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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード1『比叡、エントリー』

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エピソード1-3

12月28日付:加筆調整
 4月10日午前11時10分、比叡ひえいアスカが目撃したARゲーム、自分としては対戦格闘ゲーム――それも少年漫画のノリに近い物と考えていた。
しかし、勝利したと思われる魔法少女の一言は格闘ゲームではないと否定するような発言だった。
『リズムゲームにチートを求めるのが、そもそもの間違い――正攻法を極めなければ、勝ち目なんてないのは当然のこと』
 彼女はこのゲームのジャンルをリズムゲームと言ったのである。
比叡は先ほどまで自分がプレイしてきたのがリズムゲームなのであり、これは別の何かである――と考えていた。
『ARゲームの違法チートは――トータルバランスを歪める物。銃がないようなファンタジー世界で戦車や戦闘機を持ってくるようなレベル――それが、ARゲームにおけるチートの定義よ』
 格闘ゲームでチート及びドーピングが反則だと言うのは知っていたが、リズムゲームにもチートと言う概念があると言わんばかりの彼女の発言――それは比叡にとっても衝撃的な物だった。
それ程にARゲームでは、正々堂々と戦う事が求められるのだろうか?
実際には、イースポーツ化や大会における賞金制導入と言った部分がチートの一掃に貢献しているという説があった。
チートを利用して賞金を荒稼ぎし、超有名アイドルのCDを大量購入し、CDランキングを不正操作している――と言う事例があったという。
これに関しては芸能事務所側は否定しているが――過去の事例を踏まえると、事務所が否定するのは一種のテンプレ芸と考えていたのである。
「それでは、まるで――」
『それ以上を詮索すれば、別の勢力に消されるかもしれないわ。物理的な意味で』
 比叡は何かを言おうとしたのだが、魔法少女は彼女の言おうとしていた事は言葉にしない方がいい、と警告をする。
何故、ここで警告をしたのかは何となくだが比叡にも理解出来た。周囲のギャラリーに無用な恐怖を与えかねない――と言う事らしい。
『どうしても、この世界に行くのであれば――アンテナショップへ行くといいわ』
 彼女は、比叡の目つきを見て――何かを感じ、おせっかいだがアンテナショップへ行くように、とヒントを与えた。
その先に関しては彼女の判断次第という事で、そのまま姿を消してしまった。厳密には別の目的地へ向かう様な気配だったが。


 午前11時15分、近くにアンテナショップがあるらしいという情報を得たので、そこで今のARゲームについて調べる事にした。
名称はパワードミュージックと言う事、リズムゲームとARパルクールを足したような物である事は聴けたのだが――詳細は不明のままである。
【パワードミュージックとは――】
 受付窓口にあるタブレット端末を手に取り、そこで比叡は手探りでパワードミュージックを検索し始める。
ネットのまとめサイトは芸能事務所所属のアイドルの宣伝に利用されている為か、当てにはならない。
「色々と楽しめそうな場所もあって、飽きなさそうな店内だけど」
 周囲には様々なARゲームのスペース、一部ジャンルでは試しプレイ専用スペースも用意されている。
その他には銀行のATMは置いていないが、電子マネー発行機、両替機、ジュースの自動販売機も見かけるのだが――これらが置かれている事に驚きを隠せない。
場所によってはカジュアルショップや100円ショップ、コンビニ、レストラン、家電量販店も併設されているという話もあるが、それこそ信じがたい話だ。
「これかな――と」
 比叡は検索結果の1ページ目にある一番上――公式サイトへとアクセスしようとしたが、ふと思う部分もあって1ページ目の下の方にあったレビューサイトへ寄り道する。
【これを音楽ゲームと言うには、付け焼刃とか後付けになりそう】
【コース上にノーツがあって、それをリズムに合わせるタイプのリズムゲームは稼働していたはず。それをARパルクールのシステムで再現しようとしたのが、これだろうか】
【それでも、振付に合わせて踊るタイプのリズムゲームもあった以上、身体を使う系統に対しては違和感を持たないが、これは――】
【ARパルクールと言うにも、リズムゲームと言うにも中途半端に見える】
【他のARリズムゲームの方が敷居的な意味でもプレイしやすいのかもしれない】
 やっぱりと言う反応だった。比叡のように格ゲーと勘違いした事例はなかったが、ARパルクール乃システムに似ているという意見は多かった。
ARパルクールは、基本的に一般道や路地などと言った道をコースとして使うのだが、中にはビル街なども使用されている。
ビルとビルの間を飛び越えるような行為、それはパルクールとは言わずにアクロバットと言う扱いであり、フリーランニングと過度に区別化されている話もあった。
それに、ARパルクールにはパルクールのグループや団体は非関与――と言うネットの情報もある。真相は不明であり、コンテンツ炎上目的の虚構記事である可能性もあるが。
「あのバトルになった理由は何だったのか――」
 比叡は公式サイトの説明などもチェックした上で、何かの違和感を感じていた。
コースが設定されているのであれば、あのように同じ場所にいつづけてスコア稼ぎをするような行動に意味があるのか、と。
RPG等で経験値を稼ぐ為に同じ場所を回り続けると言うのは、RPGあるあるに当てはまるだろう。
しかし、それがARゲームでも通用するかどうかは分からない。
自分もARゲームは指折り数える程度しか知らないので、迂闊な行動は下手するとアカウント凍結につながる可能性も否定できない。


 ARパルクールのシステムは、基本的に市街地を舞台にスタートラインからゴールへ辿り着く事が目標の一つ。
コースに関しては大まかな物しか存在せず、中には駅の構内や商店街、ショッピングモールの中、許可さえ取れれば高速道路も可能――。
もう一つのルールは所定のチェックポイントを通過、全てのポイントに到達してからゴールを目指す物もある。
ただし、チェックポイントを使用する方は、基本的にARパルクールでもオプションルールという解釈が多い。
 そして、ARゲームにはARアーマーと言う特殊素材を使用し、拡張現実技術を最大限に利用したアーマーを使用する事がルールとして定められている。
専用のインナースーツを装着、メインアーマーのデータを読み込ませる事で特撮ヒーローや魔法少女、西洋の騎士等に変身する事が可能。
この装備は自動車のエアバッグ等を含めた安全装置に類するシステムであり、これを採用した事である程度の高難易度コースを実現する事が出来たと言ってもいい。
それに加えて、ARウェポンは拡張現実技術を利用した『質量のある』ゲーム専用の武器である。
それと同様にバックパック等のオプションも、それを助ける装備であるとも書かれていた。
ARウェポンに殺傷力を持たせる事は禁止されているが、それがどのような理由で禁止されているのかは諸説あり過ぎて特定出来ていない。
諸説の一部には軍事兵器転用という物騒な一文もあった――それを真実と判断して鵜呑みにするかは、個人にゆだねられるのだが。
「本当に安全なのだろうか――」
 比叡は各種情報をタブレット端末で調べつつ、様々な部分に疑問を持っていた。
ネットの情報を鵜呑みにすれば、足元さえも見えなくなってしまうだろう――そう比叡は感じている。
「それに――このインナースーツは、必須とも書かれている」
 比叡が別の端末で確認していたのは、ARゲームで使用するインナースーツだった。
戦隊ヒーローやSFのノーマルスーツをイメージさせるスーツは、ある意味でも必須と言う事が描かれている。
どうやら、ARアーマーやバックパックを接続する為のスーツであり、用途としては宇宙服と言う例えが的確なのかもしれない――と思った。
「デザインにも色々とあるようだが――」
 カラーバリエーションはある程度の融通がきく一方で、肌色スーツの様な物はゲームによってはNGとなっている事も追記されている。
VRゲームでもジャンルによってはアダルトジャンルはあるのだが、草加市では認めていない――という記述になっていた。
若干曖昧な書き方の為、比叡は戸惑うのだが――ここは草加市であって、他のエリアではない。
特に現状で考える必要性はないだろう、と言う事で今は考えない事にした。
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