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現実:食-調理法 ステーキを美味しく食べる方法 - 「低温調理(真空調理法)」 - または「低温低速加熱」+α

単に「ステーキ」と言った場合には牛肉を使用した「ビーフステーキ」を指すことが多い。

ビフテキ……うま……

▼ステーキを美味しく食べる低温調理法:


 ステーキの美味しさは、香り、色、温度、食感、味わいで決まります。

この中で最も難しいのが食感、軟らかさの実現です。

肉の軟らかさは筋繊維の強度と保水性で決まります。

ステーキを美味しく食べる低温調理法のやり方と焼き方をご紹介します。



 一般的にステーキの焼き方として広く知られているのは、

「フライパンを煙が出るほど高温に温め、

塩胡椒をした肉を入れたら表面を焼き付けてひっくり返し、

反対側も同様に焼いて中の肉汁を閉じ込める」

方法です。


 ですが実はこの焼き方が一般的になったのは19世紀からのことで、

21世紀現在ではステーキを美味しく焼くには適さないとされています。

というのも、肉の表面を焼き固めても肉汁の流出を防ぐことができないことが

実験から明らかになったからです。

確かに逆にじわじわ加熱すると肉が固くならないというのはわかります。


 さて、お肉をジュ―シ―にやわらかく仕上げるには、

お肉の中心温度が65℃を超えないようにすることがポイントです。


 単に「フライパンを高温に熱してから肉を焼く」と

エネルギーが急速に素材に伝わるため肉の温度が65℃を超えてしまい、

温度が高ければ高いほど当然細胞がギュッと収縮して縮み具合が大きくなり

素材から一気に水分が放出されると同時に肉質が固くなります。

これでは余分なアクや臭みが完全に出切らないまま表面だけが焼きあがってしまいます。


 またそれにより肉の中にあった旨みの肉汁がどんどん外に流出してしまいますので、

内部のお肉も固くなってしまうのです。


 なぜ中心温度65℃を超えると、肉汁が流出してしまうのでしょうか。

それはお肉の繊維を束ねているコラーゲンが、

65℃を超えた時点で一気に縮んでしまい、

その反動で内部の肉汁が急激に外へ流れ出てしまうためです。


 だからこの状態でさらに加熱を続けると、コラーゲン組織が緩み、

その隙間からどんどん肉汁が絞り出され、お肉が固くなってしまうのです。



 また、近年ではグルタミン酸やグアニル酸、イノシン酸に代表される

旨味成分と同じように、アミノ酸結合である肉のペプチドも、

味わいの向上に役立つと言われており、

このペプチドは60℃で6時間、

遊離アミノ酸は40℃で6時間加熱した時に最も生成されるので、

高温短時間調理では十分に肉の旨味を引き出すことはできないのです。


 更に肉のタンパク質にはおおまかに、

ミオシンとアクチンという二種類があり、

端的に言うとミオシンの変性は肉を美味しくするが、

アクチンの変性は肉を硬くして水分を外に逃がしてしまうことから味を落とすという。


 それでこのアクチンの変性温度は66~73度程度といわれている

(但し環境や食材の状態による)ので、

いきなり高温で加熱するフライパンや鍋調理ではなく、

一定の温度でじっくり火をいれると水分が逃げにくく、

矢張りジューシーに仕上がるということだ。



 このように筋肉タンパク質は、


コラーゲン 超硬いタンパク質。繊維状で水に溶けにくい。

ミオシン  やわらかいタンパク質。変性は肉を美味しくする。

アクチン  やわらかいタンパク質。変性は水分を外に逃がし肉を硬くし味を落とす。


の3種類に大きく分けられるのです。



▼ステーキを美味しく食べる低温調理法のやり方と焼き方:


○ステーキの美味しさと温度:


 さて、ステーキの焼き方には

レア、ミディアムレア、ミディアム、ウェルダンの4種類があります。


・レアは中心温度が55℃~60℃以下で中の肉は赤く、

ほとんど生ですが、ちゃんと火が通っているので肉汁は多く軟らかい食感です。


・ミディアミレアは中心温度が60℃~65℃以下で、

しっとりと軟らかく肉汁もたっぷり残っています。


・ミディアムは中心部分が65℃~70℃で瑞々しさが薄れ、

油脂を感じるようになります。


肉の中心が70℃以上になると

・ウェルダンで、赤味がなくなりパサついて硬くなります。



 また素材の成分は加熱の温度によって次のように段階を経て変化してゆきます。


40℃    ・遊離アミノ酸は6時間加熱した時に生成。


40~50℃  ・肉などの細胞の細胞膜や筋膜が収縮する温度帯。


45~55℃  ・余分な代謝物(細胞外の水分)を放出する温度帯(アクが出る温度帯)


50℃    ・ミオシンが変性を開始し、収縮して弾力が生まれる。


55~60℃  ・レア、肉汁は多く軟らかい食感。


56℃    ・コラーゲンが変性を開始しゆっくりと溶けていき、やがてゼラチン質になる。


60℃    ・肉の色が変色し始める、

        ペプチドは6時間加熱した時に生成。


60~75℃  ・たんぱく質が凝固して成分分解が進みアミノ酸が増加、

        また体内で消化されやすい成分に変成する温度帯。


60~65℃  ・ミディアミレア、しっとりと軟らかく内部に肉汁もたっぷり。


65℃    ・超えた時点でコラーゲンが一気に縮み

         その反動で内部の肉汁が急激に外へ流れ出る。


65~70℃   ・ミディアム、瑞々しさが薄れ油脂を感じる。


66~73℃   ・アクチンの変性温度。「肉汁」を外に排出してしまう。


68~80℃   ・もっともコラーゲンがゼラチンに分解されて柔らかさが高まる温度帯。


70℃以上   ・ウェルダン、赤味がなくなりパサついて硬くなる。



 上記のように肉のたんぱく質は65℃を境に急激に硬さを増し、

食感が悪くなります。理想的な肉の温度は60℃~65℃です。


 しかし、65℃以下であっても短時間では旨味成分は増殖しません。

ましてや焼いている肉の上面は160℃以上、

フライパンに接している下面に至っては200℃以上になります。



 これに対し例えば58℃で長時間、という条件で調理すれば、

コラーゲンが溶け出すには充分な時間で、

しかもアクチンの変性をさせない温度なのです。


 寄って肉の旨味を増しつつ、軟らかさを維持するには

温度を40℃から60℃までゆっくりと時間をかけて上げていくことが大切です。

まあこれは野菜にも言えることなのですが。


 中心温度「65℃」といっても、お肉の内部の様子は容易にはわかりません。

ではどうすれば良いのでしょうか。


 その目安が、「浮き上がってきた肉汁」にあります。

お肉の中心温度が65℃近くに熱せられると、

お肉の表面にうっすらと肉汁が浮き上がってきます。


 これがみえたら、お肉をひっくり返すタイミングです!

ひっくり返した裏面の方も、表面にうっすら肉汁が浮かび上がってきたら完成!

お肉は内部がみえにくいので、つい、よく火を通してしまいがちですが、

実は中心温度65℃までの低温焼きが、お肉の旨みを味わうには欠かせないのです。


 野菜もまたゆっくり徐々に温度を上げていくとペクチン質は外側に壁を作り、

そうすれば65 ℃を超えても野菜の旨みは中に閉じ込められたまま。

これで煮えているのにシャキシャキ。 野菜本来の味が味わえるという。



○美味しいステーキの焼き方:


 このように旨味を十分に引き出すには、

比較的低い温度を維持しつつ調理を行う低温調理法が有効ですが

中でも「真空調理法」と「低温加熱調理法」が有名です。


・「真空調理法」は、

真空パックした食材を一定の温度で湯煎して温める方法で、

大型チェーン店や機内食などで用いられています。


 生あるいは焼き目をつけるなどの下処理を施した食材と

調味液をフィルム袋に入れて真空密封し、

TT(temparature time)管理の出来る調理器で材料に

応じた時間と温度設定をして調理されます。


 完全に真空にする機械は一般家庭にはあまり普及していないかもしれませんが、

密封できる保存袋に肉を入れ、

袋の口を開けたまま水に浸けて水圧で空気抜きすれば

それに近い状態にすることができます。

(注:当然のことながら袋の口は水から出しておく)

調理方法は専用の調理器具などもあるが、

湯煎は炊飯器の内釜に湯を張って保温機能を使えば手間がかかりません。

また昨今ではヨーグルトメーカーなる文明の利器も存在する。


 真空パック中で調理、調味が行われるため

材料の風味や旨味を逃さず均一に調理することが可能である。

 空気は水より熱の伝導率が悪いため、

真空にすることにより熱の伝導率が向上するからである。

 また浸透圧により少ない量の調味液が均等に浸透する、

低温で長時間加熱することにより肉類なども柔らかく仕上げることができる。


などの利点がある。


 これは、タンパク質の分水作用温度が68℃であることによる。

タンパク質は63℃から凝固を始め、68℃から水分を分離し始める。


 真空調理法の特徴とは、この分水作用が始まる温度以下で調理可能なことである。

また真空調理法は、別名“低温調理”とも呼ばれる。


 「低温調理」とは、主に肉を加熱する際、

温度を低温に保ったまま時間をかけて行う方法のことで、

肉を柔らかく水分を逃がさないまま調理することができると注目されています。



・「低温加熱調理法」は

オーブンの低温で加熱した後、余熱で温度を上げていく方法です。


 最近出てきた方法のように思えますが、

ローストビーフの調理で、オーブンでじっくり火を入れるのも低温調理です。

温度管理が難しく、特に薄い肉では火が入り易いため技術と細心の注意が必要です。




 また表面を焼くことについてだが

「表面を焼いてうまみを閉じ込める」という表現をよくみるが

実は焼き目をつける理由は「メイラード反応」というものを起こすためのようで

このメイラード反応のなにが大切かというと美味しさの要素である香りと色だ。


 100℃以上の加熱によりメイラード反応が引き起こされるので、

真空調理法や低温調理法で60℃まで温度を上げた肉は

いずれの場合も重量の0.8%の塩を振ってから、熱したフライパンで表面を焼き付けます。

なお、胡椒は焦げてしまうため、焼き上がってから振ります。


 こうして肉を焼いたときにあの食欲をそそる香ばしさが出るのである。

そう、低温調理だけでは香ばしい香りが足りないので焼く必要があるわけだ。

これは調理の一番最後に、高温で一気に焼くのがいい。

普通は一番最初に焼くものかもしれないがそれだと香ばしさが袋のなかに閉じ込められ、

肉全体に染み付き焦げ臭さになってしまうからだ。



 結論として「真空調理」または「低温調理」とよばれるものは

ようは肉が硬くなってしまう68度に達さない温度でかつ確実に均一に火を通すというもののようだ。


 また「真空調理」という料理法は

肉を焼くときなど、たんぱく質が固まり始める温度の、

一歩手前の温度をキープして温めてあげ美味しさを引き出す為のものとして

「1979年にフランスでジョルジュ・プラリュにより

 フォアグラのテリーヌの調理のため開発された調理法のひとつ」とのこと。

「焼く」「蒸す」「煮る」に次ぐ、第四の調理法とも呼ばれる。



 更に「低温低速加熱」と言うのが、

弱火による低温での加熱でうまみを閉じ込める先端調理として注目されています。

しかし、ここで勘違いしてほしくないのは低温加熱ではなく低速加熱が重要なことです。


 低温加熱は肉のうまみ成分を一番引き出す温度

60~75℃の中間70℃程度以上にならないように加熱する調理法です。


 一方、ここで重要視する低速加熱とは、

素材に「ゆっくり」と熱を加えてゆく調理法で加熱の「速度」に焦点をあてます。

低温加熱の70℃に至る過程「低速加熱」こそが美味しさの秘密なのです。



 但し、低温調理は食中毒を引き起こす菌が繁殖する危険性があるため、

実践する際には十分に注意が必要です。


 特に肉の中心温度が40度~55度の間は、菌が活発に活動する温度で、

あまりに長時間に渡りこれらの温度になることのないよう気をつけたい。


 食中毒防止の最低基準温度は75℃程度と言われているが、

これは肉類に付着するさまざまな種類の菌を殺菌するため、

75℃以上で一定時間加熱することが推奨されているという理由です。


 また肉類でも、特に豚肉は寄生虫リスクも大きいため、

これが高温での調理が推奨されてきた理由です。

……事前にアルコール殺菌なりが必須か?


 さて、菌という観点からの焼入れだが、

これは焼くのではなく熱湯に浸けるのでもいいように思える。


 ただし低温調理で使う55度~60度というのは確かに菌が繁殖する温度帯なので

これは調理とは別に75℃以上で一定時間加熱殺菌をする必要があるだろう。

O157は75度の1分の加熱で死滅するようですし。


 でなければ細菌の増殖を抑えて食中毒を防ぐため

調理による加熱後に急速冷却する必要があるが、

これは90分以内に3℃以下にすることが必要とされる。


 このようにして冷却後、冷蔵庫などでの冷蔵保存、

もしくは冷凍保存されたものは必要に応じて湯煎や電子レンジ、

スチームコンベクションなどで再加熱して食事に供する。



 低温調理は活用すればさらにおいしく調理できるからこそ、

安全におこなえるようにしていきたいものです。



 なおこれらと似たものに「コンフィ」という調理法がある。


「コンフィ」とは、

鴨などの肉を油に沈めて低温でゆっくり長時間

(6時間以上)加熱するフランス料理の調理法です。


・油に沈めるため、水溶性の化合物が外に出ず、うまみや肉汁を逃さない

・低温調理のため、肉を加熱しすぎない


という特徴は、まさに真空調理と同じです、

油か真空パックかの違いはあるのでしょうか。


 ただ油に漬かっていると、脂溶性の物質が油に溶け出ます。

なので肉に含まれる脂肪の一部が、

「コンフィ」のほうが「真空調理」より多く流出すると思われます。


 この肉の脂肪には、脂溶性の芳香族化合物が多く含まれ、

肉の香りや風味を決めると言われます。

肉のうち筋肉組織の味は牛肉、豚肉、鶏肉など種類を問わず同じらしく、

脂肪組織だけが味の違いを決めているそうです。


 だとすると肉の中から香りや風味の成分を含む脂肪が

油に流出したかどうかによる違いにより

ジューシーさと味の違いが生まれるのではなのではないでしょうか。




▼湯煎をするやり方:世間でも浸透している「真空調理」に近い作業


 まず、肉にクレイジーソルトなどの香辛料をまぶしてジップロックに入れ、

水中で出来るだけ中の空気を抜いて密封状態にします。


 水を張った鍋の中にジップロックを入れて、水の圧力を利用して、

ジップロック内部の空気を押し出すようにして、封をします。


 鍋にひと回り小さいステンレスのザルを入れ、

その中にジップロックで密封したお肉、お肉が浸かるくらいたっぷりの水をセットします。


 さらにザルの上にキッチンペーパーをセットするのは、

ジップロックが直接鍋に当たらないようにするためです。


 お肉が浮かんでこないように、鍋蓋や耐熱性のある小皿などで軽く重しをします。

あまりに重いものはお肉自体に不要な圧力をかけてしまうので注意しましょう。


 こうすることで、肉が入ったジップロックが鍋の底に沈み、

また、温まった水がジップロック越しに肉に触れることで、

熱が伝わって調理できるようになります。



レア・・・50℃

ミディアムレア・・・54℃

ミディアム・・・58℃ 

ミディアムウェル・・・63℃

ウェルダン・・・70℃以上


で熱を通す。(最低20分以上、できれば2~3時間。6時間以上なら文句なし)


 こうして弱火にかけ、50度になったら火を止め保温します。

これがいわゆる「低温調理」です。

こうしてじっくりと火を入れることで急激な温度変化を防ぎ、

細胞の繊維が縮みにくくなるので牛肉の持つ水分の流出を抑えることが出来ます。


 温度計をお持ちでない方は、50度になったタイミングを計るのが難しいと思います。

第一関節まで指を入れて3秒間我慢できるのが50度前後といわれますが、

古代日本で行われていた神明裁判:盟神探湯くがたちじゃあるまいし

火傷の危険がありますのでやめておきましょう。



 その後焼く前にお肉の両面に、お肉の重さの0.8%相当の塩を振ります。

ちなみに、人間がもっとも美味しく感じる塩分濃度が0.8%で、

人間の体内の塩分濃度とほぼ同じであるためと言われています。

ステーキ以外でも0.8%の塩分であれば美味しくできますよ。



 そしてフライパンに十分な牛脂を入れ温めた後、強火で30秒、

ひっくり返して15秒揚げ焼きします。

表面に美味しそうな焼き色がつけばOKです。所謂「メイラード反応」です。



 火を通したお肉に黒胡椒を振ります。

焼いた後に胡椒を振る理由は、香りを楽しんでもらうためです。

胡椒を振ってから焼くと胡椒が焦げてせっかくの香りが台無しになってしまいます。



 また肉汁を肉の中に閉じ込めるため、

お肉をアルミホイルで包んで約5分休ませます。


 或いは休ませるためにジップロックの中に焼いたばかりの肉を入れ、

再び温水の中に戻し50度のお湯で湯煎、10分ほど5分休ませます。


 なぜなら加熱された肉の内部は細胞内の水分が膨張して暴れている状態で、

その状態で肉を切ると中から肉汁があふれ出してしまいますので

切った時にうまみ成分を逃さないためにも中の水分が落ち着くまで寝かせておくのです。



 そして最後に切り分けて盛り付ければ出来上がり!




▼湯煎をするのも低温加熱も面倒なときは:典型的な古典的な方法


 冷たいフライパンに室温に戻した肉を入れ、

弱火でじっくりと焼く方法がおすすめです。

矢張り家庭でならこの方法が一番手軽に美味しいステーキを味わえるでしょう。


ポイントは3つです。


1.肉を常温に戻すこと

 厚みのある肉や塊肉を焼く場合には、

「最低、調理する30分前には冷蔵庫から取り出し、

常温で置いておく」が正解なのです。


 なぜ、肉を30分もの間、常温に置いておくのか。

その理由は、肉に均一に火を通したいからである。


 冷蔵庫に入れておいた肉は、当然ながら冷えている。

そのまま焼くと、表面はすぐに火が通るのだが中は冷たいままなので

芯まで冷えた肉の中に火が通るには時間がかかり過ぎ

中心温度が60℃に達する頃には外側は焼き過ぎになってしまうのである。


 このように肉が冷えていると

厚みのあるステーキやローストビーフのような塊肉の場合、

中まで火が通る前に表面が真っ黒に焦げカチカチになり、

肉汁や旨味も抜けてしまう。


 そんな羽目に陥らないために、

肉の中まで室温に戻しておくことが大切なのだ。


 できれば肉は夏なら2時間、冬は5~6時間、焼く前に冷蔵庫から出して

肉の温度を20℃~25℃に上げておきます。


 どんなに上等な肉でも、焼く前の準備を間違えば、

美味しい仕上がりにはならない。


 焼く前に室温に戻す、

そんな簡単なひと手間で肉の焼き上手になりましょう。



2.塩は焼く直前に振るようにしてください。

浸透圧の関係から塩をして時間が経つと肉の旨みが外に出てしまいます。


 また焼き上がってから胡椒を振ること

加熱すると風味が薄れ、焦げの原因になります。


3.火加減は弱火で、最後だけ強火にして焼き目をつけること。


 牛脂、無ければバターを入れたフライパンで肉をじっくりと焼きます。

例えウェルダンでも火加減はずっと弱火です。

(その際は、できれば数十分(片面10分の計20分?)から長い時には数時間焼く)

弱火は横から見て火がフライパンに当たらないくらいの強さです。(IH除く)

焼き色が付いてなくても大丈夫です。


 肉の表面にうっすらと水分が見えたらひっくり返し、

指で押してみて弾力があれば中まで火が入ったので

強火でさっと両面に焼き色をつけます。


 この際、一瞬火を強めてメイラード反応で香ばしい焼き色をつけます。

バターや油で揚げるように最初に30秒、裏返して15秒くらい。


 

 こうして最後は温めた皿に移し、アルミホイルで包んで5分ほど休ませて

外に出てしまった肉汁を再び内部に吸わせてから美味しくいただきます。




▼ステーキの焼き方:


 ただしステーキの焼き方は、諸説あり過ぎて実のところどれが正しいのか分かりません。


方法① 強火で一気に:常温に戻した肉を熱々に温めたフライパンで一気に焼く

    今までメジャーだった方法。


方法② 弱火でじっくり:フライパンが冷たい状態から肉を入れ、弱火でじっくり焼く方法。


方法③ 強火で何度も裏返しながら:何度も肉を裏返す事で全体から加熱し、

    旨みを内部に残しながらメイラード反応を行う、強火でありながら弱火の状態を維持する方法。


方法④ オーブンで低温加熱後、強火で焼き色:オーブンで低温加熱する

    多くのレストランで用いられているプロのシェフが用いる方法。



ですが結局のところ旨みを引き出す方法というのは、どれもやっていること自体は同じなのでしょうね。

 元々バーベキューなどでは、塩のみのシンプルな味付けだった。

後にスパイス文化が世界的に広まると、これにコショウやナツメグ等の香辛料が加わった。


 現代では客の好みに応じてレモンソース、マスタードソースのように工夫されたステーキソースが用意される一方、

トマトケチャップやマヨネーズに浸して食べるといった自由度も認知されている。

日本で和風ステーキと銘打ったものは、大根おろしとポン酢醤油やワサビ醤油、

紫蘇・おろしニンニク・おろしショウガなどで味付けをする場合がある。


 ブランデー・ウイスキー・ワイン等でフランベするとより香りが良くなり風味も増す。

臭みがあったり肉にボリュームが足りない場合焼いた素材の上に追加で胡椒やバターを添えることもある。

レモンの輪切りなどレモンが添えられているのは、

ステーキで取りすぎた脂質の吸収を、レモンで抑えるという意味がある。


 牛種や部位によって肉質に差がある。

安価で店頭販売されている質の悪い肉をそのまま加熱調理すると、

噛み切れないほど硬い肉料理が出来上がる事がある。


 そのため、調理前に

ビールや赤ワイン、牛乳やパイナップルジュース、炭酸ドリンクなどの飲料、

玉ねぎや大根、キウイの摺り下ろしなど、

数十分から時には一晩ほど漬け込んで下拵えを行う他、

筋切器ミートテンダーやミートハンマーなどを用い、

事前に肉質を柔らかくしてから加熱して食する調理法などがある。



 故に簡単な下拵えとして、牛肉にフォークで突き刺して穴だらけにしてから

数日ワインに漬け込む(刻んだ玉ねぎを入れてもいい)など事前にしておいてもいいかもしれない。

漬け込んだ後で最後にこれらを煮込んでソースにできますし。


 肉汁が出てもソースとして使えばいいじゃない。特に何も添えずに食べる場合もあるが、

付け合わせにジャガイモ・ニンジン・ブロッコリー・コーンなどの温野菜を盛りつけると肉汁を吸っていい感じに……

パンかライスを添えてもいいが。



なお、下拵えのときに事前にスジは取り除いておきましょう。

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