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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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三十二話 巣の攻略

 大体の注意点も聞いた、レベル上げに行くか。転がるようにじゃれ合っている、ベルとレインとトゥルとタマモに声を掛ける。しかし一瞬で仲良くなったな。

「みんなー出発するぞ」

「はーい」

「キュー」

「……うん」

 トゥルがなごり惜しそうにタマモから離れる。やっぱりトゥルはモフラーだったみたいだな。

「じゃあ、タマモ。畑の事は頼むな。シルフィ案内してくれ」

 ちょっと寂しそうに近づいて来たタマモの頭を撫でて出発する。小さな巣らしいけど、初めての経験だ、気合をいれないとな。

「ここからだと歩いて三十分位ね」

「意外と近くにあるんだな。まったく気が付かなかったよ」

「巣がある場所には近づいてないもの。それにザコは夜にウロウロしているのを、だいぶ討伐しているから、数も少ないはずよ」

 そうだったな拠点の近くだから、見つけたら問答無用で潰してた。数も少なくなってるだろうから初挑戦に丁度良さそうだ。あっ、ベル達にも注意しておかないと。

「ベル。レイン。トゥル。今回から地下で戦う事が多くなるから、出来るだけ周囲に被害を与えないように戦ってね」

「わかったー」

「キュー」

「うん」

 頼めばよく聞いてくれる子達だ。大丈夫だろう。いきなり風刃乱舞とかぶちかまされたら怖いからな。

「ここよ」

 シルフィが指差す地点を確認すると、地割れのような裂け目がある。何かが出入りしたような跡もあるな。何かって言ってもゾンビとかスケルトンなんだろうけど。

「ここは偶発的に出来た空間だから、中も狭いわ。直ぐに魔物が出て来るから注意してね」

「偶発的って偶発的じゃない場所もあるのか?」 

「あるわよ。鉱山跡の洞窟とか、土に飲み込まれた砦とか色々あるけど、そっちの方が人の手が入っている分厄介よ」

「あはは。そこを体験する前に契約出来たら良いなー」

「それは何とも言えないわね。頑張って魔力の伸び幅が大きくなるように祈るしか無いわ」

 頑張ってねってシルフィの笑顔が眩しい。だよなー。体力の方が伸びが良いから、Bに辿り着けるのか少し不安だ。

「ベル達は中に入って待機してくれる? 俺が危なそうだったら助けてくれ」

 はーいって感じで気軽に中に入って行くベル達……姿が見られないって本当にチートだよな。このまま中を殲滅してもらっても、俺に経験値は入るらしい。でも子供と小動物に戦闘をまかせっきりなのも心が痛い。

 それに自分でも戦えないと、町に出た時に舐められるからな。戦争ばっかりしまくってるから、絡まれやすそうだし、全部ベル達に任せても異世界を楽しめない。

「じゃあ、行ってくる」

「楽勝だからって、油断して怪我をしないようにね」

 楽勝なのは確定らしい。俺は強いのか? 比較する対象がいなくていまいちよく分からんな。

「了解」

 ハンマーを小さくして慎重に裂け目を降りて行く。ゾンビやスケルトンが道を均したのか、意外と下りやすい。ちょっと急な坂道って感じだな。

「うわっ」

 裂け目からの光が届かないスペースにいきなりゾンビがいた。反射的にハンマーを大きくしてぶっ叩く。その音に反応したのか、ワラワラとゾンビやスケルトンが迫って来る。数が少なくなってこれかよ、自力で増えてんじゃないのか? 

 ハンマーを左右に振り、ゾンビやスケルトンを左右に弾き飛ばす。……スケルトンとゾンビをまとめて潰しているから、もう魔石は諦めよう。あのぐちゃぐちゃを掻き分ける勇気はない。

 はやく真っ当な魔物退治がしたいな。ゴブリンとかオーガとかドラゴンとか……ドラゴンはどうなんだろう? シルフィと契約していれば勝てるのかな? ディーネが海龍を天高く打ち上げたって話してたし、勝てるかもな。

 数は多いが一振りで弾け飛ぶので、普段と変わり話無い。変わりは無いが……数が多いし直ぐに戦闘が終わらないので腐臭がハンパない。涙が出て来て吐きそうだ。

 後続が途切れたので、奥に進む……意外と狭いな。あれだけの数が二十メートル四方もない空間にひしめき合っていたのか……満員電車並み? ゾンビとスケルトンの満員電車か……想像しただけで背筋がゾクッっとする。

 部屋の一段高い部分に、ボロボロの革鎧を着たスケルトンが二体。その中央にボロボロの鎧を着たスケルトンが一体。あれがスケルトンナイトとスケルトンソルジャーなんだろう。

 俺が近づくとゆっくりとした動作で降りて来た。なんか大物感を出してるんだけど……シルフィの話ではスケルトンナイトぐらいなら、ザコと変わらないらしいんだけど。一応用心しておくか。

 ザッっと三方に分かれ、両サイドのスケルトンソルジャーが槍を構え、中央のスケルトンナイトがおもむろに剣を抜く。緊迫感がある場面のはずなんだが、ベル達の声援で力が抜ける。

 左右のスケルトンソルジャーが同時に槍を突き出して来たので、ハンマーを振るって槍を弾く……槍と一緒に槍を握っていた手も吹き飛んで行った。

 一瞬、ポケッとしてしまったが、真ん中のスケルトンナイトが突っ込んで来たので、地面を叩かないように上から剣ごと叩き潰す。

 両手を失ったスケルトンソルジャーに向き直ると、こちらもサクッと叩き潰す。思った以上に簡単だったな。臭いが酷いから。スケルトンナイトとスケルトンソルジャーの魔石だけ取って脱出しよう。

「お疲れ様。ここで見ていたけど楽勝だったわね」

「ゆーた、つよいー」

「キュー」

「かんしょうだった」

「はは、まあ、何とかなったよ。ただ臭いがきついのが辛いな」

 体中に洗浄を掛けるが、しつこい匂いが残っている気がして、ちょっとテンションが下がる。

「うーん。そればっかりはどうしようもないわね。何処の巣もザコはスケルトンとゾンビが混ざっているもの」

 ますます嫌になるが、楽しい異世界生活の為だ。ここが頑張りどころだろう。

「まあ、臭いだけだし我慢するよ。全然疲れていないし次に行こうか」

「分かったわ。近場から回って行くわね。一通り倒したら、明日からはもう少し規模の大きい巣を巡りましょう」

「ああ、それで頼む」

 今日は日が暮れるまでの間に、更に四つの魔物の巣を潰した。ゴーストやレイスがいる場合あったが、そこはベル達があっさり殲滅してしまうので問題がない。

 一番の問題はゾンビナイトが支配している巣だ。経験値以外はまったく報酬が無くて臭いだけなので、心が萎える。

 ゾンビからも魔石を取る気合があれば、数も多いので町に行った時の資金になるんだが、どうしても踏ん切りがつかない。

 ジェネラルクラスからは価値が高いそうなので、もし倒したら感情を殺してでも取るつもりだが、ナイトクラスだと……無理だな諦めよう。

 あと、シルフィいわく今日は巣に慣れるための訓練で、経験値になるナイトやソルジャーが少ない小さな巣を選んだそうだ。だから俺のレベルは上がらなかったのか。

 明日からはある程度、ソルジャーやナイトが多い場所を巡り、アーチャーやメイジなんかとの経験も積むそうだ。

 そうやって慣れたら、少し離れた場所にある砦跡に遠征して、ソルジャーやナイトがザコとして出て来る大規模な巣を攻略して一気にレベルアップをはかるらしい。アンデットの数が多過ぎる。ドンだけいるんだよ。

 これからの予定を聞いてげんなりしながら泉の拠点に戻る。仕方がない事だと分かっているが、大量のアンデッドがいる大規模な巣が目標だと聞くとテンションは下がるよな。

「クー!」

 拠点の中に入るとタマモが飛び付いて来た。寂しかったらしい。直ぐに俺から離れてベル達と遊びだしたので、俺も寂しい。

「裕太ちゃん、おかえりなさい」

「戻ったか」

「裕太さん。おかえりなさい」

 ディーネ。ノモス。ドリーが出迎えてくれる。なんか大精霊の三人がお留守番ってもったいないよな。

「ただいま。何か変わった事は無かったか?」

「なんにも無いわー。平和だったわよー」

 ディーネは完全に気が抜けてるな。俺が何かを言う立場には無いが、なんか心配になる。

「そうか。ありがとう。じゃあ夕食にするけど、ドリーはどうする? ほかの大精霊たちはもう飽きてしまったが魚介類なら豊富にあるぞ」

「ふふ。今日だけご一緒させて頂きますね」

「そうか。まあ、無理はしないでくれ。いずれ全員が喜んでくれる料理を、用意出来るように頑張るからな」

 どうも大精霊クラスになると、普通の魚介類は食べ飽きているらしく反応が悪い。一人暮らしの男飯ぐらいしか作れないが、何とか大精霊達の舌を唸らせてみたいものだ。

 無理に食事を取る必要もないから、お腹も空かない。美味しいもの以外は食べなくなるのも分かる。下級精霊のベル達は、そこまで食事に慣れている訳でも無いらしく、喜んで食べてくれる。

 しかし、実体化出来ない精霊が、どうやって料理を食べ飽きるまで、食べているんだろうな? 俺は特殊らしいから普通に精霊と食卓を囲めているが、大抵は気配ぐらいしか分からんのに、食べ物を作って貰うとか出来るのか? 不思議だ。

「それは良いですね。楽しみにしています」  

「楽しみにしててくれ。まあ、この世界で手に入る材料しだいだけどな」

「あら。植物でしたら私に聞いてくだされば、大体分かりますよ?」

「本当か? 加工してあるものでも分かるのか?」

 それなら、日本から持って来た食材を食べる時、是非ともドリーに確認してもらおう・

「加工してあるものでも、食べれみれば、何となくですが分かるかもしれません」

 色々分かれば、助かるな。まずは米だな。ホカホカの白いご飯をガッツリかき込みたい。あとは大豆も良いな。醤油や味噌、豆腐に枝豆、バリエーションは沢山ある。まあ作れるかどうかは分からないが、材料があるのと無いのではえらい違いだからな。

「今度是非ともお願いしたい」

 分かりましたと頷いてくれた。ドリーさん、頼りになります。今日も焼いた魚介類だけだが、ベル達は喜んで食べてくれた。タマモも嬉しそうに食べていたし、食卓がまた賑やかになった。
読んで下さってありがとうございます。
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