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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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十八話 肥料作り

 海でひたすら海藻を集める。結構な量になったな。これだけあれば小さな畑なら十分だろう。砂浜で干そうかと思ったが、海水がついているので真水で洗った方が良いよな。

 塩害って聞いた事があるし、畑に塩は良くなさそうだ。ここは休み辛いし井戸に戻って加工するか。小魚も真水で洗った方が良いよな。何となくでやっているから不安でしょうがない。携帯が繋がればネットで調べられるのに。

「たいりょー」

「キュー」

「おお、大量だね。ありがとう」

 二人がちょっと残念そうにしている。またやらないと駄目なんだな。 

「ゴホン。ベル隊員。レイン隊員。任務完了ご苦労であった。小魚を岩の上に置いたのち、休憩を与える」

「いえっさー」

「キュッキュー」

 元気に返事をした後、小魚の山を岩の上に置き、海に遊びに行った。さて、生きている小魚は収納出来ないからな……食べるわけじゃ無いんだから、首を折って収納するか。

 必要な行為とはいえ、次々と小魚の首を折る行為は、精神的に来る。無心で作業するか。

「やっと終わったー」

「お疲れ様。そろそろ日が暮れるけど、岩山の拠点に向かう?」

「そうだね。岩山の拠点で休憩して夕食を取ろう。夜になったらレベル上げをしながら井戸の拠点に戻ろうか」

 ベルとレインを呼び寄せ、シルフィと一緒に岩山の拠点に向かう。岩山の拠点とか井戸の拠点とか言い辛いな。岩山の拠点を海の家。井戸の拠点を泉の家にしよう。ディーネにもちゃんと伝えておかないとな。


 ***


「みんなおはよう」

 泉の家に戻って来て、翌朝皆に挨拶して、作業開始だ。

「ベル。レイン。今日は色々お手伝いして欲しいんだけど大丈夫?」

「おてつだいするー」

「キュー」

 元気いっぱいの返事は気持ちが良いな。思わず頭を撫でてしまう。

「なにするのー?」

「キュ?」

「まずはレインにお願いだね。これを綺麗に洗って欲しいんだ。泉の水を使って綺麗に出来る?」

 魔法の鞄から取り出した大量の小魚と海藻を指差しながら言うと。自信満々に任せてとヒレで自分の胸を叩いた。芸が細かくなって来たな。

「キュイーーー」

 レインが鳴くと、泉から大きな水の玉が浮き上がり、小魚を包み込んだ。おお、凄いな水の中で小魚がグルグル回っている。まるで洗濯機だな。

「あっ。……ディーネ。塩水を地面に撒くのは良く無いよな。あの水ってレインで綺麗に出来るかな?」

「んー。中級精霊になれば、塩の分離ぐらい出来るようになるけど、レインだと難しいわねー」

 水の中級精霊と契約出来れば塩が使い放題って事? 凄いな。いや、今は水の処理をどうするかだ。そもそも海藻に洗浄を掛ければ良かった気が……量が量だし、丸洗いの方が早いか。

「そうか。そこら辺に塩水をまくのも良く無いし。どうしよう」

「魔法の鞄に収納しておけば?」

 シルフィがあっさり解決策を提示してくれた。今思ったんだけど、泉の水を大量に収納して、魚も大量に収納すれば、移動拠点もあるんだし、人が居る場所まで行けるんじゃ……。

 楽しそうに畑の準備を手伝ってくれている二人を見る……まあ、百日以上も歩き続けるのは辛いよね。泉の家でレベル上げをして、シルフィと契約して飛んで行った方が断然楽だ。魔力がBに上がらなかった時に歩く事を考えよう。

「盲点だった。シルフィありがとう」

 洗い終わった小魚を岩の上に出して貰い、水は鞄に収納する。海藻でも同じ作業を繰り返してもらう。

「ゆーた。べるも!」

 自分の番をワクワクして待っていたが、待ちきれなかったらしい。

「そうだね。ベルにはこの小魚に風を当てて乾かして欲しいんだ」

 乾燥した死の大地。強い日差しとベルの風があれば、すぐにカラカラになるだろう。洗い終わった海藻も隣に並べ、こちらも乾かしてもらうようにお願いしておく。

「あの小魚と海藻を粉にして土と混ぜ合わせるの?」

 シルフィは半信半疑のようだ。

「うん。その通りなんだけど、分量とか海藻で良いのかとか、不安でいっぱいなんだ。聞きかじり程度の知識で挑戦しているから、失敗するかも」

 家庭菜園ぐらい挑戦しておけば良かったな。

「まあ、元々どうしようもない状況なんだから失敗して元々ね。やりたいようにやってみなさい」

「うん。やれるだけやってみるよ」

 乾かしている小魚を手に取って確認する。まだ時間が掛かりそうだな。

「ベル。レイン。疲れたら休んで良いから。無理しないようにね」

「はーい」

「キュー」

 ベルはレインにまたがり、小魚と海藻を広げた岩をグルグル回り風を吹かせている。楽しそうだから大丈夫っぽいな。

 小魚を見ると何かが頭の中に引っ掛かる。なんだろう? もう一度じっくり観察する。あっ。干物だ。魚の干物を作れば良いんだ。干物も米が欲しくなるけど、目先を変えるには十分だ。   

 干物って塩水につけて乾かせば良いんだよな? 海水に浸して天日で乾かせば良いのか? いや確かもっと濃い塩分濃度だった気がする。

 うーん。魔法の鞄に収納するから日持ちは気にしなくて良い。なら海水でも減塩干物っぽくて問題無いか? ……挑戦してみるか。

 焼いて美味しかった魚を開き海水で良く洗う。新しい海水を用意して魚を浸す。うーん、どのぐらい浸けておけば良いんだろう?

 魚に塩分が沁み込まないと駄目なんだけど。十分、三十分、一時間で作ってみるか。これは風に当てて急速に乾かすより、天日で時間を掛けた方が美味しそうだ。

 干し台が無いんだよな。これも岩で作るか。岩を三センチ位の幅で切り出し、ノミの先を軽く伸ばして、無数に穴を開ける。細かい作業で地味に面倒だ。

 岩を二つ出して、薄く切って穴を開けた板状の岩を橋になるように置いて完成。十分程浸けた魚を干し台に置く。

 時間が来たら干し台に移動すれば良いな。海藻や小魚が渇くのもまだ時間が掛かりそうだし、どうしよう。ベルやレインに作業を頼んでいるのに、のんびり休憩するのも気まずい。

 小魚や海藻を粉にする方法を考えるか。石臼……形は分かるけど、噛み合わせに微妙な調整が必要だったはずだ。やめておこう。

 単純に考えると、すり鉢みたいな物を岩で作って、ハンマーでゴリゴリ擦れば良いか。食べ物じゃないんだし多少岩が削れても問題無い。さっそくすり鉢の作成だ。

 小魚も海藻も大量にあるし、大き目の方が良いな。二メートルの正六面体の岩を取り出し、すり鉢状になるようにシャベルをさしこむ。

 微妙な凹凸はすり潰すのに役立ちそうだから修正しなくても良い。おおまかな形を作れば良いだけだから直ぐに終わる。サバイバルナイフで切り刻んだ後、ハンマーですり潰せば何とかなるだろう。

 三十分海水に浸けた魚を干し台に移し、再び手持無沙汰になる。楽で良いんだが効率が良すぎるのも考え物だな。

 ……食器を増やすか。久しぶりにコーヒーも飲みたいし、マグカップも作っておこう。インスタントコーヒーだから偶に飲むぐらいなら当分持つはずだ。

 考えたら急に飲みたくなって来た。今まではそんな余裕が無かったから、良い事なんだろう。普段はコーヒースプーン一杯にクリープを二杯。スティックシュガーを半分が俺のマストなんだけど、コーヒーとクリープは一杯にして、砂糖も三分の一にしよう。

 今の俺なら普段と違っていても美味しく味わえるはずだ。夕食の後に優雅に飲もう。楽しみだ。気合を入れてマグカップを作り、平皿、スープ皿、箸、スプーン。思いつく限りの物を作成する。

 熱中し過ぎて一時間で魚を移すのを忘れてしまった。シルフィが注意してくれなかったらヤバかったな。

 物作りで時間を消化しているとベルとレインが飛んで来た。

「かわいたー」

「キュー」

「おっ。二人ともお手伝いありがとな。とっても助かるぞ」

「ふひ。えらいー?」

「キュー?」

「ああ、二人ともとっても良い子だ。俺大助かり」

 わーいって感じでベルとレインがじゃれ始める。可愛いな。ぼーっとその光景を眺めていると、シルフィに声を掛けられた。

「裕太。完全に慈愛に満ちた表情をしてるわよ」

 はっと正気に戻る。子供と動物の組み合わせは卑怯だと言いたい。どう考えても可愛い。

「あー、乾いた小魚と海藻を切らないとね。行こうか」

 シルフィの方を向かないで、魚と海藻の所に向かう。触ってみるとカラカラに乾いている。これなら粉々に出来る。

 小魚と海藻をまとめて、サバイバルナイフを伸ばし、切り刻む為に軽く振り落とす。スパッっと下の岩まで切れる。

 ……そうだよね。岩とかこれで加工した事があるもん。岩が切れるのも当然だよね。サバイバルナイフもノコギリも両方スパスパ切れるから、形以外に違いが良く分からない。

 下にシャベルを敷くか……シャベルが切れたらショック過ぎるからやめておこう。町に行く事が出来たら普通の刃物も入手しよう。今回は岩を切らないように注意して刻むしかないな。

 慎重に切り刻んで巨大すり鉢に移す。ハンマーを五十センチ程の大きさにして小魚と海藻をすり潰すように掻き混ぜる。

「こなごなー」

「キュキュキュー」

「おう。二人が良く乾かしてくれたから、粉々になるよ」

 ベルとレインが興味深そうにすり鉢の中をのぞいている。

 落ちたら危ないと注意しようとしたが、飛べることを思い出し止めておく。そもそも巻き込まれたとして、精霊に物理攻撃が効くのか?

 あれ? 普通は見えない触れないだから攻撃も効かないだろうけど、俺は見えるし触れるんだよな。これって後で確認しないと不味い。戦闘時にはでっかいハンマーを振り回しているんだ、巻き込んだら洒落にならない。

 ゴリゴリゴリゴリハンマーを回しながら、確認するべき項目を考える。もし精霊を攻撃できるようなら俺って危険人物になるんじゃないのか?

 ここで精霊たちに見捨てられたらかなりショックだ。黙っておくべきか……無理だな。ベルとレインを巻き込んだらそれはそれで死んでしまう気がする。
読んで下さってありがとうございます。
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