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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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六話 仮の住居の完成

 部屋を作るために残した大きな岩の塊を前に、どんな部屋を作るのか考える。

 この岩の大きさなら二部屋位は作れる。建築なんて勉強した事すら無いから、多少部屋が狭くなろうとも壁は厚めに残しておこう。天井を支える事を考えると五十センチぐらいの幅があれば大丈夫か?

 考えても分からないから、取り合えず部屋を作ってから確かめるか。出入口がある部屋をキッチンにして、その隣を寝室にしよう。

 寝室と言っても寝具が無いから辛い。流木でベッドを作れば岩より木の方が柔らかいから多少マシか? 植物があれば少しは快適に過ごせるんだけど、死の大地には雑草すら生えて無い……改めてとんでもない所に飛ばされて来たな。

 出入り口を作りそこから壁の厚みに気をつけながら、六畳ほどの部屋を二つ作り上げる。まあ内側部分をノコギリで切り出しただけだから、ただ壁と屋根があるだけの建物って感じだけど、昨日の洞窟に比べたら随分マシだ。天井が崩れて来ないかだけが心配だけど。

 あっ、トイレを作るのを忘れてた。小はそこらで済ませるとしても……大はキツイな。でも岩場に穴を開けて大をするのは気分的に嫌だ。面倒だけどトイレは下が土の所に簡易トイレを作ろう。

 何とか満足できる仕上がりになった。外に出て色々な場所から壁を押してみる。うーん、ピクリともしない……人力で押して動かないだけで安全だと思って良いのだろうか? ハンマーでぶっ叩いたら粉々になりそうだし、どうしよう。

「窓は作らないの?」

 完成と考えて良いのか悩んでいると、シルフィが更なる難題を振って来た。

「うーん、考えはしたんだけど、強度に不安があるし何があるか分からないから、窓は止めておくよ。出入口に岩を置くだけで立て籠もれるしね。もう少し木材が手に入れば快適な家を作り直すよ」

「仮の住居のつもりなのね」

「うん。他にもっといい場所が見つかるかもしれないし、あまり凝った家を作ってもしょうがないからね」

「くらいー」

 いつの間にか幼女精霊が家の中に入り、真っ暗だと文句を言って来る。出入口しか光が入る場所が無いから当然だよね。

「もうすぐ日が暮れるけど、今日はもう休む?」

 どうしようかな。朝に食パンを二枚食べただけだから、晩飯は腹に溜まるものが食べたい。あと夜になったらゾンビやスケルトンを倒してレベル上げもしておかないと。

 デスリザードは簡単に勝てたけど、迫力があり過ぎる。簡単に倒せるらしいゾンビとスケルトンで練習して、さっさとシルフィと契約出来るようにしよう。

「日が暮れるまで食事が出来るようにキッチンを整えるよ。食事が終わって暗くなったらゾンビやスケルトンを倒しに行きたいんだけど、付き合ってくれる?」

「やる気満々ね。分かったわ。魔物の場所を教えるぐらいしか出来ないけど手伝うわ」

「てつだうー」

「ありがとう。地道にレベルを上げて早く契約したいから、頑張るよ」

「楽しみにしてるわ。私達は風に溶けているから、食事が終わって出発する前に声を掛けて。外に出て呼びかければ直ぐに分かるから」

「分かった。よろしくね」

 シルフィと幼女精霊と別れて部屋の中に入り、岩で簡単な家具を作る……作ると言ってもどうしたら良いのか。

 まずは光球を上げて部屋を明るくする。えーっと、まずはテーブルと椅子かな。テーブルサイズの長方形の岩を出す。座るのに丁度良いサイズの正方形の岩を出す……完了。これで良いのか? まあ仮の住居だ拘ってもしょうがないだろう。

 次は……煮炊き出来る場所を作るか。キャンプ場にあるレンガの焼き台みたいなのを作りたいんだけど、網が無い……料理道具が無いのが地味に不便だ。

 何か使える物が無いか開拓ツールを確認する。うーん、残念ながら料理道具や食器は見当たらない。開拓には料理道具や食器も必要だと思うんだが……。

 何となく納得はいかないが無い者はしょうがない。出来る事を考えよう。燃料は海で拾った枝。食器は流木を削って作るとして、問題は金属製品だな。何とかならない物か。

 開拓ツールを確認していると、ある道具が目に留まる。漫画で読んだけど、これって鍋代わりにも使えるって書いてなかったっけ?

 魔法のシャベルを取り出して確認してみる。……うん。使える。大きさを変える事が出来るし、ヘコミがあるから煮炊きも出来る。ちゃんとした調理道具に比べたら使い辛いだろうけど無いより全然マシだ。漫画も役に立つよね。

 よし。岩で焼き台を作ろう。単純に焼き台の形に岩を削り出せば良いはずだ。炎の熱で岩が割れても、単純な構造なら直ぐに作り直せる。最悪、火がシャベルに当たればなんとかなるはずだ。

 出来た! 長方形の岩の上部を魔法のシャベルでくり抜き、薪を燃やすスペースを作る。上にシャベルを置くと空気が入りにくいから、空気が入るように魔法のノミとハンマーっで穴を開ける。

 ハンマーをトンカチサイズにして魔法のノミを叩くと、スコンっと穴が開く。スコン、スコン、あまりにも楽しいので夢中になって穴を開けた……強度が少し心配だ。

「さっそく試して見るか」

 答えてくれる人が居ないと寂しい。海で拾った流木を取り出す。死の大地には雨が降らないらしいから、カラカラに乾いている。これなら薪として使えるから問題無い。

 小さな枝を焼き台に入れて種火の魔法で火をつける。少し時間が掛かったが、火が大きくなったので大き目の枝を乗せる。良い感じに燃え上がった。乾燥していても少し煙が出る。しかも通気口すら無いから煙い。出入口を塞いでいたら火を使うのは危険だな。

 シャベルに洗浄を掛けてサイズを調整して焼き台の上に乗せる。良い感じだ。水が無いから今回はカルボナーラの冷凍バスタを食べよう。レンジ専用だけど火で温めたら食べられるはずだ。

 袋を破りシャベルの上に置くとジュワっと音がした後カタカタカタと激しく振動する。ヤバい火力が強すぎた。シャベルを火から離して温度を下げる。

 ヤバかった。このままだったら、周りは焦げて中は冷たいカルボナーラが出来上がっていた。次からはある程度常温でパスタを溶かしてから調理しよう。冷凍パスタはカルボナーラが残り一つと、ナポリタンが二つ。

 数が少ないから早めに水を手に入れてインスタント関連に移行したいな。袋麺ならミソ、ショウユ、トンコツ味をそれぞれ五食パックで買ってある。

 それぞれ三食までは気軽に食べられるよね。塩味を買うか迷って買わなかった自分を殴りたい。迷ったら買わない方が良いって聞いた事があるけど、今回ばかりは買っておくべきだった。

 あっ、そう言えばアルミの鍋焼きうどんも買ったんだ。確か天ぷらうどんとごぼう天うどん、キツネうどん、すき焼きうどんの四つだな。あれなら鍋代わりに使えるな。

 再利用や別の目的での使用は止めてくださいとか書いて有った気がするけど、異世界だからしょうがないよね? そうなるとカップ麺やカップ焼きそばの容器もお皿として使えるな。 

 カルボナーラが溶けて来たので掻き混ぜようとして気が付く。箸が無い。急きょ小枝を二本取り出し洗浄を掛けて箸代わりにする。

 凍って堅い部分を箸? で解しながら遠火で温める……文明の利器の有難味が身に沁みるな。切実に電子レンジが欲しい。もしくはガスコンロでも構わない。

 ない物ねだりをしながらパスタを温めてようやく完成。ちょっとソースが焦げた部分もあるが、初めてにしては上出来だろう。フライパン代わりのシャベルをお皿サイズに縮めてテーブルの上に置く。

 今回は枝のお箸で食べるけど、時間が出来たらちゃんとしたお箸とフォークを作ろう。スプーンも必要だ。ナイフは……木のナイフは違うから、魔法のサバイバルナイフで代用しよう。

 ズルズルと音を立ててパスタを啜る。下品だな。でも美味しい。今朝は食パン二枚だけだったし昨晩は食事を取り損ねた。久しぶりのまともな料理、むさぼりたくなるが気持ちを抑えじっくりと味わう。

 噛み締めながら食事を続け、最後の一口を食べ終えると、無性に悲しくなる。シャベルに残っているカルボナーラ―ソースはどうしよう。

 誰も見ていないとはいえシャベルを直接舐めるのは恥ずかしい……そうだ! 食パンを取り出し残ったカルボナーラソースを食パンで拭い取る。そのまま口に運びたいが、魔法の鞄に再度収納する。

 これで次に食べる時には味気ない食パンではなく、カルボナーラソース付きの食パンが食べられる。時間停止機能様様ですな。

 しかし紅茶の二リットルペットボトルの一本をこの食事で飲み終わってしまった。インスタントコーヒーと紅茶のTパックも買ってあるから、水さえ手に入れば暫くは楽しめるが、アルコールが入っていない飲み物は残り紅茶の二リットルペットボトル一本になってしまった。

 早急に水を確保しないと、喉の渇きをアルコールで癒す事になってしまう。そう言えばインスタントコーヒー用にスティックシュガーは買ってあるけど、どうせならビニールに入っているバラのマークの砂糖を買っておけば良かった。異世界とか砂糖は貴重だよね。小説のイメージだけど。

 異世界に飛ばされる事が分かっていたら、借金してでも買えるだけ物を買って来たのに、残念でしょうがない。今なら必要な物がいくらでも思いつくのに。せめて水だけでも買っておけば随分違った。

 シャベルとお箸に洗浄を掛けて収納する。お箸は魔法の鞄にシャベルは開拓ツールの中に自動で収納された。便利だな。

 便利と言えば洗浄の方が便利か……この魔法を日本で教える事が出来れば、主婦に大人気で大金持ちになれただろう。魔法が使える時点で大騒ぎになるから無理か。

 よし、美味しいご飯で力が湧いた。ゾンビとスケルトンを倒してレベルアップだ。
読んで下さってありがとうございます。
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