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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード9『交差する日常と非日常』

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エピソード9-8

2017年2月2日付:加筆調整

 午後3時15分、松原団地駅の周囲を散歩していたのは先ほどローマと遭遇したジーパンの女性だった。
「パワードミュージックは対抗手段――か」
 彼女は散歩の途中で遭遇した連中を見て、どう考えても超有名アイドル勢力の可能性が高いと考えていた。
彼らの暴挙を許せば、金を積めば何でも許されるような時代になる――そう彼女は懸念している。
過去にも同じような事例が報告され、今でもループしている可能性が高い物――。
【最終的にはARゲームが戦争に利用され、ゲーム感覚で国を滅ぼすようなチートを平然と使用する――そんな時代も来るだろうか】
【さすがに、こうした流れは既に別会社がアニメ化なり特撮化している事もあって、こちらでは扱わないだろう】
【この世界はゲームで全てを決着させ、それは正々堂々と行われる――そうした世界だ。流血を伴ったり、それこそデスゲーム化すると言うのは望まない】
【WEB小説や流行のテンプレに便乗するだけが――創作の世界ではない】
【我々が求める物は――我々が手探りでも見つけなければいけない。ネット上のつぶやき等に流されるような作品は――】
「――唐突なメタ発言。それに第4の壁をあたかも操っていると思わせるまとめサイトの動き――そう言う事か」
 タブレット端末で一連のタイムラインを見ていた女性は、改めて超有名アイドルファンがやろうとしている事を認識した。
それは超有名アイドルを唯一神にするという計画を超えた計画――全次元世界を支配する超有名アイドルコンテンツによるプロパガンダである、と。
そうした傾向はアカシックレコードにも記されていたが、その思想が第4の壁の先に影響するのは非常に危険と言える。
「そこまで知っている以上、消えてもらおうか?」
 最初は彼女をスルーしていたアイドル投資家と思わしき人物の一人が、彼女の目の前に姿を見せた。
しかし、それを見て彼女が動揺するような気配を見せないだけでなく――視線をそむけようとせず、堂々と目の前を見つめている。
彼女の方はARガジェットを彼に向けようとせず、向こうの出方を見る事にした。
逆にアイドル投資家の方は、問答無用でハンドガンを突きつける。
「これはARガジェットじゃない。お前達の言うチートにも引っ掛かる事はないだろう――」
 しかし、アイドル投資家がエアガンと思わしきハンドガンを見せたと同時に――どうなるかの末路は決まっていたと言っていい。
次の瞬間、近くの交番から警察官と思わしき人物が駆け寄ってくる。アイドル投資家の持っている銃を本物の銃と認識した事による物だろうか。
その後、アイドル投資家は警察官の職務質問を受け、そこからライブチケットの転売等が発覚し、緊急逮捕される事になった。
この人物が関係している物では、少年グループも関与しており、どんな手を使ってでも超有名アイドルを利用したプロパガンダが――という気配を感じさせる。
今回の行動を取った段階で、アイドル投資家は負けフラグと言う物は既に白呈していたとも言うべきだろう。


 午後3時30分、谷塚駅に到着したローマは周囲を確認してスパイ等が紛れていないか確認する。
最終的には問題がなかったので、そのまま電車を降りて駅近くのアンテナショップへと向かった。
不審人物がいれば、竹ノ塚まで様子を見る事も考えていたようである。
そして、不審なパパラッチを駅のホーム近くで発見した。しかし、このパパラッチは何か通常のパパラッチとは違う気配もした。
「一連のスパイは産業スパイと言うよりは、芸能記者からの鞍替えと言うべきか」
 ローマもスパイの装備が色々と気になっていた。スパイ映画の様な装備はやり過ぎとしても、パパラッチの様な装備は明らかにスパイではない。
何故に、このような装備になっているのかは謎だが――ネット上でスパイとして疑われる装備リストを見て、それとは違う物を持っていけば怪しまれないと思っているのだろう。
ローマは芸能人と言う訳でもないので、特に写真を撮られるような事はないと思うが――彼らの行為を迷惑だと思う人物もいるかもしれない。
通報をしようかとも考えたのだが、それをした所で一連の勢力が一掃できるとは限らない為、とりあえずは様子を見る事にする。
実害が確認出来ない以上、手が出せないという事なのだろう。
ここでいう実害とは、ARゲームの運営等に障害が出た場合を指す。ガーディアンと言えど、未遂で拘束をする訳にも行かない。
ガーディアンとしては妨害を起こしたという証拠が必要なのだ。さすがに証拠もない人物を捕まえれば、それはネット炎上を呼ぶと考えているのだろう。


 午後4時、明石零あかし・ぜろの通報を受けてある情報を調査していたのはARゲームの運営本部だった。
運営本部は草加駅寄りは少し離れた場所にあるのだが、その規模は大手スーパーよりも広いレベルである。
ビルも耐震構造、洪水、落雷対策も万全な上、太陽光発電等の発電施設もあるという――ゲーム会社とは思えないレベルだ。
こうした耐震技術等は建築業界にもノウハウが提供されており、今後の高層マンション競争等に影響するかもしれない。
 そのサーバールームとは別に用意されているメインシステム、その場所は一部スタッフ限定のトップシークレットと言う。
「謎の人物から、アレだけのデータが送られてい来た時は正直――」
 男性スタッフの一人は、デスクでパソコンのデータと向き合っている。そのデータ量はHDDにして100GBに相当するのだが――。
それだけの量を処理するのに経過した時間は、わずか10分と言う。
一定のデータであれば、あっさりと仕分けられるかもしれないが、明石が送った量は常軌を逸している。
その量を瞬時にデータ処理が可能なのも、ARゲームに使用しているコンピュータであるメインシステムの実力だろうか。
「しかし、このデータがあれば――町おこし計画を妨害する勢力を半数以上は摘発可能だ」
 別の男性スタッフも、明石が送ったデータの価値に関しては高く評価している。
炎上商法を展開する人物、転売屋、更にはそうした勢力と協力してマッチポンプを展開した芸能人等――。
ある意味でもチートを使った勢力を完全駆逐しようと、ARゲーム運営は考えている。
それでも完全駆逐というのは不可能に近い為、可能な限りで減らそうと――今でも努力を続けていた。
その努力の結晶とも言えるのが、ARゲームの悪質なネット炎上を防ぐ為のシステムでもある。


 その一方、運営本部とは別の場所でアイドル投資家を摘発していた人物がいた。
「不正ガジェットを順調に摘発できている一方で、その大元を立つ事は出来るのか――」
 提督服姿のARガーディアン、彼女の名は加賀かがとネームプレートに書かれている。
彼女はクロスボウ型のARガジェットにパッチワークとも言えるようなARアーマーを装備し、周囲を取り囲むアイドル投資家と戦っていた。
草加市を初めとして埼玉県ではジャパニーズマフィアは完全一掃され、彼らの本拠地は壊滅しつつある――つまり、絶滅も一歩手前だった。
しかし、それに代わるような組織が埼玉県には存在していた。
それが超有名アイドルファン――アイドル投資家とネット上で言われている存在だったのである。
いつしか、埼玉県内には超有名アイドルファンが武装化しているという噂も流れだし、そうした誤解が一連の事件を生み出す土台だったのかもしれない。
「ここで超有名アイドルファンを止めなければ、日本は再び悲劇の連鎖を迎える事になる」
 加賀は何としても止めようと考えていた。超有名アイドルファンの暴走、超有名アイドルをプロパガンダに利用した全世界征服を。
彼らの目的が達成した時――世界は滅ぶとも言われているが、それはネット上で一部勢力が炎上商法として拡散している情報である。
結局、ARガーディアンも一部の情報を疑う様な人物でない限りは、アカシックレコードのレールの上を走る電車と同じだった。
情報だけを手にしていたとしても、結局はそれを自慢するだけや自分語りをするだけでは――エアプレイ勢の二次創作小説等と同じだろう。
本当にコンテンツ流通を考えているのであれば、現状の流通方法以外で海外などと対抗できる手段を考えるべきである。
安易な超有名アイドルを起用した人気漫画作品の実写化等は炎上のネタにしかならないし、何よりも芸能事務所側のコンテンツ潰しとも言えるかもしれない。
だからこそ、ARゲームプレイヤーは心を一つにする事は不可能でも――コンテンツ流通が抱える問題を改善していく方法を考えなくてはいけないのだ。
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