挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

41/152

四十一話 対決

 奇襲に失敗して地味な削り作業が始まった。まあ経験値になる相手だから、まったく無駄にならないぶんマシだよね。

 諦めて走り回りながら地道に肉壁を削り取っていると、身を隠して余裕が出たのかリッチが話しかけて来た。アンデッドは話しかけて来るタイプが多いのか?

「何故人間がこの地に居る。何が目的だ」

 取り合えず、言葉の応酬になっても、脳ミソが無い相手に負けたら恥ずかしいだけだ。俺にメリットが無い。今回は無視する事にしよう。ジェネラルゾンビに言いくるめられそうになった時は、冷汗が出たからな。もう口では戦わない。

「一人なのか? 勇気と無謀をはき違えたな。勝てぬ戦いを挑む愚か者よ悔いを残して死ぬが良い。われが貴様を使役してやろう」

 あのリッチ。自分の事をわれとか言ってる。生前から我とか言ってたのかな? それともリッチになってトップに立ったから我とか使いだしたのか……激しく興味があるが、話しだしたらいつの間にか口論になりそうだし、我慢して無視をしよう。

「貴様。返事ぐらいせぬか礼儀知らずめ」

 無視していたらリッチが怒りだした。アンデッドに礼儀を説かれるとか、異世界ってスゲーな。礼儀を守るなら、死んだら成仏しろよ。礼儀以前の常識だぞ。心の中ではツッコミを入れながら、コツコツと肉壁を削るのを頑張る。

「くっ。おかしな鎧を着て、巨大な武器を振り回す。本当に人間か? 生命体である事は間違いない、何故答えん」

 俺の種族まで疑い出した。余計なお世話だ。

「よろいかっこいいー」

「キューキュキュー」

「みるめがない」

 ベル達が自分達の力作をけなされて珍しく憤慨ふんがいしている。……ここは俺も怒るべきなんだろうか。いや、止めておこう。俺も自分の全身を見た事無いし、この話題に迂闊うかつに食いつくと後で後悔しそうだ。

 飛んで来る魔術や矢を出来るだけかわし、無理な物は風壁に任せる。迫って来る剣や槍は武器ごと叩き潰す。今のところ順調だ。

 リッチからの問いかけをすべて無視してハンマーを振るう。……あれ? リッチの声が聞こえなくなった。

「裕太。離れて防御しなさい」

 訳が分からないが、戦闘中にシルフィが声を掛けて来るなんて初めてだ。言うとおりにしよう。敵の集団から距離を取り、ハンマーを盾代わりに前で構える。

「わ、わ、我を……無視……するなー!!!」

 リッチの叫びと同時に巨大な黒い炎が生み出され、轟音と共に爆発した。砦全体が揺れ風壁が壊れる。途端に熱風が吹き付け、壊れた岩の破片が自然の鎧にあたる。鎧……つけておいて良かった。ベル達……嫌がってごめんね。

 爆風がおさまると床が抉れ、壁も所々が崩れて天井にも穴が開いている。……リッチの奴、ブチ切れて崩落も考えずに強力な魔法を撃って来やがった。……知性があるアンデッドは気が短いのか?

 ここが一階じゃ無かったら大変な事になってたのは間違いない。知性があるアンデッドと戦う時は、相手の機嫌も考えないと駄目なのか。面倒だな。

(ベル。風壁をもう一度お願い)

(はーい。ふうへきー)

 なんか爆風の影響で相手の肉壁も結構削れてるな。再び削り作業を頑張るか。

「何で生きてる。直撃だっただろ!」

 リッチが騒いでいる分目標が分かりやすくて良い。あともう少しだ。数もだいぶ減ったし、メイジやアーチャーは接近すればもろい。もう楽勝だな。

 数が減りようやくリッチの姿が見えるようになった。……骸骨がボロボロのローブを着て杖を持っている。スケルトンとの違いは。目の部分に青白い炎が入っている所か。なんか恨みの炎って感じで迫力がある。

「くそっ。どこぞの勇者か英雄が攻めて来たかと思えば、おかしな鎧を着てハンマーを振り回すただの貧相ひんそうな男ではないか。納得がいかん」

「ほっとけ!」

 あっ。話しちゃった。俺がリッチの事を良く見えるようになったって事は、向こうも俺が良く見えるって事だよな。だが俺は貧相ではない。普通だ。    

「ふん。やはり話せるではないか。何故返事をせん。我を恐れているのか?」

「自分の事を我とか……ないわー。我って言ったらカッコいいとか思ってんの? お前、幾つなんだよ。我とか言って喜ぶのは子供の時までだぞ。死んでまで我って………………ぷっ」

 よし、ずっと言いたかった事は言い切った。後は討伐するだけだ。なんか怒ってリッチが滅茶苦茶に魔術を放ってくるけど、弾数が多い分一発の威力は弱いし狙いも甘い。

 躱せない攻撃だけハンマーと風壁で弾き一気にリッチに接近する。俺がハンマーで叩き潰すまでリッチは俺を見て許さん殺すと叫び続けていた。……呪われそうで怖いんですけど。

 ちょっとビビっていたら、残っていたナイト、メイジ、アーチャーが攻撃を仕掛けて来る。気を引き締め直して、残りの魔物を全部討伐する。

「あー。終わったー」

「裕太。お疲れ様って言いたいけど、この砦で暴れすぎて不安定になってるわ。休むのは後にして、さっさと魔石を取って脱出しましょう」

 えっ? ……なんか偶に天井周辺から石が落ちてくる。壁も変な音が鳴っている気がする。結論。結構ヤバい。大急ぎでリッチの魔石と無事だった杖を収納。

 スケルトンジェネラルとジェネラルゾンビを見つけだして魔石を回収。あとは魔石が回収しやすいスケルトンのナイト、メイジ、アーチャーの魔石を回収しやすいのだけ回収して外に出る。

「ふー。これで安心だな。砦の資材を再利用しようか悩んでたけど、この状況だと無理だな。トゥル。埋められる?」

「できる」

「それじゃあ頼むね」 

 いつものようにトゥルが魔法で土を流し込むが、途中でゴゴゴゴゴっと音がして地面が陥没した。砦が崩れたな。

「トゥル。砦が崩れたからもう大丈夫だ。ありがとう」

 これで一安心だ。臭う自分に洗浄を掛けまくり、回収して来た魔石や杖も取り出して、洗浄を連打しておく。綺麗にしておかないと気分が悪いよね。

「ベル。レイン。トゥル。この鎧とっても助かったよ。ありがとう。終わったから外してくれる?」

「はーい。ゆーた、かっこよかったー」

「キュキュキュー」

「よろいもかっこいい」

 ベル達が鎧に手を添えると、土と水は地面に飲み込まれ、風は解けて消えて行った。外見は良く分からないがあの爆発の時には、幾つか体に物が当たる音がした。

 鎧のおかげで衝撃すら無かったが、自然の鎧が無ければ怪我してたかもしれない。防御は大事だ。町に行ったら防具は絶対に買おう。しかしトゥルはリッチに鎧をけなされたのをまだ気にしてるんだな。あとでもう一度褒めておこう。

「それで裕太。レベルはどうなったの? かなりの数が居たから、結構上がってると思うんだけど」

「今から確認してみるよ」

 リッチも倒したし、ジェネラルも二体いた。ナイトもメイジもアーチャーも、他の巣でのゾンビやスケルトン並みに居たからな。期待できるはずだ。



 名前 森園 裕太
 レベル 45 
 体力  B  
 魔力  B
 力   B
 知力  B
 器用  A
 運   B

 ユニークスキル
 言語理解
 開拓ツール 

 スキル
 生活魔法
 ハンマー術
 夜目

 おお、九レベルも上昇している。魔力も目的のBランクだ。これでもう、アンデッドの巣に乗り込まなくてもすむ。これからは町で快適な生活が始まるよ! でも気になるのが器用以外オールBなんだよな。ステータスってこんなに平均的に上がるもんなのか?

「シルフィ。レベル上がってたし、魔力もBランクになってた。これで契約出来るよ!」

「おめでとう。裕太。よく頑張ったわね」

 シルフィが満面の笑顔で喜んでくれる。色々お世話になって、何度も助けて貰って……本当にいくら感謝してもしきれない。何か恩返しをしないと。

「ありがとう。シルフィがずっと助けてくれたから、何とかなったんだ」

「ふふ、私も楽しかったから気にしなくて良いのよ」

「うーん、でも、何とかお礼がしたいな。何か俺に出来る事は無いのか?」

 精霊にお礼って、何をすれば良いのか見当もつかない。

「んー。そうね。じゃあ、無理はしなくて良いから、ディーネ達の条件を頑張ってクリアしてくれる? それで私にとっても十分なお礼になるわ」

「元々、町に行った後もコツコツ開拓はやるつもりだったから、頑張るぐらい問題無いけど、そんなんで良いの?」

「ええ、十分よ」

 とても楽しそうだし、本気で言ているみたいだから良いのか? まあいい。自分で足りないと思ったら、他にも何か喜んでくれる事を探せば良いだけだ。

「それって、ノモスが言ってた聖域と関係があるのか?」

「ええ。まあ、先がどうなるのか私達にも分からないから、決定したら教えるわね」

 うーん。ここでも内緒なのか。聖域。気になるけどこの調子だと誰も教えてくれそうにない。諦めて今の疑問を解消するか。

「分かった。楽しみにしてる。それでステータスを見て疑問に思ったんだけど、ステータスが器用以外全部Bランクなんだ。こんなに平均的に伸びるのか?」

「ちょっと見せて」

 シルフィにステータスを見せると、ふむふむと確認している。

「裕太はまだどのステータスも伸びているのね。そういう場合はランクが上がれば上がる程、次に上がるまでの幅が広がるから、ステータスが平均化していくわ。だから伸びが止まっていないって事で良い事よ」

 そう言えば前もそう言ってたな。なるほど今は器用以外は全部Bランクの幅に収まっているけど、上昇が止まったりしたらバラツキも出て来るのか。

「伸びが止まったら分かるのか?」

「B以上になると幅が広いから中々上がらないのよね。そういう時は自分の限界を確かめておいて、レベルが上がった時の判断基準にしているみたいね」

 例えば自分が持ち上げられる重さの限界を調べておいて、レベルが上がったら重さを増やして挑戦みたいな感じか。

「なかなか面倒なんだな」

「そうね。細かく気にしている人以外は何となくでやってるみたいだから、裕太もあまり気にしないで良いと思うわ。それより契約出来るようになったんだからここで契約しちゃう?」

 ヤバい。なんかドキドキして来た。
読んでくださってありがとうございます。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ