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破壊の御子 作者:無銘工房

胎動の章

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第12話 開拓(後)

 蒼馬がボルニスの地にもたらしたのは、新しい農法や道具ばかりではなかった。
 このとき、農村の形態や社会制度まで著しい変化が及んだのである。
 当時、ソルビアント平原にあった開拓村は、血縁関係にある数戸の家族が集まっただけの集落と呼ぶべきものが大半であった。
 本来、蒼馬が導入したノーフォーク農法では、複数の農家が所有する農地と村の共有財産であった共有地を統廃合し、ひとつの広大な農地とする「囲い込み」が行われる。
 しかし、蒼馬のノーフォーク農法に関しての知識は、ライトノベルやそこから興味をもってインターネットで調べたものであり、それらは作物とその輪作方法ばかり重視していたため、「囲い込み」に関する部分の知識が不足していた。また、広大な原野が残るソルビアント平原では、囲い込まなくても十分に広い農地が確保できたせいもあり、蒼馬には農地を「囲い込み」をすると言う認識がなかったのだ。
 しかし、それではノーフォーク農法と囲い込みにおける、広大な農地を持った地主が農地を失った農業労働者を金銭で雇うと言う大規模農業経営という発展が、この世界では起き得なかった。
 ところが、蒼馬は別の観点から、農業の大規模化を推し進めることになる。
 それは現代日本のニュースで目にした、日本と欧米の農業形態の違いであった。
 日本の農業を担っているのは、農家――つまり家族単位の個人経営であるのに対し、欧米は広大な農地に大量の機械や労働者を投入する大規模農業経営であるため、収穫量や価格の面では、日本はとうてい(かな)わないと言うものだ。
 それを知り、食糧増産を目的としていた蒼馬が、大規模農業を目指したのは当然である。
 その過程で行われたのが、ノーフォーク農法の農地の「囲い込み」ならぬ、集落の「囲い込み」であった。
 それは、集落を統合した村をひとつの単位とし、共同でひとつの農地を耕作し、そこから得た収穫物は平等に分配すると言うものだ。
 これによって、税も村全体からまとめて徴収するため、江戸時代の五人組制度のように村人全員が税の連帯責任を負うことになり、税収の安定化につながった。さらに、村から一括して税を徴収できるため、これまでのように個々の集落を巡回する手間もなくなり、財務官たちの負担も減ったのである。
 しかし、収穫物が村全体で平等に分配されるのでは、ひとりひとりの労働意欲が低下する恐れがあった。
 だが、かつて社会主義国家でその人の働きに関わらず皆に富を平等に分配しようとした結果、人々から労働意欲が失われてしまったと言う過去を社会の授業で習っていた蒼馬は、それに対しての備えも考えていた。
 それが、定免法(じょうめんほう)の導入である。
 定免法とは、江戸時代に行われてきた年貢徴収法のひとつで、その年の過去五年間から十年間の収穫の平均から、その年に納める年貢を定めるものだ。そのため、その年にどれだけ収穫できたかに関わらず定められた税を課せられるので、収穫が増えれば増えるほど農民らの取り分が増えるのだから、やる気が出ないわけがない。
 ただし、豊作になればその分だけ農民らの取り分が多くなるが、凶作だと逆に重税になってしまう欠点もあった。
 だが、ノーフォーク農法の導入によって年を追うごとに収穫が増えるのを見込んでいた蒼馬は、農民らの労働意欲を高めるためにも、この定免法の導入に踏み切ったのである。
 もちろん、凶作になったときは重税となってしまうデメリットも蒼馬は歴史の授業で習い承知していた。そこで蒼馬は定免法を導入する際には、凶作の時は大幅な減税するのを約束していた。もっとも、これは蒼馬も学校の授業で習わなかったことだが、実際に江戸時代に実施された定免法も、凶作の際には破免(大幅な減税)が認められていたので、蒼馬が独創的であったというわけではない。
 しかし、この定免法の導入は、蒼馬が予想もしていなかった効果をもたらした。
 それは、さらなる税の増収と安定化である。
 当時のセルデアス大陸では、徴税官や領主たちが収穫後の村々を巡回し、その年の収穫の一割から五割程度を納めさせる巡回徴税という方法を取っていた。この巡回徴税では、徴収される税が徴税官や領主たちの胸先三寸で決まるため、賄賂や接待の強要が往々にして行われ、農民らにとって大きな負担となっていたのである。
 その中でも特に悪名高かったのが、徴税請負人だ。
 巡回徴税は何か月もかけて村々を巡回しなくてはならず、王や領主たちにとっても負担の大きなものだった。そこで巡回徴税をする代わりに徴税権を売り、他の者に税を取り立てさせることもあったのだ。
 そして、その徴税権を買い、王や領主の代わりに実際に農民から徴税したのが、徴税請負人である。
 彼ら徴税請負人たちが儲けを出すには、徴税権を買い取った金額以上の税を徴収しなければならない。そのため、徴税請負人たちは、定められたものよりはるかに重い税を課して農民らから取り立てたのである。しかも、徴税請負人の多くは金貸したちで、彼らは税が払えない農民らに無理やり金を高利で貸し付け、払いが滞れば妻や娘たちを借金のカタに連れ去ってしまうという真似までしていた。これでは徴税請負人たちが、農民たちからゲノバンダのように嫌われていたのも当然だろう。
 しかし、蒼馬が定免法を導入して税率を厳しく定めたことにより、そうした過酷な徴税は影をひそめたばかりか税が明確になったことで農民らも安心して税を納めるようになり、税収が安定した上に増収にもつながったのである。
 さらに、定免法による恩恵は、それだけではない。あらかじめ、その年の税収が決められていることによって、為政者側にもその年の予算を組みやすくなると言う利点もあったのだ。
 こうした新しい農法の導入や制度の改革によって、年を追うごとに農民の生活が急激に豊かになっていったのである。
 しかし、後年、この蒼馬の一連の農業と制度の改革を歴史研究家らは「破壊の御子は、平等をうたいながら、その実は農民の間に貧富の差を作り、農奴を生み出した」と酷評している。
 確かに、蒼馬が推進した大規模農業は、後に村の有力者が土地を所有し、村人たちが金銭で雇われると言う、地主と小作農の関係を作り、さらには農奴を生み出した。また、定免法による税の定額化により、農民らは収穫が上がれば上がるほど手許(てもと)に残る分が増えて豊かになったが、それはより多くの農地を持つ地主に対して有利に働き、土地を持たない小作農との間に大きな貧富の差を生じさせたことも(まぎ)れもない事実である。
 だが、蒼馬の生きていた当時にも小作農はいたが、彼らは必ずしも農奴ではなかった。
 それは、各地の国や領主らが農民の離散を防ぐため、移動を制限し、その土地に縛り付けていたのに対し、蒼馬の国は農民にも土地を移動する自由を認めていた唯一の国だったからである。これにより小作農たちは土地に縛られることなく、自分らの意志で、より良い条件を出す地主を選べたのだ。 
 そのため、急激な耕地拡大にともない労働力を必要とした地主たちは、有能な小作農を確保するために高い給金を約束しなければならず、必ずしも地主による小作農への一方的な搾取(さくしゅ)と言う関係だけではなかったのだ。
 そればかりか、むしろ地主たちの方が、小作農の確保に苦慮していたようである。
 これは当時の裁判所の記録として、有能な小作農の引き抜きを発端とした地主同士の(いさか)いの調停や小作農に対する給金の上限を法で定めるように国に出された地主たちの連名による嘆願書などからも明らかだ。
 考古学者マーチン・S・アッカーソンは、以下のように述べている。
「とかく研究者らは、破壊の御子を信奉した『死神』オットー・ザイデンベッヒャーの教訓から、破壊の御子に関することになると頭から否定しがちになる悪癖がある。しかし、そうした先入観を排除して彼の業績を(かんが)みれば、称賛に値するものが見受けられる。今日(こんにち)の考古学によって明らかになった古代ボルニスの都市にあったのは、我々の思い浮かべる古代の姿からは大きくかけ離れた、はるかに進歩した社会の姿である。そして、それは間違いなく破壊の御子ソーマ・キサキによってもたらされたものに他ならない」

               ◆◇◆◇◆

 しかし、万事がすべて蒼馬の思い通りに進んだわけではない。
「すまない、ソーマ。おまえが言うような植物は、誰も見たことがないそうだ」
 期待に応えられなかったのが、よほど気が(とが)めるのか、しょんぼりと肩を落とすシェムルの言葉に、蒼馬もひとつため息を洩らした。
「やっぱり、この世界には『クローバー』はないのかなぁ」
 ノーフォーク農法では四つに分けた畑に大麦、クローバー、小麦、カブを輪作させるため、蒼馬はシェムルに頼んでそれらを探してもらっていたのだ。すでにこの世界でも小麦と大麦が栽培されていたし、微妙に形は異なるがカブによく似た根菜も手に入れられた。
 ところが、唯一クローバーだけが見つからなかったのだ。
 思えば、ここは異世界なのである。小麦や麦などの元の世界と同じ植物があっただけでも奇跡的なのかもしれない。しかし、そうは思ってみても、クローバーが見つからなかったのは蒼馬にとって痛恨であった。
「クローバーがないと、牧草として使うのはともかく、畑の地力の回復がなぁ……」
 クローバーが地力の回復に役立つのは、根に根粒菌(こんりゅうきん)という細菌を共生させているからだ。
 植物の三大栄養素と言えば、窒素・リン・カリウムである。そして、このうち最も重要かつ大量に必要とされているのが窒素だ。窒素は地球の大気の七十八パーセントを占めている元素で、その量は無尽蔵と言っても良いだろう。
 だが、この無尽蔵にある窒素を植物は直接取り込むことができない。植物が取り込むには、いったん空気中の窒素分子を他の窒素化合物に変える――いわゆる窒素固定が必要である。
 それを自然界で行っていたのは、ひとつは雷だ。
 雷の放電のエネルギーによって、窒素は窒素酸化物に変えられ、それが雨とともに大地に降り注いで植物の栄養となっていた。古来より雷を稲妻と呼んでいるが、これは雷が起きると稲の実りが良くなるため、雷が稲を実らせると言う意味で「稲の(つま)」と呼んでいたのが語源である。
 そして、もうひとつ自然界で窒素固定を行っていたのが、一部のマメ科の植物の根に共生する根粒菌だった。
「他のマメ科の植物で代用するしかないのかなぁ」
 残念だが、ないものは仕方がない。蒼馬は、クローバーを諦めて他のマメ科の植物で代用しようかと考えた。
 幸い、この世界にも様々な食用の豆が存在する。中には、ソラマメやヒヨコマメによく似たものもあった。クローバーのような、見るからに豆とわかる種子をつけない植物を見分けるのは難しいが、こちらの世界でも豆として食べられているものならば、確実にマメ科と言えるだろう。
 クローバーの代わりに、どれを栽培したものかと頭を悩ませていた蒼馬は、何気なく囲いの中の牛に目をやった。牛たちは、ようやく囲いにもなれて興奮も静まり、今ではのんびりと草を()んでいる。その牧歌的な光景に、蒼馬はしばし悩みも忘れて見入ってしまった。
 しばらく茫然と牛たちを眺めていた蒼馬だったが、ふと一番近くにいる牛が()んでいた植物に目が留まる。
「……あれ?」
 なぜか蒼馬は、無性に気になった。周囲を見回して同じ植物がないか探すと、すぐに見つかった。
 それは、蒼馬の腰ほどの背丈の枯れた草である。遠目では、茶色く枯れて丸まった葉が鈴なりに垂れ下がっているように見えたのだが、近くで見ると葉っぱに見えたのは割れて口を開いた植物の鞘だった。さらに近づいてみると、その開いた鞘の中には、二粒ほどの黄褐色をした丸い粒が見える。
「これって、どこかで……?」
 記憶のどこかを刺激するその植物の姿に、蒼馬は首を傾げた。
『まあ、節分に家で()く分ぐらいは、作っとこうかと思ってな』
 不意に、麦藁帽をかぶり、(くわ)を担いだ祖父の姿が思い浮かんだ。
 亡くなった蒼馬の祖父は、小さな土地を借りて畑をやっていた。蒼馬も祖父の手伝いをよくやっていたが、そのときに見たものと目の前の植物が良く似ているのに気づく。
「……! まさか、これ?!」
 記憶の中のものと比べると、こうして鞘は自然と割れて開かないはずだし、中に入っている種子も小粒で色も悪い。だが、蒼馬は鞘の中から丸い種子を取り出して、口に放り込んで奥歯で噛みしめると、口の中に広がる独特な渋みとえぐみは節分のときに十分に火が通っていないものを食べたときと重なる。
「……これって、もしかして大豆?」
 もともとこの世界にあったツルマメからよく似た種類の豆が生まれたのか、それとも蒼馬のように向こうの世界から落ちてきた種子が、こちらの世界に適応して根付いたものかは分からない。
 だが、それは間違いなく大豆であった。
 落ち着け、落ち着けと蒼馬は自分に言い聞かせる。
 しかし、胸の奥から湧き上がる興奮が抑えきれない。
 確か、大豆は「畑の肉」とも呼ばれるぐらい豊富なたんぱく質を含んだ栄養価の高い作物だ。しかも、ただ食べられるだけではない。大豆からは、油が搾り取れたはずだ。そして、その絞りカスは畑の肥料にもなる。もちろん、飼料として家畜に食べさせても良い。とにかく使い道はいくらでもある。
 だが、そんなのは些細(ささい)なことだ。日本人である蒼馬にとっては、大豆はそれ以上の価値と意味を持つ。
「何をしているんだ?」
 そこへ、蒼馬の行動に気づいたシェムルが声をかけてきた。シェムルは、蒼馬が口にしている大豆を見て、わずかに鼻にしわを寄せる。
「――もう、腹が減ったのか? だが、それはやめておけ。あまり食べると、後で腹を壊すぞ」
 シェムルも、平原に自生していた大豆は知っていた。しかし、大豆は独特の渋みとえぐみがあり、また良く火を通さないで大量に食べると腹を下すため、ゾアンたちは食用とは見なしていなかった。
「ねえ、シェムル――」
 静かだが、何故か異様な気迫の込められた蒼馬の声に、シェムルは嫌な予感を覚える。
「――大至急、この豆を集めてもらえる?」
「この豆をか?」
 こんな食えない豆なんか集めても無駄だと言わんばかりのシェムルに、蒼馬は凄みのある笑顔を向けた。
「もちろん、集めてくれるよね?」
 そのためにならばシェムルに対して、「臍下(さいか)(きみ)」の権限を振りかざすのも辞さない覚悟である。
 シェムルは、コクコクと(うなず)くしかなかった。

               ◆◇◆◇◆

 大豆が、破壊の御子の兵士を育てた。
 これは、有名な考古学者マーチン・S・アッカーソンの言葉だ。
 豆類は、炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラル等の栄養素をバランスよく含んでいることで知られているが、中でも大豆は唯一肉に匹敵するほど豊富な植物性たんぱく質を含んでおり、「畑の肉」とも呼ばれる作物である。
 しかし、破壊の御子がいた当時、豆はあまり食べられていなかった。特に大豆には、独特の渋みとえぐみがある大豆サポニンが含まれていたため、大豆が自生していたソルビアント平原で生活していたゾアンたちですら、食用と見なしてはいなかったのである。
 だが、破壊の御子ソーマ・キサキはこれを積極的に栽培し、独自の調理法を伝え、普及に(つと)めたと言う。
 また、当時の筆頭財務官だったミシェナの残した記録によれば、ソーマの軍勢の糧食として小麦や麦などと並んで備蓄されたのが、この大豆の加工品である。大豆が、ソーマ・キサキの兵士たちの強靭な肉体を支えた重要な食物であったことは間違いない。
 また、ソーマ自身も大豆を好んで食べたと記録が残されている。
 この大豆をペースト状にして発酵させたものを溶かしたスープを三日飲めないと、機嫌が悪くなったというのだから、相当なものだろう。
 この事実は、今なおセルデアス大陸史最大の謎とされている、ソルビアント平原に現れる以前の破壊の御子ソーマ・キサキの経歴を解き明かす鍵として、多くの歴史研究家の間で研究がなされている。
 当時、小麦がもっとも価値がある穀物であったのに対して、豆は一段劣った食べ物とされ、貧民や奴隷らの食べ物であった。その豆を好んで食べていたことから、ソーマ・キサキがいずこかの国から逃亡してきた奴隷だったという説は、有名である。
 しかし、さらに最近になって注目されているのは、その食べ方である。
 大豆に含まれているのは、身体に良い成分だけではない。ミネラル吸収を阻害するフィチン酸、酵素阻害物質、甲状腺腫誘発物質(ゴイドロゲン)などの人体に有害な作用を持つ物質も大豆には含まれており、これら有害物質を大量に摂取することは好ましくないとされている。
 しかし、これら有害物質を分解し、大豆を理想的な栄養食品に加工する方法がある。
 それが、発酵なのだ。
 ソーマ・キサキが広め、また自身も好んで食べた方法は、まさに理にかなった大豆の加工法だったのである。
 だが、化学が発展した現代ならばいざ知らず、古代において大豆の毒性に気づき、それを無害化させる発酵という方法を作り上げるには、莫大な経験則の積み重ねが必要であっただろう。それを知っていたソーマ・キサキは、最低でも数百年単位で、身近で大豆を利用していたか食用としていた民族の出身としか考えられない。
 しかし、当時の資料では、大豆を食料としていた地域はいくつか確認されているのだが、ソーマのような食べ方をしていたと言う地域や民族は見つかっておらず、いまだに仮説の域を出ないものである。
 さて、この大豆だが、現在はソルビアント平原に自生していた野生種をソーマが見つけ、栽培したのが始まりというのが定説となっている。しかし、ごく最近までは、ソーマ・キサキが黒魔術で作り出したものと信じられてきた。そのため、今でも大豆を悪魔の食べ物として忌避する地域もある。
 現代でも、その名残を童話の中に見て取れる。

「はかいのみこソーマ・キサキは、まものの兵士たちの食べ物を作ろうとしました。
 そこでソーマ・キサキは、へいげんにおそろしい呪いをかけました。
『ミソ、ショーユ、トウフ、ナットウ! 食べられるぞ!』
 すると、土の中から大豆がニョキニョキとのびてきました。」
             童話「はかいのみこ」より抜粋

 実際にソーマ・キサキが唱えたという呪文の意味は、いまだに謎である。
 蒼馬が知っていた改革は、すべて創作物の中のものでしかない。
 それ故に、蒼馬は知らなかった。
 急激な変化は、痛みをともなうものである、ということを。

農民「もう、新しいご領主様にはついていけねぇ!」
農民「そだ、そだ! 反乱だ! 反乱を起こすべ!」

次話「農民」

*************************************
定免法とか五人組とか、中高あたりで習う知識を使った展開でした。
作中に出た巡回徴税ですが、かなり農村から嫌われていたみたいです。何しろ村に滞在中は好き勝手に飲み食いするわ、兵士たちは村の女に悪戯するわで、酷かったそうです。もっとひどくなると、ブチ切れた農民に領主がボコボコにされて殺された事例もあったそうです。
これでは農民らも、まともに税を納める気にもならなかったでしょう。
そういうのがなくなり税が公正になったことで、農民らもきちんと税を納め、結果として増収となったわけです。

最後に出た呪文で分かるように、蒼馬は味噌っぽいのは作れたようですが、醤油や豆腐や納豆は作れませんでした。そのため、蒼馬の言葉は後世では謎の言葉として伝わってしまっています。
後世では、蒼馬も織田信長みたいに創作物の中では魔王みたいな扱いになっていますので、その蒼馬が使う黒魔法みたいなものにされていたりします。

勇者「よみがえった破壊の御子め! 再びゲノバンダの許へ帰るがいい!」
破壊の御子「ふははは! よくぞ、我が前に立った。褒美に、我が暗黒呪文を食らうがいい!」
勇者「――! それは、まさか伝説の暗黒呪文!」
破壊の御子「そうだ。――すべてを粉砕せよ、トウフ!!」
勇者「うわっ! 最強の勇者の盾が粉々にっ!」」
破壊の御子「まだまだ! 食らえ、すべてを暗黒に染めよ、ショーユ!」
聖女「そんな! いかなる穢れも寄せつかない聖なる衣が真っ黒に!」
破壊の御子「とどめは、我が忠実なるシェムルですら、その威力に恐れおののき、開発をやめてくれと懇願した最強最悪の腐敗呪文!」
勇者&聖女「「まさか?!」」
破壊の御子「食らうがいい! ナットウ!!」

読者「「破壊の御子、怖えぇー!!」」

なんて展開が漫画やアニメでやっているのかもしれません。
+注意+
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