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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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五十九話 ちょっと知識チート

 えーっと、調理道具と食器は買い終わった。あと雑貨店で買うのは調味料と服だな。

「マリーさん。次は調味料をお願いします」

「畏まりました。こちらでございます」

 マリーさんが笑顔で案内してくれる。売上アップを期待しているのか、動きにキレがあるな。店内を移動中に、飛び回りながら鬼ごっこをしているベル達が見える。

 どうやらレインが鬼みたいだな。店内を縦横無尽に飛び回るレインから、ベルとトゥルとタマモが笑い声を上げながら楽しそうに逃げ回っている。

 今のところ食べ物以外は興味ないのか、道具類には目もくれず遊んでいるだけだ。まあ、楽しそうだから良いか。

 調味料コーナーに到着すると、マリーさんがテーブルの上に幾つかの調味料を並べてくれる。革袋に入っているものや、木箱に入っている物など様々だ。乾燥した葉っぱが束ねてあるのは、バジルっぽいな。

「ご用意出来ます調味料はこちらになります。説明致しましょうか?」

「お願いします」

 マリーさんの説明で分かった事は。醤油と味噌が無い。ショックです。知っているものは、塩、砂糖、胡椒、唐辛子、バジル、クレソンぐらいか。ミントは無いのか?

 あと胡椒は高級品らしい。迷宮の深い場所でしか取れず、収穫量が少ないらしい。これも自分で採取出来れば助かるな。

 それと嬉しいのが砂糖だ。意外と安い。理由を聞いてみると普通にサトウキビが栽培されているようだ。そう言えばこの大陸って温かいっていうか暑いもんね。サトウキビも生える環境なんだ。それなら胡椒も栽培されていても良さそうなんだが、何か理由があるのか?

 後は良く分からないものばかりで、少量ずつお試しで購入した。胡椒は買うか迷ったが、欲望に負けて購入を決定した。

「うーん。マリーさん。粉末状にしたものは売っていないんですか?」

「粉末ですか? 料理を作る際に皆さま自分で下準備をされますので、わざわざ粉末にする必要は無いと思いますが?」

 そうなると、ガーリックパウダーとかは無いのか。あれ好きなんだけどな。自分で作るのも面倒だし、どうしよう。

「ふむ、儲けになるかな? 悩みどころだな」

「お客様。よろしければお話をお聞かせ願えませんか?」

 俺の呟きを耳聡く拾ったマリーさんの目がギラギラしだした。話したら作って貰えるのかもしれないけど、お金になるかもしれない知識を、ただで話すのもな。まあ、マネされやすいから大金にはならないだろうけど、少しお金がもらえて便利になれば十分か?

「うーん、商売のタネになる話ですからね。簡単に話すのもなー」

 チロッっとマリーさんを見てみる。

「アイデア料を払い渋るような者は、この店におりませんのでご安心ください」

 俺が頷くと、直ぐに店の奥の応接間に案内された。

「改めまして、私はこの雑貨屋を営んでおります、ポルリウス商会、商会長の次女マリーと申します。この店の店長を務めておりますので、アイデアに対する十分な対価はお約束いたします。ご安心ください」

 会長の次女なのか。若いし血縁関係で店長なのかな? でもそんな人がスリーサイズネタとか、チャレンジャーだな。

「俺は裕太です。新人冒険者ですので、お気遣いなく」

 新人冒険者って名乗ったらちょっと驚いてた。年齢に驚いたのか、新人冒険者がお金を持っている事に驚いたのか、どっちなんだろう?

「畏まりました。それでどのようなアイデアなのでしょうか?」

「そうですね。まず先に言っておきたいのが、マネされやすいので、売り物にする商品が増えるぐらいだと考えて頂きたいのですが、構いませんか?」

「うーん。マネされやすいのですか。そうなりますと対価はお安くなってしまいますよ」

 まあ、安くてもお金になって便利になれば、十分だ。

「先駆者として、ある程度の利益と名誉は得られると思いますよ。完成度しだいでは他の追随を許さない事も可能です。対価はマリーさんの言い値で構いません」

「あら。言い値などと、安く買い叩くかもしれませんよ?」

 可愛く首を傾げるマリーさん。銭のオーラを背負って無ければ魅力的なんだけどな。

「そうなったら、そうなった時ですね。俺は商人ではありませんので、マリーさんを信じるだけです」

 信じられる人なら、次からも儲けのネタを此処に売りに来ても良いし、駄目なら駄目で別に構わない。何か考えついたら別の人に話を振るだけだ。

「信用にお応えできるように頑張らさせて頂きますね」

「よろしくお願いします。それでアイデアなのですが、二つあります。一つは生のニンニクを薄くスライスして、軽く水にさらした後に天日でカラカラになるまで乾かします。それを粉末状に砕けば調味料になります」

「確かにマネしやすいアイデアですね。味を確認しないと何とも言えませんが、乾燥させて砕くだけでは商売として成り立つかどうか、難しいですね。もう一つは何でしょうか?」

「もう一つは、今日見せて貰った調味料や香草を全部乾燥させて、砕き混ぜ合わせる事です」

「それが、アイデアですか? 先ほども言いましたが、みなさん自宅で普通にご利用なさってます。あまり意味が無いのでは? 混ぜ合わせると用途が限定されますし」

 マリーさんが目に見えてガッカリしてる。言い方が不味かったか?

「混ぜ合わせる種類。比率を研究するんですよ。たとえばお肉を焼く時に、掛ければ最高に美味しくなる調味料。その組み合わせは数えきれません。みんなが喜ぶ組み合わせを作れば売れると思いますけどね。手軽で美味しい。野営の時なんかにもとても便利です。迷宮にも持って行くと良いかもしれませんね」

 マリーさんが真剣に考えだした。クレ〇ジーソルト並みの商品が出来上がったら嬉しいな。

「裕太さん。この話は此処で話すのが初めてですか?」

「初めてですよ」

「分かりました、少々お待ちください」

 部屋から出て行ったマリーさんを見送り、シルフィに外の様子を聞く。

「今は裏に一人。連絡役が一人。表に五人。全員たいした事無いわ。作戦も変わらずよ。いちゃもんつけて路地裏に引きずり込む。どっかのボンボンが護衛も付けずにふらつきやがって、ギャハハハハって笑ってるわ。後は成功したらどうするかの馬鹿話しだけね」

 どっかのボンボンか。死の大地で結構苦労したんだけど、強者のオーラ的な物は身に付かなかったようだ。考え事をしているとマリーさんが戻って来た。

「裕太さん。五十万エルトです。取り敢えずこちらをお納めください。可能性を感じるのですが、不確定要素も大きく、今はこれしか出せません。成功したあかつきには報酬を追加させて頂きたいと思います」

 ポロっと話しただけで五十万。儲けたよね? それなのに追加報酬までくれるの? 調味料でそこまで儲かるのか? 疑問が一杯だ。

「五十万エルトでも十分ですが、そこまで儲かりそうですか?」

「上手く行けばですね。研究が上手く行けば儲かる方策は出来ました。楽しみにしていてください」

 自信はあるみたいだな。契約がどうのこうのと言われたが、面倒なので断った。守秘義務だけはしっかり約束されせられたが、そこは当然だろう。

 話し合いも終わり、店内に戻り下着と寝間着を選んだ。下着はトランクスタイプで、ゴムの部分が紐なのがあったので、違和感はあまり無さそうだ。

 文房具もあったので購入しておく。値段はちょっと高いが普通に売られているって事は、紙での知識チートは厳しいだろうな。可能性があるとしたら、ペンの方か。墨に浸けて書くタイプみたいだし、鉛筆とか? うーん。作り方を知らない。難しいな知識チート。

 レジに向かい、お金を払う。全部で十八万弱。雑貨屋で使う金額じゃ無いよな。買い込んだ荷物を魔法の鞄に収納する。

「良い鞄をお持ちですね。容量はどのぐらいでなんですか?」

「んー。秘密です」

 下手に具体的な事を言うと、ウソがバレたら面倒だ。

「裕太さん。当店で働きませんか?」

 なんか視線が俺の目じゃなくて、鞄に向いている気がする。商人にとって便利な鞄だからしょうがない……のか?

「今のところ冒険者として頑張るつもりなんで、またの機会にお願いします」

「んー。残念ですね」

「はは。ありがとうございます」

 軽く雑談している間に、シルフィにベル達を集めて貰いおいとまする。さてチンピラ達はどう出るかな?

 歩き出すと前方に五人のガラの悪そうな男達がニヤニヤしながら近づいて来る。シルフィに聞くまでも無くあいつ等だな。

(シルフィ。面倒だからあいつらの動きを止めてくれる?)

 ハンマーで脅せば一発な気もするが、街中でハンマーを振り回すのも違うだろう。

「止めたわよ」

 ピタリと男達の歩みが止まる。男達は何がどうなったのか分からず、アワアワしている。動けなくなった男達に近づくと全員の視線が俺に集まる。俺が原因って分かったのかな?

「俺。ボンボンじゃ無いよ。路地裏に連れ込む?」

 男達がビクッっと震える。なんか面白いな。でも、何をする気だったかはともかく、まだ何もしていないのに俺が手を出すのは不味いよね。放置して本屋に行こう。しばらく歩くと突然シルフィがクスクスと笑い出した。

(シルフィ。どうしたの?)

「あの男達。喧嘩してるわ。作戦が裕太にバレてたから。この中の誰かが裏切り者だって言い合いになって、殴り合いに発展したの。裕太が意地悪な事を言うからよ」

 責めるような言葉だけど、顔が笑っているから説得力が無い。明らかに楽しんでるな。チンピラの仲間割れなら、迷宮都市が少しは平和になったって事だから、良い事だろう。

(まあ、自業自得って事で放置しておこうか)

「ふふ。分かったわ」

 本屋に到着して中に入る。小さなお店だからベル達はちょっと退屈そうだ。店内を見渡すと、本の数は少ない。 

「すみません。冒険者の基礎知識が書いてある本と。人気の物語の本が欲しいんですが、置いてありますか?」

 カウンターの奥に居るお爺さんに声を掛ける。

「冒険者の基礎知識なんて本は無いのう。初心者講習を受けるとええ。物語ならこの都市の迷宮を八十七層まで攻略した、英雄パーティーの話が人気じゃな」

 やっぱり初心者講習を受けないと駄目か。何とか本で知識を得られたら気まずい思いをしなくて良かったのに。上手く行かないな。

 英雄の話を聞くと迷宮は何層まであるのか不明で、人類が到達した最高層が八十七層。そこに到達したパーティーの本だそうだ。ちなみに今は五十層で、攻略が行き詰まっているらしい。

 五十層を突破すればギルマスがギャフンと言うかな? ちょっと燃えて来た。他にも見たが微妙に食指が動かなかったので、英雄の本とこの国の歴史書を購入して店を出る。

 本二冊で二万円。手書きの専門書と考えれば当然の値段かもしれないが、本の数も少なく漫画も無い。もっと娯楽が欲しい。
読んでくださってありがとうございます。
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