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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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五十七話 防具

 ギルマスをギャフンと言わせる為に、性格が悪い事を考えているとエルティナさんが戻ってきた。

「こちらが魔石の代金の五百三十万エルトとお店の地図になります。お確かめください」

 ニコリともしないエルティナさん。ちょっと悲しい。でも五百三十万か。一気に小金持ちだな。魔石だけだと、そこまでお金にならないって言われてたから驚きだ。素材があればもっと凄いんだろうな。

 白金貨五枚と金貨三枚。大金のはずなんだけど硬貨八枚だと実感が湧かないな。地図も確認してみると、冒険者ギルドを起点に俺がお願いしたお店は全部書き込まれていた。仕事はちゃんとするタイプらしい。

「確かに。ありがとうございます」

「いえ、ではこちらに」

 清々しいまでに会話も無く、一刻も早く冒険者ギルドから出て行ってねって感じだ。受付に出ると、また俺に注目が集まり、ヒソヒソ話が始まる。俺、ある意味人気者だな。エルティナさんにお礼を言って、ギルドを出る。 

「ふふ。あの人達を驚かすのね。楽しみだわ」

 シルフィがご機嫌だ。何となく楽しくなって来たらしい。そう言えば初めて会った時も面白そうだから、構わないって感じだったな。ある意味一貫しているな。

「ゆーた。おかいもの?」

(ああ、そうだよ。これから色々回るから、欲しい物があったら言ってね)

「おかいものー」

 テンションが上がったベルがレイン達を巻き込んで飛び回る。ギルドでの話し合いは退屈そうだったからしょうがないか。はぐれないように注意して、買い物に出発する。

 地図を見た感じでは防具。食材。調味料、調理道具、服。本。家具の順番が良いかな。調味料と調理道具、服は雑貨屋にまとまっているみたいだし、さっそく行くか。

 地図に掛かれている防具屋は冒険者ギルドの直ぐ近くにある。提携してるのかな? 癒着ゆちゃくの香りがする。

(まずは此処で鎧なんかの防具を買うよ)

 俺がそう言うとベル。レイン。トゥルが突撃してきた。

「よろいいらないー」「キューキュ」「しぜんのよろいがある」

 そう来たか。でも自然の鎧はどうなんだろう? 防御力は信頼しているが、岩に水に風を纏って迷宮都市を歩くのはちょっとな。普通の鎧は必要だ。

 一生懸命に訴えて来るベル達を見てどう説得しようか頭を悩ませる。ちなみにタマモは魔法開発の時に居なかったから良く分かっていないみたいだ。自然の鎧を使ったらタマモも参加したがるかもな。

(自然の鎧は強敵と戦う時に使う凄い鎧だから、普段の町中や比較的敵の弱い場所では使わないでしょ。今回買うのは、普段付ける普通の鎧だよ。ベル達ならその上からでも自然の鎧を付けられるよね?)

 ベル達は頭を寄せ合って何か話し合いをしている。しばらくするとこちらを見てうなずいた。許可が下りたらしい。自然の鎧の出番があれば問題無い感じかな。

 店に入ると、壁一面に武器や防具が並べられ、見ているだけでワクワクする。剣かー。剣もカッコいいよなー。ハンマーは迫力はあるんだけど、外見的にあんまりキャーキャー言われそうに無いのが辛い。

 剣も買っちゃうか? 使う事は無さそうだけど、腰に下げているだけで何となく、カッコいい気がする。剣が飾ってある棚に近づき手に取ってみる。……重い。こんなの振り回して戦うのか、冒険者って凄いな。

「その剣が気に入ったのか? 持ち方を見ると素人みたいだな、お前にその剣はまだ早いぞ」

「お店の方ですか? すみません。剣を使った事は無いんですが、カッコ良かったので触ってしまいました」

 話しかけて来た人を見ると、ムキムキのマッチョマンだ。この世界にはゴツイ男が多過ぎる。

「ああ、俺はアクス。この店の主だ。見る分には構わんと言いたいところだが、武器だからな。扱い慣れていないのなら、触るのはやめておけ」

 ごもっともですな。

「そうしておきます。丁度良かった。軽鎧が欲しいんですか、お勧めの物はありますか?」

「軽鎧にも色々あるがどんなのが欲しいんだ? 予算は?」

 予算? えーっと今持っているのは、魔石の代金と賭けの儲けで約六百万。後はカール達の全財産か。えーっと幾ら入ってたんだろう。確認してみるか。

 白金貨三枚。金貨二枚。銀貨が六枚で大銅貨と銅貨か……五人の貯金や装備を売り払ったにしては少ない気がするな。カールってCランクって言ってたよな?

 あのギルマスの事だ、何かしら嫌がらせがされてそうな気がする。まあ、今更か。その場で確認しておけば良かった。あの嫌がらせは話を逸らす為だったとか? ……うーん、さすがにそんな事はしないよね?

 合計で九百万ぐらいか……色々買わないと駄目だけど、シルフィ達が守ってくれるとは言え、防具は良い物をそろえておきたい。三百万ぐらい出しておくか。家具や食料品に宿代……六百万あれば良い物が揃えられるだろう。

「動きを阻害しない軽めの物で、三百万エルト以内で一通りそろいますか?」

「素人にしては金持ってるな。武器はどうするんだ?」

「武器はありますから大丈夫です」

「ふむ。それなら……ちょっと待ってろ」

 良い物があるのかな? 鎧か。冒険者っぽくて良いよね。精霊術師ならローブな気もするけど、ハンマーで戦うつもりだから鎧で間違いない。

 店内を見ながら時間を潰していると、アクスさんが大きな布袋を持って戻って来た。

「条件に合うのはこれだな。値段は二百六十万エルト。Cランクのマーシュランドリザードの革で作られたものだ。レザーアーマー、グローヴ、レガース、マント、一通りセットになっている。耐火性能もある良い物だぞ」

 湿原蜥蜴? 良く分からんが、色は緑灰色で、灰色の中に僅かに緑を感じる渋い色だ。カッコいいけど、派手さに欠けるな。

 派手な鎧で大活躍ってちょっと魅かれるよね。悩みどころだ。あれ? そういえば有名になったら面倒なチョッカイから、冒険者ギルドに守って貰う予定だったけど……無理じゃね?

 といっても、あのギルマスに頭を下げるのは嫌だしどうしたものか。……ちょっかいを断ってくれるところに身を寄せれば良いだけか。有名になればこっちから条件も出せるだろう。前にもちょこっと考えたけど、無理して庇護ひごを頼む必要も無いよね。

 よし今はこの地味目の革鎧にしておこう。派手な鎧はもっとこの世界に慣れてからだ。鎧の良し悪しも分からないし、アクスさんを信じよう。

「これでお願いします」

「分かった。調整するから身に着けてくれ」

「………………」

「どうした?」

 革鎧を持って固まる俺にアクスさんが声を掛けて来た。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。だよね?

「鎧の着方が分かりません」

「お前。冒険者じゃないのか?」

「昨日冒険者になりました」

「初心者講習は受けたのか?」

「初心者講習があるのを今知りました」

「……武器屋の俺が言うのもなんだが、講習を受けて出直してきた方が良いぞ」

「あはは。そうした方が良さそうなんですが、まあ、色々ありまして、この鎧は気に入ったので購入しますね」

 ギルマスと揉めるの、講習の後が良かったな。初心者講習……申し込むか? 物凄く嫌がられそうだけど。

「買うって言うのなら文句は言わねえが、本当に良いのか? 良い防具着けてたって、知識が無きゃ簡単に死ぬぞ?」

 アクスさん良い人だな。見た目凄く怖いけど。

「ええ、勉強しますから大丈夫です」

 ちょっと渋々だったけど、装備の付け方を教えてくれた。少しの調整で済むそうなので、調整の間ここで待たせてもらう事にした。

(ねえ、シルフィ。冒険者の基礎知識とか知ってる?)

「うーん。冒険者の事はある程度知っているとは思うけど、基礎知識とかは分からないわね。気にした事が無かったもの」

(そっか。ありがとう)

 やっぱり、初心者講習は申し込んだ方が良さそうだな。力押しで行ける気もするけど、暗黙の了解とか知らないと、変な所で顰蹙ひんしゅくを買いそうだ。問題は申し込みを断られる可能性がある事だな。全部の買い物が終わったら、ギルドに寄って確認しよう。

 考え事をしながら待っていると、直ぐにアクスさんが戻って来た。調整してくれた鎧をもう一度手順を確認しながら身に着ける。うん、ピッタリと体に収まった。アクスさん優秀なんだな。

「ありがとうございました」

「おう。手入れはちゃんとしろよ。勉強もな」

「あはは、両方共ちゃんとしますよ」

 革鎧一式と、鎧の下に着る冒険者用の丈夫な服もあったので、三着購入した。一着一万……高いのか安いのか良く分からんな。

 着替えさせて貰って革鎧も装備した。見た目は立派な冒険者スタイルになったはずだ。パンツは日本のトランクスだけどね。

 店を出て次は食材を入手するために歩き出す。料理も沢山買っておくつもりだが、日本の料理にアレンジするのなら、食材も手に入れておいた方が便利だよね。

「ゆーた。かっこいいー」「キュウキュー」「にあう」「クーククー」

(ありがとう)

 ベル達に褒められながらいい気分で迷宮都市を歩く。違和感がない格好だと、変な注目を浴びなくて済むから楽だ。

 ベル達が興味を持った屋台で串焼きやパンを買い込みながら進む。大きな肉の塊をパンで挟んだ、荒々しいサンドイッチは魅力的だった。噛み切れるか心配だが食べるのがとても楽しみだ。 

 スープも売っているが、器は返却しなければならないらしく、今回は見送りにした。食器や鍋を大量に手に入れて、美味しい店で料理を作って貰うのが良さそうだな。

「ゆーた。ぱんいつたべる?」

 ベルの質問にレイン、トゥル、タマモも知りたいのか、俺の顔の周りに集まる。前が見にくいな。ベル達の口元によだれがタラリと垂れているように見えるが、流石に此処で食べさせるわけにも行かないよな。

(うーん。用事が終わってからだね。人に見られないように宿に戻って食べよう。我慢できる?)

「できるー」「キュー」「がまんする」「クー」

 ちょっと残念そうだけど、我慢してくれるそうだ。なんかとっても良い子達で凄く嬉しい。撫で繰り回したいが、町中で一人パントマイムになってしまうので、我慢する。代わりに小声で褒めまくった。

 迷宮都市をみんなで歩くのは楽しいけど、周りを気にしないといけないのが面倒だな。いっその事開き直ったら楽しそうだけど、冒険者ギルドで嫌われ、迷宮都市の人達におかしな人扱いされるのは、流石に辛いよね。
読んでくださってありがとうございます。
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