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アライヴ
作:亜月 聖



第8章;ミナミの友達(?)


「ミナミと一番仲がよかったのはあたしですけど」
その女子は開口一番にそういった。
身長は160前後。ショートカットにメガネというスタイルが、「優等生」ということを指し示しているようだ。
そこで、オレは重要なことに気づいた。そういえば、オレ学校に来てからしゃべってねえ・・・。
まあ、学校嫌いだからな。無理にオレは自分を納得させた。
「君が一番彼女と仲がよかったのかな」
「はい、そうです」
「名前を教えてくれるかな?」
雪永晶ゆきながあきらですけど・・・」
と、その女子―雪永はそういった。なんとなく、聞いたことのある名前だ。きっと、成績順位表で見たんだろうな。
オレがそんなことを考えていると、雪永がオレに話しかけてきた。
「あなた、A組のヒイラギ君だよね? よくサボってる」
「まあな」
オレはうなずいた。優等生は何でも知っているんだな。
「ミナミと知り合いなの?」
「えーっと・・・」
オレは助けを求めるべく、横にいるアスカを見た。アスカは、雪永に向かって言った。
「ミナミちゃんは、僕の親戚なんだ。それで、ヒイラギは僕の友達でね。ミナミちゃんのことを一緒に調べてもらっているんだ」
サンキュー、アスカ。恩にきるぜ。
オレが珍しく、アスカに感謝しているとき、ボソッとアスカが耳元でささやいた。
「この貸しはいつか返してもらうからね」
やっぱ、さっきの感謝ナシ。やっぱこいつは、腹黒だ!
雪永は、一応アスカの説明に納得したようだった。戸惑いながらも、うなずき、ちょっとクラスメート達に視線を配ると、オレ達を教室の外へと促した。

教室を出た所で、雪永はペコリ、と頭を下げた。
「すみません。教室から追い出して。あんまり、クラスの人に聞かれたくなくて・・・」
「うん。別にかまわないさ」
アスカが優しく言った。オレもその点は同感だ。最近の高校生というのは、噂が大好きだ。変な2人組(オレ達のことだ)が突如、2年C組を訪れ、一ヶ月前事故にあったクラスメートのことで、優等生のクラスメートを連れて行った。このニュースは、おそらく脚色をつけられ、各クラスへと、伝わっていくだろう。それが、高校生だ。そして、そんな奴等のせいで、あいつも、オレも傷ついてきたんだ・・・。

「ミナミの事故について調べているんですか?」
雪永の言葉で、オレは我に返った。
「まあね。それで、事故の日のこととか、ミナミちゃんと仲が良かった子の話とか、してほしいんだけど、良いかな?」
アスカがそう聞くと、不意に雪永はうつむいた。何かをじっと考えているような顔だった。
話したくない理由でもあるのだろうか。まあ、普通ではあるか。突然やってきた人間に話したくないって気持ちは分かるが・・・。
「あんた、本当に朝倉ミナミの友達だったのか」
「え?」
オレの問いに、雪永は驚いたように顔を上げた。
「本当に朝倉ミナミのこと、友達だと思っていたのかって聞きたいんだ」
「も、もちろんよ! 決まってるじゃない!」
雪永はそういった。だが、オレはそんな言葉信じない。
なんか、雪永とミナミの友情がうそ臭く思えるんだよな、雪永の反応見てると。
といっても、根拠なんてないけどな。でも、雪永を見ていると、疑問が湯水のように続々とわきあがってくる。いろいろと訊いてみよう。
「じゃあ訊くが、朝倉ミナミのお見舞いには行ったのか?」
「え・・・」
「友達がひき逃げにあったっていうのに、お見舞いにも行かねえのか」
ナツメと大違いだな。
「だって、行ったって、意識不明じゃどうしようもないじゃない!!」
雪永は、両手の拳を固めて言った。だいぶヒステリー気味だ。
そろそろ、午後の授業が始まるらしく、人が集まり始めている。この異様な3人組をものめずらしそうに(または好奇心いっぱいに)、見ている奴も少なくない。
「とりあえず、場所変えないかい?」
アスカの言葉で、雪永も周りの様子に気づいたようだ。
「あの、かばん取って来ます」
そういって、そそくさと教室の中へ入っていった。
「ヒイラギ、随分とやる気だねえ」
「まあな」
アスカの言葉にオレはうなずいた。
「やっぱ、優しいよヒイラギは」
「・・・ほっといてくれ」
オレはそっぽを向いた。確かに、オレは自分に少しでも関係のある奴とか、友達の大切な人とか、そういう人間のことは、ほっておけない。昔からそうだ。ただ、あいつが消えて、ジンたちに会うまでは、自分のそんな性格、忘れていたけど。あと、友情ってものにも、人一倍敏感だ(と思う)。上辺だけの人間関係は嫌いだ。だから、オレはどうしようもなく雪永に問いたい。雪永と、ミナミの、本当の関係を。


「待たせてしまって、すみません。どこへ行かれますか?」
オレが、考え込んでいると雪永が戻ってきた。そして、アスカのほうを見て訊いた。オレの方は見向きもしない。
「じゃあ、さっきまでいた喫茶店に行こうか」
またかよ。オレはそう思ったが、まあ言わないでおこう。

こうして、オレ達はまたあの喫茶店へと後戻りを始めた。












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