挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

7/157

七話 ゾンビとスケルトン

 美味しい食事を食べて元気いっぱい。気合を入れてレベル上げだ。住居の外にでて声を掛ける。

「シルフィ。幼女精霊。食事が終わったから、レベル上げに行きたいんだけどお願い出来る?」

 名前を付ける訳にもいかないからしょうがないけど、幼女精霊って口に出す度に周りを確認してしまう。別にロリでも無いし、悪い事を考えている訳でも無いのにビクつく自分が嫌だ。

「美味しそうなパスタだったわね。なんていう料理なの?」

「おいしそー」

 出て来た瞬間から料理の質問ですか。って言うか、何を食べたのか見てたんだ。シャベルを舐めなかった俺グッジョブ。

「カルボナーラだよ。あれぐらいなら作り方を知ってるから、町で材料が手に入ったら御馳走するよ」

「ふふ、良いわね。異世界の料理。とても楽しみだわ」

 まあ、もう一袋残っているから直ぐに御馳走する事は出来るんだけど、今の状況だと遠慮するだろう。町に行って材料が手に入らなくても、カルボナーラが残っていたら御馳走しよう。他の食料が十分手に入れば食べてくれるだろう。お世話になっているんだ、喜んでくれると良いな。

「期待してて。それで、レベル上げに行きたいんだけど、大丈夫?」

「ええ、大丈夫よ。でも注意事項があるから少し話を聞いてね」

「注意事項?」

「ええ。夜はゾンビとスケルトン、そしてそれをエサにしているさまざまな魔物が出て来るわ」

「さまざまな魔物って大丈夫なのか?」

 デスリザードとかに会いたくないから夜にレベル上げに行くのに意味が無いじゃん。

「ええ、私が行く方向に付いてくれば何の問題も無いわ。ただ裕太がはぐれて、絶対に勝てない魔物に出会ってしまったら、私達は手が出せないから、何としても逃げ延びなさい」

「逃げ延びる……ぜったいに勝てない魔物。そんなのが出るの?」

 ヤバくない? レベル上げに出るのが嫌になって来たんだけど。

「ええ。ゴーストやレイスは物理攻撃が効かないの。今のあなたには天敵ね」

 そう言えば攻撃手段は物理だけだな。頑張ったら生活魔法の種火で……無理だな。光球を上げたら聖なる光で撃退とかならないかな? 生活魔法で倒せるなら天敵とか言わないか。

「一応魔法のハンマーって、名前に魔法が付いているけど効かないのか?」

「ええ、効かないわ。魔法って付いているけど、裕太の魔法のハンマー攻撃には魔力が宿っていなかったから間違いなく無理ね」

 無理か。開拓ツールの他の物を確認しても、魔力がなんたらとか書いてある説明文は無い。開拓ツールは高威力でも物理特化みたいだ。そもそも開拓の為の道具で、戦う為の道具じゃ無いよね。

「ゴーストやレイスを倒せる魔法を覚える事は出来る?」

「魔法自体は時間を掛ければ使えるようになるかもしれないけど、何時になるのか分からないわ。私達に付いてくればゴーストに出会う事は無いんだから、さっさとレベルを上げて、この子と契約した方が早いわよ」

「けいやくー」

 幼女精霊が楽しそうに騒ぐ。幼女精霊は契約に前向きなのか? 良く分かっていない可能性が高そうだ。

「契約すればゴーストやレイスに勝てるんですか?」

「ええ。下級精霊のこの子でも簡単に勝てるわ。精霊魔法って強いのよ」

 シルフィは自信満々だけど、話に厭きたのかうつらうつらしている幼女精霊をみると不安になる。さっきまでテンション高かったのに、厭きるのが早いよ。幼女精霊を見た後、もう一度シルフィに視線を送る。

「……精霊魔法って強いのよ」

 もう一度言った。シルフィ、余計に不安になるよ。目を逸らさないでちゃんと俺の方を向いて欲しい。

「精霊魔法って契約すれば俺が使えるようになるの?」

「ちょっと違うわね。あなたが契約精霊に頼んで、契約精霊が魔法を使う感じね。高位の精霊になればなるほど、大きな力を使えるの。契約者に危険が迫れば契約精霊の判断で防ぐ事もあるわ。凄いでしょ」

「じゃあ、俺がこの子と契約して、ゴーストを倒してってお願いすると、この子が魔法で倒してくれるって事? この子が何処かに遊びに行ってた場合はどうなるの?」

「ええ。そうなるわね。契約精霊が側に居なくても、契約をすれば召喚と送還が出来るようになるから平気よ。ただ近くにいない場合は契約者の危機には対応できないから、危険な場所なら出来るだけ側に居るようにした方が良いわね」

 少し不安だけど、かなり便利なのは分かる。分かるんだが幼女精霊を見ると、この子で大丈夫なのかとか、幼女精霊に助けられる情けなさが相まって微妙な感じだ。

「分かった。ありがとう。今回はシルフィから離れないように注意して頑張るね」

「ええ、はぐれなかったら大丈夫よ。じゃあ行きましょう」

「ましょー」

 うつらうつらしていた幼女精霊が急激に元気になる。急にスイッチが入ったな。収納した階段を設置して外に出る。

 しかし街灯も無いのに意外と明るい。空を見上げると大きな月と沢山の星が見える。異世界だな。明らかに日本で見る月よりも大きい。倍ぐらいありそうだ。そう言えば体にまったく違和感が無いけど、重力とか地球と変わらないのかな? 体感では分からないが。異世界は不思議がいっぱいだな。

「裕太。こっちよ。ボーっとしてたら駄目でしょ」

「だめでしょー」

 いかん。注意されてたのに、月の大きさに気を取られて注意散漫になってた。命が掛かっているんだ真剣に行こう。

 月明かりの下、ハンマーを担ぎシルフィから逸れないように慎重について行く。夜の死の大地……怖い。

「裕太。前を見て。ゆっくり動いているのが分かる?」

 目を凝らして前をみると、薄っすらと何かが蠢いているのが確認できた。

「……複数いるように見えるけど。間違ってる?」

「間違て無いわねよ。ゾンビが三体いるわ」

「いきなり複数? 大丈夫かな?」

「ゾンビは動きが遅いから楽勝よ。あっ、ゾンビの魔石は取る? スケルトンは平気だけどゾンビの魔石を嫌がる人が多いみたいなのよね」

 ゾンビの魔石……心臓部分から魔石を抜き出すのか……この世界のお金をまったく持ってないから、稼ぐべきなんだけど、できれば遠慮したい。

「あー、俺もゾンビから魔石を取るのは嫌だな。他の魔物で頑張るよ」

「無理をすることは無いわ。ならサクサク倒して次に行きましょう」

「ああ、あっ、もしゾンビに噛まれたら俺もゾンビになるのか?」

「へ? ゾンビに殺されて死体が腐って魔物になれば、ゾンビやスケルトンになる可能性はあるけど、どうしたの?」

「いや、なんでもない。じゃあ行ってくる」

 ゾンビ映画みたいに噛まれたらゾンビになるって事は無いみたいだな。一安心です。

「頑張ってね」

「がんばー」

 恐る恐るゾンビに近づいて行く。月明かりがあるとはいえ夜だ。ゾンビの姿が見辛いのは助かるな。

「うわっ。臭い」

 ゾンビに近づくと肉が腐った匂いが漂ってくる。ゾンビがこちらに気が付いた。

「ヴァー」

 良く分からないうめき声をあげて、ゾンビが近づいて来る。動く度にヌチャっと嫌な音が聞こえる。時間を掛ければ掛けるほど嫌な気分になる。さっさと済ませよう。

 ハンマーを最大の大きさにして、息を止めて一気に走り寄りハンマーを振り下ろす。グチャっとした音と同時にゾンビがぺちゃんこになる。残り二体このままいく。グチャ、ヌチャ。二回ハンマーを振り下ろしそれぞれゾンビを潰して離れる。

「ぷはー。はぁ、はぁ」

「息を切らしてどうしたの? 簡単だと思ってたけど難しかった?」

「いや。ハンマーを振り下ろすだけだから倒すのは簡単だった。臭いが酷くて息を止めてたから、息が切れているだけだよ」

「なるほど。息を切らすのはあまり良くないんだけど、しょうがないのかしら? まあ、余裕があるのなら良いわ。次に行きましょう」

「了解」

 シルフィの後ろに続いて死の大地を歩く。偶に急な方向転換がある時は、俺に不利な敵がいるか、標的が移動したかだろう。ゴーストにレイス……見たいような見たくないような複雑な気分だ。

「裕太あそこ」

 シルフィが指し示す方向を確認すると……六体の人骨がフラフラとさまよっている。剣とか槍を持っている奴もいるのが怖い。

「あれはスケルトンだよね? 数が多いし武器を持ってるけど大丈夫かな?」

「大丈夫。ゾンビよりも動きは早いけど、裕太のハンマーなら紙屑みたいな物よ。武器ごと叩き潰しちゃいなさい。魔石が取りたいのなら頭から腰まで砕けば倒せるから、余裕があったら狙うのも良いかもね」

 武器ごと叩き潰すのか。戦闘方法が脳筋一直線だな。筋肉ついてないけど……。

「余裕があったら挑戦してみるよ」

 スケルトンに近づくと、こちらを向いて突撃してくる。こわっ! はやっ! 暗闇に目が慣れたとはいえ、視界が悪い中、骸骨が骨をガチャガチャ鳴らしながら走り寄って来る。

 焦って思わず全力でハンマーを横薙ぎに振る。ガチャガチャガチャと三体のスケルトンがハンマーに巻き込まれ、粉々になりながら吹き飛んでいく……ホームランだな。

 残りの三体もハンマーの風圧で吹き飛ばされ転がっている。慎重に近づき魔石を壊さないようにスケルトンの上半身を潰す。

 ……んー、これが魔石だよね? 一センチぐらいの大きさの黒くて丸い玉だ。キラキラして宝石みたいだ。

「お疲れ様。あっさり倒せたわね」

「ああ、最初は思ったより動きが早くて焦ったけど、何とかなったよ。シルフィ、これが魔石なのか?」

「ええ、そうよ。スケルトンだから小さいけど、少しはお金になるはずよ。強い魔物からは大きな魔石が取れて、大きいほど価値が高いの」

「そうなのか。町に行った時の為に集めておかないとな」

 残りの二体からも魔石を取り出し収納する。錆びてるけど金属だし一応槍も回収しておくか。なんか骨だけだとあんまり気持ち悪くも無いから助かる。

「ゾンビとスケルトンなら楽勝でしょ。問題無いならガンガン行くわよ」

「わよー」

 ……スケルトン多めでお願いします。
読んで下さってありがとうございます。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ