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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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十話 命名

 井戸を塞いだ大岩に穴を掘り寝床を作る。流石に料理をするスペースは無いのでカルボナーラソース付きの食パンと、普通の食パンの二枚を食べて空腹を満たす。

 カルボナーラソース付きの食パンは美味しかったが、結局今日は食パン三枚しか食べていない。食料を切り詰めないといけないのが微妙に侘しい。

 ここ二日、結構運動しているのに食事が満足に取れないのが辛い。海で食料を大量ゲットして、お腹がはち切れそうなぐらい食べよう。

 やる事は沢山あるが、空腹で倒れる前に食料の確保を頑張らないと。そう言えばまたやる事が増えたんだよな。移動型の拠点を作成して魔法の鞄に収納しておけば、何時でも身を守れるし休憩も取れる。

 これも身の安全を確保する意味では、出来るだけ早く取り掛かりたい案件だ。岩山から出来るだけ大きな岩を切り出して、ある程度快適に生活出来るようにすれば死の大地での行動も楽になる。忘れないようにしないと。

「裕太。今日はレベル上げをするの?」

 食事が終わって考え事をしているとシルフィが話しかけて来た。

「うーん、レベルは上げておきたいけど……シルフィは水の精霊を迎えに行ってくれるんだよね? 寝る時間が無くなるよ」

「そんな事気にしないで良いわ。精霊は眠るけど絶対に眠らないといけない訳じゃないもの。普段でも何日も寝ない事があるわ」

 精霊って便利なんだな。羨ましいような、羨ましくないような。まあ、眠りたい時に眠れるのが一番の幸せなのかも。人間だからそう思うだけかな?

「じゃあレベル上げをお願いしたいな」

「分かったわ。じゃあさっそく行きましょうか」

「了解」

 シルフィの後に続き見つけ次第ゾンビとスケルトンを叩き潰す。スケルトンは魔石や武器が手に入るから美味しい相手だ。ゾンビは叩き潰すだけで、魔石の回収は諦める。

 もはや作業をしているようだ。地道にスライムを倒してレベル上げをしている感覚だな。でも倒す相手がゾンビとスケルトンなのが悲しい。もっとファンタジーな感じの魔物が、レベル上げの相手だったら良かったのに。

 ゾンビとスケルトンがうごめく大地って、ファンタジーって言うよりホラーのカテゴリーだよね。精霊に出会って無かったらパニックムービーの世界に迷い込んだと勘違いしてそうだ。

 くだらない事を考えながら、三時間程ゾンビとスケルトンを倒し続けて井戸に戻る。

「裕太レベルは上がった?」

「ちょっと待って。今から見てみるね」

 ステータスと唱えて目の前に現れた画面を確認する。この瞬間は何回見てもドキドキする。行動の成果が目に見えるのは励みになるよね。

 名前 森園 裕太
 レベル 12 
 体力  D  
 魔力  D
 力   D
 知力  C
 器用  B
 運   B

 ユニークスキル
 言語理解
 開拓ツール 

 スキル
 生活魔法

「おっ。レベルが十二になって、体力、魔力、器用が一つランクアップしたよ」

「あら、それならこの子と契約出来るわね」

「けいやくー」

 幼女精霊が手足をバタつかせて騒いでいる。契約を喜んでくれているのか?

「さっそく契約する?」

「俺はありがたいけど、幼女精霊は簡単に俺と契約しても良いのか? あと契約に何か準備とかいらないの?」

「ふふ、裕太は精霊と話せて、姿が見えて、触れるのよ。かなりの好物件なんだからこの子に文句なんか無いわ。あと別に契約に準備は必要無いわ。気配ぐらいしか感じ取れない人は、契約するために色々準備が必要だけどね」

 なんか物件みたいな選ばれ方だな。まあ問題無いのなら良いか。準備が簡単な事に文句を言う程難儀な性格はしてないはずだ。

「そう言えば精霊にとって、契約はどんなメリットがあるんだ?」

 俺にとってはメリットしかないけど、精霊にとってはデメリットしかない気がする。力を貸して契約者を守らなきゃいけないぶん大変なだけだ。

「精霊にもメリットはあるわ。契約する事でこの世界との結びつきが強くなり、魔力を貰って力を行使する事で精霊の階位が上がりやすくなるの。簡単に言えばレベルが上がりやすくなるって事ね」

「嫌な奴に利用されるリスクを負ってまで契約する程魅力的なのか?」

 テンプレだと契約した精霊を酷使して怒りをかうとかありそうなんだけど。肝心な所で力を失ってざまぁされるパターンだな。

「契約って言っても精霊が力を貸す立場だから、不愉快になったら契約解除すれば良いだけよ。まあ嫌な奴と契約する事自体ほとんど無いんだけどね」

 なんだ。嫌になったら辞めれるのか。それってかなり精霊側に有利な契約なんだな。それなら気分で契約するのも有り得るか。気に入らないなら契約を打ち切れば良いんだ。精霊側はお試し契約期間とか設けてそうだな。

「魔力を渡すのはどんな感じなんだ? いっきに魔力を持って行かれて大丈夫なのか?」

「契約したら、常に少しだけ精霊に魔力が流れるの。それがあるから、契約精霊の力の限界を超える要求でも出さない限り、魔力を急激に持って行かれるなんて事はないわね」

 普段から魔力をストックしている感じか?

「幼女精霊だと全力を出したらどの位の事が出来るんだ?」

「何処までが全力と判断するか難しいのだけど……ここら一帯を暴風で吹き飛ばすぐらいは出来るわね」

 下級精霊って意外と洒落にならない力を持ってるんだな。幼女なのに。

「なるほど。じゃあ、幼女精霊。俺と契約してくれるか?」

「いいよー」

 か、軽い。俺は契約しやすらしいけど、苦労を重ねて精霊と契約したのに、あっさり契約を打ち切られたりしたら、かなりのショックだろうな。

「シルフィ、どうすれば良いんだ?」

「そうねこの子は対外的な名前を持ってないから名前を付けてあげて。この子が名前を受け入れれば契約完了よ。名前を持っている精霊の場合はもうひと手間掛かるけどね」

「名前を付けるだけで良いのか。確かに手段としては簡単だな」

 名前を考えるのがひたすら難しいけど。風の精霊だから風子とか安直なのは駄目だろうな。ファンタジーだし、風にちなんだ洋風の名前の方が良いよな。

 風は英語でウインドだからウイン……これも安直だ。ブリーズも響きが幼女には合わない気がする。……英語以外で風の単語を知らないのが辛い。

 方向性を変えて風に関する女神はどうだろう。アウラとかニンリルぐらいしか知らないけど、良い名前な気がする。……よく考えたらアウラもニンリルも、神話では碌な目に遭っていないんだよな。幼女にそんな名前を付けるのは躊躇われる。

 難しい。風に関するもので可愛い響きの言葉が何か無いか? ……嵐……ストーム……風鈴……ウインドベル。ウインドベルは良い気がする。もうこれ以外は思いつけないよ。それに飛びながら楽しそうに笑う幼女精霊にもマッチしている気がする。うん、これで行こう。

「決まったよ」

「裕太。かなり悩んでたけど大丈夫?」

 脳を使い過ぎて糖分補給がしたくなる位には悩んだな。ゲームで名前を付けるのと違ってプレッシャーがハンパなかった。

「ああ、変な名前を付ける訳にもいかないし、かなり悩んだけど何とか良い名前が思いつけたと思う」

「どんな名前なのかしら。期待しているわ」

 お願いだからプレッシャーを掛けないで欲しい。俺が悩んでいる間に退屈して飛び回っていた幼女精霊を手招きして呼び寄せる。

「君の名前はウインドベル。通称ベルだ。風に吹かれて綺麗な音を鳴らすガラスの鈴からとった名前だけど、どうかな?」

「ういんどべる。べる!」

 自分の名前を繰り返しながらニコニコしている。気に入ってくれたか? 幼女精霊がいきなり胸に飛び込んで来た。慌てて抱っこすると軽いが確かな重みを感じる。精霊の体はどうなってるんだ? 不思議がいっぱいだな。

「べる!」

 腕の中で俺を見上げながら宣言するベル。今さっき俺が名付けたんだから知ってるんだけどね。頭を撫でながら聞いてみる。

「えーっと。気に入ってくれた?」

「うん」

「ふふ。ウインドベルのベルね。良い名前だと思うわよ。これで契約成立ね。おめでとう裕太、ベル」

「はは。気に入って貰えて良かったよ。でも契約成立したのに、何かが変わったようには感じないぞ。ちゃんと契約出来てるのか?」

 なんか精霊の力が流れ込んで来るとか、ベルが中級精霊に進化するとかイベントがあっても良さそうなものだが。

「ちゃんと契約出来ているわ。試しにベルに頼みごとをしてみると良いわ。軽く浮くぐらいなら出来るはずよ」

 おお、テンションが上がるイベント発生だな。腕の中でニコニコしているベルにお願いしてみる。

「ベル。軽く浮いて見たいんだけど、お願い出来る?」

「いいよー」

「おっ。おー。浮いてる。俺今飛んでるんだよな? 凄い。凄いよベル」

 俺は今重力のくびきから解き放たれた。風に飛ばされるのかと思っていたけど、違うんだな。確かに体の周りに優しい風が流れているのは感じるが、それ以外は殆ど何も感じない。体験した事無いけど、無重力空間ってこんな感じなのかも。

「へへー。べるすごい!」

 暫く空中をゆらゆらと漂って、地面に着陸する。感動した。異世界に来て短い期間でも色々大変だったけど、苦労が報われた気がする。

「ベル。ありがとう。空を飛べてとても楽しかった」

「べるにおまかせー」

 ベルにお礼を言うと、褒められて嬉しかったのかキャッキャと笑いながら飛び回っている。なんか父性に目覚めそうだ。

「ちゃんと契約出来ていたでしょ」

「ああ。自分の身で効果を確認したから間違い無いな。凄い体験が出来たよ」

「喜んでもらえたのなら良かったわ。もう遅いけどそろそろ休む?」

「どうしよう。多分疲れはあるんだけど、空を飛んだ興奮でまだ眠れそうに無いよ。シルフィとベルが大丈夫なら、ゴーストとレイスの討伐に挑戦してみたいんだけどどうかな?」

「良いわよ。私もベルもこれ位で疲れたりなんかしないから問題無いけど、裕太は無茶をしないようにね。無理をすると思わぬ不覚を取ったりするんだから」

 シルフィってこういう時は年上の威厳を感じる。そう言えばシルフィって何歳なんだろう? 精霊に歳の話は危険なんだろうか? 触らぬ神に何とやらだな。好奇心で怒りを買ったら洒落にならない。歳に関する疑問は思いつかなかった事にしよう。

「了解。一度ゴーストとレイスと戦えば満足だから直ぐに戻るよ」

 明日も予定は詰まっているんだ。効果を確認して満足したらスッキリと眠れるだろう。楽しみだな。
読んで下さってありがとうございます。

感想でご指摘を頂き、魔法のバールのようなものに変更しました。

感想は全て読ませて頂いていますが、余裕が無くて返信で来ておらず申し訳ありません。
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