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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード9『交差する日常と非日常』

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エピソード9-5

2017年2月2日付:加筆調整


 午後2時10分、第一報がARゲームの各種センターモニターで速報される。
《パワードミュージックでランキング工作をしているプレイヤーに関して》
 やはりというか、予想通りと言う表情を見せるギャラリーもいるが――何も事情を知らない人にとっては困惑するのかもしれない。
何故かと言うと、ランキング工作と聞くとCDランキングにおける超有名アイドルグループの常套手段で有名だったからだ。
《強行手段と言う物は使いたくはなかったのですが、今回は状況が状況だけにガーディアンをはじめとしたランカーに討伐依頼を出しました》
《警察の様な国家権力を使ってまで一斉摘発を行えば、芸能事務所側の報復も想定以上の物が予想されます》
《我々は――国家権力や金の力の様な物を使ってまで討伐をするつもりはありません》
《それは、我々が否定しているチートを使うと言う事と同じ――》
《それ以上に、チート以前の禁じ手を使う事に他なりません》
《我々は、あくまでもARゲーム上での決着を望みます》
《繰り返します。我々は、当事者に対してARゲームでの決着を望みます》
《血が流れるような紛争に発展する事は望みません。だからこそ、ARゲームで決着を望むのです》
 運営を名乗る人物と思われるメッセージ、それはあくまでも音声を使った物ではなく文章のみだった。
こうした理由は諸説あるだろうが――あえて音声を使わない事で、何かを訴えようとしているのだろうか?
実際、このニュースの注目度はARゲームのニュースを見ないような観戦オンリーの人物でも、注目する位である。
ニュースをスルーしたのは、自分には関係ない話題としてスルーするようなプレイヤー位だ。


 午後2時20分、松原団地駅近くのARゲーム専門アンテナショップ――そこに姿を見せたのはローマだった。
ある程度の作品を見て回ったので、改めて――作品を再チェックしようと言うのである。
見てきた作品は体力を使う様な物もあれば、あまり体力は使わないような頭脳系もあるのだが――。
「少し話がある――」
 再チェックをしようとした矢先、入口の前でローマを待っていたと思わしき人物――。
黒マントに眼帯という外見で周囲の冷たい視線も刺さるような物だが、ここはARゲームで町おこしをしようという草加市である。
一部のマナーを把握していない人物からは指を指されるような場面もあったが――それ以外は問題なかったようだ。
「この人物に見覚えないか? 人物と言うよりは、ARアバターと言えるかもしれないが」
 木曾きそアスナがタブレット端末で見せた画像は、数時間前からネット上にアップされて話題の人物でもある。
その姿は、ARゲームが拡張現実を使ったゲームであっても異質の存在――そう断言出来る物だった。
「ウォースパイトか? 名前はネットで知ったが、見覚えはない」
 ローマもウォースパイトの存在は全く知らなかったようで、ネットのつぶやきサイトで少し話題だった事により、そこの経由で名前は知ったらしい。
ただし、そこまでしか把握しておらず、この人物が何をしようとしているのかまでは分からなかった。
次に木曾が特定の単語を出すまでは――。
「では、このアバターを動かしている人物が比叡ひえいアスカだとしたら?」
「!? それは、どういう事だ?」
 さすがのローマも木曾に詰め寄ろうとしたのだが、そんな事をしても彼女が情報を吐くとは思えない。
もしかすると、木曾が正体を知ったきっかけがネット経由で、真相は知らないとも考えられた。
「複数ある超有名アイドル事変――その一つに関係した人物が、比叡だと言う」
 しかし、ローマの態度を見て何かを感じ取った木曾は、唐突に話を始めたのである。
ローマの態度は最初こそは変化する事はなかったが、とりあえずは落ち着く事にした。
下手に周りの人物に迷惑をかければ――それはネット荒らしと変わらないからである。
「確かに。比叡はARゲームをプレイしたのは浅い。それを踏まえたとしても、あの超人プレイはおかしい部分もある」
 ローマは落ち着いて比叡を独自に分析し、そのプレイ技術の向上が一般人のそれとは明らかに違っていた事に気付く。
「過去にARゲームの元となったと言われるゲームがロケテストを展開していた。しかし、そこにあるアイドルグループが現れ、ゲームのロケテストではなくゲリラライブが始まったという」
 木曾はあまり語りたくはなかったが、それでも比叡という単語に反応したローマは何かを知っていると考える。
もしかすると、彼女ならば一連の黒幕の正体を把握しているのでは――と。


 5分後、立ち話も――と言う事でローマは近くのコンビニでペットボトルのコーラを購入し、それを木曾に手渡す。
そして、アンテナショップの待機席に座って話の続きを始める。
「超有名アイドル事変に複数存在するのは――こちらも最近把握したばかりだ。それに――」
 木曾はコーラを少量口にして、その後はARゲームのセンターモニターを見ているようだった。
「一部の事件は意図的な改ざんもあって、事実は未だに判明していない――と」
 ローマも木曾の方を振り向く事はなく、自分で購入したフライドポテトを口にする。
「比叡が一番介入していたのは、西暦2017年の事例――未だに真相も明らかにならない、あの事件」
 最初に話を切りだしたのは、何とローマの方だった。この時は超有名アイドル商法を巡る事件だったか?
この事件に関しては、ローマの方が詳しいという訳でもない。
「ロケテストをアイドルのゲリラライブで上書きされ、その結果として比叡がアイドルグループのメンバーをせん滅したという」
 木曾の話を聞き、ローマは何かの矛盾を感じていた。
確かにロケテストがアイドルのゲリラライブに差し替えられたのは事実だが――。
「実際には、少し違う。ゲリラライブに差し替えられたのは事実だけど――本当は、その後に別の出来事が――」
 ローマが、その話を出そうとした矢先、ARゲームのセンターモニターに映し出されたのは、ARアーマーの集団に単身で戦う比叡の姿だった。
ジャンルはパワードミュージックと書かれているのだが、それだと10人以上のマッチングと言うケースはあり得ないはずだ、と。
もしかすると、数人単位のマッチングを複数回――数セットとも考えたのだが、それだと10人以上のプレイヤーがモニターに映っている理由にはならない。
この場面は明らかに本来のレギュレーションと違うルールで行われている可能性があった。
「あの時の再現か――」
 ローマは口にしていたポテトをかみ砕きながら、過去に起こった事件のトラウマが再現される――と懸念していた。
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