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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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三十六話 契約条件

「お野菜を食べられて満足した?」

「ああ、大満足だった。故郷でも野菜を育てた事は無かったし、いろいろ勉強になったし楽しかったよ」

「ふふ。良かったわね。それで分かってると思うんだけど、遠征の話よ」

「遠征の事は分かっているんだけど、なんでディーネ。ノモス。ドリーが居るの? いつも参加しないよね?」

 なんか嫌な予感がするんだよな。絶対何か企んでる気がする。

「裕太ちゃん、それはね。今回の遠征でシルフィちゃんと契約出来るようになったら、私達とも契約が出来るようになるって事なの」

 同じ大精霊なんだから、魔力的には大丈夫って事なのか?

「あ、ああ。契約が出来るようになるんだな」

「それでね。裕太ちゃんもお姉ちゃんと契約したいと思ってるでしょうから、条件を教えてあげようと思ってるの!」

 ディーネがバーンっと背景が出そうな張り切りようで言い放った。……ディーネと契約……したいのか? なんかレインがいれば十分な気がするんだが。

「………………」

「裕太ちゃん。なんでこっちをみないの? お姉ちゃんと契約したいわよね? ねえ、聞いてるの?」

「まあ、儂らとの契約について、条件を伝えておこうと思ってな」

「ノモスちゃんも話を進めないで」

「ディーネは少し黙っておれ。話が進まん」

 あっ。拗ねた。座り込んで膨れっ面のままブツブツ言ってる。このままで良いのか?

「それで契約の事なんじゃが、儂からの条件は現在の拠点の拡大じゃな。お主はスペースが足りなくなったら、ぐるりと囲うようにスペースを追加して増やしていく予定らしいが、それを二回りする大きさまで拡張したら契約してやる」

 二回りって事は……えーっと、縦と横が五つずつになるって事は五百メートル四方のスペースになるって事だよな。今二ブロック作ってあるから、残り二十三ブロックか……広すぎな気がする。

「そんなにスペースを作ってどうするんだよ」

「まだ分からんわい。上手く行けば面白い事になるから期待しておけ」

 これって絶対に昼間の聖域がどうのが絶対に関係しているな。やらなきゃ駄目なのか? ちょっと考えただけでも必要な岩の量が果てしないんですけど。

「私は、シルフィと契約した後に、十分な森の土と益虫を運んでくだされば大丈夫です。ただ敷地を拡大するのならその分、多めに土や益虫を確保してきて欲しいです」

 これは此処に居付いてくれる時の条件だからたいして問題無いな。量が増えたとしても、魔法の鞄があるんだからそこまで手間では無いだろう。

「ドリーの条件は元々の条件と、そんなに変わりが無いし問題無いな」

「ほれ。残りはディーネだけじゃぞ。さっさと条件を言わんか」

「裕太ちゃんが是非ともお姉ちゃんと契約がしたい! って言わないと教えてあげない」

 頬を膨らませたまま、めいいっぱい怒ってますよと表現しながら、言ってくるディーネ。これって俺が折れないと話が終わらないパターン?

 ディーネには世話になっている。ちょっと面倒だなと思う事もあるし、正直契約って必要なのかなとも思うが……なによりここで俺が折れたら、ディーネのドヤ顔が炸裂すると思うと踏み切れない。

 シルフィが困った表情で俺を見て来る。ノモスがさっさとしろと目で急かす。やっぱり、折れるのは俺なんだな。

「あー、俺はディーネと契約がしたいぞ」

「是非とも?」

 チロリとこちらに視線を向けて確認する。美人なんだけどなー。普通なら美人の大精霊との契約とか、諸手を上げて喜ぶ案件なんだけど、残念な感じになるのがディーネのクオリティなんだろうな。

「ああ、是非ともだ」

「もう、しょうがないなー。裕太ちゃんはお姉ちゃんっ子なんだから、しょうがない子ね」

 俺の額に血管は浮き出ていないだろうか? 精霊に物理攻撃が聞かないのが残念でならない。ん? 俺なら触れるんだから、素手ならいけるのか?

「はしゃいどらんで、さっさと条件を言え」

「ノモスちゃんは気が短いんだからー。そんなんじゃモテないわよ」

 おお、ノモスの額にみるみる血管が浮かび上がる。あれだな精霊にも血管があるんだな。

「ディーネ。遠征の予定も立てないと駄目なんだから早くしなさい」

「分かったわ。お姉ちゃんの条件は。ノモスちゃんの条件で拡張した場所に水路を通す事よ。ちゃんと達成したら、お姉ちゃんが契約してあげるから頑張ってね」

 凄く得意げだ。外見は最高なんだけどなー。

「あ、ああ、頑張るよ」

 なんか水路だけ完成させないって方法を思いついたんだけど……それをやると騒ぎになって、結局折れるのは俺なんだからやめておこう。

「シルフィはそのまま契約してくれるのか?」

「私は魔力がBランクになったら契約するって約束したもの。言葉を違える事はないわ」

 表情を変えずに確約してくれるシルフィ。助かるな。シルフィとの契約は俺の生命線みたいなものだから、条件が増えるとキツイ。

「まとめると、拠点の拡張。土や益虫の確保。水路の建設を済ませれば、契約を結んでくれるんだな」

「ええ、そういう事になるわね」

 出来ない事は無いが、微妙に手間が掛かる感じが……まあやるしかないか。

「まあ、コツコツとやる事になると思うが、先にシルフィと契約出来たら町に行く事は問題無いんだよな?」

「ええ。土の確保なんかも必要だから、どちらにせよ町には行くわ。それに契約条件なんだから、必要が無いのならやらなくても良いのよ。期限を区切っている訳でも無いんだし、裕太のペースでやってちょうだい」

 そうなのか。無理をしないで良いのは助かるな。

「シルフィはこの条件が達成されると嬉しいのか?」

「私? そうね。私としても面白い事になりそうだし、嬉しいわね」

 シルフィが喜んでくれるのなら、出来るだけ頑張るか。今回も立場が強いのはシルフィなのに、条件の追加も変更も言い出さないでくれたし、世話になっている分を少しでも返せるようにしよう。

「分かった。出来るだけ頑張ってみるよ」

「ふふ。よろしくね」

 話が決まるとディーネ。ノモス。ドリーは席を立って去って行った。遠征の事とか完全に興味が無いんだな。しかし、ここまで話し合って魔力の上昇が止まったら洒落にならんな。神様がいらっしゃるのならせめて魔力Bランクまではお願いします。

「さて裕太。遠征の事だけど私が考えている場所は、裕太の足で三日ほど歩いた場所にある、リッチがいる地下空間よ。鉱山跡だけあって、広いし敵の数も多いわ。どう?」

「リッチってスケルトンキングの代わりに、主になる事も多いって言ってた奴だよな? ジェネラルともやりあった事が無いのに大丈夫か?」

「実力的には問題無いんだけど、ジェネラルとも戦っておきたい?」

「まあ、そっちの方が安心は出来るな」

 実力が足りているのなら無駄な手順かもしれないが、命が掛かっているんだし、踏める手順は踏んでおきたい。

「そう。分かったわ。ただ段階を飛ばしたのは理由があるの。近くっていうか、ある程度の距離の中にスケルトンジェネラルが居ないの。だから相手はジェネラルゾンビになるわ。裕太はゾンビを嫌がってたでしょ。大丈夫?」

 なるほど。気を使ってくれたのか。確かに嫌だけど。確かに嫌だけど……少しでも命のリスクが下がるのなら、ジェネラルゾンビ一択だよな。嫌だけど。

「まあ、確かに嫌なんだけど、段階を踏んでおくよ。嫌悪感を抑え込めば大丈夫。価値もありそうだし魔石も取るよ」

「分かったわ。リッチがいる鉱山跡に向かう途中で、ジェネラルゾンビと戦いましょう。それで良い?」

「ああ、その予定で頼む」

「じゃあ、明日の朝出発ね。じゃあおやすみ。寝坊しないようにね」

「ああ、おやすみ」


 ***


「じゃあ、タマモ。留守番をよろしく頼むぞ」

「クー」

 尻尾と耳がテロンとしている。置いて行かれるのが寂しいんだろう。途中で呼び寄せる事も可能だが、ただ可愛がるために召喚と送還を繰り返すのも違うだろう。

「タマモ。今回の遠征が終われば、おそらく町に行ける。森にも沢山用事が出来るから、その時はタマモの力を貸してくれよ」

 説得を受け入れてくれたのか、遠征メンバー全員にスリスリと頬ずりをしてくれた。ふわふわモフモフがたまらないな。後ろ髪を引かれながらもタマモと別れ出発する。


***


「この調子だと、到着まで大幅に時間が掛かりそうなんだけど……」

「そうなんだが、ノモスの条件を達成するには岩がいくらあっても足りないんだ。岩山があったら採取しないと、近場の岩山もだいぶ少なくなったし」

「まあ、この方が効率的ではあるわね。でも契約出来たら、岩山まで直ぐに飛んでこれるわよ?」

「今回の遠征で契約出来るまで魔力が上がれば問題無いけど、魔力の上がるペースは俺の場合は体力より遅いんだ。届かない可能性もあるからな。それに嫌だけど、帰りだと怪我とかしてたら辛い」

「分かったわ。のんびり行きましょう」

「助かるよ」

 偶にベルとレインとトゥルが戯れているのを見て、癒されながら岩を採取する。偶にレインに乗ったベルと隣を飛んでトゥルが応援に来てくれるのが嬉しい。

 岩山を見つける度に更地に戻しながら遠征を続ける。何気に移動式の住居が初めて役にたったのが嬉しいです。

 シルフィの予定では二日で到着するジェネラルゾンビの住居に、五日掛かって到着した。土を生き返らせる為に岩が必要だけど、長い年月を耐えて来た岩山を切り崩す。環境を再生しているのか、環境を破壊しているのか激しく疑問だ。

 ポッカリ開いた穴を見て少し現実逃避していたけど、入らないと始まらないな。さあ、ジェネラルゾンビの討伐だ!
読んでくださってありがとうございます。
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