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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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二十一話 プール

すみません。更新おくれました。
 土の大精霊ノモスに言われた事を終えて、時間がポッカリと空いてしまった。何をしよう生活環境を整えるとしても、何をしたら良いのか。

 ………………今作れるのは、岩を使ったものだな。木材もあるが、燃料の為に置いておきたい。岩で生活が良くなる物か……プールを作ろう。

 このくそ暑い死の大地。泉で泳ぐ事も考えたが、飲料水に利用している場所で泳ぐのも躊躇われる。プールに使用した水はレインに死の大地に撒いてもらえば良いだろう。気化熱で幾分涼しくなるはずだ。

「ディーネ。暑いから水に浸かれる場所を作ろうかと思うんだけど、水量は大丈夫だよね?」

「裕太ちゃんが少しぐらい無駄遣いしても全然余裕があるわよ」

 水量は問題無い。ならやるしかないな。どうせなら拘って作ろう。浅く作ると直ぐに水が温くなる。十分に潜れるぐらいと考えて、深さは一メートル五十センチは欲しい。

 そうなると水の中に寝転ぶ事が出来るスペースも欲しいから、三十センチぐらいの浅い場所も欲しい。プール全体の大きさは……五メートルは欲しいな。大きなお風呂ぐらいの大きさにしかならないが、水に浸かるだけでも随分違うだろう。

 よし。楽しくなって来た。畑は拡張するかもしれないから、反対側に作ろう。ついでだから水路も作るか。魔法の鞄を使って水の出し入れしても対応できるが、水路があった方がカッコいい。

 畑がある位置から対角の場所に穴を掘り、出来るだけ大きな岩を張り付ける。少しぐらいの水漏れはしょうがない。隙間がある場所には岩を重ねておこう。後は……岩の台を置いて、寝転ぶ事が出来るスペースも出来た。

「ふふ。裕太、なんだか楽しそうね」

「ん? ああ、シルフィ。確かに楽しいのかもしれないね。今までは生き残る為に何を作るのか、だったから必死だったけど、プールは娯楽の為だからね。失敗しても問題がないから気楽に作れるんだ」

「なるほど。確かにそうかもね。娯楽を作れる余裕が出来たんだもの。良かったわね」

「うん。生き残る事は出来そうだからね」

 正直、足りない物が多過ぎて、プールぐらいしか作るものが思いつかなかっただけなんだよね。岩を切り出しU字に加工する。

 他の場所にも必要になるかもしれないから、少し多めに作っておこう。

 十分な量が揃ったので、泉まで軽く角度をつけながら土を掘り、U字に加工した岩をはめ込む。泉と水路にはストッパーを設置して完成。

「いよいよ水を流すよ」

「みずー」

「キュー」

 泉のストッパーを外すと、勢いよく水が流れ込む。テンションが上がって水を追いかけて走ってしまった。一緒に付いて来たベルとレインも楽しそうにはしゃいでいる。

 水がプールに流れ込んだ。バシャバシャと結構な勢いで水が溜まって行く。死の大地にプールが生まれた瞬間。もしかして歴史的出来事?

「ぷーる?」

「キュー?」

「そう。プールだよ。ここに溜まった水に浸かって遊ぶんだ。涼しくてのんびりできて楽しいよ」

「いずみはー?」

「あの泉は水を飲んだりするからね。プールはただ遊ぶ為の場所だよ」

 よく分かっていないようだ。まあベルとレインが泉で遊ぶのは普通の事なので理解が難しいだろう。

「いいわねー。死の大地に水路が出来るなんて凄いわよー」

「そうね。畑も出来そうだし、どうしようもなかった死の大地が、ここまで変わるなんて裕太は凄いわ」

 なんか褒められている。確かに赤茶けた大地の中を流れる水路は、綺麗だけど、そこまでの事か? 俺的には泉を作った方が凄かったと思うんだが。

「俺が凄いって言うか、道具が凄いんだけどね」

 開拓ツールと精霊に出会って無かったらもう死んでいる自信がある。

「開拓ツールは本当に凄いと思うけど、裕太も色々考えて頑張っているんだから胸を張りなさい」

「日本人は謙譲を美徳としているんだよ。俺スゲーは性格的に無理」

 妄想では無双しまくってるけどね。

「そんな美徳を持っていたらこの世界ではやっていけないわよ。遠慮していたら全部持って行かれるんだから」

「日本人の美徳が……」

 異世界……世知辛いな。まあ、アメリカとかは謙譲が通じない文化らしいけど……強気でいかないと弱みを見せると食い尽くされるのか。町に行った時には注意しないとな。    

「裕太ちゃん。遠慮してると手柄を持って行かれるから頑張ってね」

 天然のディーネにまで心配されてる。何か屈辱だけど、それだけ遠慮が致命的になる事があると心に留めておこう。

「わかった。町に行けたら強気で行動するよ」

「ええ、その方が良いわ。喧嘩を売られたら全部買っちゃいなさい。町に行けるって事は私と契約しているって事だもの。薙ぎ払ってあげるわ」

「べるもなぎはらうー」

「キュー」

「お姉ちゃんも頑張るわね」

 なんか精霊が物騒なんだけど。そして俺はディーネとも契約する事になっているのか?

「いや。そんなに簡単に喧嘩を買っても大丈夫なのか?」

「裕太は良く分かっていないみたいだけど、大精霊との契約なんて奇跡的な出来事なのよ。自信を持って良いわ。何があろうと泣きを見るのは相手の方よ」

 何? シルフィって武闘派なの? ちょっと暴れたくてワクワクしてない? 絡まれたら相手が悲惨な事になりそうだ。出来るだけ強そうな雰囲気で居れば喧嘩を売って来る相手も少ないだろう。モヒカンヘルムとトゲ付き肩パットでも買うか?

 しかし、大精霊と契約って奇跡的なのか。シルフィはともかくディーネとか、単なる巨乳のお姉さんにしか見えないんだが……。

 異世界に来て、精霊以外と会った事がないからな。世間の感覚とズレているのかもしれない。

「みずー」

「ん? 水が溜まったんだ。ベル、ありがとう」

「えへー」

 プールを見ると水が溜まり、日差しを反射して眩しいぐらいだ。忘れてた。日焼けがヤバい。簡単な日よけを寝転がる場所に作ろう。

 寝台がある場所を斜めに横切るように岩を置く。岩を削って窪みを作り、流木や竹で簡単な日陰を作る。これで大分マシになるな。

「さてプール開きだ」

「だー」

「キュー」

 ベルとレインが意味も解っていないのに、テンションを上げている。まあ、俺もちょっとワクワクしている。落ち着いて海のような失敗はしないようにしないと。

 さっさとパン一になりプールに飛び込む。うん気持ちが良い。

「わーい」

「キュー」

「わぷっ」

 ベルとレインが隣に飛び込んできて水が跳ねる。水に触れられるって事は魔力を込めているんだろうが、大丈夫なのか?

「そりゃ」

 水を掛けるとベルとレインが騒ぎながら逃げ出す。追いかけてガンガン水をかけてみると、魔法で応戦して来た。  

「ちょ。ちょっと待て。それ反則」

「ふうだん」

 風の玉が水を掻き分け飛んで来る。潜って回避して、顔を出すと水弾が顔に当たる。結構な威力だ。時間差攻撃かレイン、恐るべし。

「こら。遊びで魔法を使っちゃ駄目でしょ。こっちに来なさい」

 シルフィとディーネがベルとレインを呼んで叱ってくれている。助かった。

「裕太もはしゃぎ過ぎよ。あなたが興奮し過ぎていたから、つられてこの子達も魔法を使っちゃったんだからね」

「面目次第も無い」

 落ち着こうと思ってたけど、テンションが上がっちゃったよね。プールって恐ろしい。

 お説教も終わり、プールの寝台に身を横たえる。いいなこれ。日陰で水に浸かったまま目を閉じる。異世界に来て初めてリラックスが出来た気がする。

「気持ち良さそうね」

「うん、なかなか良い物が作れたよ。シルフィも入れば?」

「ふふ。今は良いわ。気が向いたら入らせてもらうわね」

 ちょっと残念だ。そう言えば精霊って水着を着ないのかな? ベルも葉っぱのような服を着たまま水に飛び込んでるし、服も普通のとは別物っぽいな。

「シルフィ。精霊が着ている服は、そのまま水に浸かっても大丈夫なのか?」

「服? ああ私達の服は魔力を変化させたものだから、水に浸かっても問題無いわ」

「へー。自由に変化させられるのか?」

「イメージがしっかりできれば変化させられるわね」

 うむ。そうなると。日本の服を正確に伝える事が出来れば、あれやこれやのファッションショーも可能な訳か……余裕が出来たら、頑張って伝えてみよう。

「じゃーん」

 プールの中からディーネが飛び出してきた。両手を広げてこちらが驚く事を微塵と疑っていないな。

「うわー。とってもおどろいたー」

「でしょー」

 満面の笑みで頷く水の大精霊。嫌みが通用してない。得な性格だよね。シルフィに目を向けると、相変わらずツイっと目を逸らす。シルフィはディーネをどうにかする事を完全に諦めてるな。

 騒ぐディーネをなだめてのんびりする。熱く水の素晴らしさを称えられても困るよな。水の大事さは井戸が出来るまでの間に十分認識したよ。

 あれは恐怖だったな。水分を一口飲む度に、死が近づいている感覚だった。お酒生活になると行動も辛くなるから、実際の所かなりギリギリだった気がする。

 ベルの笑い声が聞こえたので、顔を向けると、水路の上を滑るように移動してこちらに向かっている。バシャーンっとプールに飛び込んで来たベルを見ると、レインにまたがっていた。

 なるほど水路をレインに乗って移動してたんだな。なかなか楽しそうな遊びだ。キャハハと笑いながら二人で戯れている。

「ベル。レイン。楽しいか?」   

「たのしー」

「キューー」

 ベルは両手を上げて満面の笑みだ。レインもバチャバチャと水を叩きながら喜びを表現している。プールを作って良かったな。

 水に揺られながらリラックスして周りを見る。このまま少しずつ環境を整えれば、死の大地も楽園になるのかもしれない。
読んで下さってありがとうございます。
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