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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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三十七話 知性

 ジェネラルゾンビがいる洞窟に到着した。これから臭気に耐えてのゾンビ討伐を開始する。考えたら萎えるから楽しい事を考えよう。 

「裕太。ここは昔からあった洞窟みたいね。長さはたいした事無いけど、拡張したのか広さは十分よ。この中のジェネラルゾンビはちょっと特殊かもしれないわ」

「特殊? どういう事?」

「普通のゾンビが洞窟を拡張したりすると思う? おそらくここのジェネラルゾンビは知性を持っているわね。普通ゾンビはキングにならないと知性は得ないんだけど、まれにいるのよねジェネラルクラスでも知性を持った特殊個体が」

 特殊個体とか強そうで嫌なんですけど。っていうかキングが知性を持つとか初めて聞いたんですけど。

「うーん。別のジェネラルゾンビの所に行く?」

「それでも良いけど、実力的には問題無いわよ。たかがジェネラルだもの。どうせキングも知性を持っているんだから、ここで慣れておいたら?」

「特殊個体なのにたかがなのか?」

 ゲームのし過ぎか? 特殊個体って大抵そこら辺のボスより強いもんなんだが。下手したらキングより強くてもおかしくないイメージだ。

「強いならとっくにキングになっているわよ。強くなれば進化するんだから当然でしょ」

 うーん。強さはジェネラルゾンビだけど知性を持ったって事か。知性があると手ごわそうだけど、キングもリッチも知性があるのなら弱い方で試しておこう。

「じゃあ、ここのジェネラルゾンビを討伐するよ。ベル。レイン。トゥル。いつものとおり先に侵入して待機。危なかったら援護を頼む」

「りょうかいー」

「キュー」

「がんばる」

 嬉々として洞窟に飛び込んで行く精霊達。毎回思うんだけど姿が見えないって得だよね。

「じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 俺は何度アンデッドの巣に入ってもベル達と違って全然なれないんだけどね。ただ、何度もアンデッドの巣に入って進歩した事もある。

 一つは夜目がきくようになった。探索中に突然視界が明るくなったので確認したら夜目スキルをゲットしていた。

 気配を消しながら行動しているので、隠密系統のスキルが習得出来ないかと思ったが、シルフィに聞いたところスケルトンやゾンビは気配に敏感では無いので、ここでの習得は無理だそうだ。

 もう一つはベル達の協力を得る方法だ。アンデッドは物陰にボーっと突っ立っているから、出合い頭に酷く驚く。そしてオーバーキルで倒してしまい、その音と気配に反応してアンデッドが集まってきてしまうのだ。

 そこで俺は考えた。ベル達にアンデッドの上で浮いていてもらえばいいじゃん……っと。これで出合い頭に驚く事が無くなり、慌てて狭い場所で窮屈な思いをしながら戦う必要が無くなった。

 ゴーストやレイスなんかは俺が倒せないので、皆にコッソリと倒して貰っている。

 洞窟を進むとトゥルが下を指差している。そっと近づきノコギリで首を切り落とす。本当はサバイバルナイフの方が使いやすいんだが、サバイバルナイフは食材の加工に使うので、洗浄があるとはいえゾンビを切り落とすのは嫌だ。

 トゥルに手を振ると、トゥルも手を振り返し先に飛んで行く。再び先に進むと今度はレインが浮かんでいる。そっと近づくとスケルトンが突っ立っている。

 スケルトンは倒す時に音が立ちやすくちょっと厄介だ。こういう場合は魔石がちょっともったいないが、背後から魔石を切り落とすのが手っ取り早い。骨が崩れ音が少しするが、スケルトンの移動音とあまり変わらないのか他のアンデッドは寄って来る事が無い。

 魔石を切り落とし、レインに手を振って先に進む。しかしここのジェネラルゾンビに知性があるのは間違い無いな。

 アンデッドが等間隔に並んでいるし、今までの巣ならゾンビやスケルトンが、無目的に徘徊していたのにそれも無い。統率されている感じだ。

 おっ。ベルだ。……あれはゾンビの真似だな。最近ベルはゾンビやスケルトンのモノマネをして、敵の種族を教えてくれる。今回はヌボーっとした感じで歩くマネをしているからゾンビなんだろう。

 まあ、精霊は声を出しても俺以外に聞こえないんだし、ジェスチャーをする意味もないので、単純に面白いからやっているんだろう。サクッとゾンビの首を切り落とす。

 そうやって先に進むとベル。レイン。トゥルが通路の前に浮かんでいる。このパターンは通路が終わり、敵の本隊がいる場所の合図だ。楽しそうに手を振っているので俺も振り返す。いかん気が抜けてしまう。今回はいつもよりも慎重に行動しないと駄目だからな。気を引き締めよう。

 前にそのまま中に精霊魔法を撃ち込んで貰ったら、敵が全滅してしまって経験値は別としても戦いの経験が積めなかったので、危険な時以外は自力で戦う事にしている。

 正直、下級精霊のベル達でも無双が出来るんだから、シルフィと契約できれば自分で戦う意味がまったく無いんだが、せっかくのファンタジー。自分も強くなりたいよね。

 そっと中を覗くと息苦しくない程度にゾンビとスケルトンが突っ立っている。普通の巣は主やその側近たちの周り以外は、満員電車状態なのに空いているって事は知性がある事は確定だな。

 奥を見ると……ゾンビメイジ、ゾンビアーチャーもいる。敵に遠距離攻撃があるのは面倒なんだよな。ただ周りをハンマーで蹴散らして終わりって訳にもいかないから、遠距離攻撃の存在を戦いの中でも忘れないようにしないと。

 ジェネラルゾンビは剣を持っている。ゾンビナイトから進化したのかな? まあ接近職ならこちらとしてはやりやすい。そろそろ行くか。

(じゃあ、突っ込むから俺が危なくなったら頼むな)

(りょうかいー)

(キュー)

(わかった)

 みんなの声は聞こえないんだから、普通に話しても問題無いんだけど、こちらに合わせて小声で返してくれるのが、臨場感があって結構嬉しい。

 さて突っ込むか。普段だったら遠距離攻撃を持っている敵を一番に潰すんだけど、今回のジェネラルゾンビは知性があるからな。どちらを先に倒すべきか。……知性があるとどんな事をしてくるか分からない。ジェネラルゾンビを先に潰そう。

 ハンマーを最大サイズにして振り回しながら突っ込む。一気にジェネラルゾンビに近づいてペチャンコにしてやる。

「敵だ。防げ」

 おうふ。たぶんジェネラルゾンビの命令なんだろうけど、ジェネラルゾンビを囲むように職業持ちのゾンビ達が密集して姿を隠してしまった。

 くそっ。いつもはただ、襲い掛かって来るだけなのに、知性があると対応も素早いのか。魔法や矢が飛んで来たのでかわしながら距離を取る。初めての奇襲失敗。ちょっとショックだ。

 近づいて来るゾンビやスケルトンをハンマーで弾き飛ばしながら様子を見る。うわー面倒だな。ゾンビソルジャーやゾンビナイトが肉壁になって密集。しかも数が多いから厚みが結構ある。文字通りの肉壁……初めて見たな。その後ろから魔法や矢が飛んで来る。

 攻撃を躱しながら地道に肉壁を吹き飛ばすしかないか。ある程度レベルが上がってから反射神経も良くなった。これ位なら大丈夫なはずだ。

 まあ、躱しきれないっと思った攻撃は、ベル達が防いでくれるんだけどね。ぬるま湯に浸かった戦闘で申し訳ないです。でも絶対では無いので真剣に躱す。

 躱しては接近してハンマーを滅茶苦茶に振り回す。魔法と矢が飛んで来たら躱しながら後退。隙を見て再び接近してハンマーを振り回す。だいぶ肉壁が薄くなって来た。あと数回接近すれば全部吹き飛ばせそうだな。

「まっ、待て。待つのだ冒険者よ。何故このような事をする」

 ちょっと聞き取り辛いが普通に理解出来る言葉が投げかけられた。ジェネラルゾンビかな? 警戒しながらどうするか考える。返答をするべきなのか?

「もう一度聞く。何故このような事をする。一人でアンデッドの巣窟に突っ込んで来るなど正気では無いぞ。そもそも何故この荒廃した地に人間がいるのだ」

 余計なお世話だな。ベル達がいるから一人じゃない。だから正気だ。そして好きで死の大地に居る訳でもない。

「我々は此処で誰に迷惑を掛けるでもなく、平和に生活している。なんの理由があって、このような無体な虐殺をするのだ。答えぬか」

 あれ? なんか俺、凄い悪い事している気になって来た。どうなんだ。いやだってゾンビだよな? 人を襲うアンデットだよな。あっ、人が居ないのか。……この場合どうなるんだ?

「答えよ冒険者よ」

 冒険者じゃないんだけどね。なんで……なんでか……。よく分からなくなったな。素直に答えよう。

「強いて言うならレベル上げ?」

「……そんな事のためにこの平和な楽園を踏みにじったのか」

 なんか凄くこっちが悪い気になって来るな。精神攻撃か?

「でも、お前達って魔物だよな。そもそも平和に暮らしてるって言っても、意識があるのお前だけだし」

「……こやつらにもいずれは意識が芽生えるのかもしれんのだぞ。貴様はその可能性すら摘み取ると言うのか」

 物凄く怒ってらっしゃる。相手の方が正論な気もする。でもなんか納得いかないんだよな。あっ、そうか。

「お前達は瘴気を撒き散らしてるよね。瘴気って世界に良くないんだぞ。だから討伐しても問題無いはずだ」

 そもそもゾンビの楽園ってどうなの? こいつらがドンドン進化したら困るのって、死の大地に住んでる俺だよね。瘴気満載とか冗談じゃ無いよ。畑の作物が枯れたらどうしてくれるんだ。

「他にも瘴気を撒き散らす魔物は腐るほどいよう。何故我々なのだ。人を襲っている魔物を討てば良いではないか。我々はこの洞窟に居るだけなのだぞ」

「でも俺はここら辺……ここからちょっと離れた場所に住んでるから、攻撃してくるのってゾンビとかスケルトンなんだよね」

「だ・か・ら。こんな所に住むなよ。人間をやめて随分経つ私にでも分かるぞ。この地はアンデッドの巣窟だ。そんな場所に住み着いて、アンデッドに襲われるって当たり前だろ。だいたい瘴気が世界に悪いのは周囲を侵食して世界のバランスを崩すからだぞ。この地はもうとうの昔に死んでおるわ」

 ……なんか分が悪い気がする。でも認める訳にはいかない。脳ミソまで腐ったゾンビに言い負かされるって、そんな事を認めたら、この先胸を張って生きて行けない。絶対にあいつを言い負かす。
読んでくださってありがとうございます。
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