凄い人気者になりそうだ。

「ええ、そうよ。意識がハッキリしていて、サラとマルコに相性が良さそうな子を連れて来たの」

 相性もあるのか。小さなフクロウは豆フクロウって言えば良いのか? 握りこぶし二つ分ぐらいの大きさで、まん丸おめめのモコモコちゃんだ。とても可愛い。鳥だし風の精霊だよね。

 小さなイノシシはウリ坊だよね。小型犬ぐらいの大きさで特徴的なウリのような模様も体にしっかり出ている。つぶらな瞳がキュートです。イノシシは土の精霊か。大きくなったらジ〇リに出て来るようなイノシシになっちゃうのかな?

「ありがとうシルフィ。君達もよろしくね」

 思わず手が伸びて、豆フクロウとウリ坊を撫でる。動物の子供って卑怯って言えるほどの可愛さを持ってるよね。最初は触られる事に驚いていたが、時間をかけてナデナデしていると、気持ちよさそうに目を細める豆フクロウとウリ坊。

「裕太。夢中になり過ぎよ。あなたが契約するんじゃないでしょ?」

 あきれたようなシルフィの声に正気に戻る。そうだった。ヤバいな小動物。恐るべき力を持っている。

「う、うん。そうだったね。サラ。マルクこっちに来て。ここに精霊が居るのが分かる?」

「シルフィさんやベルさん達と比べると気配が感じ辛いですが、分かります」

 サラが答える。俺はそのまま見えるから分からないけど、気配が感じ辛いのか。

「浮遊精霊だから。まだ力が弱いんだね。とても可愛い子達だから、一緒に成長すると良いよ」

 サラとマルコにくわしく外見を説明して、名前を考えるように伝える。名前を付けて精霊側が受け入れれば契約完了だ。

 俺やシルフィの仲立ちがないと、もう少し契約が複雑になるそうなので、サラとマルコはラッキーなんだよね。

 うんうんと頭を悩ませるサラとマルコ。一方豆フクロウとウリ坊はベル達に囲まれてモフられている。仲良くなるのは良い事だし、放っておこう。でもちょっと混ざりたい。

「よし、決めた! 俺はウリにする」

 ありゃ。俺の故郷で子供のイノシシをウリ坊って教えたのに引っ張られちゃったか? うーん。あんまり前情報を与えるのは良く無いのかな?

「私はフクちゃんにします」

 こっちも俺が豆フクロウって言った影響だよな。うーん。まあ良いか。サラ達と精霊が納得すれば問題無いんだから。

「分かった。じゃあまずはサラから契約しようか」

 フクとウリをベル達から回収して、サラとマルコの前に待機してもらう。

「じゃあ、サラ。目の前に精霊が居るのが分かるよね。考えた名前を伝えてあげて」

「分かりました。えーっと。あなたの名前はフク。それで良いですか?」

 フクちゃんがコクンとうなずいた。これで契約完了だな。相変わらずあっさりしていて、ちょっと物足りない。

「お師匠様?」

 何の反応も無いのでサラが戸惑っている。その気持ち、とっても良く分かるよ。フクちゃんは喜んで周りを飛び回っているけど、サラからしたらどうなっているか更に分からないよね。サラだけに……ぷぷ。

「大丈夫だよ。ちゃんと契約は成立しているから。昨日教えた方法でコミュニケーションを取ってみて」

「は、はい。分かりました。フクちゃんこっちに来て」

 サラが周りを飛び回っているフクに呼びかけて、コミュニケーション方法を説明している。次はマルコだな。
読んでくださってありがとうございます。
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