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破壊の御子 作者:無銘工房

胎動の章

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第27話 荒ぶるたてがみ(前)

「遠路はるばる、よく来てくれた」
 額や目尻に緋色の色土で化粧をした、エキゾチックな装いの巫女頭は、目を細めて皆を歓迎する。ガラム、ズーグ、シェムルと順に挨拶を交わしてから、最後に巫女頭は蒼馬へと目を向けた。
「坊やが、ソーマかい? 噂には聞いているよ」
 どんな噂を聞いているか気になった蒼馬だったが、とにかく頭を下げて「僕もお会いできて光栄です」と社交辞令を返す。
「さて、さっそくで悪いが坊やの刻印を見せてもらえるかい?」
 獣の神に仕える巫女としては、やはり死と破壊の女神アウラが気になるのだろう。その申し出に蒼馬が鉢巻を外すと、巫女頭は「失礼するよ」と一言断ってから蒼馬の頭を両手で挟み込んでから、吐息がかかるほど顔を近づけて刻印を凝視する。息を殺すような沈黙の後に、巫女頭は感嘆の吐息を洩らして蒼馬から離れた。
「珍しいものを見せてもらったよ。確かに、あの女神の刻印に間違いないね」
「あの……アウラって、どんな神なんですか?」
 巫女の頂点に立つ人なのだ。他の人が知らないアウラのことを何か知っているのではないかと思い、蒼馬は尋ねた。すると、巫女頭は鼻にしわを寄せて叫ぶ。
「ああ! やめておくれ。ここで、その名を呼ぶのは。その名を呼ぶってのは、それを招いてしまうことなのさ」
 巫女頭は自分の肩を抱くと、ぶるぶると身体を震わせて見せる。
「すまないけど、あたしらもあの女神を詳しく知っているわけじゃない。何しろ、あの女神は、讃えてはならぬ。(おとし)めてはならぬ。語ってはならぬ。触れてはならぬ。知ってはならぬ。古くから、そう言い伝えられているからね」
「……そうですか」
 あまり期待はしていなかったが、それでも蒼馬はがっかりした。アウラが何の目的で自分をこの世に召喚し、何をさせようというのか、それを解明する糸口を掴みたかったのだ。
 そんな蒼馬を哀れに思ったのか、巫女頭は優しい声で言う。
「残念ながらあの女神については何も教えられないが、他に何か()きたいことがあれば遠慮なくお言い。あたしにわかることなら、何でも教えてあげるからね」
 それに、今は特にないと言おうとして、ふと気になっていたことを思い出した。せっかく巫女頭から何でも教えてくれると言われたので、これが良い機会とばかりに質問する。
「巫女頭様は、魔法って使えますか?!」
 それには巫女頭のみならず、その場に居合わせた者すべてがきょとんとした顔になった。
 それを自分の説明が悪かったのかと思い、蒼馬は身振り手振りを交えて説明する。
「こう、手から火の玉を出したり、稲妻を出したり、水をブシューと出したり」
 現代日本では、異世界ファンタジーと言えば魔法はつきものだ。こちらの世界に来てから、そうした力は一度として見たことはなかったが、すべての巫女たちの頭領である巫女頭ならば、何らかの魔法を知っているのではないかと蒼馬は期待したのである。
 しかし、必死に説明する蒼馬を前に、巫女頭は思わず噴き出してしまった。そればかりか、さらに腹を抱えて笑い始める。
 それにようやく、自分が変な質問をしてしまったのに気づき、蒼馬は赤面した。
「あ~、おかしい。あいにくと、あたしらにはそんな語り部たちが伝える話のような魔法の力は使えないさ」
 ひとしきり笑い終えた後、巫女頭は目尻に浮かぶ涙を拭いながら答えた。
「でも、僕はお婆様のおかげで、この世界に生きられるようにしてもらったって聞いたんですが……」
「ああ。そいつは聞いているよ。でも、あれは獣の神の力さね。あたしらにできることは、神に祈るだけ。神が、その祈りに気づき、捧げられる供物と望むものが釣り合えば、気まぐれで力を振るってくれるかもしれない。そんなもんだよ」
 巫女頭は、蒼馬を指差す。
「もし、そんな魔法のような力を持っている人がいるとすれば、それはあんたたち神に選ばれた御子のお仲間だろうね」
 そして、また笑いの衝動がぶり返してきたのか、こらえる素振りも見せず、咽喉を反らして笑い声を上げる。
 それに身体を小さくして羞恥に身を震わせていた蒼馬の肩を後ろから誰かが、がっちりと掴んだ。そして、力任せに振り向かされると、そこにはにっこりと微笑んだシェムルの顔が目と鼻の先にあった。
「ソーマ。おまえの恥は、私の恥でもあるのだぞ?」
 にっこりと笑っているようだが、牙を剥き出しにしている。これは明らかに威嚇の笑いだ。
「まあまあ、御子様。勘弁しておやりよ。話には聞いているよ。その子は、異なる界より落ちてきた『落とし子』なんだろ?」
 そう巫女頭に取り成されたシェムルは、いかにも渋々といった様子で蒼馬の肩から手を放す。しかし、その目は「後で覚えていろよ」と語っており、蒼馬は引きつった笑いを洩らした。
「それより、あんたたち。昼食はすませたかい?」
 巫女頭の問いに、聖地ロロに着いて早々にここへ案内された蒼馬たちは首を横に振る。
「そりゃあ、良い。あんたたちをもてなそうと思って食事を用意してあるんだ。無駄にならなくて良かったよ」
 巫女頭が柏手をふたつ鳴らすと、天幕の中に料理を持った巫女たちが次々と入ってきた。いったん料理は獣の神の祭壇へと捧げられてから、敷布の上に直に置かれていく。
 すべての料理が並べ終わると、巫女頭は蒼馬たちにそれを勧める。
「さあ、遠慮せず食べておくれ」
 車座になった蒼馬たちは、目の前に並んだ料理に感嘆の吐息を洩らした。
 木の実や芋を粉にして作った団子。丸焼きにした牛から削ぎ落としたばかりの肉の塊。生の肝臓の岩塩漬け。こんがりとキツネ色に焼かれた鳥の丸焼きは、巫女頭が手ずから山刀で腹を割ると、中からたっぷりの肉汁とともに芋や根菜が転がり落ちる。湯気を上げる香辛料たっぷりのスープが満たされた木の椀の真ん中には、一緒に煮込まれたトマトのような大きな果実が、どんっと鎮座していた。
 これまでシェムルが作ってくれた料理と似たものも多いが、中には初めて見る料理も見受けられる。
「そいつは、取ったばかりのナマズを牛の脂で揚げたものさ」
 牛や鳥の肉が多いゾアンの料理の中で、魚の姿が珍しかった蒼馬が、大口を開けたまま素揚げされたナマズを眺めていると、巫女頭が説明してくれた。水場が少ない平原では、どうしても魚料理は珍しくものになってしまい、特にこのナマズを使った料理は祝い事や祭り以外ではめったに食べられないごちそうらしい。ズーグなどは喜色満面で、ナマズを頭からバリバリと齧っている。
 また、出された料理の中には腸詰もあり、この世界にも腸詰があったんだ、と蒼馬を喜ばせた。
「ずいぶんと、それを気に入ったようだな」
 シェムルにそう声をかけられ、蒼馬は自分が何種類かある腸詰のうち、黒っぽい腸詰ばかりに手を伸ばしているのに気づいた。
「うん。これ、おいしいね」
 見た目は真っ黒で食欲をそそるとは言い難いものであったが、食べてみると何ともうまい。中に詰められているのは細かく切った内臓や軟骨らしく、その独特な歯ごたえに、たっぷりと使われた香辛料のピリッとした刺激が後を引くのだ。
「そうか。そいつは祭りか祝い事のときにしか作られないものだが、そんなに気に入ったのならば街に戻ったら私が作ってやるぞ」
 味や食感は、どうやら肝臓(レバー)のようだ。冷蔵庫などがないこの世界では、(いた)みやすい内臓を使った料理は家畜を屠殺したときでもなければ、なかなか作れないのだろう。
 そう思っていた蒼馬だが、その予想は少し間違っていた。
 この腸詰の正体は、内臓ばかりではなく血液を材料としたブラッドソーセージの一種である。肉食が一般的ではなかった日本ではなじみがない料理ではあるが、世界を見渡せば家畜を無駄なく利用する食品として、決して珍しいものではない。
 そして、ソルビアント平原の開拓村でもゾアンとの交流と牧畜の発展とともに普及していく料理なのだが、今はまだ広くは知られていなかった。
 これよりしばらく後、「ソーマの好物を作るんだ」と言って殺したばかりの牛の血をいそいそと運ぶシェムルの姿に、あらぬ噂が立つのだが、それはまた別の話である。
 みんなで料理に舌鼓を打っていると、そこへひとりの戦士がやってきて、そっと巫女頭に何やら耳打ちをした。
「ほう、そうかい。――何だか、いろいろと贈り物をもらったようだね。感謝するよ」
 どうやらヨアシュが持たせてくれた土産が無事に引き渡せたようである。それに蒼馬は忘れていた用件を思い出した。
 蒼馬は口許を手の甲で拭ってから、シェムルに持って来てもらっていたものを巫女頭に差し出した。
「これを納めてください」
 それは、赤子ほどの大きさもある皮袋である。巫女頭は渡された皮袋の口を縛っていた紐をほどき、手を突っ込んで中身を取り出すと、それは銀貨であった。
「岩塩の代金です」
「代金と言われてもねぇ。あれは、もともと誰のものってわけではないんだよ。平原すべてのゾアンたちのものであり、誰かが占有しないように、あたしら〈目の氏族〉が預かっているだけの話さ。それに、こんなものをもらってもねぇ……」
 ゾアンでは貨幣は流通していない。採掘技術のないゾアンでは金や銀も貴重過ぎて、祭祀のための道具や巫女頭の装飾品ぐらいにしか使えず、かえって使い道が限られてしまっていた。
「それなら、持ってきた土産と一緒に全氏族に平等に分配してください。土産の中で気に入ったものがあれば、次からは街でお金を出して買ってもらえるとうれしいです」
 もともと、交易によるゾアンと人間との交流が目的である。一部で独占されるよりかは、ゾアン全体に行き渡ってくれた方が好都合だ。
「そいつは良い考えだ!」
 蒼馬の提案に、真っ先に歓迎の声を上げたのはズーグであった。平原の開拓の話を提案した時もそうだが、やはりズーグの思考の柔軟性は目を見張るものがある。
 感心の念を込めて蒼馬が見つめると、それに気づかぬズーグは、べろりと舌なめずりをした。
「俺は、あの魚の干物を買いたい。あと、果物から造ったという酒だな!」
 もしかしたら、ただ食い意地が張っているだけなのかと、蒼馬は真剣に悩んでしまった。

             ◆◇◆◇◆

「さて、大祭ボロロまでまだ余裕があるのに、あんたらを呼んだのは、ちょいと困ったことが起きてね」
 あらかた出された料理が片付いたのを見計らってから、巫女頭はそう切り出した。そして、蒼馬たちを天幕の外に連れ出した巫女頭は、ロロの端まで歩くと、眼下に広がる平原の一点を指差した。
「ほら、あそこに丘があるのが見えるかい?」
 巫女頭が指差した先には、平原にぽつんと浮かぶ小島のような小高い丘だった。
 遠目ではまばらに樹が生え、いくつかのゾアンの天幕らしき影が見えるだけで、とかく変わった光景ではない。
 しかし、次の巫女頭の言葉に、皆は絶句した。
「大祭ボロロをぶち壊そうって奴が、あそこに集まっている」
 大祭ボロロを開くのは、平原に住まう全ゾアンの悲願と言っても過言ではない。まさか、それを妨害しようとするゾアンがいるとは、誰もが夢にも思わなかった。
「より正確に言えば、この坊やが族王になるのを不服とする者たちが集まっているのさ。ついでに、人間を族王に推す《猛き牙》も大族長にはふさわしくないと反発している。ふたりの襲名を阻止するためならば、大祭ボロロをぶち壊すのもやむなしって公言しているのさ」
 それにズーグが怒りを押し殺した声を洩らす。
「いったい、どこの奴らだ……?」
 蒼馬が族王になるのに反発するのは当然として、ガラムが大族長になるのまで反発しているとなると、これまで〈牙の氏族〉と対立していた〈爪の氏族〉の可能性が高い。もしそうだとすれば、族長であるズーグの意に反する者が氏族のうちにいたということだ。
 剣呑な空気をまとうズーグに、巫女頭はひらひらと手を振る。
「どこの氏族というわけじゃないさ。あちこちから人が集まっている。――でも、その中心にいるのは」
 そこで巫女頭は意味ありげにガラムを見やった。
「《荒ぶるたてがみ》メヌイン・ヌルガ・マンバハさね」
 メヌインという氏族姓から〈たてがみの氏族〉のゾアンだというぐらいはわかるが、蒼馬には聞き覚えがない名前であった。
 しかし、その名はガラムたちにとっては聞き捨てならないものだったらしい。シェムルとズーグのふたりはそろって驚いた顔をして、ガラムを見つめる。そして、ガラムは鼻にしわを寄せると、自分の顔の傷を指でなぞっていた。
 巫女頭の態度といい、何やらガラムと因縁がありそうな人だったが、あまり聞くに聞けない雰囲気に蒼馬は黙って事の成り行きを見守るしかなかった。
「……バララクは、どうしている?」
 しばらくして、ようやくガラムが口にしたのは、〈たてがみの氏族〉の族長であるバララクの動向の確認であった。
「マンバハを諌める使者を送り、自分もすぐに来るとは言っているけど、どうだかねぇ。あいつは自分だけが賢いと思っていろいろと画策して、墓穴を掘るような奴さ。当てにはできないよ」
 表立って非難はしないものの、バララクもまた蒼馬とガラムが族王と大族長となるのに不満を抱いている。おそらくはマンバハの行動をこれ幸いに放置し、どうなるか高みの見物をしゃれ込むつもりだろう。
「バララクが、《荒ぶるたてがみ》と裏で手を結び、仕組んだ上での行動では?」
 ガラムの問いに、巫女頭は首を左右に振る。
「それはないね。もともと《荒ぶるたてがみ》は、族長のバララクすら軽んじていた奴さ」
 戦士の武勇を尊ぶゾアンの中あって、〈たてがみの氏族〉だけは有力な血族(氏族の中でもより血が近い一族)間の協議によって族長を決める氏族である。そのため、自分よりはるかに戦士としての力量が劣るバララクが族長であるのに、マンバハは以前から「他の氏族ならば、俺こそ族長だった」と、公然と不満を口にしていたという。
 それを聞いたズーグが鼻で笑った。
「マンバハの奴め。腕っぷしだけで族長になれると思っているようだが、勘違いもはなはだしいわ」
 腕っぷしが自慢のズーグの言葉とは思えない内容に、シェムルは思わず「おまえが、それを口にするのか!」と言ってしまう。すぐに失言に気づいて、慌てて自分の口を両手でふさぐが、言われた当人であるズーグは気にする素振りも見せずに答えた。
「おう! 俺も族長になったばかりの頃に、同胞たちに頭ごなしに命令をして、総スカンを喰らったのよ。あの時は、あと少しで族長の座から引きずり降ろされた上に、吊し上げられるところでな。そんな時に話を聞きつけた俺の姉上が戻ってきて、俺をボコボコに叩きのめしてから嫁ぎ先の家に働きかけてくれた。そのおかげで何とかなったのよ」
「それは、何と言うかすごい話ですね」
 ズーグの話に、蒼馬はしみじみと言う。
「うむ。今思えば、あれは良い経験だったわ」
 蒼馬が一番すごいと思ったのは、このズーグをボコボコに叩きのめしたという姉の存在なのだが、それは内心に押し留めておいた。
「族長になれないってのは、あたしも同感さ」
 巫女頭も同意を示した。 
「でも、それでもあの男のかつての威名は馬鹿にならないよ。今はまだ二百人ぐらいしかいないけど、これから大祭ボロロが近づけば、もっと多くの人が集まってくる。もちろん、その中にはあいつらに同調する輩も出るだろうねぇ。これ以上、人が増えでもしたら、もう手がつけられないよ」
 平原のゾアンは、三十年来も人間に虐げられてきたのだ。誰しもが親兄弟、恋人、知人の中に、人間に殺された者は必ず一人はいるだろう。そうしたゾアンたちにとっては、いくら平原を取り戻してくれたとは言え、人間である蒼馬を族王に戴くのには抵抗を感じる者も多い。今はガラムとズーグの両雄と、御子であるシェムルの強い支持によって押さえつけられているが、今回のマンバハの行動は、そのたまりにたまった不満のガスに引火しかねない出来事だ。
「まあ、あたしらも困っているのさ。――そこで、だ」
 巫女頭は口角をわずかに上げると、その指を蒼馬へ向けた。
「こいつを新しく族王となる坊やに、ちょいと解決して欲しいのさ」
 いきなり話を自分に振られた蒼馬は、思わず「なんで僕が?」と疑問を口にしかけ、慌ててそれを飲み込んだ。
 これは、試練に違いない。本当に族王として平原のゾアンたちを束ねるだけの力があるかを示せるかどうか、それを試されているのだ。
 そうとなれば断るわけにはいかない。
 しかし、試練に挑むためには、達成条件の確認は必要である。
「解決って言うと、具体的にどうなれば良いんでしょうか?」
 その質問に、巫女頭は満足げにうなずいた。この一件は、蒼馬の族王襲名を不満に思う大多数のゾアンに対し、その力を示す格好の機会である。それをきちんと理解できるだけの判断力が備わっているとわかったのは、族王襲名の儀式を執り行わなくてはならない巫女頭としても好都合だ。
「説得するなり、叩きのめして言うことを聞かせるなり、何だって良い。とにかく、あそこにいる連中をぎゃふんと言わして、従えれば良いのさ」
 巫女頭の答えを手段は問わないから、とにかくマンバハというゾアンを大人しくさせれば良いんだと蒼馬は解釈した。
「マンバハって人は、どんな人なんですか?」
 説得するにしろ、叩きのめすにしろ、いずれにしても敵を知らなくてはならない。まずはマンバハと言う人が、どのような人か尋ねた。すると、ズーグは意味ありげに笑う。
「前の平原最強の戦士さ。――なあ、ガラムよ」
 蒼馬も、ガラムが平原最強の勇者と呼ばれているのは知っている。ズーグがわざわざ「前の」とつけたあたりから、やはりガラムとマンバハは何か因縁があるようだ。蒼馬は問いかけるような視線をガラムへ向ける。
「わかった。俺が話そう」
 蒼馬の視線に気づいたガラムは、ひとつため息をついて語った。
「《荒ぶるたてがみ》メヌイン・ヌルガ・マンバハとは、かつては平原最強の戦士とも呼ばれた男だ。そして――」
 そして、自分の顔の傷を指し示す。
「――この傷を俺の顔に刻んだ男でもある」
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