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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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六十一話 悪巧み?

 ある程度欲しい物を手に入れ、やっとこさ買い物が終了した。結構大変だったな。部屋に戻り一息つく。

「シルフィ。ギルドの人達の話を聞かせてくれる?」

「ねーねー。ゆーた。べる。おにくたべるー」

 シルフィの返事の前に、ベルが胸に飛び込んで来た。そう言えば宿に戻ってから食べようって約束してたな。

「そうだったね。今から用意するからちょっと待って。シルフィ、話は食べてからにしよう。シルフィも食べる?」

「ええ。いただくわ」

 さっそく買って来たお皿に、洗浄を掛け、ベル達が一番食べたがっていた、分厚いお肉を挟んだパンをのせる。ラフバードの香草焼きをパンにはさんだと屋台のおっちゃんは言っていた。

「おいしそー」「キュー」「おおきい」「クーー」

 うん。みんな大興奮だな。俺も見ただけでテンションが上がっている。肉の分厚さがハンパじゃない。食べていいよと言うと、ベル達はさっそく分厚いサンドイッチにかぶりつく。

 ベルはふわふわと浮かびながら、サンドイッチを両手で抱え、あんぐりと口を開けてかぶりつく。全然パンの大きさに口が対抗出来ていない。厚みの半分ほどしかかじり取れず体勢が崩れて回転している。ベルの口の大きさではこのサンドイッチは強敵みたいだ。

 レインとタマモは問題無さそうだ。二人とも大きな口を開けて嬉々としてサンドイッチに挑んでいる。イルカとキツネは口が大きいから。問題は無さそうだな。

 トゥルは落ち着いてサンドイッチを持ち。小動物のように小さく噛り付いている。一心不乱に食べているから気に入ってはいるんだろう。トゥルの食べ方が一番正しいのかもしれない。でも俺的には難しいと分かっていてもベルの食べ方を押したいところだ。

 スパパンっと音がしたので振り向くと、驚愕の光景が。シルフィがおそらく風の魔法でサンドイッチを小さく切り分けてしまっていた。

「あら、裕太。どうしたの?」

 俺が愕然がくぜんとした表情で見ている事に気が付いたのか、シルフィが話しかけてきた。

「いや、シルフィ。それはどうなのかなって俺は思うな。せっかくの分厚いサンドイッチ。両手に持ってかぶりつくのが礼儀だと思うよ」

「異世界ではそんな礼儀があるの? 女性が大口を開けるのはみっともないから、出来る状況の時は小さく切り分けて食べるのが、この世界の淑女しゅくじょたしなみなのよ」

 シルフィは淑女なのか。淑女の嗜みと言われてしまっては、俺に対抗するすべは無い。何故なら俺の意見は単なるこだわりだからだ。男の拘りなんて淑女の鼻息ひとつで吹き飛ばされるからな。

「そうなんだ。淑女には上品さが必要だよね。そう言えば俺の世界でも女性はそんな感じだったよ」

「ふふ、何処の世界でも、似た所はあるのね」

 シルフィはそう言いながら、小さく刻まれたサンドイッチを口に入れた。確かに上品に見える。

「ゆーた。べるもしゅくじょー」

 いや、ベル。淑女は高々と食べかけのサンドイッチを両手で天に掲げながら、淑女を宣言したりしないよ。可愛いから問題無いけど。

 さて俺も見ていないで食べないとな。熱々のラフバードの香草焼きのサンドイッチに大口を開けてかぶりつく。

 固いパンは表面はザクっとした感触で、内側はラフバードの肉汁がしみ込んでシットリとしている。肉に歯が届くとプリプリとした弾力を感じ。それと同時に香草の香りと肉汁が口の中にはじける。

 ……これは、美味いな。もむもむとサンドイッチを噛み締める。流石に他の屋台に比べると倍の値段だったが、その価値は有る。また見かけたら大量買いしておこう。

 ワイワイと楽しくボリュームたっぷりのサンドイッチを食す。一つで満腹になるから、ある意味串焼きよりもお得かもしれないな。

「おいしかったー」「キュキュー」「すき」「クゥクー」

「また見かけたら買ってこようね。俺はシルフィとお話があるから、みんなは散歩にでも行っておいで」

「さんぽー。おいしいものさがすー」

「キューーー」

「みつける」

「クーーー」

 大きなサンドイッチを平らげたのに、美味しい物を探す気らしい。元気よく窓から飛び去って行くベル達を見送る。どうせ悪評ばかりだろうから、ベル達が素直にお散歩に出かけてくれて助かったな。

「それでシルフィ。ギルドではどんな話が出てたの?」

「うーん。色々あったけど全部良くない評判ね。聞きたい?」

「聞くけど、なんでそんなに嬉しそうなの?」

「ふふ。だって散々な噂が流れているんですもの。裕太が、活躍した時にどんな状況になるのか想像したら楽しくって。うふふ。裕太。頑張りましょうね」

 内容はゲスいけど、とっても可愛らしく笑ってらっしゃる。

「シルフィ。性格悪くなったんじゃないかな?」

「ふふ。そうかもしれないわね。でも全部契約者の影響だと思うわ」

 契約者って俺だよね。

「俺は故郷にいた頃は良い人って言われてたから。多分この世界が悪いんだよ」

 だって俺よく言われたもん。良い人だけどちょっと………………って。俺良い人。間違いない。

「この世界が悪いのならしょうがないのかしら?」

「うん。世界が悪いんだからどうしようもないよ」

 全部世界が悪い。だから俺は悪くない。一部の隙も無い完璧な理論だ。

「それで、内容を聞かせてくれる?」

「分かったわ。まず一番の話題になっていた事は、親切で精霊術師を辞めるように説得したギルマスに、喧嘩を売った礼儀知らずって事かしら」

 ……親切なギルマス? そんな人いなかったよ? 礼儀は途中までは守ってたよね?

「もしかして、情報操作されてる?」

「ええ。裕太は空気の読めない厄介者扱いね」

 ……しっかり空気を読む事が必須スキルの、日本人社会で働いていた俺に、空気が読めないとか笑止千万って感じだな。

「誰が噂を流しているの? ギルマス?」

「出どころはギルマスだけど、冒険者ギルド全体の方針みたいになっているわね。情報を全体で共有して、裕太には関わらないように誘導されているわ」

 いじめカッコ悪い。どおりで派手に動いたのに、絡んでくる奴がいなかったわけだ。完全に孤立したな。

「詐欺師に空気が読めない厄介者。酷い言いがかりだよね」

「あら。空気が読めないのは。裕太が証明した形になってるわよ。エルティナに無表情で対応されて、あのギルドの雰囲気の中で初心者講習に申し込んだでしょ。あの時、周りの冒険者達は、本当に空気が読めないんだなって納得してたわ」

「失礼な。空気は読めてたけど、必要な事だから空気を無視しただけなのに」

「あんまり変わらないと思うわよ」

「えー。空気が読めないのと、空気を読んで無視するのはまったくの別物だよ」

「周りから見たらどちらも見分けがつかないわよ」

「……確かにそうだね。噂はそれだけだった?」

「いえ。カール達や、あなたに賭けで負けた冒険者達が、裕太の卑劣さをある事無い事バラ撒いてるわ。全財産搾り取ったり、煽って賭けを偏らせて掛け金全部を持って行った事とか。あとエルティナを口説いて振られたって噂になってるわ」

「冒険者を辞めたくないから全財産で許してあげたんだし、賭けが成立しなかったから俺が受けてあげたんだよね。話が全然違うじゃん。だいたいエルティナさんを口説いてなんかいないよね」

「真実かどうかなんて関係無いのよ。裕太を悪者にする事が目的なんだから」

 酷いな。特にエルティナさんを口説いて振られたって所が許せない。口説けるもんなら口説きたかったのに、そんな度胸が無かった俺に対して、その仕打ち。許せない。

「裕太はこれからどうする予定なの? 冒険者ギルドを見返してやるのよね?」

 そんなにワクワクした表情で見ないでよ。凄い事をしないと駄目な気になって来るよ。

「うーん。最初は沢山活躍して、相手の見る目の無さを笑ってやれば十分だと思っていたんだけど、それだけじゃ駄目だよね。もっと冒険者ギルドがこまるように追い込んでいきたい」

「そうね。中途半端は駄目よ。徹底的に思い知らせてやらないと反省しないわ。だいたい精霊術師の問題も、自分達の伝え方が悪いだけなのに、精霊まで悪く思われそうで気分が悪いわ」

 そっちの方でもシルフィは気分を害していたのか。精霊の方は聞いた感じだと、俺にも指導できそうなんだよな。カッコつけずにシンプルにお願いするだけでも、十分に進歩すると思うんだけど。

 簡単に教えると戦争に利用されそうだし、条件を色々考えて精霊術師のクランを本気で作っても良いかもな。あっ、元々精霊優位な契約なんだから、そう酷い事にもならないか。ふふ。精霊術師が大活躍しだしたらギルマスがどうするのか、とっても見ものな気がする。

「今のところ考えられるのは二つ。迷宮で行き詰まっている五十階層を越えた所まで進んで、素材を全部冒険者ギルドには卸さない。もう一つは精霊術師のクランなりギルドなりを作って、精霊術師を鍛えて、冒険者ギルド以上に活躍できるようにする。どちらもシルフィ達がいれば出来るよね」

 皮算用な気もするけど、話を聞いた感じだと、不可能では無いように思う。他の大精霊達も契約してくれる予定だし、それだけでも進めなくなったら、その状況に適した精霊を紹介して貰えばいい。上手く行くと思うんだけどな。

「良いわね。両方が良いわ。どっちもやりましょう。絶対に面白い事になるわ」

 両方? 両方は大変だと思うな。

「死の大地の開拓もあるから、両方だと大変だよ。時間が足りないと思う」

「そう? 迷宮の五十層を越えるのは、私達が居れば簡単よ。手間が掛かるのは精霊術師を育てる方だけね」

「そうなんだ。それなら、出来ない事も無いのかな? まあ、でも一つ一つやって行こうか。まずは迷宮の探索。余裕が出来たら精霊術師の育成って感じかな」

「分かったわ。ふふ。あのギルマス、どんな顔をするのかしら、とても楽しみね」

 やっぱり。俺が悪影響を与えてしまったのかも。ごめんねシルフィ。
活動報告に言い訳のような物を載せておりますので、よろしければご確認ください。

読んでくださってありがとうございます。
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