第34章;ミライの遺書
コウガ君へ
君がこの手紙を読むとき、私はこの世にはいないでしょう。
つまり、この手紙は遺書。
コウガ君だけには、私がどうして自殺したのかを、知っていて欲しいの。
長くなると思うけど、読んでください。
私が自殺して、周りはどんな反応をしているのかな?
泣いてくれる人は、何人いるのかな?
私が死んだことを、悲しんでくれてるのかな・・・・・・。
きっと、ミナミは泣いているね。あの子は、純粋に優しい子だもの。
叔父さんもきっと・・・泣いてくれる。ミナミを慰めながら、ね。
叔父さんの家にいる女の人、真央さんだったけ。その人も、私には優しくしてくれてたからな。悲しんでくれてるかもしれないね。
じゃあ、他の人はどうなんだろう。
クラスメイトは? 親戚は? 地域の人たちは?
それに、コウガ君・・・あなたは?
私が死んで、悲しんでくれますか?
涙を流してくれますか?
私が自殺して、いろんな動機が推測されると思うんだ。
一番多い意見は、分かり切ってる。
「妹と比べられる毎日に絶望し、自ら命を絶ち、現実から逃げた」
おおかた、こんな感じだろうね。
私は、この手紙以外に遺書も残していないから、みんなそれに賛同するでしょうね。
でもね、コウガ君。
私は、そんなことで自殺なんかしたりしない。
ミナミと比べられることでなら、はるか昔に自殺しているわ。
コウガ君だけには、知っていて欲しい。私が何を思って、死んだのか。
どうして、今頃になって死を選ぶのか。
コウガ君、私ね。
叔父さんが好きだったの。
私の父親の妹の旦那さん。血縁関係はなかったけど、両親が亡くなってからは、私とミナミの保護者代わりだった人よ。
ずっと、憧れてたの。
カッコよくて、優しくて。
大好きだった。
その気持ちは今でも変わらないわ。
ただし、敬愛という意味での、「大好き」だけどね。
・・・私が、恋愛感情で好きなのは、コウガ君。
あなた一人だけだよ。
君が私に告白してくれた日のこと、覚えてる?
あの時が、私の人生で最も輝いている時だったな。
嬉しかったよ、コウガ君。
ありがとう。好きって言ってくれて。
私を、一人の人間として認めてくれて。
コウガ君と出会ってから、毎日が楽しかった。
私にとっての、生きる意味と希望は、コウガ君、あなただったよ。
大好きだよ、コウガ君。
でもね、もう遅いんだ。
すべてが、遅かったの。
私はあの日、君に告白される前から、もう自殺する決意を固めていたのよ。
さっきも言ったけど、私はコウガ君に出会って、初めて愛を知ったわ。
私を救ってくれたのは、コウガ君だよ。
だからね、私、このままでいたかったの。
どんなに愛していても、いつかは別れが来るでしょう?
人間は身勝手だから、人の欠点ばかりが目について、相手を信じられなくなったりすることだって、あるよね。
コウガ君と、そんな風になりたくなかったの。
互いに疑心暗鬼になって、好きな人の気持ちも疑うなんてこと、したくなかった。
でもそれは、私たちが人間である限り、感情を持っている限り、あり得ることなのよ。
そばにいすぎて、互いに相手の気持疑ってしまうくらいなら。
あなたを好きすぎて、右も左も分からなくなって、人間の醜い感情に支配されるくらいなら。
死んだ方がマシ。そう思ったのよ。
コウガ君の心の中でも、私は今も綺麗なままですか?
あなたが思う、朝倉ミライのままですか?
そうだったら・・・嬉しいな。
コウガ君。どうか、立ち止まらないで。
あの日、私を好きだと言ってくれた君は、とてもカッコ良かったよ。
本当に、私は幸せだった。
幸せの絶頂の中で、私は死ぬことができたのよ。
だから・・・本望だわ。
あの日、神様の存在について、話したよね。
私は、本当に神様はいると思っているよ。
だって、最期の最期に、君が告白してくれたんだもの。
これ以上の幸せはないわ。
私は、君との思い出だけを胸に旅立つわ。
コウガ君は、しっかりと生きて。
生きる意味、そして希望を見つけてね。
もしも、また生まれ変わった時には、
君に会いたいよ、コウガ君。
大好きだよ、コウガ君。
さようなら
ミライより
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