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  幸せのありか 作者:smile
遭難と出会い2
パチパチという焚火の音で目が覚めた。

目の前にある温かいオレンジ色の光をぼんやり見つめていると、後ろから誰か話しかけてきた。
声のしたほうに顔を向けると、そこには栗色の髪色と青い目をした男性が座っている。
何やら鎧のようなものを身につけていて、一瞬中世ヨーロッパのコスプレでもしているのかと思った。
よく見ると整った顔をしており、甘いマスクというより良い意味で男くさい顔をしている。
鎧で隠れてよくわからないが、きっと身体も相当鍛えているのだろう。
そのせいかなぜかその姿がコスプレには見えなかった。寝転がったままじっと彼を見つめていたら
怪訝そうな顔をされたので、どっこらしょと起き上がり
「・・・・・ええと。助けて、くださったんですよね?ありがとございます。」
とぺこりと頭を下げたら急に知らない言語でまくしたてられた。
げっ、変な人だとは思ったけど言語まで違うとは・・・・。
で、でも英語なら通じるかもしれない!
彼の言葉を遮るように
「い、いんぐりっしゅぷりーず」
と言ってみた。しかし彼の眉間の皺が深くなっただけだった。
つ、通じない。まあ、通じたとしても聞き取れるような頭持ってないからいいのだけど・・・。
彼を見ると何か考え事をしているようでそれ以上何か話しかけることが憚れた。
少しの間沈黙が続く。

そして沈黙を破るかのように、ぐぅと私のお腹がなった。

なんて空気の読めない腹の虫。
は、恥ずかしい・・・と思ったが二日も食べてないのである。仕方がない。
意を決して何か食べ物は無いかと声をかけようとしたら
男性が何か投げつけてきた。反射的にそれを受け取ると、それはパンだった。
びっくりして男性を見ると、どうも彼は笑いをこらえているようだ。
さっき眉間に皺を刻んだ表情のまま唇の端が少し上がっている。
ああ、そうですよねこのタイミングは笑えますよね。
人間にお腹が鳴るって機能があってよかった。言葉が通じなくてもご飯が食べられる。
と、すこしばかり開き直りつつ、耳まで真っ赤にして私はそのパンをかじった。

空腹は最高のスパイスっていうのは本当だ。
特に味付けも何もないただのパンがものすごくおいしく感じる。
パンを噛みしめながら生きてる実感に満たされた。
最後の一口を名残惜しみながら飲み込む。まだ足りないけどこれ以上迷惑かけるわけにはいかない。
お礼を再び彼にしようと顔を上げ彼の顔を見た。
なんだ?と言わんばかりに眉を上げこちらを見た彼を確認し、
姿勢を正し、再び地面に顔を向けた。要するに土下座だ。
「ほんっ、とうにありがとうございました!このご恩は一生忘れません!」
言葉は通じなくても気持ちは大体伝わるだろう。
しかし何も反応がない。もしかして土下座ってこの人の文化圏では失礼な行為だったのだろうか。
おそるおそる見上げてみたら、唖然とした表情で彼は私を見ていた。
やってしまった。やっぱり何かまずかったのか。
そんなことを考えていたその時、
「ぶ」
っと吹き出す音が聞こえた。

え?

と思った瞬間彼は腹を抱えて笑っていた。何がそんなに面白かったのか。
彼に馬鹿にされているような気は先ほどからしていたが、
やはりそういうことなのだろうか。
いやいやこの人は命の恩人。多少腹立つこともこの義理の前ではあってはならない。
己の感情を隠すためにも私はへらへらと笑った。
こういうところってつくづく日本人らしいなあと思う。
すると彼はこちらに手を伸ばしたかと思うと、私の頭をわっしゃわっしゃと撫で始めた。
これは確実に子供又は犬扱いされている。
拒絶する勇気もなくされるがままに髪をぼさぼさにされた。


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