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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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七十三話 冒険者登録

 マリーさんとの話し合いの結果。倉庫に魔物を卸す為に移動した。ファイアードラゴンに子供達が驚いてしまったり、マリーさんが魔法の鞄に視線が釘付けになったりしたが、概ね問題無く進んでいる。

「裕太さん。ファイアーバードはどのぐらい卸して頂けるんですか? マグマフィッシュの状態は?」

 予想外にファイアーバードに食い付きが良いな。Bランクの魔物だって聞いてたんだけど……。

 理由を聞いてみると、基本的に群れているので、単独でBランクの魔物だとしても手を出し辛いらしい。そして素材はファイアーバードの名にふさわしく、耐火性能が素晴らしく需要がかなりあるそうだ。

 マグマフィッシュの状態も良い物だそうで、調理法もしっかりと説明してくれた。自分では難しそうだから、マグマフィッシュもトルクさんに丸投げするか。

 そうなるとコッソリ料理してもらうか……いや、トルクさんの性格だと、マグマフィッシュを渡したら狂喜乱舞しそうだな。騒ぐと予想外のところからバレそうだし、マグマフィッシュも冒険者ギルドに俺のことがバレるまでは我慢しておくか。

 ちょっと残念に思いながら、ファイアーバードと胡椒を山盛り倉庫に出す。これで卸す予定の品物を全部出したな。

 まだだいぶ素材は残っているけど今度で良いか。あんまり卸し過ぎると値崩れしそうだしな。

「裕太さん。これだけあると、値段の確定にも時間が掛かります。概算がいさんでは十八億前後になると思いますが問題ありませんか?」

 十八億ですって……なんか桁が大きすぎて実感が湧かないな。俺って億万長者?

「ええ、問題無いです。あっ、俺達、明日には迷宮都市を出て、十日以上戻って来ないのでその時で構いませんよ。ただファイアードラゴンとアサルトドラゴン、ワイバーンのお肉は食べたいので、明日までに食べられる部分を解体して頂けると助かります」

「分かりました。お肉は明日の昼までにご用意致します。卸して頂いた素材の代金は、戻って来られる時までには準備しておきますね。ちなみにどちらに行かれるのか聞いても良いですか?」

「場所は秘密です。あの子達の訓練の為に、訓練しやすい場所に行くだけですよ。迷宮都市は居心地がちょっと良くありませんから」

 俺と冒険者ギルドの関係を思い出したのか、マリーさんは苦笑いしている。

「では。そろそろ失礼しますね。あっ、マリーさん。出来ればで良いんですが、素材を流すのは明日以降にして貰えますか? 騒ぎになって早めにバレたら面倒ですので」

「そうですね。素材の処理に時間が掛かりますから、問題ありません」

「ありがとうございます」

 倉庫の前でマリーさんと別れて、サラ達を連れて昼食に向かう。別れ際に「暫く眠れませんね」っと不気味に呟くマリーさんが怖かった。

「師匠って強いんだな」

 マルクが聞いてくる。勘違いじゃ無ければ、視線に尊敬の気持ちが込められているように感じる。ちょっとは信頼されたかな?

「俺が強いんじゃなくて、契約している精霊のおかげなんだけどね」

「そうか。せいれいじゅつしって強いんだな」

 何かを確認するように頷くと、頑張るとポツリとつぶやいて歩き出した。やる気も出たみたいだしいい傾向だよなな? サラとキッカは引いてるけど、マルコが引っ張ってくれる事を期待しよう。

 昼食は何処かの店に入ろうかとも思ったが、サラ達の視線が屋台に釘付けになっていたので、屋台の買い食いで済ませる事にした。

 屋台や食堂の残り物を分けてくれる優しい人達もいたそうで、屋台はサラ達にとってたまに食べる事の出来る、ご馳走みたいな位置づけらしい。

 一心不乱に屋台の料理に食らい付く子供達を見ると、ちょっとホッコリするが、精霊も含めて子供や小動物の割合が高い。どうせなら綺麗な女の人に囲まれたいんだが、なかなか上手く行かないな。

 買い食いを終えて、アクスさんの武器屋でサラ達の装備に丈夫なローブと、森を歩ける頑丈な靴を購入する。武器も買おうか迷ったが、止めておいた。使い方も教えられないのに、子供に武器を持たせるのは怖すぎる。

 子供も旅に連れて行く人もいるそうで、子供サイズの靴が置いてあるのは助かったな。ローブの方もアクスさんが、ちょちょいと手直ししてくれた。ムキムキマッチョメンな見た目からは想像出来ない、繊細せんさいで素早い作業だった。

 マルコは鎧や剣に目を奪われていたが、まずは一人前の精霊術師になる事だと、師匠の威厳たっぷりに言い聞かせておく。接近戦とか教えられません。

 アクスさんに許可を貰い、店の隅でサラ達を着替えさせてもらう。雑貨屋で買った服とローブを身に着け、靴に履き替える。うん。痩せすぎではあるが、だいぶマシになった。後はボサボサの髪を整えたいな。

「師匠。ありがとう」(ありがと)「お師匠様。ありがとうございます」

 店を出ると三人からお礼を言われた。小声で微かにしか聞き取れなかったが、キッカの声が聞けたのは良かったな。直ぐにマルクの陰に隠れちゃったけど。

「どう致しまして。さて次に行くよ」

 家具屋に行って注文しておいたベッドを受け取る。なかなかいい感じに仕上がっていて、こだわった甲斐かいがありそうだ。眠るのが楽しみだな。ついでにサラ達のベッドも注文したが、直ぐには出来ないので次回に迷宮都市に来た時に受け取る事にする。

 直ぐに手に入る寝具を聞くと、ワラのベッドだそうだ。ある意味憧れる寝具ではあるな。実際の寝心地がどうなのかちょっと気になる。こちらは直ぐに出来るそうなので、作って貰う。

 ベッドを受け取り、酒屋でエールとワインを樽買いする。エールとワインの赤と白を三樽ずつの合計九樽。これだけあれば暫く持つだろう。シルフィもニコニコで一安心だ。

「さて、大体の買い物も終わったし、サラ。マルコ。キッカの冒険者登録に行くよ。俺は冒険者ギルドで嫌われているから、不愉快な目に遭うかもしれないけど、我慢してね」

 凄く不安そうだ。まあ、師匠が嫌われ者って辛いよね。情けない師匠でごめんね。可哀想だけど諦めて貰うしかない。


 ***


 冒険者ギルドの中に入ると、不愉快な視線が俺に集まる。サラ達もこの空気を敏感に感じ取って萎縮いしゅくしてしまった。

 暴れたい気分になったが、そうしたら全てが台無しなので、我慢してエルティナさんの所に向かう。相変わらず素敵なまでに無表情だ。

「こんにちは。この子達の登録をお願いします。職種は精霊術師です」

 いちいち気にしていてもしょうがないので、用件だけ告げる。

 ダンッ! いきなりエルティナさんが机に手を叩きつけて立ち上がった。顔が憤怒ふんぬに染まっている。

「あなた! いくらパーティーが組めないからといって、子供を巻き込むなんて何を考えているんですか!」

 正論過ぎてどうしようもないな。とは言え原因の一部である冒険者ギルドに言われるのも、納得がいかない。

「言いたい事は分からないでもありませんが、この子達も納得済みですから手続きをお願いします。犯罪を犯していなければ来る者は拒まないんですよね?」

「あなた達、本当に納得しているの? 忠告するわ。この人に付いて行くのは止めておきなさい。評判が悪いわよ」

 物凄く普通にディスられてる。悪い噂をばら撒いたのは冒険者ギルドなのに。俺、キレて良いですか?

「俺は、師匠の評判が悪いのは知ってる。妹を連れて行くのも不安はある」

 あれ? 少しは尊敬を勝ち取ったつもりだったんだけど。雲行きが怪しくなって来た。

「なら、止めておきなさい」

「そうしたら、姉ちゃんが助けてくれるのか? スラムに戻らなくても良いのか?」

「えっ、それは……」

 いきなり子供の人生を背負えるかって聞かれたら、答えられないよね。でもマルコ。面倒見るって言われたら、行っちゃうの?

「そのつもりが無いのなら、余計なお世話だ。手を差し伸べてくれたのは師匠だからな。俺達は師匠について行く」

 やばい。俺、泣いちゃいそう。そしてマルコ。なんか主人公的なオーラが出ている気がする。汚れてしまった俺から見ると、とてもまぶしい。

「………………」

「あのー。そう言う事ですから、手続きをお願いします」

 キッっと鋭い視線でにらまれた。理不尽って言葉はこんな時に使うんだろうな。サラ達に質問しながらガリガリと書類を書き殴っている。よっぽど不満なんだろう。

 手続きが終わり、登録料を支払ってギルドカードが渡される。そう言えば、俺もFランクだから、皆で横並びになってしまった。師匠の威厳としては問題があるのかもしれない。

「エルティナさん。パーティも組みますので手続きをお願いします。パーティー名は『精霊術師最強』で登録してください」

 ピキピキとエルティナさんの美しい額に青筋が浮かび上がる。挑発し過ぎな気もするが、決意表明みたいな物だ。有名になれば勝手に精霊術師の株も上がっていくだろう。悪名にならないように注意しないとな。

 なんか迷宮都市に来てから、当初の目的と随分違う方向に突っ走っているが、今更止まれないもんね。憤怒ふんぬで無表情がたもてなくなったエルティナさんに、パーティー登録をして貰いギルドを出る。

「師匠って本当に嫌われてるんだな」

「そうなんだよね。なんか色々あってあそこまで嫌われちゃったよ」

 今回、サラ達を連れて行った事で、更に株が下がったから、冒険者ギルドでの評判は地の底だ。もう下がる事は無いだろうって思ってたんだけど、更に下があった事が驚きだ。さて、今日は色々引っ張りまわしちゃったから、サラ達も疲れているだろう。さっさと宿に戻って休ませるか。


 ***


「マーサさん、ただいま戻りました。この子達「おや、帰ったのかい。あんたあれは凄いよ直ぐに主人を呼ぶからね。あんたー。帰って来たよー」の……」

 サックリ話がさえぎられた。マーサさんの呼びかけと同時に、ドスドスと足音が近づいて来る。トルクさんだろうな。

「おお、お客さん。帰って来たか。あの料理は凄いな。マーサにもカルクにも大好評だぞ。さっそく今晩から出してみるから楽しみにしていてくれ」

 肩をバシバシと叩き、レシピを褒めるトルクさん。肩が折れそうだけど、迷惑かけた分このレシピでつぐなえれば助かるな。

「上手く出来たのなら良かったです。分量がうろ覚えだったので、心配だったのですが、何とかなりましたか?」

「ああ、まだ研究段階だがある程度は何とかなった。お客さんは明日出発だったな。頼まれた分はしっかり作っておくから心配するな」

「ええ、お願いします。でも無理はなさらないでくださいね」

「がはは。心配するな。じゃあ後でな」

 言うだけ言って去っていった。……一晩の徹夜でどうにかなるような、やわな鍛え方はしてなそうだし大丈夫か。なんたって豪腕トルクだもんな。

 今晩のメニューは何が出て来るのかな? 楽しみになって来た。
読んでくださってありがとうございます。
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