異空間戦記 救国の英雄たち(9/27)PDFで表示縦書き表示RDF


異空間戦記 救国の英雄たち
作:山口多聞



任務完了


攻撃は完全に奇襲となった。

「よし、どんどんやれ!!各自自由攻撃だ!!ただ無駄な殺生はするな!!」

 沢村隊長機からの命令に従って五十六も自由攻撃に移った。

 ちなみに無駄な殺生をするなというのは、人道面の意味もなくはないが、主目的は弾を人間に使って無駄遣いするなということだ。最優先目標は物資や武器だからだ。

 五十六は次の目標を探した。すると、大量の箱が積み上げられているのが見えた。恐らく弾薬か食料だ。

「ようし、あれをやろう。」

 五十六はロケット弾を使う事にした。ロケット弾は全弾と2発ずつの発射モードがある。五十六は2発ずつの発射モードを選択した。

 地上からは散発的に敵が小銃を発射してくるのが見える。しかし、こちらのスピードに追いつけないらしく全く当たっていない。

 この世界では飛行機はようやく飛んだばかりのはずだ。そんな時代ではまず対空戦闘という概念があるかどうかも疑わしい。あってもいい所気球や飛行船を狙っての物だろう。500km以上のスピードで飛ぶ飛行機を打ち落とすなど不可能だろう。

 こうなると一方的だ。あまり気持ちのいい物ではないが、戦争に卑怯も綺麗もない。それはミリタリーマニアである五十六には良く分かっていた。

「許せよ。これが戦争だ。」

 五十六は発射態勢に入った。照準機のど真ん中に目標が入っている。

「発射!!」

 五十六は発射ボタンを押した。2発のロケット弾は無事に点火し、発射用レールから勢い良く飛び出した。

 シュパー!!

 煙と炎を引いたロケット弾は見事集積されていた物資に直撃した。そして、五十六がその真上を飛び去った時である。

 グワーン!!

 凄まじい大音響が大地を震わした。そしてそれは大気を伝わって五十六の「飛燕」にも衝撃を与えた。

「うお!!弾薬集積所だったのか!!」

 おそらく1会戦分の弾薬が消し飛んだのだろう。

 だが、戦場では長い間考えている余裕はない。五十六はすぐに頭を切り替え、次なる目標を探し始めた。

 と、彼の目に信じられない物が入ってきた。

「戦車だ!!」

 陣地の隅に空き地のように空いている空間があった。そこに数台の車両が止められているのが見えた。それは写真で何度も見た第一次大戦当時のルノーFT17そっくりだった。

「歴史がこっちの世界とは違う。科学力の進歩が早い。」

 これは大きな収穫である。彼は戦車の姿をしっかり脳裏に焼き付けると攻撃態勢に入った。

 戦車は第一次大戦で戦場に革命をもたらした兵器だ。おそらく日露戦争と同程度の武器や科学力での戦いを行っているこちらの世界でも同じ事だろう。その新兵器を野放しには出来ない。

 彼はまず残っているロケット弾はその戦車に向けて発射した。敵は6両だが、そのうちの1両を破壊した。

「くそ!一発は外した。」

 残るのは爆弾と機銃だ。五十六は爆弾を全弾投下モードにする。

「ようそろう。」

 戦闘機である「飛燕」が重い爆弾を吊ったまま急降下したらバラバラになってしまうかもしれない。

 そのため角度の浅い緩降下爆撃を行う。この方法は通常は撃たれやすいが、対空火器がないのなら問題ない。

「ようし、投下。」

 機関銃を乱射しながら彼は爆弾を投下した。後は命中を祈るのみだ。彼は操縦桿を一杯に引いた。

 彼が振り返ってみたとき、そこには6両の炎上する戦車があった。

 これで対地攻撃用の武装は全て使い切った。機関銃弾がまだ残っているが、彼が陣地を見回すと、既にめぼしい目標は見当たらなかった。

「任務完了だな。」

 すでに他の2機はいない。恐らく先に帰ったのだろう。彼も翼を翻し、帰投する。基地まではビーコンの電波に沿って帰っていけばよい。






 40分後、彼は基地に無事帰還し着陸した。

 「ご苦労様でした。」

 駐機場に機体を止めると、整備兵が出迎えてくれた。すると、彼は基地の空気が慌しいように感じた。

 「何か基地が慌しくないか?」

 「ええ。あなた達が出撃した直後に、基地に侵入者があって。」

 「侵入者?」

 五十六は一体何者が侵入したか気になった。
 
 


 


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