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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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七十二話 マリーさんとのお話

 スラムでサラ。マルク。キッカのスカウトに成功? 買い物ついでに、雑貨屋でマリーさんに素材の事を相談してみる。

「それで、裕太さん。お話とは何でしょう?」

「その前に、俺の事をどのぐらい知っているのか聞いても良いですか?」

「裕太さんの事ですか? 精霊術師でギルマスとめていて、詐欺師と呼ばれている事ぐらいでしょうか」

 結構しっかりと知られているな。まあ、冒険者ギルドに行けば直ぐに分かるんだから当然か。後で知られるよりも、知っていて商談できるなら助かるな。

「詐欺師と呼ばれる俺の話を聞いても問題ありませんか? あと、冒険者ギルドと揉めていますから、面倒が降り掛かるかもしれません」

「詐欺師と呼ばれる理由は裏を取ってありますのでご安心ください。迷宮都市での冒険者ギルドの力は大きいので、話によっては辞退させて頂く可能性もございます」

 ハッキリ言ってくれるとありがたいな。冒険者ギルドとの関係悪化の可能性を考えると、そのリスクを上回るメリットを渡さないと、商談は難しいって事だよね。

「そうですか。それと、迷宮関連なので雑貨屋と業種が合わない可能性があります。そこら辺に伝手はお持ちでしょうか?」

「我がポルリウス商会は雑貨屋だけではありません。父は迷宮の素材を扱っておりますので、ご要望にはお答えできると思います」

 助かる展開だな。ドヤ顔が凄いけど。

「分かりました。儲けとしては確実に大きな物を提供できるのですが、冒険者ギルドとの関係にはヒビが入る可能性があります。聞きますか?」

「確実な儲け話ですか。裕太さん。まるで詐欺師の話を聞いているように感じるのですが?」

 確かにそうだ。確実に儲かるって話ほど怪しいものは無いよね。日本も異世界もそう言う所は変わらないらしい。

「言われてみれば怪しいですね。まあ、話を聞いて頂ければ、納得して頂けると思いますよ。大儲けです」

「ふふ。自信がおありなんですね。とっても期待してしまいます」

 おお。マリーさんが怪しく微笑み、背後から銭のオーラが吹きだした。幻覚か?

「ええ。間違いなく大儲けです」

 俺も怪しく微笑んでみる。何故なぜかお互い怪しい笑いを繰り出し、悪代官と商人みたいな雰囲気が応接室をおおう。

「それでは、お話の続きをお願いします」

 ひとしきり怪しい笑いをくり出して満足したのか、マリーさんが話を先に進める。

「分かりました。まあ、簡単に言うと、五十層を突破したので、冒険者ギルドに関わらないように素材をながしたいんです」

「はぇう?」

 ……なんて言ったのか分からないが、驚いているのは分かる。ちょっと気持ち良い。

「ええっと。もう一度お願い出来ますか?」

「五十層を越えたので、その素材を冒険者ギルドが関わらないように流したいんです」

「冗談……ではないんですよね? ファイアードラゴンはどうしたんですか?」

「倒しましたよ」

 シルフィが。

「……では、ファイアードラゴンの素材も卸して頂けるんですか?」

「まるのまま魔法の鞄に収納して来てますので、俺達が使う分以外は卸す事は可能です」

 全部卸しても、必要になったら、サラかマルコかキッカを連れて行けば、ボスは出て来る。またシルフィが討伐してくれるとは思うけど、頻繁ひんぱんにシルフィに頼っての金儲けは危険な気がするから止めておこう。

にわかには信じられませんが、本当なら是非ともお願いしたいですね」

 マリーさんの目がギラギラしてきた。座右の銘が守銭奴とかでも驚かないほど、お金に対してストレートな人だな。商人として心配になる。

「後で現物を見せますから安心してください。ただし、素材を卸すには条件があります。俺の事を冒険者ギルドが調べようとするでしょうが、出来るだけ隠してください。軋轢あつれきを起こすのもこまるでしょうから、ギリギリまでねばった後であれば話しても構いません」

「裕太さん。そんなに冒険者ギルドが嫌いなんですか?」

「俺も冒険者ですし、冒険者自体は嫌いじゃ無いんですよ。ただ、迷宮都市の冒険者ギルドと冒険者達が嫌いなだけなんです」

 あれ? マリーさん。ちょっと引いてる? でも喧嘩を売って来たのが冒険者ギルドなんだから、しょうがないよね。ちょっとは俺も悪かったかもしれないけど、大元は向こうだもん、問題は無い。

「……分かりました。必ず条件を履行します。契約書をご用意致しますね」

 少し考えた後、マリーさんがうなずいた。まあ、ちょっとは冒険者ギルドに嫌がられるかもしれないが、おおむね悪くない取引だよね。

「いえ。契約書とかは必要無いです。マリーさんが条件を守って下さる限り、ここに素材を卸しに来ますので心配しないでください。それに冒険者ギルドとの関係が本当に悪くなってしまったら、俺を切り捨てても構いませんからね」

 わざわざ異世界に来てまで書類に縛られたくない。それにマリーさんはお金に執着しゅうちゃくしているだけあって、目先のお金に釣られて、その後の儲けを不意にするほど愚かでは無いはずだ。

 まあ、裏切られても別に平気だから出来る傲慢ごうまんな行為ではあるな。

「……分かりました。では、今回はどのような素材を卸して頂けますか?」

「そうですね。あっ、そう言えば、胡椒の実とアサルトドラゴンとワイバーンの素材は必要ですか? こちらは冒険者ギルドでも手に入ると思うんですが」

「是非ともお願いします。確かに少しは流通していますが、まったく需要を満たしていませんので、十分に目玉商品になります」

 一応迷宮最前線の素材だけあって価値は高いらしい。ファイアードラゴンを見た後だと印象が薄れるが、Aランクのドラゴンだもんね。価値があるのは当然か。

「それでは、胡椒の実とアサルトドラゴン、ワイバーンを卸します。ファイアードラゴンは素材を一通りこちらに回してくれれば問題ありません。あとはこれらの薬草と言った所ですね」

 魔力草。万能草を採取した数の五分の一ほど出す。山盛り採取したから、これでも結構な量だ。

「こ、これは……」

 マリーさんが食い入るように薬草を見ている。マリーさんよだれが……。結構な儲けになるんだろうな。物凄くウハウハしている。この人も美人なのにちょっと残念なんだよな。異世界に来てから巡り合わせが悪いのか、個性的な人との遭遇率が高い気がする。

「確実に儲かると思うんですが、お気に召しましたか?」

「ええ、ええ、もちろんです。これで儲けられなかったら商人ではありません」

 ご満足頂けたようだ。

「それは良かったです。魔物は大きいですが何処に出します?」

「ああ、そうですね。……できれば倉庫までご足労頂けたら助かるのですが、お願い出来ますか?」

「ええ、問題ありません。ただ、出来れば冒険者ギルドには苦労して私に辿り着いて欲しいので、出来るだけ内密に事が進められるように、手配をお願い出来ますか?」

かしこまりました。先行して人払いを済ませておきます。それと、裕太さんが五十階層を突破した事は、冒険者ギルドだけではなく貴族や他の商会などから興味を引く事になると思いますが、その辺はどうお考えですか?」

 それはそうだよね。そもそも実力を示して庇護ひごしてもらう予定だった冒険者ギルドと、喧嘩しちゃったからややこしい。

「相手次第ですね。冒険者ギルドとの関係改善以前にちょっかいを出されたら、自由にやらせてくれる所に庇護ひごを願いでるかもしれません」

 シルフィの力を見た後だと、別に庇護を求める必要も無いと思うし、誰にちょっかいを出されようが何とでもなりそうだから、難しく考えなくても良いか。

「その場合はポルリウス商会に相談頂ければ、お力になれると思います」

「ありがとうございます。その時になったらお願いするかもしれませんので、よろしくお願いします」

 一応頭を下げておく。選択肢があるのは良い事だし、伝手つては無いより有る方が良い。だいたいの話がまとまったので、応接室を出て、サラ達を迎えに行く。

「お待たせ。必要な物は選べた?」

「えらんだけど良いのか? たくさんだぞ?」

 不安な様子で待っていたサラ達に声を掛けると、マルコが心配そうに聞いて来た。カウンターには結構な量の商品が置かれている。量が多くて不安になってしまったようだ。

「問題無いよ。必要な物が無い方が困るからね」

 出来るだけ優しい声をだして安心させる……まったく安心してないな。まあ、おいおい慣れて行ってもらおう。支払いを済ませて商品を収納する。

「裕太さん。こちらです」

 マリーさんに案内されて店を出る。

「師匠。どこに行くんだ?」

 ……何気なにげに初めて師匠って言われた。結構嬉しいかも。

「迷宮で倒した魔物を引き取って貰うんだよ」

「師匠は魔物を倒したのか……」

「冒険者だからね」

 何かを考え込んでいるマルコをうながし歩き出す。途中の屋台にマルコとキッカの目が釘付けだったので、マリーさんに断り、ラフバードの串焼きを三人に買って渡す。

 ガリガリだし最初にお肉は心配だけど、病人では無いんだし大丈夫か。トルクさんに胃に優しいスープでも作って貰おうと思ったけど、必要ないみたいだ。

「こちらになります」

 マリーさんに連れられて中に入ると、かなり大きな空間に様々な道具と魔物の素材が置いてある。解体用の倉庫みたいだな。

「ここにそのまま出しても?」 

「ファイアードラゴンは直ぐに解体しますのでここに出してください。残りは奥に願いします」

 マリーさんの指示通りにファイアードラゴンの頭と胴体を出すと……マリーさんの感嘆の声と、子供達の悲鳴が響き渡った。……いきなりファイヤードラゴンは刺激が強すぎたか。この配慮はいりょが足りない所がモテない原因かもしれない。

「サラ。マルコ。キッカ。怖くないから落ち着いて。もう死んでるから大丈夫」

 アタフタしながら、三人をなだめて落ち着かせる。信じられない物を見るような視線が、ちょっと悲しい。もう一度大丈夫だからと、何が大丈夫かも分からないなぐさめを言ってその場をしのぐ。

 なんとか落ち着かせてマリーさんと話をしようと振り返ると……ファイアードラゴンに擦り寄らんばかりに接近して、素材を確認しているマリーさんが居た。次はこっちを落ち着かせないとダメなのか。

「これが、ファイヤードラゴン。確かに資料で見た通りの姿。首が一撃で落とされているの? 素材も綺麗で新しい。これは凄い。凄いわね。儲けも名声も凄い事に……ぐふふ」

 卸す素材は迷宮で発見した魔法の鞄に移し替えたのに、まだ新しいのか? そう言えば、シルフィのおかげで帰って来る速度も段違いに早いから、その分素材も新しいのか。考えていない所でボロが出るから難しい。取り敢えずマリーさんを落ち着かせるか。ぐふふって女性としてダメだろう。

「マリーさん。まだ魔物がありますので、指示をお願いします」

「あっ、はい。申し訳ありません我を忘れていました。えーっと、こちらにお願いします」

 マリーさんが指示した場所にアサルトドラゴンとワイバーンを出す。

「こちらも状態が良いですね。素晴らしいです。そして裕太さんの魔法の鞄も素晴らしいです。もし手放す際には是非とも私共にお願いします」

 アサルトドラゴンとワイバーンと魔法の鞄に視線が行ったり来たりしている。目が光っていて怖い。話を変えよう。サラ達は固まっていて反応していないし、刺激が強すぎたか。

「マリーさん。ファイアーバードとマグマフィッシュもあるんですがどうしますか? ファイアーバードは巣を潰したので、大量に。マグマフィッシュは自分達で食べるので卸すのは二匹だけです。料理の仕方も教えて貰えれば嬉しいです」

 ファイヤーバードが大量に! マグマフィッシュ! マリーさんのテンションは更に急上昇だ。落ち着くまで時間が掛かりそうだな。
読んでくださってありがとうございます。
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