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二度目の私
作:シロクロ






おぎゃああぁぁあ―

けたたたましいほどの泣き声に、私は驚いた。前回の(死ぬ前の)記憶にはないほどで、私は驚きと慌てて降りようとしたのとで椅子から落ちた。

「ゆ、悠里大丈夫かい?」
「ん、へーき。悠里、お姉ちゃんだもん」

前より意識するようになった幼い返事をしながら私は胸を高鳴らせる。
これでやっと優生ゆうきに会える!
記憶の中の優生は私自身幼かったので溺れていたシーン以外はほとんど曖昧で、生まれた時の記憶も薄い。
でも、それでも私の大事な弟だ。優生の名前を忘れたことはけしてない。

「おとーさん、名前決めてるの?」
「ああ、男だから優斗ゆうとなんてどうだ?」

……名前違うし!
ちょっ、駄目! 絶対駄目! いくら同じ存在でも名前が違ったら調子くるうって!

「駄目! 弟ならゆーきなの!」
「ゆうき? まぁ…悠里がそういうなら。『ゆう』の音は揃ってるし。…うん、ゆうきもいいな。漢字はどうしようかな。母さんと決めないとな」

ふう…これでなんとかなるでしょ。さすがに漢字まで言ったら何で分かるのって感じだしね。











「………」

ぷに―

「っ」

柔らかっ。か、神懸かり的に可愛い! うわ、うわぁ…2年前まで私もこうだったのよね…あ〜、かーわーいーいーっ

ぷに
ふにょ
ふにふにふに

弟のほっぺたは私の指に合わせてへこんでは膨らむ。生まれたばかりの赤ちゃんは猿みたいで可愛くないって聞くけど、そんなことは全くない。可愛い。可愛すぎてこのままでは弟のほっぺたは私に遊ばれ続けてしまう。

むにー

ああ! 引っ張ったら起きるって! 言うことを聞きなさい私の手よ!
けど柔らかいー!

「うにゃ…あぁ〜?」
「あ、ごめんね。優生、起きちゃったね」

弟は、めでたく『優生』と前回と同じ名前になった。お母さんにゆうきと伝えたら「優しく生きる優生ね」と言われたのだ。
そういう名前の由来だったのかと思いつつも、私がゆうきと言わなければどうなってたのかな?

今ではお母さんも優生も家にいて、お母さんが家事をしてる間はずっと優生の傍にいる。

「あ〜うー」

はう…可愛いよぉ。
ちょん、と再びほっぺたをつつけば、優生はぎゅっと強すぎるほどの力で私の指を握る。
私の小さな手よりも小さな優生。可愛い…こんなに可愛くて小さな優生。
大丈夫だからね。お姉ちゃんが守るからね。

私はたまらず優生のほっぺたやおでこにキス(ちゅー、の方が合ってるかも)をする。

「きゃぁーう」
「優生〜」
「にゃはぁ」

優生の小さな布団の横にねそべって私は優生に指を握られたままじっと優生を見る。
知らず頬がゆるむ。ああ…私、絶対ブラコンになるよ。ま、いいけど。生きててくれるならね。

「悠里ちゃーん、ご飯出来たわよぉ」
「はぁい」

ああもう、可愛いなぁ。

「……悠里ちゃーん」
「はーい」
「きゃうぅ」

優生はにぱぁと笑う。
ふにゃあ、可愛いなぁ。

「…悠里ちゃん!」
「! …わ、分かったわよぉ」

お母さんの呼ぶ声に意識を戻されて私は名残惜しいけど優生の手を外す。

「あぅぅ?」
「うぅ…優生ー」
「悠里ちゃん……もう、本当に優生にべったりなんだから」
「いいでしょー? だって大好きなんだもん。あ、辛いなら、お手伝いするよ?」
「それは大丈夫だけど…よいしょ、と。じゃあ、優生も一緒に向こうでまんま食べましょうね」
「あぅ」

お母さんは勿論まだ授乳期の優生を抱き上げて微笑む。私もお母さんの後についてキッチン兼ダイニングルームに行く。

ぐぅ
冷静になると私のお腹はご飯を要求した。小さな体は大変燃費が悪い。














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