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オークすぴりっとガール~その美少女の中身はオークです~ 作者:やみすぴ

第7章

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第47話「新パーティー」(挿し絵あり)

 試験当日。
 空はどんよりと曇り、なんだか憂鬱な気分になりそうな天気だ。
 結局あれからクリスとは会えていない。
 おそらく今日から始める試験は受けていると思うが、今回は生徒によって目的地が異なるため、クリスと会う機会は無さそうだ。

「シンク、列車が着いたみたいブヒ」
「じゃあ降りるか、荷物忘れるなよ」

 俺はアーリアと一緒に魔導列車でタングラルの街へ来ていた。
 以前から聞かされていた通り、今回の試験は他の学院と合同で行なう。
 その学院というのは『タングラル魔法学院』そして『王都聖騎士学院』だ。
 今回は二つの学院の生徒達とパーティーを組んで課題をこなしていくことになる。
 課題をクリアするごとに点数が与えられ、すべての課題の合計点数が一定以上で試験は合格となる。
 ちなみにパーティーを組む他校の生徒はあらかじめ決められており、俺達のコンビはタングラルの街で合流することになっている。

「この街で他の学院の生徒と合流するブヒ?」
「ああ、俺達とパーティーを組む生徒もこの街に来てるはずだ」
「そいつらって、どんな奴ブヒ?」
「今朝ビヒタス先生から渡された紙に書いてあっただろ……ほら」

 俺はアーリアにビヒタス先生から渡された紙を見せる。
 そこには……。

 ~第21パーティー~

 アリアドリ騎士魔法学院 魔法科
 シンク・ストレイア(男)

 アリアドリ騎士魔法学院 特科
 アーリア・セルティン(女)

 タングラル魔法学院 三年
 ゴリラード・ウィンバルク(男)

 王都聖騎士学院 一年
 ロベリア・ルーコット(女)

 集合場所:タングラル魔法学院付属図書館の入り口門前
 集合時間:午前11時
 ※パーティメンバーが揃ったらリーダーを決めること

 ……と書かれている。

「ゴリラードって、なんか強そうな名前ブヒ」

 名前だけ聞くと、筋肉質で大柄な男性の姿が思い浮かぶ。
 いや、名前だけで判断したら失礼だよな……。

「この人は三年だし、きっと俺達より年上だな」
「それじゃあ、こっちのロベリアって女は年下ブヒ?」

 ロベリア・ルーコット……その名前に俺は引っかかるものを感じていた。
 もしかして、この女子生徒は……。

「シンク、急に黙ってどうしたブヒ?」
「いや、なんでもない……この生徒は一年だし、たぶん同い年か年下じゃないか」

 今回の試験はタングラル魔法学院からは三年生、王都聖騎士学院からは一年生が参加している。
 この時期はどちらの学院も試験を行なっているらしく、今回は三校合同で行なうことにしたそうだ。

「待ち合わせの場所はこっちであってるブヒ?」
「ああ、行った事がある場所だから大丈夫だ」

 以前タングラルに来た時にクリスと図書館に行ったので道は分かっている。
 俺達は迷うことなく図書館への道を進んでいく。
 その途中で、三人組の男が女の子を取り囲んでいるのを見つけた。

「へいへい、お嬢ちゃん俺達と遊ぼうよぉ!!」
「アイツらは……」

 それはルクアーヌでアーリアやクリスをナンパしていた三人組の男達だった。
 どうやらまた女の子をナンパしているようだ。

「邪魔よ、どきなさい!!」

 ナンパされている女の子を見ると、赤い髪をした小柄な少女だった。
 背は低く、顔も童顔であきらかに俺よりも年下に見える。
 体の一部を除いて……。

「うっひょー、怒った顔もかわいいねぇ!!でもその大きな胸のほうがもっと素敵だぜ!!」
「お兄さん達と一緒に遊んでくれたら、その大きな胸の正しい使い方を教えてあげるよ!!」

 少女は小柄な体系に似合わないほど豊満な胸をしていた。
 その大きさに思わず見入ってしまいそうになる。
 胸を除けば見た目は12、3歳くらいの少女なのだが……これがロリ巨乳というやつか。

「仕方ない……ちょっと行ってくる、アーリアはここで待ってろ」
「あっ、シンク!?」

 俺は女の子を取り囲む三人組の方へと走っていく。
 さすがに子供が絡まれているのを放っておくわけにはいかない。

「なぁなぁ、お兄さん達と遊ぼうぜ!!お菓子買ってあげるからさ!!」
「おい、そこまでにしておけ」

 そう言うと男達が俺の方に振り返る。

「お、おまえはあの時の……爆乳の彼女と爆乳の妹がいる羨ましい奴!!」

 その覚え方はどうかと思うが、向こうも俺のことを覚えていたようだ。

「また俺達からおっぱいを奪っていくつもりか!!」
「このおっぱいは俺達のもんだぞ!!」
「ロリ巨乳なんて貴重な存在を誰が渡すもんか!!」

 この男達は相変わらずおっぱいが好きなようだ……。
 目の前の少女のおっぱいが素晴らしいことは俺も認める。
 だが……いくらおっぱいが好きでも、やっていいことと悪いことがある。

「そんな子供を無理矢理ナンパするなんて、おまえら何考えてるんだ」
「なっ、子供って……」

 絡まれていた少女が何か言おうとしたが、それを遮るように男達が叫ぶ。

「うるせぇんだよ!!」
「俺達はおっぱいに命かけてんだよ!!」
「むしろロリだからいいんだよ!!」

 ダメだこいつら……。

「口で言ってわからないなら、することは一つ……」
「なんだ……やろうってのかぁ!?あぁ!?」

 もはや誤魔化して、この場を治めようとは思わない。
 いえすロリータ、のータッチ……昔のエロい人が言っていた言葉だ。

「警備兵さーん!!ここに少女をたぶらかそうとしてる犯罪者がいます!!」
「おっ、おい、てめぇ!!」

 男が俺を止めようとするがもう遅い、近くにいた警備兵がこちらに向かって走ってきた。

「警備兵さん、こいつらです」
「ロリコン、殺すべし」

 警備兵はそう言うと、持っていた槍で男達へと襲い掛かる。

「ちくしょう!!逃げるぞ!!」
「くそっ!!せっかくのおっぱいが!!」
「念願のロリ巨乳が目の前にいるのにぃ!!」

 男達は捨て台詞を吐くと走って逃げていく。
 その後ろを警備兵が走って追いかけていった。

「ふぅ、なんとかなったな……えっと大丈夫かい?」

 俺が話しかけると、少女はなぜか不機嫌そうな顔をしていた。

「余計なことしないで……」
「えっ!?」」
「あんなゴミ共、あたし一人でどうにでもなったんだから!!」

 助けたつもりだったのだが、なぜか怒られてしまった。
 自分ではわからないが、何か気に障るようなことでもしただろうか?

「ふん、どうせ『女の子を助けた俺格好いい!!』とか思ってるんでしょ?」
「いや、そんなことは……」

 そもそも俺は警備兵を呼んだだけだし、別に格好いいことなど何もしていない。

「……って、こうしちゃいられない!!急がないと!!」

 少女は慌てた様子で走り出すと、近くにあった宿屋の中へと入っていった。

「助けてもらったのに随分口の悪いガキブヒね」

 アーリアが俺の隣にやってくる。
 あのくらいの歳の娘は色々と難しいのかもしれない。

「急いでて機嫌が悪かったのかもな……ほら、俺達も行こうぜ」

 気を取り直して、俺達は再び図書館への道を歩き始めた。





 しばらくして図書館の入り口へと続く門の前に辿り着く。
 すると魔法学院の制服を着た生徒が立っており、俺達に気がつくとこちらに近寄ってきた。

「あなた達がシンク・ストレイア君とアーリア・セルティンさんですか?」

 そう話しかけてきた生徒の姿に俺は見覚えがあった。

「あなたは……」

 それはクリスと図書館に行った時に出会った、薄い緑色の髪をした美しいエルフの少女だった。
 以前に会った時と同じようになぜか男子の制服を着ている。

挿絵(By みてみん)

「シンクの知り合いブヒ?」
「知り合いというか、前にちょっと会っただけだ」
「なるほど、あなたはあの時の……」

 少女はそう言うと、俺の顔をじっと見つめてくる。
 なんだろう……もしかしてあの時のことをまだ怒っているのだろうか?

「あの時はすみませんでした!!」

 あの時は逃げるような形になってしまったので、ちゃんと謝っておく。

「いえ、あの時のことはもういいです……それよりあなた達が私のパーティーメンバーで間違いないですか?」
「ってことは、おまえがゴリラードブヒ?」

 アーリアがそんなありえない質問をする。
 確かに目の前の少女は魔法学院の制服を着ているが、ゴリラードなんて名前のイメージからは正反対だ。
 そもそもゴリラードさんは男だったはずだ。
 いくら男子の制服を着ているからって……。

「ええ、私がゴリラードです」
「じょ、冗談ですよね!?」

 驚いて思わず聞き返してしまう。

「冗談ではありません、私がゴリラード・ウィンバルクです」

 嘘を言っているようには見えないけど、さすがに違和感を感じる。

「でも、先生から貰った紙には男って……」

 目の前の自称ゴリラードさんは男子の制服を着ているが、服の上からでもわかるくらいバランスのとれた女らしい体系をしている。
 そもそも胸があるし、顔だってどう見ても女にしか見えない。

「キミ達が僕のパーティーメンバーか?」

 後ろから声がしたので振り返ると、腰に立派な剣を携えた赤い髪の少年が立っていた。
 肩に剣の紋章が描いてある制服を着ていることから、おそらく王都聖騎士学院の生徒だ。

挿絵(By みてみん)

「ひょっとして、おまえがロベリアブヒ?」
「いや、それはないだろ」

 ロベリアさんは女性のはずだ。
 目の前の少年は男子の制服を着ているし、身長は俺と同じくらいで体系だって男に見える。
 まあ顔だけ見れば綺麗だし、見間違うことはあるかもしれないが……。

「ああ、僕は王都聖騎士学院一年のロベリア・ルーコットだ」
「えっ、本当にロベリアさんなのか!?」

 ゴリラードさんといい、紙に書いてある性別と実際の性別が噛み合わない。

「そうだと言って……なっ、アンタは!?」

 俺の顔を見て、ロベリアと名乗った少年は驚いた顔をしていた。

「こいつもシンクの知り合いブヒ?」
「いや、初めて会ったはずだけど……」

 記憶には無いが、なんとなく見覚えがあるような気もする。

「気にするな……ちょっと知り合いに似ていただけだ」

 どうやら人違いだったようだ。
 見覚えがあると思ったのも、たぶん気のせいだ。

「それよりもキミ達が僕のパーティーメンバーで間違いないな?」
「ああ、確かにロベリア・ルーコットは俺達のパーティーメンバーだけど……」

 もしかしたら先生から渡された紙に書いてあった情報は間違っていたのかもしれない。
 本当はゴリラードさんが女で、ロベリアが男だったに違いない。
 きっと名前だけ見て、性別を逆に書いてしまったのだろう。

「全員揃ったことですし、改めて自己紹介をしませんか?」
「そうですね、俺もパーティーを組むならお互いの能力くらいは知っておいたほうがいいと思います」

 パートナーのアーリアはともかく、ゴリラードさんとロベリアのことは知っておきたい。

「オレもそう思うブヒ」
「ふん、仕方ないな」

 全員賛成のようだ。

「それでは言い出した私からにしましょう……私はタングラル魔法学院三年のゴリラード・ウィンバルクです。魔法は、全属性、治癒、召喚、錬金術すべての下級魔法を使えます」

 エルフなだけあって、下級ではあるが様々な種類の魔法を使うことができるようだ。

「それだけか?」
「はい、それだけです」

 ロベリアの質問にゴリラードさんがそう答える。

「はぁ……三年のくせに下級魔法しか使えないとかないだろ」
「私は学年でも成績は最下位ですから……今回の試験に落ちれば退学と言われています」

 ゴリラードさんはそんなに成績が悪かったのか……。
 見た目や雰囲気からはそういったイメージはまったく感じないし、そんな大変な状況だとは思わなかった。

「やれやれ、とんだハズレとパーティーを組まされたものだな」

 ロベリアは見下した視線でゴリラードさんを見る。

「そんな言い方ないだろ」
「構いません、次の自己紹介をお願いします」

 ゴリラードさんは気にした様子もなくそう言うと、俺の方を見る。
 本人は気にしていないようだし、今は自己紹介を進めることにする。

「じゃあ次は俺が……アリアドリ騎士魔法学院のシンク・ストレイアです。魔法科の生徒で錬金術を使うことができます。錬金術で作り出した道具を使ったり、武器を使って戦ったりもします」
「魔法は錬金術だけか?」

 ロベリアにそう聞かれたが、創造錬金のことを話すわけにはいかないので黙っておく。

「ああ、そうだけど」
「錬金術しか使えないとか……魔法科のくせにキミも役に立ちそうにないな」

 何か言い返そうとも思ったが、口で言ったところでロベリアは信用しないはずだ。
 俺の力がどの程度かは実戦の時にでも見てもらえばいい。

「おまえはシンクのすごさが全然わかってないブヒ!!」

 俺が黙っているとアーリアがロベリアに反論する。

「キミは?」
「オレはアーリア・セルティンブヒ。武器は剣ブヒ、魔法は治癒と火と光属性の下級魔法が使えるブヒ……そしてシンクのパートナーブヒ!!」

 俺のパートナーと言う時だけ、アーリアはなぜかドヤ顔だった。

「なるほど、アリアドリの学院はパートナー制度だったな」
「おまえの学院は違うブヒ?」
「パートナー制度なんてあるのは聖王国じゃアリアドリの学院だけだ、僕の通う王都聖騎士学院はキミ達のような一般人が通えるような学院とは違う」

 王都聖騎士学院はその名の通り、王都にある騎士になるための学院だ。
 聖王国一のエリート校と言われ、国の優秀な若者達が集められていると聞く。
 卒業できれば騎士になれるのは確実らしく、毎年聖王騎士団に入る生徒を何人も出している。

「それじゃあ最後は僕の紹介をしよう……僕は王都聖騎士学院一年のロベリア・ルーコットだ。剣の腕ならここにいる誰にも負けない、魔法は炎属性の上級魔法を使うことできる。ちなみに学年順位は二位だ」

 ロベリアは自信満々に自分の学年順位まで教えてくれる。

「偉そうなくせに一位じゃないブヒ?」
「そ、それは……」

 空気を読まないアーリアの発言で、ロベリアは黙ってしまう。

「まあいいじゃないか、強い仲間がパーティーにいてくれたほうが心強いだろ?」

 魔法専門ならともかく、騎士専門の学院の生徒が一種類とはいえ上級魔法を使えるのはすごいことだ。
 学年二位ということは、おそらく剣の腕も相当なはず……。

「ふん、確かに僕は学年二位だけどキミ達よりもずっと強い自信がある」
「でも、シンクのほうがきっと強いブヒ」
「なんだと……」

 ロベリアが鋭い目つきで俺のことを睨んでくる。
 俺はロベリアから視線を逸らし、ゴリラードさんの方を向く。

「自己紹介も終わったし、次はどうしますか?」
「では、次はパーティーのリーダーを決めませんか?」

 そういえばビヒタス先生から渡された紙にも、パーティーのリーダーを決めるように書いてあった。
 この中で一番年上だろうし、三年のゴリラードさんにやってもらうのがいい気がする。

「それならゴリラードさんが……」
「そんなの聞くまでもなく、この中で一番強い僕に決まってるだろ」

 俺の言葉を遮ってロベリアがそう言い放つ。

「何言ってるブヒ、この中で一番強いのはシンクブヒ!!それにリーダーならシンクの方が適任ブヒ!!」
「おい、俺は別にリーダーなんて……」
「そうですね、私もシンク君がリーダーをしたほうがいいと思います」

 アーリアに続き、なぜかゴリラードさんまでそんなことを言い出す。

「ゴリラードさんまで何を言って……」
「シンク・ストレイア!!」

 ロベリアがなぜかフルネームで俺の名前を呼ぶ。
 なんだか嫌な予感がする……。

「どちらがリーダーに相応しいか貴様に決闘を申し込む!!」
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