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父の日
その日も僕は会社で馬車馬の如く働かされていた。

北斗の拳に出てきた、鬼の哭く街カサンドラのウイグル獄長の様な上司に、毎日鞭でひっぱたかれながら服はボロボロ、身体に数えきれないほどの生傷をつくりながらの仕事。

水も満足に与えられない。

仕事中に過労死した者はその場で細かく切り刻まれ、荒れ地に肥料としてまかれる。


「うぅ…こんな仕事もう辞めたい…エジプトのピラミッド作ってた連中だってここまで酷い扱いは受けてなかったはずだ…」


僕は同僚に愚痴をこぼす。


「そう言うなよ。一緒に頑張ろうぜ!そういえばお前、父の日とかになんかやるのか?」


「なっ…乳の日…だと?」


鞭でひっぱたかれたわけでもないのに全身に衝撃が走った。

自分で言うのもなんだが、僕は国民的行事のようなものにかなり疎い。

しかし、まさかそんな日が存在していたなんて今の今まで知らなかった。

乳の日…

どんな日なんだろう。

想像しただけで胸が高鳴る。
僕はドラゴンボールの孫悟空よりワクワクしてしまっていた。


頭からその事が離れない。
仕事でいっぱいいっぱいだったのが一転、脳内はおっぱいおっぱいのトランス状態。

くそっ!
そんな日があったなんて僕は今までどれだけ損をしてきたんだ!

でも具体的に何をする日なんだ?

まさか無断で女性の胸にタッチしても良い日なんて解釈は都合が良すぎるだろう。

うーん、そういえばさっき同僚がプレゼントがどうとか言ってたな。

なるほど。


翌日、僕は女性用の下着売り場にいた。

大量のブラを購入。
会計の際に店員さんは変態を見るような冷たい視線を送っていた。



「えっと…なぜこんなに大量のブラを購入なさるのですか?」


店員さんは恐る恐る聞く。


「ああ。乳の日のプレゼントです!」


「父の日のプレゼントにブラジャーですか!?」


店員さんはやはり蛙の子は蛙、変態の親は変態なんだなというような目で僕を見送った。



翌日会社で、愛すべき女性従業員逹に購入したブラを手渡す。

その度に罵声を浴びせられ、ぶん殴られ、その時初めて自分がうっかり八兵衛もビックリのうっかりをしていたことに気付く。



僕は会社から20年の減給処分を下された。
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