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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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二十話 再審査?

「なんじゃい気ぃ悪いの。人の顔見たとたんガッカリしよって。頼まれたから来てやったんじゃぞ。もう帰るわい」

「あっ、ちょっと待ってくれ。勝手に美女の精霊が来るって期待して、ガッカリしてしまったんだ。全部俺が悪い。不愉快にさせるつもりも無かったんだ。勘弁してくれこの通りだ」

 頭を直角に下げる。いかんな。イルカも来たのに、来る精霊を勝手に美女と決めつけてガッカリしてしまった。怒るのも当然だ。

「おぬし、裕太と言ったかの? 精霊の美女を期待しておったのか? 相手は精霊じゃぞ?」

 心底驚いた表情でドワーフが聞いて来る。

「精霊と言われても、俺はこの世界で精霊にしか会った事はないし、俺にとっては精霊は普通に見えるし触れるし、精霊と言う種族の美女としか感じないよ」

「ぶはははは。美女。美女か良かったのシルフィ。ディーネ。お主たちにも春が来るかもしれんぞ。ぶはははは」

 ヤバい。普通に美女とか恥ずかしい事を言ってしまった。シルフィはちょっと恥ずかしそうな顔をして怒っている。ディーネはお姉ちゃん困っちゃうわーって言いながらクネクネしている。ディーネはちょっと違うと言いたいが、言ったらヤバい気がするからやめておこう。

「い、いや。そういう意味ではなくて……とにかく申し訳ない」

「ふむ。美女と期待しておったというのならしょうがない。髭面のおっさんが来たからガッカリしたんじゃな。ぶふふ。まあ笑わしてもらったし勘弁してやろう。儂は土の大精霊ノモスじゃ。こやつは下級精霊で名前は無い。まぁよろしくしてやってくれ」

 何がツボに入ったのか分からないが、許してくれたらしい。あと親子じゃないんだな。二人とも大きさは違うが、ズングリムックリで顔も似ている気がするんだが。

 ノモスの方がズングリムックリの酒樽体形でで一メーター二十ぐらいか? お髭がふさふさだ。土の下級精霊の方は八十センチぐらいでズングリムックリだが、幼い印象がある。

「森園 裕太です。ノモスさん。土の下級精霊さん。よろしくお願いします」

「儂も敬語や、さんはいらん。面倒なだけじゃわい。話は聞いておる。まずは土壌改良した畑とやらを見せて貰うぞい」

 俺も気を使わなくて良いから助かるが、本当に精霊は敬語とか嫌いなんだな。

「分かった。俺の事も裕太と呼んでくれ。畑はこっちだ」

 昨日作った畑に案内すると、ノモスと土の下級精霊が畑に入り何かを確認している。ベルとレインが新しい下級精霊の出現に興味津々で、チョッカイを出そうとしているので近くに呼び寄せる。大人しくしててね。

「裕太。面白い事をやっておるの。じゃがこのままじゃ、儂らは此処に滞在する事は出来んな」

 駄目かー。不安はあったけど、何とかなって欲しかったな。結局赤点を取ってしまったか。

「そうか。残念だ。何が駄目だったか教えてくれないか?」

「ふむ。それぐらいならええじゃろ。この土は色々混ぜこんでおって、確かに土を豊かにする物も入っておった。じゃがしかし、この土には益虫はおろか微生物すらおらん。そもそも微生物がおらんと、土として駄目すぎるじゃろ。このまま此処におったら儂らは力を失うだけじゃ」

 ……死の大地、恐るべし。微生物すら死滅しているのか。どうしようもない。

「対策は何か無いのか?」

「生きておる土を持って来て混ぜ込めば何とかなるかの? 栄養的にはバランスは悪いが、微生物がおれば整えられる範囲じゃったな」

 バランスも悪かったのか。生きている土か……土が持ってこられるのなら、植物を持って来て貰うよ。詰んじゃったか。レベル上げを頑張るしかないな。

「生きている土があれば何とかなったのか。だが生きている土を手に入れる方法がないんだよな」

「裕太。ちょっと思い出したのだけど、井戸の底近くの土は生きてた気がするんだけど。収納してないの?」

 シルフィから思わぬアドバイスが……そう言えば収納したな。あの土は生きている土っぽかった。

「ノモス。これを見てくれ」

 井戸掘りで手に入れた生きている土を見せる。もしこの土で良かったら、小魚や海藻は要らなかったかも。そのまま生きている土を運んで来て、畑に入れれば良かったんだ。かなりもったいない事をしてしまった。

「ほう。たいして量は多く無いが確かに微生物がおるの。この土を混ぜ込んで寝かせれば何とかなるかもしれん」

 あれ? 駄目だと思ったら、何故か再逆転? そもそも魔法の鞄には生き物は入らないはずなんだけど。微生物は普通に入ってたのか。菌とか極々小さな生き物は、魔法の鞄の制限を突破できるのかもしれないな。

「量はこれで足りるか?」

 井戸の底付近で手に入れた生きている土を取り出す。直ぐに砂地に変わったから小山になるぐらいの量しかない。

「ふむ。まあ何とかなるじゃろう。この土を畑に混ぜて、毎日軽く湿らす程度に保っておけ、乾かすなよ。では十日後にまた来る」

 いうだけ言って帰ろうとするノモスと下級精霊。展開が早いよ。

「そうじゃ。畑を拡張するために、穴を掘って岩を敷き詰めた場所を作っておけ。土は入れんでいい。面積は今の四倍は必要じゃぞ。じゃあの」

 ……飛んで行っちゃった。どういう事だ?

「えーっと……十日後に再審査って事で良いのかな?」

「そうね。また来るんだから言われた事をやっておくと良いわ」

 シルフィも半信半疑っぽい気がするんだけど、大丈夫かな?

「生きている土と畑の土を混ぜ合わせて、毎日湿った状態を維持するんだったね。レイン。毎日土を湿らせるのをお願い出来る?」 

「キュー」

 ヒレを高々と上げてレインが鳴いた。任せてって合図だと思う。

「よろしくね。しかしあの下級精霊の子は一言もしゃべらなかったね。ここが嫌だったのかな?」

「お姉ちゃんが思うに、あの子はただ無口な子よ。周りを興味深そうに観察していたから、嫌って事は無いと思うわ」

「それなら良かった。じゃあまずは土を混ぜ込まないとね」

 畑の土を掘り起こし次々と収納する。後はすり鉢に生きている土と混ぜ合わせて、シャベルで優しく混ぜる。

 ハンマーでゴリゴリ掻き混ぜようかとも思ったが、微生物が死滅しそうで出来なかった。微生物って何をしても大丈夫なのか、何をしたら危険なのかまったく分からなくて不安だ。生きている土と畑の土を混ぜ合わせては収納するを繰り返す。 

「ようやく全部混ぜ終わったね。畑に戻して完了だ」

 全部の土が均一に混ざった。昨日は上の方に出来るだけ肥料が多くなるように、頑張って調整したのに……なんか泣ける。

 畑に土を戻そうと穴に近づくと、ベルとレインが中で追いかけっこをしていた。狭いスペースが何だか楽しいようだ。

「ベル。レイン。土を戻すから上がって来て」

「はーい」

「キュー」

 二人ともワガママを言わないから助かる。とてもいい子達だ。二人が出た穴に混ぜ込んだ土を、魔法の鞄から直接流し込む。

 生きている土を混ぜ合わせた分、小山のように盛り上がってしまった。岩で囲っておこう。さっそくレインが水を撒いてくれている。死の大地は日差しが強いからこまめに湿らさないとね。凄く助かる。

 あっ、干物を干しておかないと。昨日作った干し台の上に時間毎に分けて干物を並べる。

「かわかすー?」

 ベルがお仕事キターって感じで聞いて来た。瞳が煌めいている。

「ベル。この魚は乾かさなくても良いんだよ。天日でゆっくり干すつもりなんだ」

 あっ。分かりやすいぐらいにガッカリしている。心が痛い。何かお手伝いをして貰わないと。

「あー。あついなー。とってもあつくてたいへんだなー。誰か優しく風を吹かしてくれると助かるなー」

 チラッっとベルを見る。

「べるできるー」

「おお。そうだな。ベルは風の精霊だもんな。お願いして良いかな?」

「はーい」

 満面の笑みで優しい風を俺に当ててくれるベル。可愛い。シルフィとディーネの微笑ましいものを見るような、優しいまなざしが気になるが……ここで文句を言ったら台無しだ。我慢しよう。

 しかし、良い風だな。この風にレインの霧をまとわせたら相当涼しい気がする。問題は幼女精霊とイルカの精霊を利用して、涼を取る自分の姿に自分の良心が耐えられるかだ……出来るだけ我慢しよう。

「ふぅ。とても涼しくなったよ。熱くなったらまたお願い出来る?」

「まかせてー」

 お手伝いに満足したのか、機嫌よくレインの所に飛び去って行った。 

「裕太ちゃん良い子ねー。お姉ちゃん感動したわ」

「良いお父さんになれると思うわ」

 なんだか物凄く恥ずかしい。でもディーネもシルフィも悪気がなく、善意で褒めている事を感じるから文句も言えない。素直に受け止められない自分の心が汚れているんだろう。

「はは……ありがとう。じゃあ次は畑の拡張だから行って来るよ」

 えーっと、確か四倍以上ってって言ってたな。縦、十五メートル。横、十メートル。深さ五メートルで良いか。面積は六倍になるから十分だろう。岩で囲うから五十センチずつ余分に掘らないとな。

 範囲を決めて魔法のシャベルでサクサクと掘り進める。完全に慣れた作業だ。作業開始の時点で完成した姿が予想できる。何かに開眼したのかもしれない。

 スキルでも生えたかと思ってステータスを確認するが、何も生えていない。穴を掘って岩を並べるだけでは駄目なのか。建設とか土木とかのスキルは無いんだろうか?

 くだらない事を考えながら穴を掘り続け、岩を並べる。ハンドオーガーで水捌け用の穴を開ける。作業開始から二時間。もはや職人技だな。これでノモスに言われた事は完了した。後は土を乾かさないように注意するだけだ。
読んで下さってありがとうございます。
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