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パイリン・ザ・ゴーレムマスター 作者:大滝よしえもん
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ゴーレムマスター師弟、新たなマスターに出会う(2)

 入り口側が半壊し黒煙を上げた保安官事務所の上空を、三匹の竜がはばたき、ゆっくり旋回していた。うち一匹は凶悪そうな牙がたくさん並ぶ口から、薄く煙をたなびかせている。

 戦爆竜ヤーボドラッケン……どちらかといえば鳥に似た形の鷹竜アドラードラッケンとは同じ空の竜でも全く違う種であり、強いて言えば翼のある首と尾の長いトカゲのような見た目である。飛竜ワイバーンの仲間に見えるが爬虫類ではなく、これまた卵生のほ乳類なのだ。その翼は腕というか、骨格的に掌が巨大化したもののようで関節が多く、親指に相当する部分が通常の腕の役を果たしているのだ。

 その長い首の先端にある楕円形の頭部に、使い手が被せたのであろう兜が光っている。大きな口の下顎からの銛のように伸びた、長い突起が目立っている。
 そしてまた一匹が顎先の先端からバチバチと放電し、口から噴出した高圧のガスに点火、たちまち伸びた青白い炎の噴流が、今度こそ保安官事務所を全壊させてしまった!

 まるで空飛ぶ生体ガスバーナー、それが第09ゲアリック強盗団こと、東部強盗互助連絡会ラングラングファレイ支部の主戦力なのである。
 更に別の一匹が事務所跡の前に舞い降り、その背中に乗った大男が、ビリビリ響く重低音で叫んだ。
 「保安官!死んだか保安官?!死んじまってるなら返事はいらねえぞ!」

 頭の中央だけ縦にそり残された髪、脂ぎった顔の中央に集まった、睨みを利かせた小さな目、顔の下半分は牙を模した金具付きのマスク、ぶっとい首、両肩と胸元を守るごっついプロテクター、でもそんな物は無用なんじゃないかと思わせる、分厚く弾も刀も通りそうにない全身筋肉の塊。装飾品をみれば、全ての指には相手を殴る時のナックルガード代わりであるごっついリング、装飾の付いた皮のブーツ、背には派手な色のケープ、それらに無駄に打ち込まれた鋲やら棘々やら・・・

 ?、アレ~?
 ……我々は知っている!この男を……いや、この男の声を!!姿を!!その名前を!!

 「いきなりなんてことするんだゲアリック!」
 もはや薪にしかならないであろう、元事務所だった木の残骸の山の中から、ボロボロになった保安官が立ち上がった。
 「あんたのトコとは、友好的にやってたはずだぞ!この前だって、ライバルだった盗賊団を逮捕してやったのに」
 「ああ、こっちも協力してやったしなあ」

 ここの保安官事務所も、やはり一部の悪党と手を握り、他のより多くの悪党を狩る道を選択していたようである。いやそんなことやって連邦保安官本部から査問とかされないのか?
 「わりいな、実は単なるやつあたりだ」
 「なんじゃそりゃ~ッ!」
 「第26ゲアリック強盗団こと、東部強盗互助連絡会ヴィルデグリュン支部が壊滅した」
 ボソリ、とそのゲアリックは呟いた。

 「こっちに手下を貸し出していて手薄だったところをやられたらしく、賞金首だった団員の三人が、亡骸となってあっちの保安官事務所に運び込まれたのよ……そしてそのうちの一人は……一人はッ!この俺様の従弟、シュテファン・ゲアリックだったんじゃぁぁぁ~ッ!」
 と、「こっち」のゲアリックは絶叫した。

 ああなるほど、このそっくりさん、「あっち」のゲアリックの親戚だったのか、と、素早く事務所跡の後ろの巨木の葉陰に隠れていたパイリンは納得した。
 しかし実にそっくりである。そっくりにも程がある。いや実際、声は全く同じに聞こえるし、服の色や細かい装飾部分が違う程度。あっちのが生き返って、着替えて出直してきたようにしか見えないのだが。

 「すっごいわかりやすい、わるモノみ~つけ!」
 いつの間にか気がついていたエンジェラが、パイリンの後ろからゲアリック(従兄)を指差し言った。見たところあの爆発の中傷一つ無いのが不思議である。例のフワフワ二匹も、変わらず頭の脇に漂っている。
 「うるさい黙れ馬鹿エルフ。みつかるじゃねえか!」

 つうか頭悪い森精系エルフォイドなんて初めてみたわ、とパイリンは思った。
 何千年もの昔に、人間と土霊ドワーフ森精エルフ獣人ライカンは混血し、結果固有の優れた能力を伸ばして進化、いまや古き純潔種などこの世界に一人も居ないはずであるが、こんなに森精エルフの血がハッキリ出てるくせして、脳みそパープーなんて普通いないぞ。
 「うぇ~ん、バカってゆ~ほうがバカなんだよ~」
 半べそで一応抗議してるようだが、ちっともおりこうそうには見えないぞ、エッちゃん……まあ、かわいいからいいけど。

 「それでなあ、シュテファンの仇である賞金稼ぎの奴が、この宿場に入り込んだらしいって噂を聞いたってワケよ~」
 「で……そいつはいったい」
 保安官はイヤ~な予感を覚え、そしてそれは正解なんだろうと確信した。
 「一千万コーカの賞金首、そして賞金稼ぎの白零パークレン!!」
 うわあい、やっぱり正解だぁ、悪い方向に。

 「で、そいつがこの事務所にやってきたら、俺様の所に連絡よこせ、って言いにきた」
 「だったら何故ぶっ壊すの、ここを?!」
 「わりい、だからやつあたり。仲良しだった従弟の亡骸がはした金に換えられた、保安官事務所なんてモノを見たら、すっげえムカついてなあ。」
 「そりゃここじゃなくて、ヴィルデグリュンの事務所でしょ~がッ!」
 「うん、だからやつあたりだって。保安官事務所ってだけで有罪確定、判決大爆破」

 すげえ理不尽!と保安官は思ったが、この後に来るであろう質問にどう答えるべきか、選択を誤るともっと悲惨なことになるような予感、そして悪寒。
 「んで、俺様が来る前に、件の賞金稼ぎの小娘、顔を出さなかったかい?」
 そらキタ~ッ!
 「え~、どなたでしたっけ?有名な大物賞金首でもって、さらに賞金稼ぎ……ああ、パーなんとかだか、パイなんとかだかって人」
 考えるフリをして後ろをチラリと見ると、葉陰からパイリンが擲弾銃をこちらに向けて、凶悪な表情でニタリと微笑んだのが見えた。

 ヤバい!る気まんまんだよ、あの娘!天を征かれます大空の龍神タイクーロンよ、我に力を、幸運を!生きているって喜びを!
 「あ、ああ~、残念。昨晩遅く来たことは来たんだが、北の街に賞金額のいい悪党が集まってる、って教えたんで、もう夜明け前には旅立っちまったらしいよ」
 とりあえず保安官は事実を半分交え、それらしく説明してみた。これならパイリンには逃げるなり迎え撃つなりの選択ができるし、ゲアリックに対し完全にウソをついたわけでもないし、もしかすると彼の望みどおりパイリンと戦う機会があるかもしれない。

 「なにィ~ッ!半日遅れで逃げられたとゆ~のか~ッ!」
 憤怒フンヌ~ッとゲアリックは顔を、というかマスクの陰から見えている目の周りを真っ赤にして怒り狂った。
 「ええい、でも行き先は北の街、ってことはツィタデルブルクかッ?!と、すると戦爆竜ヤーボドラッケンを明日の昼ごろ飛ばして行けば、ちょうど奴が森を出てくるあたりで待ち伏せできるタイミング!よおし、早速帰って準備するぜ!!」
 それを聞いたパイリンが、擲弾銃の狙いを外したのを視界の端に確認して、保安官は心の中でホッとため息をついた。ああ神様ありがとう、生きているってステキ。

 そして竜を舞い上がらせ、アジトへの帰路についたゲアリックを見送った保安官が安堵しつつ振り向くと、パイリンとエンジェラがすぐ後ろに立っていた。
 「ご苦労保安官、ナイス嘘つき!」
 「ナイスじゃね~でしょ!あんたのせいで事務所がこんな有様にッ」
 それに答えてパイリンは、ぐっと低いトーンで一言。
 「やつあたりした奴に言えよ、それとも後で、あいつに伝えておこうか?」
 ブルブルブルブル、と保安官は超高速で首を振って、全力で拒絶を表明する。

 「ハッハッハッ、しかし慈悲深いオレ様ときたら、哀れなる法の番人にささやかなお恵みを与えてくださるのでした」
 久々の一人芝居のナレーション口調で、パイリンは懐から一千コーカ分の銀貨を出し、保安官に握らせた。被害に比べればささやかな寄付ではあるが、これでも守銭奴魔神パイリンにしては大盤振る舞いなのである。
 つまりは妙に機嫌が良いということだが、どうやら保安官の嘘にのせられたゲアリック(従兄)と強盗団を賞金に変える、いいアイディアでも思いついたのであろう。

 「ねーねーパー子さんパー子さん」
 突然、エンジェラがなれなれしい調子で声をかけてきた。
 「つーか何?『パー子さん』て」
 「名前が『白零パークレン』だから愛称がパー子さんにけっていデス♪」
 「そんな愛称はね~ッ!いや、読み方は『白零パイリン』の方が好みなんだが」
 エンジェラ、小首をかしげて続けて曰く、
 「なら愛称は『パイパイちゃん』?」
 「ダサ~ッ!巨乳キャラかってーの!」
 おお、あのパイリンさんが珍しくツッコミ役にまわっている!どっちも基本ボケ役なので、はたしてボケ同士が漫才になるのかと心配だったが、なんとかなるようだ……いや、漫才じゃなくて、普通の会話のはずなのだが。

 「あのワルものやっつけるぞうって考えてるでしょ?だったらあたしも仲間にまぜてま~ぜて♪っ。いい仕事しまっせ」
 なんだその最期の口調は、どこの方言だ。
 「♪っ、じゃねえよ馬鹿エルフ。お前じゃ戦力にならねえだろが!そもそもお前ってば何やってる人なの?賞金稼ぎにはとても見えね~んだけど」
 小さい子みたいにぷくぅ、と頬をふくらませ、エンジェラが抗議する。
 「賞金稼ぎだもん!『使いマスター』のワザだってもってるんデスも~ん!」

 「使いマスター」?……と言われても、魔像ゴーレムドラッケンみたいな戦力を持っているようにはとても見えないのだが。いるとすれば、あいかわらず頭の側にフワフワしている、例のアレくらいのものだが。
 「この子たちをナメたらいかんぜよ!」
 だからどこの方言だ、じゃなくてやっぱコレで戦うのか!?

 「イヤ……さっきから気になってたんだけど、何なのそのフワフワ?」
 聞かれたエンジェラは、肩の短いケープをひっくり返し、フードのように頭に被せ、せいいっぱいの低い声で、こう答えた。
 「おバケ~」

 ………………。

 「……ハイ?」
 「だからおバケなんデスよぅ」
 なるほど、言われてみれば人魂とか鬼火っぽいシルエットではあるのだが、お化けってのは、昼間っから頭の側でフワフワ浮いてる、白いプニュプニュしたものなのか?

 「こんな化け物がいるか~ッ!」
 流石にいつもはボケ役のパイリンさんが、完全にツッコミにまわってしまった。
 「バケモノとゆ~か~、死霊なのデス。こっちの子がオーガのオバケで~、こっちの子がドラッケンのオバケ~……あたし、『死霊ゴーストマスター』。」
   
 *

 ゴーストマスターとは、「使いマスター」の中でもマイナー中のマイナー、レア中のレアと言われる存在である。
 例えばドラッケンマスターは「地のドラッケン」を育て飼い慣らし、使役する、いわば畜産技術が高度に発達したもの。
 例えばゴーレムマスターは、機械工学にオカルト的な「魔法」や「召喚術」と呼ばれる古来の技術を解析し、それを融合し発展させた技。
 しかしゴーストマスター、これはもう完全に、百パーセントのオカルト世界である。

 「死霊ゴーストマスター」の技は科学的に分析・証明されたこともなく、技術的に体系化されているわけでもない。
 その「スキル」を持っているとされているものが、代々伝承して受け継いでいくものであり、古代ならまだしも近代の職業としては、はなはだ怪しげなものなのだ。
 実際、自らゴーストマスターを名乗り、インチキな霊媒やお告げ、除霊や悪魔払いの演技で金を稼ぐ、単なる詐欺師の方がずっと多いと言われる。

 *

 そんなわけだから、パイリンもまた、まるっきりエンジェラの言葉を信じない。
 「ものすごく説得力がありませんが、何か?」
 正直こんなのに係わっていられない。だから今はスタスタと早足で、アントンの待つ安宿へと向かっている最中である。
 ゴーレムマスターも半ば魔力、宝石を媒介して違う次元から送られてくるエネルギーをも利用しており、これはこれで怪しげではあるが、それでも長年の研究によって磨き上げられた「技術」である。まじない師みたいなゴーストマスターと一緒にされたくはない。

 エンジェラも置いていかれまいと、トランクを引きずりながら懸命についてくる。
 「普段は言うこと聞いてくれないけど、実戦になれば、この子たちのすごさがわかるですよ!悪党なんか魂喰らって、みなゴロシ~DETHデス
 いやそれが本当なら、そんな危険なシロモノをまともに操れてないってわけで、むしろヤバいんじゃね?とパイリンはゾッとした。

 *
 
 宿は保安官事務所からほど近いところにあったので、結局エンジェラを振り切ることもできないまま到着してしまった。
 庭先で鎧をいじっていたアントンが、彼女に気づいて声をかけてくる。
 「おかえり師匠、腕のとこは両方とも加工終わったんで、ちょっと付けてみて」
 図面に明確な指示があったとはいえ、なかなか仕事の早い弟子の腕にちょっと感心。

 「あら、パー子さんてこの子のお師匠様なんデスかぁ~」
 結局ついてきたエンジェラは、パイリンに無視もされるのもなんのその、例の調子でなれなれしく語りかけてきた。
 「えと師匠、こちらの方は?」
 いきなりの美少女の出現に、アントンはちょっとドギマギ。幼くして母を亡くし、鍛冶職の父の手伝いやら、強盗団の見習いやらにあけくれていた彼は、ロクに女の子と話したこともなく、サッパリ免疫が無いのである……これだから未経験者は。

 「森精系エルフォイドのくせにお馬鹿ちゃん、という世にも珍しい生き物だ。触るなよアントン、馬鹿ウィルスに感染して世界が滅びる、うわッ大変、火を放て!汚物は消毒だ~ッ」
 あいかわらず変な電波を脳で受信したような物言いだなあ、とアントンは思ったが、言い返すとロクなことにならないのはわかってるので、とりあえず無視してエンジェラの自己紹介を待った。

 「アントン君っていうのね、あたしは賞金稼ぎのエンジェラ・ファウスト、デス。エッちゃんて呼んでね♪」
 そして例のフワフワ、死霊であると彼女が主張する物体を指して
 「こっちがボーちゃん。本名は……え~、長いから忘れちゃったデス。メモメモ」
 いや、自分が使役する死霊の真名くらい覚えておけよ。そんなんで本当にコントロールできるのか?パイリンは頭が痛くなってきた。エンジェラは今度はメモを取り出し
 「ええと、こっちがボーちゃん、『ボスフォー・デア・ドラッケンガイスト』。でこっちの丸い方がビーちゃん、『ビートゥナ・ディ・トイフェルゼーレ』。よろしくね」

 ……………『ボスフォー』に『ビートゥナ』ですと?
 「ええと、えっと、エッちゃんさん?それって超有名な怪物の名前だよねえ」
 と、思わすアントンは思わず聞き返してしまう。
 そう、その名はどちらも、この国で知らぬ者はない、と言っていい程メジャーな伝説・昔話に登場する、凶悪モンスターのものだ。

 どのくらいメジャーかというと、よく歌われていた子守歌にすら出てくる程だ。歌詞を要約すると、背負った子供に『いい子にして大人しく眠らないと、次の角の先で待ち伏せしてるビートゥナにかみ殺される。言うこと聞かずにむずがっていると、またその先にいるボスフォーが、お前の首をもいじゃうぞ』と語りかけるという、脅迫めいたロクでもない内容だ。同時に、いかにこの二匹が残忍な怪物か、後世に伝えてもいるのだが。
 「そうデスよ~、どっちもご本人様だもん」
 おいおい、それが本当なら、こいつら国一つ滅ぼしかねない戦略兵器だぞ。
   


 ボスフォーは突然変異の巨大半人半竜ドラゴニュート。高い知能と怪力を持ち合わせ、人の世界も竜の世界も共に支配しようと、この国最初の内乱を起こした張本人。伝説では竜殺しの『魔剣使い《ソードマスター》』によって止めをさされ、滅ぼされたとされる。
 そしてビートゥナは人食い鬼。魔法使いにかけられた呪いによりオーガの姿となった女が、無限に続く飢えをなんとか満たそうと人を食い殺し続け、幾つもの村々を滅ぼしたという伝説が残っている。

 *

 そんな怪物共が、生きている人間の魂を吸い取り殺してしまうという死霊になっていたとしたら……おいおいお~い、さっさと成仏させないと大変なんじゃね?
 ハッタリなのかエンジェラがそう思い込んでるだけなのか、あるいは真実なのか……
 「でも幽霊なのになんで触れるのコレ?」
 「ユーレイはふだん、ふつーのヒトの目には見えないんだけどぉ、今はエぷトくラなんとかってゆ~ので、体を作っているからさわれる、って教えてもらったけどよくわかんないデス」
 「わかんないじゃねえだろ!あと『エクトプラズム』くらい覚えとけ」

 いつのまにかエンジェラの頭上を周回するのをやめた二匹が、アントンの目の前に移動してきた。ビーちゃんとやらはアントンの突きだした人差し指にトンボみたいに留まり、ボーちゃんとやらはクンクン臭いを嗅ぐような動きをしながら浮いている。いや、幽霊って嗅覚とかあるのか?この謎物体の習性がサッパリわからない。

 「あら、アントンくんは気に入られたみたいデスねっ。悪いヒトは魂食べられちゃうけれど、いいヒトにはなつくのよ、この子たち」
 うわあ、実は師匠も危ないとこったんじゃね?と弟子は不敬なことを考える。
 「もしかして……お前ってば今までこいつらに守られてきたから、賞金首に返り討ちにならないですんだでたワケ?」

 そうだ、そこが不思議なところだったのだ。どこからどう見たって加害者になる可能性ゼロ、被害者になる可能性120パーセントオーバーのエンジェラが、たった一人でこんな賞金首ウヨウヨな土地で無事でいられるはずがないじゃないか!
 「こりゃアレじゃん?、伝説の『イヤボーン』型ヒロインなんじゃね?」
 またパイリンがわけのわからないこと言いはじめる。

 「師匠、言葉の意味がよくわかんないのはいつものことだし、そこをあえてお聞きますが………なに、ソレ?」
 「昔の伝説とか英雄譚とかで、追い詰められた清純派娘が、悪モノに追い詰められてエロいことされそうになって『イヤ~ッ』とか叫ぶワケ。んで、そこで秘められていた魔力なんかが爆発してボ~ン!、悪モノ全滅、能力覚醒パターンよ」
 「……え~っと、つまりこのエッちゃんさんが悪者に襲われピンチになると、この自称伝説のモンスターだったプニプニが発動、悪人ゴー・トゥー・ヘル?」
 なんだか言い回しが師匠に似てきたぞ、気をつけろ、前途ある少年よ。

 「アレがほんとうに伝説の怪物だったかどうかはおいといて、少なくとも馬鹿エルフ一人を守るくらいの力はあるってこったな、状況証拠的に」
 「……師匠、さてはおもいっきし利用してやろうって思ってるでしょ?」
 「自分から売りこんだ悪党狩り大会参加希望者なんだからノー問題!オレたちがたくさんの敵に追われるとかピンチであぶない場面になったところで、悪党の群れめがけて『イヤ~爆弾』投下!するとあいつを守るためにオバケどもがボ~ンと大暴れって寸法、便利アイテムゲットだぜ」
 うわあい、思ったとおりだ。まさに外道、情け無用。

 そんな会話をすぐ側で聞いていたエンジェラ、
 「じゃあたしもわるモノやっつけに行っていいのデスね!やた~」
 おいおい、自分が利用されるって企みを聞いていながら気にしないのか?というか、会話の内容をまるで理解してないだろ。
 アントンは軽い頭痛を感じつつ思った。『う~ん、アレな人が一人増えちゃったぞ。二人そろって残念美少女、実にもったいない。あとボケ二人にツッコミ一人でやる漫才って、うまくいくのかしら?』と。 (続く)
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