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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード8『変化していく環境、その行方』

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エピソード8-4


 一連のデマニュースや虚構記事はネット炎上勢やアフィリエイター、悪目立ちしようというユーザーによる物だった。
実際、それらのニュースを偽物と知らずに真実だと考え、つぶやきサイトのサーバーをパンクさせてしまっているユーザーもいる。
それ以外にも、デマニュース等は週刊誌やテレビ局と言ったマスコミを釣ると言う目的もあり、これによってメディアを混乱させる意図もあったのかもしれない。
しかし、こうした動きに対してARゲーム運営は単に身動きが取れない状態でいた訳ではなく――様々な手段で偽情報の封じ込めを行っていた。
その方法とは正式なソースのないニュースを拡散しないという内容のメッセージを拡散すると言う物である。
 その一方で、強行手段で炎上勢力を物理消火している勢力に関しては関与を否定していた。
彼らはARゲームの運営を名乗っている訳ではないのだが、こうした動きが更なる火種になる事を運営は懸念していたのかもしれない。
「不味い事になったわね――」
 一連の事件が悪い方向に傾いた事は、ガーディアンの耳にも入っている。別勢力にも広まっているのは決定的か。
それを踏まえ、大和朱音やまと・あかねは別の懸念を抱いていた。それは、ARゲームの海外進出と言う噂とも関係しているのだが――。
「ありもしないようなネタをネタバレと言う事で拡散されるのも都合が悪い。さて、どうするべきか――」
 大和がタブレット端末で見ていた記事、それは西雲響にしぐも・ひびきと名乗る人物に関する物だった。
何故、彼女が西雲に眼を付けたのかは不明である。接点と言う物も存在しないはず――。


 4月27日午前12時40分、アイドルグループの運営しているアンテナショップ周辺ではネット炎上勢力が何者かによって鎮圧されていた。
これは、少し前に炎上サイト等のアフィリエイターがアイオワによって壊滅させられた場所から数百メートル程度しか離れていない。
この件もアイオワの手による物か――と一部のフジョシ勢や別勢力は思った。
「どういう事だ――?」
「子のやり口は、第3勢力の仕業だと言うのか」
 しかし、これらに関しては別の何者かである事以外は分からずじまいとなる。ガーディアンも、現場に到着した頃には――鎮圧後だったからだ。
正体が分からなかった理由としては、その姿を目撃出来なかったというのもあるのだが――。


 午前12時50分、草加市内の別のゲームセンター、場所的には草加駅から歩いて10分と言う位置だろうか。
そこで行われていたのは新作リズムゲームのロケテストだ。大行列まではいかないが、そこそこの人数がゲーセンの入り口で整列をしているのが分かる。
ARゲームが主流の予感がする草加市でARゲーム以外の体感ゲームやVRゲームが置かれていない――と考える事が間違いなのだ。
草加市以外ではエリアによってARゲームが置かれていない場合が多く、今でもVRゲームや体感ゲーム、ビデオゲームが置かれている。
ゲーセン=ARゲームという考え自体、ごく最近生まれたネット上での方程式だが――そう言ったレッテルを貼る事が間違いなのは明白だった。
【ARゲームばかりが話題になる情勢だが、こうして他のゲームも注目されている】
【そうだな。流行りものだけを追いかける勢力を否定するわけではないが、コンテンツは使い捨てではない】
【もっと別の活用方法をしようとは考えないのか――フジョシ勢力や夢小説勢は?】
 ロケテストがされている機種は、2画面方式のリズムゲームで、下画面で演奏を行い、上画面はPVが流れる形式。
数年前に主流となったタイプの機種であり、今でも人気の方は衰えていないのが分かる。この機種はシリーズ物ではなく、単発物なのだが――。
【ARとVRを同じと決めつけている勢力――それが間違いの始まりだろう】
【技術は全く違うと言うのに、何故に同じと決めつけたがるのか?】
【ロケテストをしている機種は複数あるようだが――】
 ロケテストの客層は男性が圧倒的に多いと思われていたが――女性も比較的多く、6:4の割合で男性が多いという結果に落ち着く。
実際、ゲーセンの客層も男性が多く、この場所では対戦格闘等が人気のあるジャンルだった。リズムゲームは客足も伸びず、撤去を検討していた位である。
それが、午前10時の段階で整理券を配った段階で100枚は捌けただろうか。150で定員となる為、予想外の人数が集まったと言える。
【誤った情報を伝達しようと言うまとめサイトが必要悪とは思えない。あれは――絶対悪だ】
【違うな。ARゲームの技術を軍事転用しようと言う勢力が絶対悪だ。それを止めようと動いているのは――】
【ビスマルクだと言うのか? 奴はネット上でさまざまな知識を拡散しているようだが、完全な悪と言う訳ではない】
【じゃあ、誰が――】
 つぶやきのタイムラインには、ロケテストの件以外にも様々な件に関して言及されていた。
しかし、彼らは真相に辿り着く事は――出来ない可能性が高いだろう。
結局は遊び半分でネットを炎上させようと言う考え、自分が目立ちたいだけで他人を貶めるのも躊躇しない――そんな人物が、今回の事件の真意を知るのは不可能だ。
それを確信している人物は一部で存在するが、その内の一人に該当するのがビスマルクである。


 午後1時、当日の整理券は終了となった。おそらく、午後6時前までには150人のプレイが終わると計算しているが――。
筺体数は5台、そこまで巨大な筺体ではなかった為に多くの台を設置出来たと言うべきか。
実際、筺体の大きさは身長170センチ位の大人と同じ程度であり、組立も容易だった為に設置で苦労する事もなかった。
それが複数台のロケテストを可能にしたとも言える。
最近は、ここまでの設置面の配慮を行わないと――と言う裏事情もありそうだが。
近年のリズムゲームはソーシャルゲームの方が半数以上を占めており、それもアイテム課金型が多く、そこでプレイするのを断念する傾向が多い。
ソシャゲにおけるアイテム課金型は廃課金やガチャ問題なども影響している事もあって――。
だからと言って、リズムゲームにもアイテム課金型要素を入れようとして失敗した機種もある為、その辺りの思考錯誤は今でも続いているのが現状だ。
 今回のロケテストが行われた機種に関して、SNS上では特に大きく取り上げられてはいない――メーカー側が情報規制をしている訳でもなく、だ。
ゲームのタイプとしてはタブレット端末で見られるようなタップ+スライド式の物であり、操作関係で目新しさは感じられない
画面的には上画面にMVが流れるのだが、下画面でも見る事は出来る。上画面はギャラリー専用と言える。
動作関係も複雑な動作は求められない物であり、格ゲーでの複雑なコンボや必殺技コマンド等を覚える必要性はないだろう。
しかし、リズムゲームは全機種が同じような動作を求められるかと言うと――機種によって異なる為、格ゲーの様にコンボや必殺技のコマンド等で応用が可能なわけでもない。


 ロケテストに極秘で足を運んでいた人物がいた。それは何とビスマルクだったのである。
さすがにゲームをプレイする事は出来なかったが、ロケテストの様子を見てリズムゲームの人気も健在だと感じていた。
「ARゲームが草加市ではメインになりつつある中で、未だに人気があるジャンルを見ると――」
 その一方で、ビスマルクは一連の超有名アイドルが起こしているゴリ押しとも言えるコラボに関して違和感を感じている。
それは以前に超有名アイドル商法としてネット上で炎上し、更にはこれを原因としてネット上を飛びだしての物理炎上を起こした事もあったのだ。
この事件は歴史上から見ても最大の悲劇とされ、海外アーティスト中には日本のライブを取りやめている人物もいる位だ。
取りやめているアーティストの中には、日本は超有名アイドルを絶対的な神として信仰対象としている――と皮肉交じりでつぶやきを拡散している人物がいるほど。
「やはり、超有名アイドルは完全駆逐するべきなのか――」
 ビスマルクは過激派勢力の言う超有名アイドルの完全駆逐――それを達成したとしても、コンテンツ流通は変わらないと考えていた。
一部の面白半分にネットを炎上させようと言う勢力、ネット炎上勢力、フジョシ勢等――こうした勢力を魔女狩りしたとしても、結局は同じ事だろう。
結局、光と闇が表裏一体であるのと同時に――ネットにも光と闇が存在する。ネットの闇とは、炎上勢力等の行動なのかもしれない。
「しかし、誰が必要悪なのか? アカシックレコードの存在こそが超有名アイドル商法と言う悪を倒す為の手段――」
 ビスマルクはふと思った。アカシックレコードの記述こそが必要悪であり、超有名アイドル商法を根絶する為に協力体制を組むべきと警告したのではないか――と。
しかし、それを認識させる為の人物となったのは誰なのか? アカシックレコードにアクセス出来る人物は一握りでしかない、とネット上では言われている。
それを踏まえると――絶対悪となった人物は複数いる可能性もあり、それに便乗しようと言う人物もいるかもしれない。
果たして、ビスマルクの考えは杞憂で終わるのだろうか。それは――。
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