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アライヴ
作:亜月 聖



第6章:当時の状況


「で、どうすんだよ」
オレはアスカに訊いた。ナツメの彼女、ミナミのひき逃げについて調べると決意したものの、一体まずどうすれば良いんだ?
「まず、ミナミがひき逃げにあった場所や時刻なんかを調べなきゃいけないな」
そりゃそうだな。オレは納得してうなずいた。
「アスカ、知ってるのか?」
「まあね」
アスカは得意げにそういい、ジャンバーのポケットから黒い手帳を取り出し、開いた。
「ミナミが事故にあったのは、今から2週間前の12月6日。午後5時前後らしいよ。下校途中だったらしいね」
「下校時刻、早いな」
オレは、思ったことを口にした。高校生のクセに、最近学校に通っていない(実は今日もサボり)オレは、最近の下校時刻を知らない。もちろん、自分の学校で何があったかとか、どんな子がいるとか、まったく持って皆無だ。

アスカは苦笑しながら話を続けた。
「最近はもう5時でも薄暗くなってくるからね。場所は4丁目の郵便局の前の交差点。あの辺、人が少ないからねえ。目撃者いないらしいんだよね」
「目撃者いないのに、ひき逃げって分かるのか?」
オレは素朴な疑問を口にしただけだったが、アスカに鼻で笑われた。
「もちろんさ。警察が調べたところ、ブレーキを踏んだ跡が無かったらしいし。第一、ひき逃げじゃなきゃ、ちゃんと救急車呼ぶだろ」
「あ、そうか」
「馬鹿だね、ヒイラギ」
馬鹿にされた・・・。まあ、気づかなかったオレもオレだけどさ。
露骨にバカって言わなくたって良いじゃないか。あいつを思い出しちまう・・・。
アスカは手帳に目を落としながら話を再開した。
「ミナミはそれほどたいした怪我でもなかったんだけど、今でも意識が戻らないらしいと」
「それは知ってる」
今日、ナツメに聞いたばかりだ。
「まあ、ひき逃げについてはそれくらいかな。ヒイラギ、何か質問があるかい?」
「2つ」
オレは指を2本立て、言った。
「まず、ミナミの苗字を教えてくれ」
「アサクラミナミさ。漢字は、朝昼の朝に、倉庫の倉さ」
朝倉ミナミ。普通の名前だな。
「もう1つは、ひき逃げってのは、バイクかそれとも車かってことだ」
「バイクらしいよ。まあ、だから助かったのかもしれないけどね」
そういってアスカは笑みを浮かべた。その笑みは、ナツメの人をひきつける微笑でもなく、ジンの敵を作る不敵な笑みでもない。事態を面白がる、どこか冷たい笑いだった。
「質問は終わりかい、ヒイラギ」
アスカの声でオレは我に返った。
「ああ。でも、分からない事があるんだ・・・」
「何だい?」
「ミナミって一人で帰る少女だったのかな。友達と帰っていそうだけど」
オレは、そういった。一番疑問に思っていた事だ。ナツメやアスカの今までの話から推測すると、ミナミという女の子は、明るく友達の多い子のように感じたのだが・・・。
「俺もそう思うよ、ヒイラギ」
アスカは滅多に見せない真剣な顔をした。
「ミナミは、友達の多い子だ。以前聞いた話だと、ミナミはいつも一番の親友と一緒に下校していたらしい」
「何だって!! じゃあ、どうして・・・!!」
驚愕するオレに、アスカは相変わらず真顔で言った。
「何か裏がありそうだよね。そこで、その大親友の女の子に話を訊こうと思うんだけど」
「もちろん行くさ!!」
オレはうなずいた。その親友に聞けば何か分かるかもしれない。いつも一緒に下校していたのに、事故の日だけは一緒じゃなかった・・・。安っぽいミステリードラマの世界だな。
「よし、今から会いに行こうか。ちょうどお昼時だし」
アスカの言葉にオレは喫茶店の壁にかかっている時計を見た。
午後1時ジャスト。近い高校なら、ちょうど昼休みぐらいの時間だ。
オレは時計からアスカへと、目線を移した。
「じゃあ、行こうぜ。どこの高校なんだ?」
オレの質問に、アスカはなぜかニヤリ、と笑って答えた。
「私立神藤高校。すぐ近くだよ」
私立神藤高校・・・?それって・・・

「オレの通ってる学校じゃねえかよ!!!」












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