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破壊の御子 作者:無銘工房

龍驤の章

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第86話 逃亡

 完全に、してやられた!
 足音を荒げて歩くアドミウスは、苦い後悔とともに胸の内でそう吐き捨てた。
 こちらが内応を警戒して敵へ投降した兵からの手紙を調べるのも、すべては破壊の御子の思惑どおりだったのだ。
 敵に投降した兵からの手紙と聞けば、誰だって警戒する。家族に渡される前に中身を確認するだろう。士気低下や内部攪乱を狙った文言がないか、または内通者への暗号が隠されていないか、徹底的に読み込まれるに決まっている。
 だから、破壊の御子はそうした手紙を読む兵士たちに狙いを定めたのだ。
 しかも、そのやり方は狡猾である。
 アレクシウス王子を非難する言葉や捕虜に優しいなどの懐柔の言葉ではない。そうした言葉は、はなっから警戒している兵士たちは「やはり書いてきたな」と相手にしないだろう。
 だが、そうした文言は一切なく、書いてあるのは食べ物のことばかりである。せっかく内応や離反を促せる恰好(かっこう)の手段だというのに、そうしたことは何も書かれていない。逆にそこに何らかの暗号や符丁が隠されているのではないかと疑った兵士たちは必死に手紙の内容に目を通したことだろう。
 それ自体が罠だったとも気づかずに。
 ただでさえルオマの街は長期の籠城戦に備えて糧食を切り詰めているのだ。そこに、そうして事細かに書かれたおいしい食べ物の話を熟読させられた側は、たまったものではあるまい。
 いったい、これはどんな味がするのか? 本当においしいのか?
 誰もがそう思ったはずだ。
 そうした中で、投降した兵たちが家族への土産としてその食べ物を持ち込んでいるのを見れば、興味を引かれる。食べてみたいと思うだろう。
 そして、それを分けてもらえると聞いて、その誘惑に逆らえた者がいただろうか?
 これが金品だったのならば、賄賂は受け取れないと毅然とした態度を取れた者もいただろう。
 だが、ものは食べ物である。しかも、捕虜たちにも与えられていると聞けば、それほど価値があるものとは思えない。
 しかし、その真価は金品どころのものではなかったのだ。
「アレクシウス殿下にお目通りを願う!」
 アドミウスが訪れたのは、アレクシウスにあてがわれた部屋である。
 当然、アレクシウスの取り巻きの兵たちは取り次ぎはできないとアドミウスを追い返そうとした。すると、アドミウスは自分の腰の剣の柄に手を添える。
「ここで俺に斬り殺されるか、アレクシウス殿下のところへ通すか、好きな方を選べ!」
 アドミウスは本気だった。
 このまま座して待てば、自分らが負けるのは確実である。そうなる前に、何としてでもアレクシウスを連れ出さねばならない。たとえではなく、本気で首をかける覚悟であった。
 アドミウスは、さすが精鋭「黒壁」を率いていた連隊長のひとりである。その気迫は、王子の取り巻きごときに抗せるものではなかった。
 顔を青くさせて尻込みする取り巻きたちの間を通り抜け、アドミウスはアレクシウスにあてがわれた部屋の扉を開ける。
 そのとたん、部屋の中にこもっていた酒の匂いが鼻を突いた。
 いくつもの酒瓶が転がる薄暗い部屋の中央に、まるで屍のように力なく椅子に腰掛けるアレクシウスを見つけたアドミウスは大きな声を張り上げる。 
「アレクシウス殿下! そのように惚けている場合ではございませんぞ!」
「……何だ? やっと援軍でも来たのか?」
 椅子に座ったまま酒精に濁った目でこちらを見上げるアレクシウスに、苛立つ気持ちを抑えながらアドミウスはこれまでの経緯を説明する。
「援軍ではございません! ――まずは、これをお食べください」
 涙目になる兵士から取り上げた一切れの羊羹をアレクシウスに差し出した。アレクシウスは気だるげに受け取ると、それを小さく囓り取り、ゆっくりと咀嚼する。
「ずいぶんと甘いな」
 こぼすように呟いたアレクシウスに、アドミウスは言う。
「殿下。おわかりになりませぬか?」
 この時代の西域では甘味料として使われるのは、蜂蜜や果物などである。しかし、この甘さは、そうしたものよりももっと直接的でかつ暴力的なまでの甘さだ。
「これは、おそらくは砂糖を使っておりますぞ」
 酒に酔っているアレクシウスは、アドミウスの言葉をそのまま受け取る。
「砂糖を兵の買収に使うなどとは、もったいない」
 この世界でもサトウキビに類する植物の汁を煮詰めて作られる砂糖だったが、その生産地は限られており、西域ではほぼすべてを海外からの輸入に頼っていた。そのため、砂糖は時には同量の金銀と取引されるほどの貴重品であり、口にできたのは一部の王侯貴族や大商人だけである。十分に買収に使える高価なものだったのだ。
 だが、アドミウスは首を横に振る。
「まだ、おわかりになられないのですか?」
 何を言おうとしているのかわからず困惑するアレクシウスに、アドミウスはゆっくりと噛んで含めるように言った。
「買収ならば金銀を直接使えばよろしいのです。それをあえて、敵は王族である殿下がもったいないというほどの砂糖を使った菓子を兵士たちに与えている。これがいったいどういう意味かお考えください」
 アレクシウスは酒精でうまく回らない頭をひねった。
 報償の意味もあるだろうが高価な砂糖を一般の兵士に振る舞うとなると、かなりの量が必要だろう。しかし、それだけの量を確保するとなると、単に資金だけの問題ではなくなる。肝心な砂糖そのものがなければ、いくら資金があっても意味はない。
 つまりは、ある程度の量を恒常的に手に入れるだけの伝手(つて)――すなわち海洋国家ジェボアとの深い交易関係がなくてはならないのだ。
「奴ら、まさかジェボアと……」
「そうです。ジェボアとの深いつながりがなければ、いくら金があってもそれだけ大量の砂糖を入手できるはずがないのです!」
 まさか反乱を起こした奴隷と見下していた相手が、西域の経済を掌握するジェボアの商人ギルドと太いつながりがあったとは、驚愕の事実である。
「そればかりではございませんぞ。殿下は、このような不思議な菓子をご賞味なされたことはおありか?」
「いや。ない……」
 このような不思議な弾力の甘い菓子など、ホルメア国の第一王位継承者として様々な贈り物をもらうアレクシウスをして初めてのものだった。
 そうだろうとでも言うようにアドミウスはひとつうなずいてみせる。
「私もこのような菓子は、口にしたのも耳にするのも初めて。殿下ですら私と同様とあれば、おそらくこの菓子は……」
 ようやくアレクシウスはアドミウスが言わんとしていることに気づいた。
「つまり、おまえはこれを西域のものではなく、異国のものだと……?」
 アレクシウスの問いに、アドミウスは力強くうなずいて見せた。
「殿下。我らは敵を侮りすぎていたのです。我らを打ち破った軍事力。砂糖を買える莫大な資金。ジェボアの商人との深いつながり。そして、見えてくる異国の陰」
 そこでアドミウスは一拍の間を置いてから断言した。
「我らは、奴らを反乱奴隷などと見下すべきではなかったのです!」
 アレクシウスは戦慄する。
 ホルメア国では砂糖を使ったような高級な菓子は、諸侯やその貴婦人らを集めて香草茶や葡萄酒などとともに優雅に楽しむものだ。この戦場で、そんな優雅な茶会を催すとは、何という余裕であろう。
 実際には、蒼馬も戦場でそのような優雅な茶会を催しているわけではない。
 だが、そうとは知らないアレクシウスの中では、様々な種族の者たちが笑いさざめきながら砂糖を使った菓子を堪能している茶会の光景が現実のものとして浮かび上がっていた。
 そんな幻の茶会を楽しんでいた亜人類たちが、いっせいにアレクシウスの方を向く。そして、異口同音にこう言った。
 おまえごときが、私たちに敵うと思っているのか、と。
「ひいぃ……!」
 自分で作った幻の声にアレクシウスは恐怖した。
 そして、自分が手にしている食いかけの羊羹のかけらが、とてつもない危険物のように思え、それを慌てて放り捨てる。
 ようやく事態を理解してくれたアレクシウスに、アドミウスは声を和らげて言う。 
「殿下。すでのこの菓子の噂は街に広まっているでしょう」
 郵便番号や住所などがない時代だ。家族に送られた手紙は、その地区の顔役や名士と呼ばれる者たちのところへいったん届けられ、そこから個々の家に渡される。そして、そうした手紙も字を読めない者が多いため、たいていは顔役や名士などに代読してもらうのが普通だ。
 つまりはその地域を統括する者たちは、すでにこの菓子の存在を知っている可能性が高い。
 そこまで考えてから、アドミウスは自分の考えを否定する。
 可能性が高いのではなく、すでに知られているのだろう。そうでなければ、あのソロンという老人がわざわざ「盤外の一手」などと意味ありげな言葉を残すはずがないのだ。
 そうした敵の強大さに気づいた者の中には、降伏した方が良いのではないかとミュトス伯爵に詰め寄る者がいないとも限らない。
 仕えている王に力がないと思えば、別の国に鞍替えするのも珍しくはない時代である。それでも気骨の士として知られるミュトス伯爵ならば、野蛮な反乱奴隷などには決して降らないだろう。
 だが、これまでもソロンとかいう老人によってミュトスの心は揺さぶられている。そこへきて、この砂糖を使った菓子の噂を聞いて、敵が反乱奴隷などと侮ってはならない相手だと理解すれば、ミュトス伯爵とてどう転ぶかわからない。
 そして、遠からずルオマの街は内側から崩壊してしまうだろう。
「この菓子を持ち込むのを取り締まらねば……」
 顔を青くさせて呟くアレクシウスに、アドミウスは首を横に振ってみせる。
「敵に囚われた仲間に家族へ渡してくれと頼まれた、わずかな食べ物を取り上げろと?」
 これが金品ならば賄賂と理由を挙げて取り上げられるだろう。しかし、ものはわずか一口足らずのお菓子にすぎない。砂糖の価値すら知らない者たちからみれば、それを賄賂と言われても納得できるものではないだろう。むしろ、食べ物を独占しようとしていると疑われ、反発を招きかねなかった。しかし、誤解がないようにきちんと理由を説明しようものならば、かえって自分らで敵の強大さを喧伝(けんでん)するようなものだ。
「それに取り締まろうにも、私では街の守備兵を動かせません」
 アドミウスたち国軍が王直属の兵であるのに対し、この街の守備兵たちはミュトス伯爵の私兵である。そのため、アドミウスに守備兵をどうこうする権限はないのだ。
「ど、どうすれば良いのだ?!」
 悲鳴のような声を上げるアレクシウスに、アドミウスは断言する。
「この状況を打破できるのは、もはや殿下しかおりません!」
 現状の最大の問題は、兵権が統一されていないことだ。
 いくら国軍の最精鋭「黒壁」の連隊長とはいえ元は地方領主の三男坊であったアドミウスでは、ミュトス伯爵に兵権を寄越せと言えるはずもない。かといって逆にアドミウスがミュトス伯爵の下に勝手に入れば、今度は王への翻意(ほんい)を疑われてしまう。
 そのため、現在この街にはアドミウスが指揮する元討伐軍と、街の守備兵と兵力が二分されてしまっていた。街の中に菓子の噂が広まるのを今までアドミウスが気づけなかったのも、それが原因である。
 本来ならば国軍でも将軍位を持ち、第一王位継承権を持つ王子であるアレクシウスが指揮権を統一すべきだったのだ。だが、渡し場での大敗がよほど(こた)えたのか、これまでアレクシウスはずっと自分にあてがわれた部屋にこもりっきりであった。
「このままではこの街は戦わずに落とされましょう! そうなる前に、殿下が皆の前に顔を出され、指揮を執り、兵たちを引き締めねばなりません!」
 このアドミウスの訴えに、アレクシウスはしばらく黙り込んでしまった。
 しだいにアドミウスが焦れ始めた頃、ようやくアレクシウスは言う。
「わかった。おまえの言うとおりにしよう。――だが、今日はこのとおり酒精が回っている。これでは皆の前に出られぬ。明日まで待て」
 もっともな言い分である。
 焦る気持ちをぐっとこらえ、アドミウスは頭を下げて承諾した。

                    ◆◇◆◇◆

「殿下が、逃げられた……?」
 翌朝、アレクシウスが出てくるのを今か今かと待ち構えていたアドミウスは、部下からの報告に唖然としてしまった。
 今朝早く、一部の取り巻きたちだけを連れてアレクシウスが東門から馬に乗って出て行ったというのだ。それを聞いたカントビアス男爵が「呼び戻してくる」と戦車に乗って追いかけたが、いまだに戻ってきていないという。
 あまりのことに脳が拒否反応を示してしまったアドミウスが、状況を受け入れるには、ゆっくりと十を数えるほどの時間が必要だった。
「ふ、ふざけるなっ!」
 アドミウスは激昂して叫んだ。
 アレクシウスはホルメア国の王子である。戦死させるわけにはいかない。ましてや反乱奴隷の手に落ちて虜囚にしてしまうなどもってのほかである。
 そのため、いざとなればアドミウスは自分らが捨石となって、アレクシウスを逃がす腹積もりであった。
 だが――。
「捨石になるのと、捨石にされるのとでは違うのだぞっ!」
 どうせ逃げるのならば、堂々と皆の前で「後は頼む」となぜ言わない! 王者がまるで夜逃げのように、臣下や臣民たちの目を盗んで逃げるなど、もってのほかだ!
 アドミウスは考えられる限りの罵詈雑言を吐き散らした。
 それで少しは頭も冷えたアドミウスは、これからどうすべきかを考える。
 王子が街を見捨ててわずかな供回りだけを連れて逃亡したと広まれば、もはや兵の士気などあったものではない。この事実を自分の胸の内にしまって、兵たちには自分が勧めてアレクシウスに逃げてもらったことにしようかとも考えた。
 しかし、その自分の考えをアドミウスは鼻で笑う。
 どうせ今さらどう取り(つくろ)おうとも、すぐに真実が伝わってしまうに決まっている。
 それに何よりも、もはや自分にホルメア国に尽くす意欲が失せてしまっていた。
「やってられるかっ!」
 アドミウスは、連隊長を示す緑の房が付いた兜を足元に叩きつけた。
「殿下が好き勝手になされるのならば、俺も好きなようにする! もう、やってられん! 兵たちにも好きなようにしろと伝えよ!」
「アドミウス連隊長殿?!」
 驚き、慌てふためく兵たちの前で、アドミウスはその場にどかりと座り込む。
「あんな奴のために戦うぐらいなら、破壊の御子の野郎に、この首をさっぱりと落としてもらった方がせいせいする! 死んだ戦友たちに会えるのだからな!」

                    ◆◇◆◇◆

 わずかな取り巻きたちとともに王都ホルメニアへと馬を走らせていたアレクシウスは、馬蹄の轟きの中に自分を呼ぶ声に気づいた。
 馬の脚を緩めて後ろを振り返れば、後方から自分を追いかけてくるカントビアス男爵の戦車が見えた。
 こちらは急いで出てきたため代えの馬もないのに対して、あちらは二頭立ての戦車である。しかもそれを曳く騎竜を潰すのも(いと)わぬ様子で追いかけてくるとあっては、振り切ることもできない。
 アレクシウスは苦虫を噛みつぶしたような顔になると、馬の脚を止めた。
「殿下! いったいどうされるおつもりか?!」
 ようやく追いついたカントビアス男爵は、挨拶もせずに開口一番そう問いただした。それにアレクシウスは悪びれもせずに昂然と胸を張る。
「知れたこと。王都に戻り、再び兵を集めるのだ」
 言っていることは、もっともである。今のルオマの兵だけで、勢いに乗った反乱奴隷たちと戦うのは難しい。それならば応援の軍を頼もうというのは道理であった。
 しかし――。
「それならば、なぜそう皆に伝えぬのですか?!」
 ただ増援を頼むだけならば、伝令だけでも良いはずだ。アレクシウス自身はルオマの街に留まり、そこで守備兵と討伐軍の敗残兵たちをまとめ、応援が到着するまで反乱奴隷たちから街を守れば良い。
 また、仮にホルメア国の王子である自分の身柄を敵に押さえられるのを懸念した上でのものであったとしても、それを堂々と皆の前で伝えた上で王都へ戻れば良いのだ。
 しかし、それをやらなかった。
 つまりはアレクシウス自身が、これをただの逃亡だと理解しているからに他ならない。
「このままでは殿下は、末代まで愚将として名を残しますぞ!」
 このカントビアス男爵の言葉は現実のものとなるのだが、それを知らないアレクシウスにとっても、あまりに痛い言葉である。
「う、うるさい、黙れ!」
 アレクシウスは激高して叫んだ。
 そのときである。
 とんっ小さな音がした。
 今の音は何だ、と激高していたのも忘れて(いぶか)しげな顔をするアレクシウスの前で、カントビアス男爵が小さくうめいた。
「いかがした……?」
 そう尋ねたアレクシウスだったが、その目をギョッと剥いた。
 何とカントビアス男爵の胸元に、小さな矢が突き立っていたのである。カントビアス男爵は自分の胸に突き立った矢を抜こうとでもしたのか、胸元に手を持って行こうとし、その途中でぐらりと身体を傾ける。そして、そのまま戦車から地面に転げ落ちた。
「で、殿下! 周りを!」
 取り巻きのひとりが上げた声に、アレクシウスが周囲を見回せば、いつの間にか服装もまちまちの男たちに取り囲まれていた。
 慌てて剣を抜いて応戦しようとした者もいたが、そうした者たちはひとり残らず射殺されてしまう。
 わずかの間に、生き残っていたのはアレクシウスとほんの数人だけとなってしまっていた。
「き、貴様ら! 私を誰と心得る! 私はホルメア国第一王位継承者アレクシウスであるぞ!」
 アレクシウスは精一杯の虚勢を上げるが、男たちはかけらも動揺しない。代わりに周囲を囲む人間たちの中から代表者らしき男がひとり進み出ると、(うやうや)しくアレクシウスに片膝を突いて頭を下げた。
「突然のご無礼を平にご容赦ください、アレクシウス殿下。我が主の命により、お迎えに参りました」
 そう言って男は紐で首にかけられていた手のひらに乗るぐらいの大きさの薄い板をアレクシウスへ身分証の代わりに示した。
 その板に描かれていたのは、酒杯に巻きつく一匹の蛇を意匠化した紋章である。
「こ、これは……?!」
 驚きと恐怖に震えるアレクシウスの目には、絵の蛇があたかも生きているかのように動いて見えた。
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