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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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四十九話 迷宮都市

 森だ。木だ。草だ。目立たない為に下りた森にテンションが上がる。自然サイコー。

「裕太。落ち着いて。この森にも魔物は居るのよ」

 興奮してクルクル回っていると、シルフィに注意されてしまった。

「ごめんごめん。ちょっとはしゃぎ過ぎた」

「まあ、死の大地にずっと居たのならしょうがないのかしら?」

「はは、もう大丈夫。落ち着いたよ。ねえ、シルフィ。あそこに飛んでいるのは精霊?」

 落ち着て周りを見ると、兎が飛んでいる。たぶん精霊だと思うんだが、異世界だから飛ぶ兎の可能性も否定できない。

「あの子は浮遊精霊ね。そう言えば裕太は精霊が普通に見えるから、精霊が居る場所だと少し大変かもしれないわね」

 飛んでいるのが精霊と仮定すれば、判断はつくだろうけど、地面に着地してたら判断が難しそうだな。

「うーん。見分けがつくかちょっと不安になってきたよ」

「いずれ慣れると思うけど、確認の為に少し森を探索してみる?」

 ……悩むところではある。でも今の目的は迷宮都市だ。探索は後にしよう。

「ベル達も待たせているし、まずは迷宮都市にいこうか。確認は宿を取って落ち着いてからにするよ」

 あんまり待たせると、ベル達が待ちくたびれちゃうからな。

「分かったわ。それなら迷宮都市に向かいましょうか。魔物は避けた方が良いかしら?」

 死の大地と違う場所の魔物か……うーん、気にはなるけど、今は迷宮都市優先だ。

「うん。避けて行こう。迷宮都市までどのぐらい掛かる?」

「そうね……一時間ぐらいかしら?」

 シルフィの事だからレベルが上がった今の体力で考えてるよね。転移して来た当初なら二時間から三時間の距離か。結構遠い。

「迷宮都市に到着しても冒険者ギルドで、換金とかしないといけないから少し急ごう」

「そうね。じゃあ行きましょうか」

 シルフィの案内に従って森を進む。シルフィが魔物を避けてくれるんだし森林浴を楽しみながら歩く。

 カラッカラッに乾いていた死の大地と違い、森特有の少し湿って心が落ち着く空気を、胸いっぱいに吸い込む。様々な植物の匂いが入り混じり、この上なく落ち着く。ピクニック気分だ。

「裕太。信じてくれるのは嬉しいけど、気を抜き過ぎ。迷宮都市でもそんな感じだと、目をつけられちゃうわよ」 

「田舎者が都会に出て来たら、やっぱり狙われる?」

「力に偏った街だもの。間違いなくゴロツキの目に留まるわね」

 ……不味いよな。絡んで来たゴロツキを返り討ち。最高のイベントなんだけど、武器が強力過ぎて手加減できない。絡んで来たゴロツキをミンチにしました……正当防衛が成立するか疑問だ。

「注意するよ。絡まれたら俺だと手加減が難しいから、悪いけどシルフィが適度に痛めつけてくれる?」

「分かったわ」

 シルフィに頼むと、機嫌が上昇した気がする。荒事にワクワクしてるの? 大丈夫? ……あれだな。絡まれないようにしよう。確か強気で行かないと引いたら舐められる世界だったな。

 何だかご機嫌なシルフィに連れられて森を抜ける。草原を少し歩くと踏み固められた道に出る。土の道にテンションが上がるのも妙な気分だ。

 道を歩いていると、ふわりふわりと漂っている精霊が頻繁に目に留まる。自然のバランスが整ってると精霊も沢山いるんだな。

「シルフィ。シルフィって偉いんだよね? 精霊達が集まって来ないのはなんで?」

「精霊王様以外は階級なんて単なる力の目安だもの。用事がない限り、集まって来たりしないわよ」

 こういう所が人間と違うんだろうな。俺は……芸能人がいたらはハシャグタイプの人間だからな、見習いたいところだ。

「裕太。迷宮都市が見えたわよ」

 考え込んでいると、シルフィが教えてくれたので上を向く、遠目に城壁らしき物が見える。

「あれが迷宮都市なんだ。ちょっと急ごうか」

 異世界の町。しかも迷宮都市。ワクワクが抑えられない。

「ふふ。走ったら駄目よ。何かあったのかと思われるわ」

「わ、わかった」

 ちょっと走り出そうとしてたけど、速足程度に抑える。楽しみだな。どんな雰囲気の都市なんだろう?


 ***


 目の前には大きな城門がある。城壁も高く頑丈そうで、この場所が国の重要な場所だという事が良く分かる。あの門を超えると異世界の町なんだな。

 門の前に結構長い列が出来ているけど、結構早いペースで進んでいるから、そんなに時間が掛からず入れそうだな。列の最後尾に並び、初めて間近にみる異世界人達を観察する。

 うーん。普通の人間ばっかりか? さっき入って行った人はケモミミが付いていた気がするんだが、遠くて良く分からん。もどかしいな。

 シルフィに色々質問したいが周りに人が居るから話し辛い。期待と不安を胸にジリジリと自分の番が来るのを待つ。


 ***

「次だ。身分証を出せ」

「あー、田舎から冒険者になるつもりで出て来て身分証は無いんだ。手持ちの金も無いから入場料は魔石で払いたい」

 シルフィに聞いて、対策はしていたからスラスラと返答する。予習って大事だ。

「では、この水晶に手をかざせ」

 犯罪者はこの水晶で分かるらしい。仕組みは身分証を発行した時に登録される魔力パターンを利用して、犯罪者を弾く仕組みらしい。指紋照合みたいな感じだな。犯罪を犯しても誰かバレなければこの水晶も反応しないんだな。

「うむ。問題無いな。魔石での支払いだとFランクの魔石二つ。もしくはEランク一つだ」

 魔法の鞄からスケルトンの魔石を取り出し門番に渡す。スケルトンの魔石はEランク。ソルジャーがD。ナイトやメイジがC。ジェネラルはBでキングやリッチはAらしい。

 ちなみにお金は銅貨は百円。大銅貨は千円。銀貨は一万円。金貨は十万円。白金貨が百万円って感じらしい。単位はエルト。この大陸の名前エルトリュード大陸から取られた名前だそうだ。

 円がエルトに置き換わった感じだから理解しやすくて助かる。いずれは白金貨を沢山持って夜の町で豪遊したいな。

「よし。仮の身分証を発行する。三日以内に正規の身分証を手に入れて、仮の身分証は返却するように。返却が無かった場合は犯罪者になるから注意しろよ」

 身分証を返さないだけで犯罪者とか、怖すぎる。まあ、冒険者は来る者は拒まないらしいので、犯罪者でなければ身分証は簡単に作れるらしいから問題無いだろう。しかし、戦争が盛んなのに意外と簡単に入れるよな。

「分かりました」

「よし。入って良いぞ」

 門番の言葉を受けて城門を通り抜ける。都市の中に入ると城門前から大きな石畳の通りが、真っ直ぐ奥に続いている。

「おお! シル……」

 いかん。シルフィは周りからは見えないんだ。思わずシルフィに声を掛ける所だった。周りを見渡すと、ああ、あの人って田舎者なのねって感じで見られている。

 日本の方がよっぽど都会で人も沢山だと叫びたくなったが、完全に頭がおかしな人になってしまうので我慢する。

「ふふ。そうよ。私に話しかけたら駄目なのを忘れないでね。このまま冒険者ギルドに向かうけど良い?」

 無言で頷きシルフィに後に続く。慣れるまでうっかりシルフィに話しかけてしまいそうで困るな。

 おお、あれはネコミミ。ん? ノモスのそっくりさんも居るな。あれはドワーフだろう。中央通り沿いにあるお店も気になる。都市内にも精霊が結構いるんだな。周りをキョロキョロ見回して歩いていると。

「イタッ」

 すれ違った男が手を抑えて睨みつけながら去って行く。……なんだ?

「裕太。周りが気になるのは分かるけど、あんまりキョロキョロしないの。さっきの男はスリよ」

 ……どうやら速攻で悪党に目を付けられたらしい。シルフィ。防いでくれてありがとう。何とか目線で気持ちを伝えると、優しく微笑んでくれた。

 中央通りから大きな広場に入り、そこを右に通り抜けると明らかに厳つい男達が増えた。道沿いにあるお店も武器や防具。道具屋など、冒険者に必要そうな店が増えて来た。冒険者ギルドが近そうだ。

「ここが冒険者ギルドよ。この道を奥に進めば迷宮の入り口があるわ」

 迷宮の入り口か……ちょっと見に行きたいけど、身分証を先に手に入れておこう。冒険者ギルドを見ると迷宮都市に相応しく、他の建物と比べると数段立派だ。シルフィに頷き冒険者ギルドの中に入る。

 中に入ると意外と人が多い。いやカウンターには人が居なくて、横の酒場に人が多いのか。前から疑問だったんだが、何故冒険者ギルドに酒場があるんだろう。揉め事にしかならないよね。

 ……そうか! 冒険者の揉め事を出来るだけ内部で済ませる為に、酒場が作ってあるのか。街中で酔って暴れられると冒険者の評判が下がるけど、ここなら暴れても止める人が沢山いる。意外と考えられてるのかもしれない。危ない奴らは目の届く範囲に置いておく。正しい選択だ。

「どうしたの?」

 凄い秘密を解き明かした気になって、えつに入ってるとシルフィが不思議そうに声を掛けて来た。何でもないと首を振り空いているカウンターに向かう。

「すみません。冒険者になりたいんですが……」

 物凄い美女が居た。驚いてちょっと言葉に詰まる。なんでこのカウンターが空いているんだ? 疑問に思い他のカウンターを見ると、負けず劣らずの美女がカウンターに座っている。

 なるほど。この世界でも漫画やアニメの世界でも、冒険者ギルドの受付嬢が美人なのはデフォルトなんだな。男のチョロさが垣間見える。

「どうかなさいましたか?」

「いえ。なんでもありません。冒険者になりたいのですが、手続きをお願い出来ますか?」

 美人だから見とれていましたとは、流石に言えない。強気で舐められないようにと思っていたのに、美女に気圧けおされて敬語になってしまった。シルフィのジト目が突き刺さる。

「畏まりました。お手続きを致しますのでこちらにお掛けください」

 勧められた椅子に座り、気持ちを落ち着ける。シルフィ達が物凄い美女なのは精霊だからだと思っていたが、人間も凄いんだな。恐るべし異世界。ありがとうございます。
読んでくださってありがとうございます。
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