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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード1『比叡、エントリー』

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エピソード1-2

12月27日付:加筆調整
 比叡ひえいアスカが出現した事、それはリズムゲームにおけるトータルバランスが崩れる気配を見せていた。
1人の強豪プレイヤーの出現でバランスが崩れると言うのは、格闘ゲーム等の対人戦要素の高い作品であれば分かるかもしれない。
しかし、対人戦要素の少ないリズムゲームでバランスが崩れる事があるのだろうか?
これらの発言がネット上の炎上狙いやアフィリエイト系まとめサイトへの誘導がメインかもしれないが――。
【リズムゲームで1人の強豪が出現しただけでバランスが崩れるのか?】
【マッチングで対戦した際、勝ち目がないと――違うのか?】
【マッチングは対戦格闘みたいに勝敗はあるかもしれないが、負けたからと言ってゲームが即終了する要素はない】
【ハイスコア的な部分で苦戦をする事は理解できるが――理論値の数とか】
【それが不正やチートプレイを加速させているのか?】
【そこまでは分からない。あくまで憶測にすぎないから】
 ネット上では、バランスブレイカーが1人現れたとしてもリズムゲームでは限定的という意見が多い。
格闘ゲームやFPS等では大会荒らしなどに発展しそうな案件だが、リズムゲームでは――。
【リズムゲームの場合は理論値と言うゴールが存在する。しかし、スコアだけを極めた所で本当に楽しいかどうかは――】
【プレイスタイルは人それぞれと言える。それを押し付けるのはお勧めできないな】
【他のジャンルであれば攻略本片手にプレイするのも一つの手だが――リズムゲームは、それだけで極めたと言えない】
 さまざまな意見が存在するのもリズムゲームである。
このゲームには終着点があるのか――と疑問に思うプレイヤーもいるかもしれないが、リズムゲームはある意味でも楽しみ方は無限大なのだ。
理論値は、あくまでもゲーム側で設定された目的にすぎない。自分の好きな曲だけプレイする、魅せプレイを極める、マッチングなどで盛り上がる、ライバルとスコアを競い合う――。
これらは一例でしかないのだが、リズムゲームには特に決められたゴールは存在しないのだ。
それこそ、議論が加熱する程の――こうした話題に触れないプレイヤーもいるほどである。
「自分の保身や人気取りの為に吠えたい人物には――そのまま吠えさせればいい。こちらが、いちいち突っ込んでいる暇もないだろうから」
 比叡自身は、こうしたネット上の動きに関して疎い訳ではないのだが、スルースキルで流している。
自分が何処のゲーセンをメインにしようとも、そのリズムゲームをメインにプレイしていても――それを他人に否定される筋合いはない。
未プレイの人物やエアプレイ勢が言及するのは――論外とも言えるだろうか。


その一方で比叡の出現がリズムゲームのトータルバランスを崩すと言う部分に異論を唱える人物もいた。
「格闘ゲームやFPSゲーム等の対人要素が絡むジャンルでは、1人の強豪がバランスを揺るがす可能性は高いだろう――」
 彼女は草加駅と谷塚駅の中間にあるアンテナショップでコーヒーを購入し、ネットスペースで一休みをしている。
食べ物の持ち込みは基本的にNGなアンテナショップだが、イートインスペースなどでは許可されているようだ。
コーヒーと言ってもコップタイプの容器ではなく、タンブラーの様な蓋の付いたタイプの容器が使われている。
「しかし、音楽ゲームの場合では物の数ではない。10人や100人規模で勢力拡大をしているのであれば、話は別だが」
 身長187センチと言う高身長に黒髪のセミロング、体格は貧乳の巨尻と言う割にはバランスは悪くない。
服装のセンスは皆無と言って等しく、ミニスカートをはいていても巨尻の関係もあってか――色々と凄い事になっている。
周囲の視線は彼女の尻に向いているのだが――そんな事をすれば警察のお世話になるのは目に見ているかもしれない。
草加市にはARゲームを町おこしにした段階から、露出度の高いコスプレイヤーや裏モデルの業界から声がかかりそうな女性も姿を見せている。
アイドルの芸能事務所が草加市に姿を見せないのは、単純に超有名アイドルの芸能事務所を締め出しているのも理由だが、その詳細を草加市は言及していない。
ネット上では超有名アイドルが複数のネット炎上に関与しているとも言われているが――。
「それ以上に気になるのは――こちらの方か」
 彼女は比叡の記事をスルーし、タブレット端末をスライドさせて別記事を表示する。
複数の記事を発見する中で、彼女が目にした記事の見出しはARゲームに関する物だった。
【ARゲーム、一部ジャンルでイースポーツ化。既に対応も始まる】
 見出しを見て、彼女はため息を漏らす。この手の記事は目撃する割合が増えているのだが――例によってまとめサイト乃記事である。
その中身は見なくても大体分かるので、彼女は画面をスライドして別の記事を探し始めた。
彼女はイースポーツ化その物に反対意見を出している訳ではなく、それも時代の流れであれば受け入れる方向でいるつもりだ。
しかし、ARゲームが抱える事情に対応できるのか――という不安がある。
ネット炎上問題もそうだが、ビジネスモデルとして特許を独占しようと言う権利屋や不正ガジェットを販売する転売屋も――問題として浮上する話題だ。
「果たして、ARゲームの運営はどのような流れを生み出すのか」
 長門ながとクリス、それが本名なのかは分からないが、ARゲームに対しては人一倍考えているようではあった。
彼女もARゲームのプレイヤーであるのは間違いない。それは彼女が持っているカードのデータからも分かる事ではあるが――。


 午前11時、比叡は草加駅の方へと向かっていた。
自転車でゲーセンへ向かおうと進んでいる所で、ある光景を目にする。
「格闘ゲームにしては――?」
 目の前で起こっている光景、それは忍者のように建物と建物を飛び越えたり、道なき道を突き進むような光景である。
更に言えば、魔法少女を思わせる外見の女性とダークヒーローを思わせる人物が対戦をしているようにも――。
『こちらとしては――下手に妨害されるのはルールにも反する!』
 ARメットで顔を隠しているような外見の魔法少女は、ダークヒーローの人物が行っている事に対して異論を唱える。
魔法少女と言うよりは――メイド服にARアーマーを装備しているだけの様な気配もするが、ツッコミは厳禁なのだろう。
「パワードミュージックでは、意図的な妨害でなければ反則とはならない――そのはずだよな!」
 ダークヒーローを思わせる人物、こちらもARメットで顔を隠している。素顔を見せないのがルールなのだろうか?
『確かにそのとおりよ。しかし、妨害以前にガイドライン違反は見過ごせない!』
 魔法少女の方は、妙な形状の拳銃をダークヒーローに向けて構える。
持ち方としては――どう考えても警察や警備員、ガードマンの様な持ち方ではない。明らかに――。
「ガイドライン? ガジェットチェックを言っているのなら、この場に立っている段階で分かるだろう?」
 ダークヒーローの方はあくまでもしらを切りとおす気らしい。観客の方もガジェットチェックと言われて、納得する人物もいる為――そう言う事のようだ。
『ガジェットチェック――そう言う事ね』
 魔法少女の方は、何か思い当たる節があるようだが――それを口に出す事無く、彼女はゲームの乱入申請を行い、それが受理される。
《バトルモード》
 ダークヒーローの方はバイザーに表示されたバトルモードを見て、舌打ちをする。魔法少女の方には、舌打ちした声は聞こえていないようだが。


 実際はダークヒーローが行っている行為の方がルールに反していたのは――このプレイを見終わって、後から調べて分かった事。
この段階でもバトルフィールドにいる以上は失格の対象になっていない――と言うのはネット上でも言われているARゲームの基本ルールである。
魔法少女の方が言うガイドライン違反には、引っ掛かる部分もあった。おそらく、彼女はチートの事を言っている可能性があったからだ。
リズムゲームでチートと言っても――あまり印象がない。ARゲームだとチートが横行しているのだろうか?
従来のリズムゲームだと和尚プレイと言う本来は1人プレイ必須の譜面を複数人でプレイする行為、プレイヤーAのカードでプレイヤーBがプレイするような身代わり位しか浮かばなかった。


 2人がバトルをしていると思っていた物――それは自分が考えていた物とは違っていた。
お互いに二丁拳銃、大型の槍という武器で戦っているように見えた為、あの時は武器格闘と認識していたのだが――実際は全く違うジャンル。
このジャンルが何なのか気づくのには、少し時間がかかった。それもそのはず、これが後の――。
『貴様は、何かを間違えている――こちらが指摘したのは、妨害ではない』
 この言葉を聞いたダークヒーローは若干震えだしていた。一体、何を指摘されたのか?
先ほど、彼はガジェットチェックと言う単語に言及したのである。おそらく――それが自らの首を絞める結果になったに違いない。
『こちらが指摘しているのは、お前が持っているARガジェットだ! そのガジェットはチートガジェット――ARゲームのルール以前に、お前は超有名アイドル商法を肯定している』
 その一言を聞いた途端、ダークヒーローの方は分かりやすいように周囲の壁らしきものを次々と撃破していく。
ただし、彼が撃破している壁はCG映像の物であり、実際の壁ではない。
実際の建造物を破壊したら、逮捕されても無理はない以上に――このご時世だとテロリストとも疑われる。
その辺りは周囲のギャラリーも分かった上で観戦をしているようだ。壁は破壊されたと同時に消滅し、破片が観客の方へとび散る事はない。
下手に騒ぎを起こそうと考えれば、それこそ出入り禁止になるのも明らかだろう。
『言っても分からないのであれば――!』
 魔法少女の方は、二丁拳銃を構えたと思ったら、拳銃にあった光るボタンを押したのである。そして――あの形状に比叡は若干のデジャブを感じていた。
このボタンは、リズムゲームで言う所の鍵盤に当たる物らしい。
つまり、この2人がプレイしていたのはリズムゲームと言う事になる。
どう考えてもリズムゲームには思えない光景だが、それは比叡に聞こえていたのが2人のやり取りと通行人やギャラリーの声だけだったという事も考えられる。
つまり、比叡にはリズムゲームにおける音楽の部分は全くと言ってもいいほど聞こえていなかった。誤認識の原因は、それだろう。
「あれって――!?」
 自分は言葉にならないような驚き――魔法少女の動きに思考が追いついていなかった。
普通に引き金を引いて撃つのではなく、彼女は何かのタイミングに合わせて光るボタンを押していき――次々と出現する壁を破壊していたのである。
そのテクニックは、FPS等で見かけるような動きも取り入れられているようにも見える。
つまり、ARゲームとはゲームジャンルAとBと組み合わせた複合型ゲームである――と比叡は感じていた。


 5分後、衝撃の光景は周囲の観客の声さえも奪う様な圧倒劇だった。ダブルスコアと言うレベルも超えていたのは間違いない。
「馬鹿な――無効スコアだと!?」
 ダークヒーローの方はスコアが無効扱いとなっていた。チートガジェットという判定を受けてのペナルティを取られた結果である。
プレイ前には判定で問題なかったはずなのに、プレイ中にペナルティを取られたのだろうか?
『リズムゲームにチートを求めるのが、そもそもの間違い――正攻法を極めなければ、勝ち目なんてないのは当然のこと』
 彼女のスコアはパーフェクトに近い物があったのだが、達成率は98%である。
つまり、2%の部分でミスがあったという事を意味していた。あれだけの技術力でも、100%は不可能なのか?
 その後、魔法少女の方は姿を消し、違法ガジェットを使用した罪でダークヒーローの方はアカウント凍結とガジェットの没収という処分を受ける。
違法ガジェットに手を染めた理由は『ハイスコアを出して、周囲の友人に自慢したかった』という単純な理由だったらしい。
格闘ゲーム等でも不正行為で失格になると言う事例がある以上、どのジャンルでも違法ガジェットやツールの類を使えば、どうなるのかは想像が出来るはずだ。
ARゲーム全体でイースポーツ化や賞金制度が導入されると言う事が、違法ツールの締め出し等に貢献しているというのは皮肉と言うべきか。
『攻略本やウィキの丸暗記で打開策を出せるのであれば――パワードミュージックは、ここまでの影響力を持っていない。数カ月後にはサービスが終了しているわ』
 彼女は何を言いたかったのか――謎が謎を呼ぶという状況なのは間違いないだろうか。
しかし、彼女の言葉に重みがあったのは間違いない。
リズムゲームにチートや不正と言う物を持ち込もうと言う事自体――間違った認識だからだ。
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