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  幸せのありか 作者:smile
本当のこと
どうもシルヴァさんの様子がおかしかったので、私はなぜかと聞いてみた。
しかし、
「私にはこれ以上のことをお話する権限がありません」
とそれ以上そのことについてシルヴァさんは触れようとはしなかった。
なにか隠している、そんな気がした。
そういえばシルヴァさんは初めから、私が別の世界から来たということを知っていたような。
きっとこの人は私がなんでここにいるのかも知っている。
そして何故かそれを隠そうとしているのだろうか。
いや、違う。隠そうとしているのではなくて、慎重に情報というカードを扱っているのだろう。
これ以上話すのはシルヴァさんたち側にとって不利に働くのだろうか?
今の私から見れば彼らは命の恩人だ。今回は従おう。
「わかりました。今後は気をつけます。」
とにこりと笑って返事をした。シルヴァさんは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になり
「そうお願いします。」
と言って私の手を引いてテントへと導いた。

テントの中にはテーブルの上に簡単な食事が用意されており、シルヴァさんは私を席に着くようにすすめた。
もう他の人は朝ご飯を食べたのだろうか。テーブルに用意された食事は一人分だ。
気になったので聞いてみると
「我々はユリ様との食事を許されるような身分ではございません。」
とやんわりと返された。
ずいぶんと滅茶苦茶な縦社会だ。異国の小娘の身分を持ち上げ過ぎではないか。
昨日から感じていたのだが、私はどうも国賓級の待遇を受けているような気がする。
ただしレッグを除いて。あの人は結構失礼だと思う。
しかしこの待遇と、私がここにいる理由は何か関係がありそうだ。
そのことを頭の片隅に置きつつ、私は食後のデザートとして出てきた得体の知れない果物を咀嚼した。
味は桃に似ていた。嫌いじゃない。

食事を終えると、外に案内させられた。そこには昨日と同じ折りたたみ式の椅子が置かれている。
こんなところで申し訳ないが、ここでお待ちくださいと言ってシルヴァさんは数人の部下を残して去って行った。
どの人も屈強そうな強面ばかり。もし私が敵側なら近づく前に小便をちびりそうだ。
気がつけば次々とのテントが解体されていっている。もしかして、もしかしてだが、
私を王宮に連れていくためだけに、この人数を動かすのだろうか。
一人か二人で十分なのに、ここまでされると逆に恐縮する。
そこまでしてもらう必要はないと、とっさにシルヴァさんを探しに駆け出した。
後ろから先ほどの屈強な戦士たちが追いかけてくる。どうやら私の名前も呼んでいるようだが、
ええい。そんな場合じゃないと、急いでシルヴァさんを探す。
その戦士たちの声に気がついたのか、シルヴァさんも私を探してくれていた。
「シルヴァさん!」
そう言うと、私は強引に彼の手を握り、
「もしかして、ですが、私を王宮に連れていくためだけにこの人数を動かすのですか!?」
私のその形相にシルヴァさんは驚いた様子を見せた。
しかし次に何か考え込むように私を見つめ、頷くと、
「いえ、元々そろそろ王宮に帰ろうとしていたのですよ。この隊がここにいた理由は国境の警備ですからな。
監視体制も一通り整ったので撤退を王に命じられていました。」
と穏やかに言った。私も彼の瞳をじっと見つめる。
嘘はなさそうだ。
ただ、本当のことを言ってないようにも見えた。
「そうですか。私の思いあがりだったんですね。お恥ずかしい限りです。お仕事の邪魔をして申し訳ありませんでした。」
そう言って私はシルヴァさんの手から自らの手を離した。
シルヴァさんは一瞬何か言いたそうだったが、もう言葉は通じない。
私は椅子のあるところに戻ろうと、来た道を引き返す。
後ろから追いかけてきた男たちも再び私についてきた。
小娘のお守なんて、本来この人たちの仕事じゃないだろう。
そんな彼らを見ていたら無性にやるせなくなった。


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