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二度目の私
作:シロクロ





とりあえずお兄ちゃんにお礼を言って、私は親に連れられて来ているであろう子供たちの集団に突撃した。

「ん、なんだぁお前。見ない顔だな」

私よりは大きいとは言え、スケールが近いと何か嬉しいなぁ。
私はにこにこしながら自己紹介をする。

「私、悠里。私も遊びに混ぜてくれない?」
「…? …嫌だ」
「何で?」
「お前女だから駄目。おれたちはライダーごっこするから、お前はあっちの女どもと遊べよ。子供はいらないからな」

そう言って男の子のグループからははずされた。
まぁ確かに、今のは公園の他の子供と比べて結構大きいから小学生になるかならないかくらいだ。
私はよだれかけをして砂場にいる子供に声をかける。

「ねぇ」
「あ〜ぅ?」
「私、悠里、一緒に遊んでもいいかな?」
「う?」
「……えっと、坊やはいくつかな?」

私とそう変わらない年齢に見えるけど…。

「ぶっぶ、ぶーぅ」

男の子は質問には答えないでミニカーを転がした。

「……」

これが、普通の一歳? うわ、ちょっ、私喋りすぎだ!
半年前の話し方で十分だったよ。……まぁ、お母さんの前では話してないしいいか。
これから幼児語話せば大丈夫でしょ。と、お兄ちゃんにだけは気をつけないとね。
みんなだいたい何歳で話すんだろう? ちょっと回ってみよう。

「あう〜」
「ん? どうしたの? まいご?」
あやちゃん、こうえんのなかなのにまいごはないよぉ」
「そうか。じゃあ、お姉ちゃんにあそんでほしいのかな?」

先ほどのぷりぷりボディでよちよち歩きな子供たち(私も同じような体だけどちゃんと歩けるのは、たぶん頭が覚えてるから)と違って発音は幼いけどちゃんと話してるし、自分でお姉ちゃんって言ってるし…2、3歳かな。

「わたし悠里」
「え、ああ、じこしょーきゃいできるのね。えらいえらい」
「わたしは藤田実代ふじたみよだよ。悠里ちゃん」
「あたしは深山彩乃ふかやまあやの。彩お姉ちゃんでいいよ」
「よーしく」
「よろしく〜」
「じゃあ、おままごとしてるけど入る?」
「うんっ」

おままごとかぁ、懐かしいなぁと思いながら、殊更幼いふりをして二人の女のコのひいているシートにすわる。
真ん中には泥団子ののったプラスチックのお皿がある。

「まんまぁ」
「だめだよ悠里ちゃん。ぱぱがかえるまでがまんだよ」

う〜、遊びに参加するのはいいけど、会話ができないのはなぁ。
とりあえず内容もあんまり分かってないふりしなきゃだし…家でこっそり本でも読んでた方がマシかも。

「まんまぁ」
「ただいまぁ」









私は2歳になった。

そこ、早いとか言うな。私にはめちゃめちゃ長かったの。
とにかく幼い話し方でなら会話は可能だし、ようやく弟を助ける準備ができるよ。

「すいえーやりたい」
「え?」
「水泳? 悠里、そんな言葉どこで覚えたんだい?」
「てれび。悠里も泳ぐ〜」
「う〜ん。でも悠里ちゃんに外はまだ…」

お母さんが渋る。あれからしばらくしてお母さんに外に出たいとだだをこね、さりげなく手を繋いだままで渡れることをアピールしたのだ。
だからいつも行く道沿いのスーパー(道を渡らないから公園に行くまではトラウマには気付かなかった)だけじゃなく公園にも普通に行くが、今だに心配をする。

「大丈夫!」

だが何としても譲れない。
私の弟は、私の目の前で海にのまれ溺れ死んだのだ。
私が泳げてさえいれば、助けを呼びに行く時間ロスがないぶん弟は助かるはずだ。

そんな出来事のあと、私にとって水は恐かったが、二度とあんな目にあいたくないから前回の私は頑張って恐怖を克服している。
プールでなら泳げる。

でも今の私では何とか記憶通りに泳げたとしていきなり溺れた人を抱き上げられるとは思えない。
だから、ここから泳ぎをはじめてうまくならないと。力だって多少はつくだろうし。

「まぁ、悠里がやりたいならいいんじゃないか?」
「お父さん…でも」
「倒れたと言っても一年ちょっと前に一度だけじゃないか。きっと貧血か何かだったんだよ。今はあの時より成長したし大丈夫だよ」
「……わかりました。お父さんがそういうなら…でも、悠里ちゃんは絶対私が送り迎えするからね」
「それは推奨するよ。悠里は可愛いから変質者から守ら……駄目だ。お母さんも美人じゃないか」
「大丈夫よお父さん。変質者は子供にしか興味がないし大人にはびくびくするものだから」
「なら安心だ」

………バカップルですか。
まぁまだ結婚して3年だしいいですけどね。
来年には弟の優生ゆうきも……なんか生々しい想像をしてしまった。まぁ、私も一応経験あるしつい、ね。
けどなんか親がって考えるとすごくやだなぁ。

ま、いいや。水泳はできるんだし。

「ありがとうお父さんお母さん、大しゅき」












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