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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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四十五話 目的地決定

 トゥルに協力してもらって、ノモスの条件達成のための開拓を進めた。ブロック分けすると全部で二十五ブロックの開拓が必要で、今日は二ブロックの穴掘りと岩敷き作業が終わった。元々の拠点と森予定地を合わせると残り二十一ブロックの開拓が必要だ。先は長いな。

 夕食を終えて、ワクワクの話し合いだ。異世界に来てようやく文明がある場所に行ける。

「裕太。いくつか候補があるんだけど、冒険者として行動するのでいいのよね?」  

「うん、俺の状況だと冒険者が一番無難だよね」

「そうね。商人や傭兵って手もあるけど、冒険者が能力的にも向いてるわね」

 商人は有りだけど傭兵は無いな。魔物と戦うより人と戦う方が厄介な気がする。戦争が盛んな世界の傭兵とか洒落にならなそうだ。

「それで、シルフィのお勧めはどんなところ?」

「私のお勧めは二つ。一つはクリソプレーズ王国の迷宮都市。もう一つはガーネット王国のサンストーンと言う町ね」

 迷宮都市、心くすぐる都市が出て来た。迷宮ってダンジョンだよな。莫大な富と名声を追い求めるハイリスクハイリターンな都市。ロマンだ。

「それぞれの特徴を教えてくれ!」

「裕太。ちゃんと説明するから落ち着いて。目が輝き過ぎて怖いわ」

 ……どうやら迷宮都市って聞いて、男のロマンが暴走してしまったようだ。シルフィが軽く引いている。

「コホン……落ち着いた。説明を頼む」

「まずクリソプレーズ王国の迷宮都市ね。迷宮は希少な素材や財宝が見つかる場所。富と名声が集まる代わりに、利権を求めて権力構造が複雑化している場所でもあるわ」

「権力構造が複雑化とか、厄介事の臭いがプンプンするんだけど」

「例えば、国、貴族、教会、冒険者ギルド、商業ギルドなんかが利権を求めて争っているわね。ただ国の重要な財源でもあるから、戦争に巻き込まれるのは最後の時よ。別名で欲望都市なんて呼ばれ方もするらしいわ」

 迷宮都市で別名欲望都市か……面倒な感じだけど、夜の生活も充実してそうで魅かれる。金を持った荒くれ者が数多く集まる都市。ノモスの言っていた夜の風俗が発展している街の条件に当てはまる。

「聞いた感じだと厄介事が多そうなのに、何故迷宮都市なんだ?」

「まあ、厄介事も多いけど、迷宮都市の性質上、実力を示せば暮らしやすい場所でもあるのよ。迷宮で稼げる事が一番価値がある場所なんだから」

「俺の実力だとどうなんだ?」

「まあ、迷宮探索の基礎を覚える必要はあるでしょうけど、普通にやっても実力的には十分よ。私達の力を攻撃にも使う気があるなら、何でもできるわね」

 ……悩むところだな。俺Tueeeeeは憧れではあるんだが、精霊におんぶに抱っこでは心底楽しめない。襲って来る敵を倒してって言うだけで、最下層までのんびり散歩出来そうなんだもん。

 お金的にはそれで良いかもしれないが、人生を楽しむならばある程度の縛りは必要だろう。攻撃面では出来るだけ自分の力で戦いたい。辛くなったり面倒になったらベル達に頼むかもしれないけど、普通にやっても実力的に十分なら、迷宮都市は有りだ。

「一つ気になるのが、実力を示した場合権力者達の争いに巻き込まれないか?」

「冒険者ギルドに入るんでしょ。実力を示したら勧誘ぐらいはあるでしょうけど、冒険者ギルドに話を通せば対処してくれるわよ。人材の流出は冒険者ギルドでも見過ごせないもの」

 なるほど。目立たなければ勧誘はされない。目立っても冒険者ギルドが守ってくれる。いい感じだな。

「もう一つは?」

「ガーネット王国のサンストーンと言う町ね。この国は大国だから戦争が起きても、この町は巻き込まれないわ。周りの魔物もたいして強くないから、のんびり冒険者の仕事をしながら程々に稼げる感じかしら」

「こっちは説明が短いんだな」

「特徴が無い町なのよ。でものんびり暮らすには最適な場所なのよ」

 ……こちらもすごくかれる物がある。芸能界に入ってスターを目指すか、安定した公務員を目指すか迷うみたいな感じだ。

「両方とも魅力的な部分があって悩むよ」

「別に片方しか行けない訳じゃないんだから、気軽に考えたら?」 

 そうか。両方行っても良いんだ。となると先にどちらに行くかが問題だな。平和な町でこの世界に慣れて迷宮都市に行くのが無難だと思う。無難だと思うのだが……迷宮都市に強く心が魅かれる。

 最初に行く場所が選べるのであれば、せっかくのファンタジー世界。ぬるま湯ではなく熱湯に飛び込むのが男、いや漢ではないだろうか。夜の世界が充実してそうとかは全く関係がない。

「うん。決めた。迷宮都市にするよ。せっかくの異世界。楽しまないと損だもんね。迷宮都市は此処からどのぐらいで行けるの?」

「ふふ。迷宮都市ね、分かったわ。迷宮都市まではベル達を連れて行かなければ、四時間掛からないわ。連れて行くと倍ぐらい掛かっちゃうわね」

 俺を抱えて飛んでも、下級精霊の倍は早いって事だよな。凄いぞ大精霊。

「じゃあ、ベル達は向こうに到着して、召喚した方がいいな」

「そうね。その方が早く到着するわね」

 四時間掛からないぐらいなら、この場所にも頻繁に戻って来られるだろうし、迷宮都市で決定だな。

 明日はフォレストラディッシュの収穫があるけど、そんなに時間が掛からないから、フォレストラディッシュで朝食を取って出発でも昼過ぎには到着する。……待ちきれないし明日出発で良いな。

 でも何か忘れている気がするんだよな。何かあった気がするんだけど……。

「うーん。じゃあ、シルフィ。明日の朝、収穫した野菜で朝食を食べたら、迷宮都市に出発で良い? ……あっ、シルフィと契約できたら、異世界のお酒を振舞うって約束を忘れてた」

 引っ掛かっていた何かが不意に思い出す。危ない危ない。ご馳走するとか言っておいて、放置はかなりの問題だ。

「あら、良かった。思い出したのね。昨日、ノモスがちょっと心配してたのよ」

「色々あって忘れてたよ。なら明日は収穫後に拡張工事をして、夜にお酒を飲もう。派手に宴会とはいかないけど酒蒸しに使ったお酒と、俺の世界の外国で作られたお酒を出すよ。迷宮都市に出発するのは明後日にするね」

 早く迷宮都市には行きたいけど、世話になっているのに義理を欠かす事は出来ない。そう言えばコーヒーも飲んでない。なんか色々余裕が無かったんだな。

「ふふ。それは良いわね。楽しみだわ。ディーネとノモスとドリーには私から伝えておくわね」

「ああ、よろしく頼む」

 なんかシルフィもウキウキしてるな。そう言えばシルフィとディーネも異世界のお酒に食い付いてた。まあ機嫌が良くなるなら良いか。お酒をもっと買い占めておくべきだった。

 俺的には各種三本でも相当な大量買いだったんだけど、異世界に来ちゃったら話は変わる。店ごと買い占めても足りないだろう。そんなお金ないけど。

 異世界に来るって分かっていれば、貯金全額買い物に当てたのに……俺の貯金……いかん泣きそうになって来た。

 コツコツ貯めた貯金から家族や友達に意識が飛んで寂しくなって来た。恋人がいなかったのは不幸中の幸いって事になるのかな。

「問題無いわ。明日も早いから聞きたい事がないなら、疲れているみたいだし裕太はそろそろ休んだ方が良いわ」

 俺の雰囲気が突然沈んだのに気が付いたのか、シルフィが休む事を進めて来る。うーん、悲しくなって来たのは確かなんだけど……うん、お言葉に甘えてさっさと寝てしまうか。

「ああ、そうするよ。シルフィおやすみ」

「ええ、おやすみなさい」

 シルフィと別れて寝室に戻る。ちょっと寂しくて泣いてしまった。軽いホームシックだな。どうしようもないので迷宮都市の事を考えよう。夢と希望。愛と欲望の一大巨編が待っているはずだ。


 ***


「収穫だー」

「しゅうかくだー」

「キュキュキュー」

「しゅうかく」

「クーククー」

 最近何かイベントがあると朝に叫ぶようになってしまった。顔見知りの精霊以外誰もいないから、その点は気楽だ。大精霊達は参加してくれないが、ディーネがちょっと混ざりたそうにしているので、いずれ朝の叫びに混じる事があるかもしれない。

「ドリー。収穫で注意する事はある?」

「そうですね。実を折らないように真上に引き抜くと、あまり力を入れずに収穫できます。あと種を採取するなら何株か残すのかを決めておく方が良いですね」

「種は残しておきたいね。……三株残しておくよ」

 どの三株を残すか決めて、前回のオイルリーフと同じルールで収穫を始める。オイルリーフも手に入ったし、明日には迷宮都市に行けるから、前回ほど切羽詰まった感情は無いが、それでも収穫はワクワクする。

 畑に入り、青々としたフォレストラディッシュの葉を根元からまとめて持ち、垂直に引っ張り上げる。ズポッ……思った以上に簡単に抜けたな。土から出て来たのは、どう見ても大根だ。日本で見ていた大根よりも細いが、十分に美味しそうだ。

 ベル達も思い思いに収穫を始める。ベルは葉っぱを持った後に垂直に上昇。見事にフォレストラディッシュを引き抜いている。引き抜く感触がよほど楽しかったのか、クルクル回りながら喜んでいる。

「ゆーた。とれたー」

 フォレストラディッシュを持ってキラキラした笑顔で飛んで来る。ベルを褒めながら運んで来たフォレストラディッシュを受け取り収納する。

「ベル。楽しいか?」

「うん。ずぼってなるの。たのしー」

 手足をバタつかせながら興奮気味に報告してくれる。

「良かった。沢山収穫して来てね」

「はーい」

 ご機嫌に踊るように収穫に戻るベル。リズム感があるな。

 レインはヒレで持ち辛いのか、技を使って収穫している。水をドーナツ状にしてフォレストラディッシュの根元から土を洗い流して確保。良く思いついたな。キュキューっとご機嫌に収穫しては持ってくる。

 トゥルとタマモは魔法が収穫に適しているので、凄く簡単そうだ。トゥルの場合は土が避けるし、タマモの場合はフォレストラディッシュが自分から出て来ているように見える。魔法凄いな。二人とも俺の所に持って来る時はご機嫌なので楽しんではいるのだろう。

 全部の収穫が終わり、前回と同じくレインに野菜を綺麗に洗って貰う。何を作ろうかな。大根おろしは確定として、大根の葉っぱをゴマ油で炒めると美味しいんだけど、ごま油が無い。

 お漬物は鷹の爪が無いけど、塩と昆布を粉末にして挑戦してみよう。塩加減を間違えなければ、何とかなるはずだ。

 あとは煮込み料理が基本なんだけど、ブリ大根もおでんも材料が足りない。迷宮都市に行ったら、店を回りまくって利用できる物を探そう。取り敢えず炒め物に使える油は手に入れたいな。
読んでくださってありがとうございます。
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