僕はここにいるよ。いつも傍にいるよ。君の事をずっと…、ずっと見守っているから。
毎朝通学に使う君。
黄色い鈍行列車に毎日乗る君。友達と仲良く笑いながら話す君を乗せて僕は走る。皆を乗せて目的地まで無事送るのが僕の仕事。
毎朝片道二時間を毎日往復する。その中で君が乗っている時間は20分。最前列の特等席だ。
雨の日も雪の日も、君の笑顔があれば僕は頑張れた。
でも、今日でおしまい…。
何故なら、君は卒業。僕は新しい水色の電車と入れ替わる。
僕の最後の仕事。君は泣きながら最後のお客様として乗ってくれた。
思い出いっぱい…。
君の手には卒業証書と僕の写真。一番前に座る君は泣きながら膝の上に写真を置いた。
『お兄ちゃん?今まで送ってくれてありがとね…。』
ハンカチで涙を拭いながら静かに乗る君は…僕の妹。
君はいつも最前列の席で外を眺めていたね。寂しそうな表情を浮かべながら…時には目に涙を浮かべ…。
僕の方こそ“ありがとね…。”僕が運転するはずだった電車…。僕の変わりに運転席に一番近い場所に座ってくれて…。お陰様で僕の夢、君を乗せて走る夢…、かなえる事が出来ました。
終点に近づくにつれ、君は涙が止まらなくなった。
駅に着き、君は最後まで席に座っていた。離れたくない気持ちでいっぱいだ。
駅員さんに優しく誘導されホームへと案内される君…。電車から降りた君は、周りを気にせず泣いてしまった。
電車は僕の気持ち…、君の気持ち…、悟った様に“プァァァン”と一緒に泣いてくれた。
駅全体に鳴り響く…。
これでお別れだ。僕は君に敬礼をし、電車と共に記憶の中へと消えていった。
僕達は、君の中でずっと生き続ける。そして、見守っているからね…。
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