【語 尽】 幸留
お母さんとお父さんは、とても仲が好い。
わたしの大好きな人達だ。いつまでもそうあってほしいと思うし、きっとわたしが願うまでもなく、ずっとそうであるに違いない。
「ばいばい、おねえちゃんっ」
お参りに来てくれていたお姉ちゃんに挨拶をして、わたしはお墓の間を走ってお母さんとお父さんが待つ場所へと向かった。
お母さんとお父さんの親友で、『トモ』ちゃんっていう人をお参りしてる人は、とっても良い人そうだったって早く話さなきゃ! そう思って、パタパタと足を動かす。
墓地から少し離れた所に在る休憩室で、二人揃ってベンチに腰掛けていたのを発見!
わたしがそぅっと忍び寄り、驚かそうと近寄ると、―――お父さんが振り返って、人差し指を口許に当てて「しぃ」と小声で呟いた。
更に近づくと―――お母さんが眠っている事に気づいた。
「んもぅ、お母さん寝ちゃったのぅ?」
「まぁ、寝かしといてやれ、な? お母さん、きっと疲れてるんだよ」
お父さんが和やかな声で返したのを見て、わたしはぷぅと頬を膨らませる。
「折角『トモ』ちゃんをお参りに来てくれた人がいたのにぃ」
「―――へぇ? どんな人だったか分かるか?」
お父さんがちょっぴり驚いたような顔をして尋ねるのを見て、わたしは顎に指を添えて小首を傾げた。
「うんとね、歳はお母さんとお父さん位に見えたよ。とっても可愛い人だったんだよっ? それにねそれにね、何だか彼氏さんも一緒だったんだよぅ〜♪」
「そっか。……あいつも、元気でやってんだな……」
お父さんが感慨深げに呟いたのを見て、わたしは更に小首を傾げる。
「知ってるのぅ?」
「古い友人、かな。……さて、と。幸留。これからどこに行こうか?」
お父さんが静かにそう尋ねたのを聴いて、ぱぁと明るくなるわたし。
「わたしねわたしね! お母さんとお父さんと三人で遊びたいの!」
「……じゃあ、ちょっと可哀想だけど、お母さん起こしてあげないとね」
お父さんはそう言って、お母さんの耳元に口を近づける。
「キルト―――起きて、キルト」
甘い声を聴いたお母さんが、むにゃむにゃと寝言を言って、……薄っすらと瞼を上げる。
「―――……流天?」
お母さんの胡乱で、でも幸せそうな声に、お父さんがニッコリと微笑んだのが分かった。
それは秋晴れの空の下。
幕を下ろした世界は、再び緩やかに幕を上げ、
待ち望んだ幸せは、もうすぐそこに……
――――――――――【完】
―――あ、そうそう夢成さん。ボクのところに変な手紙が届いたんだけど。
―――変な手紙? どんな内容だ? ストーカー関係なら任せとけよ?
―――ううん、違うの。……えっとね、何か、
七人の人間を殺してほしいって、差出人が棺藤さんで届いたの―――
【八匹の殺人種】・・・【了】
ここまでお読み頂き、誠にありがとうございます_(._.)_
これを以て【八匹の殺人種】シリーズは完結とさせて頂きます。
また、他の作品で出逢う事が在れば、また宜しくお願い致します。
それではこれにて。どこかで再び相見える事を祈りつつ――P琢磨
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