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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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一話 スーパーから出ると……

 森園 裕太 二十五歳 社会人 スーパーから出ると目の前に荒野が広がっています………………助けてください。

 何でこうなった? 何時からスーパーの自動ドアは荒野直通になったんだ。後ろを向いてもあるはずの自動ドアは無い。鞄からスマホとタブレットを取り出し、電波を確認すると両方共圏外になっている。

 待ちに待ったゴールデンウイーク。上手に有給休暇が取得でき十一連休をゲットした。優雅に引き籠って積んである漫画やラノベ、ゲームを消化するために大量の食品を買いにスーパーに向かった。

 大量のインスタント食品。レトルト食品。冷凍食品。缶詰。ケース買いしたプレミアムなビール。お気に入りのウイスキーと日本酒。ワインも赤と白を揃えた。酎ハイ。各種おつまみ。お菓子もたっぷりと買い込んだ。テンションマックスだったな。

 一人で運べないのでカートを満載にして駐車場に向かったはずだ……何故か荒野に到着したけど。そのカートは目の前にある。冷凍食品ってどのぐらい持つんだろう? 厳しい日差しがサンサンとカートに降りそそいでいる。

 訳が分からないがジッとしていてもしょうがない。人を探そう。辺り一面が赤茶けた大地。遠目には切り立った塔のような岩山が見える。まるでテレビで見たアメリカのモニュメントバレーのような風景だ。

 ……詰んだ。何だか視線が高いなーっと思っていたけど、どうやら俺は岩山の上にいるようです。ぐるっと回ってみましたが降りる場所はありません。インドア派です。ロッククライミングとかやった事ありません。

 ここってアメリカなのか? 周りには道も無い。車は通りそうにないな。飛行機でも飛んでくれば見つけてくれるかもしれない。SOSの文字でも作っておくべきかもしれない。

 周りを見渡すが岩しかない……同じ色の岩でSOSを作ったって目立たないよな。カートの食料を使うか? 個別に並べたら目立ちそうだけど、個別にして地面に置けば冷凍食品は急速に溶けてしまいそうだ。

 取り合えず冷凍食品はひとまとめにして、他の食品や飲み物でSOSの文字を作るか。ウイスキーや日本酒やワインに直射日光……泣きそうだ。

 でもガラスだから光の反射が期待できる。流石にこの状況で全部を飲み干す訳にもいかない。各種三本も買ったのに……直ぐに助けが来れば大丈夫か。お願いします、お酒が悪くなる前に見つけてください。覚悟を決めて食品を並べようとカートに向かう。 

 ……日差しで脳がやられたか? カートの上に幼女がいるのが見える。幼女はビニール袋の中を興味深そうにのぞき込んでいる。

 二歳ぐらいか? 葉っぱのような服を着ていて可愛らしい。さっきまではいなかったはずだが……知らない間に荒野に居て、知らない間に幼女をゲット。……まずいな社会的に抹殺される気がする。

 俺にロリの趣味は無いんだが信じて貰えるだろうか? ここがアメリカだとしたら銃殺される危険もありそうだ。状況が良くなったのか悪くなったのか激しく疑問です。

「あー、お嬢ちゃん。なんでこんな所に居るのかな? 親御さんは何処に居るの? 出来れば助けて欲しいんだけど」

 意を決して話しかけるとキョトンとした表情でこちらを見る。驚かしちゃったか? 出来れば泣かないで欲しい。子供をあやす技術なんて持ってないよ。

 幼女は不思議そうにこちらを見て、首をコテンと傾げながら自分の事を指差した。可愛い。

「うん。君だよ。お父さんかお母さんは何処に居るの?」

 もう一度驚かせないように出来るだけ優しく尋ねる。幼女は何故か浮かび上がって左右にふわりふわりと移動する。

 幼女のふわふわでクリンクリンした、輝くようなエメラルドグリーンの髪を見た時。もしかしてって思ったけど、飛ばれたらもう駄目だ。

 就職してはや三年。確かにオタク趣味を持ってはいるが、黒い歴史を生み出す若い心は封印したはずだった。でもエメラルドグリーンの髪でプカリと空を飛ぶ幼女を見てしまっては、異世界転移を疑わざるを得ない。

 ちょっとワクワクしている自分が恥ずかしい。ふわりふわりしている幼女につられて顔を動かす。逃げ場のない切り立った岩山のテッペン……この子が危険な生物では無い事を祈ろう。

「みえてる?」

 もう一度コテンと首を傾げながら聞いて来る幼女。

「見えてるよ」

 バッチリ見えてます。普通は見えない存在なのか?

「こえもきこえる?」

「うん。声も聞こえてるね」

「ふおお、しゅごい!」

 急に幼女のテンションが上がり、空中でクルクル回りながら手足をワキワキしている。何が起こった?

「えーっと、ちょっと落ち着いて。君の事が見えるのは珍しい事なの?」

「うん。せいれいがみえるのってしゅごいの!」

 ……せいれいって精霊? うーん、ファンタジーな世界確定だな。見えるのが凄いって事はチートを貰えたのか?

 なんか可愛いな。思わず頭を撫でてしまう。ふわふわだな。

「ふおおおおお。さわれる。せいれいにさわれる。すごいのー」

 おうふ。興奮度がマックスだな。空中でそんなにクルクル回って目が回らないのか? 取り合えず落ち着いてもらわないとな。

「えーっと、君は精霊なんだね。お名前は?」

「なまえ? なまえはね……なまえはひみつなの。かんたんにおしえたらだめなんだから」

 危なかったーみたいな表情でこっちを見ている。いや騙す気なんて無いよ。

「そっかー秘密なんだ。聞いちゃってごめんね。じゃあここが何処か教えてくれる?」

「ここはねー、しのだいちだよ」

 二パって笑いながら教えてくれた。可愛いけど教えてくれた名前は物騒な気がする。もしかして死の大地? 洒落になってないな。

「そうなんだ。近くに人が住んで居る場所はある?」

「ひと? しらないー」

 ……知らないんだ。子供だから分からないのか?

「えーっと。ここから降りたいんだけど、どうにか出来ない?」

「??? おりるの? どうやって?」

 いかん。会話になってない。かなりピンチな気がする。どうにかしないとヤバい。

「ねえ、人の事を知ってそうで、ここに来てくれる精霊を知らない? 知ってたらここに連れて来てくれたら嬉しいんだけど」

「しってるー。いってくるねー」

「あっ、ちょっと待って……」

「ぎゅーん」っと声を出しながら幼女が飛んで行った。凄いスピードだ……ちゃんと戻って来てくれるのか不安だ。もしかして今の俺って幼女に命運を握られてる? 考えれば考えるほど不安になる。

 考えるのを止めて荷物を整理しよう。冷たい物は冷たい物でまとめて、出来るだけ日が当たらないようにカートの下に置く。

 まだ冷たくて硬度もあるから大丈夫だけど直ぐに駄目になりそうだ。一応インスタント食品やビールの段ボールケースで日陰を作っておこう。レトルトの方は大丈夫だけど冷凍食品は如何したら良いんだろう?

 カートでごそごそとやっていると背後から「キャッキャ」と笑い声が聞こえた。振り向くと幼女の精霊を抱っこした、綺麗な女性が立っていた。戻って来るのが早いな。

 同じエメラルドグリーンの髪だからお母さん? でも幼女はふわふわな髪だけどお母さんの方はサラサラストレートだから、違う可能性もあるな。そもそも精霊が子供を産むのか気になる所だ。

「初めまして。森園 裕太と申します。お呼び立てして申し訳ありません」

「ふふ、構わないわ。でも本当に私達の姿が見えるのね」

 しかし綺麗な人だな。いや、人じゃ無くて精霊か。透き通るような白い肌。サラサラの髪。海外のスーパモデルみたいな体型だ。なんか綺麗でカッコいい女性だな。

「はい。見える事は珍しい事なんですか? 違和感も無く普通に見えているので、良く分からないんです」

「そうね。とても珍しいわ。精霊に対して親和性がある者達でも何となく気配が分かるぐらいで、声が聞こえる事すら稀ね。姿が見えて触れる事が出来るなんて、あなた本当に人間なの?」

 おお、チート? 俺tueeeee出来るかもしれない。封印したはずの中学生時代の心がうずく。

「そんなに珍しいんですね。人間をやめた覚えは無いので人間だと思います。精霊が見えると言うのはどんな事が出来るんでしょうか?」

 ワクワクして来た。社会人として帰還方法を考えるのが真っ当な思考なはずだが……父さん。母さん。兄。姉。ごめんなさい。

「そうね。精霊が見えて話が出来るんだから、精霊と契約しやすくなるわね。精霊と契約できる人って殆どいないから、かなり有利になると思うわよ」

「おお、凄そうですね。不躾ぶしつけですがあなたとの契約をお願いした場合は契約可能ですか?」

 こんな美人の精霊と契約出来たら凄い幸せだよね。

「ふふ、無理ね」

「駄目ですか。残念です」

 結構ショックだ。

「駄目って訳じゃ無いのよ。あなたとの契約は面白そうなんだけど、単純にあなたの魔力が足りないの。私どころかこの子との契約でも魔力が足りないわ」

 幼女の頭を撫でながら微笑むお姉さん精霊。俺の魔力が足りないのか。

「魔力が上がれば契約してくれますか? いえそもそも魔力って上がるんですか?」

 それ以前に魔力が有るんだな。剣と魔法の世界なのかも。

「レベルが上がれば魔力も上がるわよ。あなたは面白そうだから、最低限の魔力で契約してあげるから頑張ってね。ああ、名乗ってなかったわね。私は風の大精霊シルフィ。よろしくね」

 レベルがあるのか。完全にファンタジーな世界だな。最低限の魔力ってどのぐらいなんだ? しかも大精霊って凄そうだ。

「あれ? その子に精霊は簡単に名前を教えては駄目だって言われたんですけど、大丈夫なんですか?」

「ああ、この子達みたいなまだ幼い下級精霊は、対外的な名前を持っていないの。私のシルフィも対外的な名前なのよ。もしこの子と契約する場合はあなたが名前を付けてあげてね」

「名前ですか。機会があれば頑張って考えますが難しいですね」

 幼女精霊がキラキラした瞳で見つめて来る。名前が欲しいの? 名前を付けるのって難しいから自信が無いな。いやそれよりもこの場所を脱出する方法を教えて貰わないと。死の大地に取り残されるとか勘弁して欲しいからな。
読んで下さってありがとうございます。
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