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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード8『変化していく環境、その行方』

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エピソード8

 4月26日、ARゲームの方では特に大きなニュースはなかった。
逆に静かすぎる事に対して大きな事件があるのでは――というプレイヤーの存在が若干目立った程度か。
しかし、25日の段階で配信されたリズムゲームにおける重大発表は衝撃の度合いが大きかった。
そのニュースに言及するプレイヤーは数多く、どの都道府県からも同じ話題が出るほど。
実際、ゲーセン内でも今回の決定に関しては不安しかなく、ユーザーが格闘ゲームや他のジャンルにへ一斉移動する可能性すら否定できなかった程である。
「別のジャンルのゲームプレイヤーが、一気に移動するとは考えにくい。それこそ、フジョシ勢力の様な民族大移動ではあるまいし――」
 他ジャンルへの大移動を否定したのは、何時ものARアーマー姿の天津風あまつかぜいのりだった。
何故、彼女がARゲームではない別のゲームにまで言及するのか――?


 4月27日、劇的ニュースから数日が経過しようしている。
このニュースを改めてアフィリエイト目的でも取り扱おうとは素人でも思わない。
それを行えばマスコミに利用され、事実が歪められる可能性もあるからだ。
それ以外にも、特定エリアで同様の事件が確認されれば――速攻で逮捕される事も避けられない。
そして、事実が歪められるだけでなく――。
【結局、日本は超有名アイドルのプロデューサーが影で政治を操ると言うWEB小説でも題材にしないような国家へと変化しようと――】
 こうしたテンプレ文章でメッセージ投稿が繰り返され、サイト自体が炎上するからである。
そう言うバイトがあると言う話は存在しないのだが――ネット上にも絶対と言う物はない。
こうした事情もあって、このニュースをまとめサイト等が取り上げる事はなくなった。
しかし、大手ニュースサイト等は掲載しているのが現状である。何故、大手がスルーしそうな話題を今更になって触れるのか?
「ニュースサイトでは取り上げられているが、この扱い方は非常に小さい。一体、どういう事だ?」
 サイトを見たユーザーは、様々な意見はあるのだが――最初に記事としての扱い方が小さい事に疑問を持った。
これでは、CMバナークラスと言うべき扱いであり、意識してチェックしないと見落とすレベル。
ここまで小さな扱いにしたのは、意図的に小さくしたという物であり、この掲載方法には作為的なものさえも感じられる。
「作為的な部分はあるかもしれないが――これは、何かの陰謀を感じる」
 ガーディアンの一人は、大手ニュースサイトや様々な場所で取り上げられているニュースに陰謀論を感じていた。
こうした炎上マーケティングは今に始まった訳でなく、ここ最近でも落ち目の芸能人が構って欲しいだけで炎上させるケースさえも存在する。
こうした案件を放置する政府にも問題があるかもしれないのだが、それらを超有名アイドルの芸能事務所による陰謀と証拠がないのに決めつける勢力も問題があるのでは――と。


 環境が変化していたのは、この部分だけではなかった。
リズムゲームの環境変化は、強豪ランカー等が他の作品に流れた事も理由の一つである。
中でも、初見スコアで理論値に近いスコア等を出していた比叡ひえいアスカはネットでも有名になった、
複数作品でトップランカーに近い位置にもいた木曾きそアスナ――この他にも有名所プレイヤーは多いだろう。
そうしたプレイヤーが離れた事で、逆に埋もれていたプレイヤーがピックアップされている――と言うのが有力である
一方で、強豪プレイヤーの中にはプレイスタイルで見本となるべき人物も何人か存在していた。
木曾もその内の一人であり、彼女のプレイスタイルはゲーセンへ行くプレイヤーにとっては見本と言っても過言ではない。
そうしたプレイヤーが離れた事で、モラルの問題も叫ばれ始めている。
「ここまで状況が変わってくるとは――」
 この状況を見ていた、有名プレイヤーはこう思ったのだと言う。
リズムゲームが超有名アイドルの宣伝をする為の手段ではないと言うのに――歴史は、繰り返されてしまうのか?
「超有名アイドルをゴリ押しするだけで客足が伸びると思っているのならば、考え方を改めるべきだろう」
 この考えに至っていたのは、ビスマルクだった。芸能事務所のやり方はコンテンツの無駄遣いと断言しているようでもある。
彼女は数日の内に世紀末と言うべき状況に変わったリズムゲームの環境を見て――何かの前触れと感じていた。
その悔しさは、彼女がタブレット端末を持っている腕が震えている事からも読み取れるだろう。
「ソシャゲの廃課金勢やその他の案件から、コンテンツの正しい流通方法を学ばなかったのか?」
 ビスマルクは改めて思っていた。超有名アイドルの様なゴリ押しコンテンツ流通の時代は終わっている。
それこそ一部信者のみしか喜ばないのは明らかであり、時間の無駄である事を芸能事務所側は理解していない。


 午前11時、ARゲームの方では今回の一連の事件が大きく報道されている事はない。
一連の出来事を対岸の火事と言う事でスルーしている可能性もあるのだが――興味のないジャンルにはとことん興味がないと言うべきか。
逆に言えば、下手に他ジャンルのもめ事を持ち込まないのがARゲームにおけるお約束として拡散し、大きな炎上案件もなかったという裏返しかもしれない。
しかし、その法則も打ち砕かれようとしているのは――この段階ではだれも気付く人物はいなかった。
そこまで深読みできるような人物は、ARゲームの運営でも存在はしない。
アカシックレコードの記述を鵜呑みにしてはいけない――それがネット上でも当たり前のような認識をしていた。
そう言った理由もあり、アカシックレコードで懸念されていた項目がスルーされていた可能性もある。
無駄足になるような議論をしている暇があれば、積極的に動くべきと言うのもアカシックレコード上で言及されているのだが。
「一連の事件を報道しない理由は、ネット炎上防止か――それとも、余計な不安を与えないようにという配慮なのか?」
 天津風は、周囲の警戒をしながら一連の事件に関して考えていた。
余計な不安と言う意味では、風評被害等の二次炎上を防止する――に繋がるかもしれない。


 午前11時30分、ネット上ではさまざまな虚構情報が拡散しているような傾向がある。
草加市内では、そうした情報はフィルターで見えなくなるような物だが、それをコピペして拡散を繰り返すような記事には対応できていない。
こうした記事に対してのフィルター強化は急務であり、まとめサイトを鵜呑みにするような勢力を締め出すのにも有効と訴える人物はいる。
しかし、下手に情報の規制等を行えば、今度は表現の自由を訴える勢力が動き出す。
こうした勢力を敵に回すのは、好ましくないとARゲーム運営は考えているらしいが――本当にそれが運営の総意なのか?
「情報の選別が出来なければ――それが、試される時が来るのか? まるで、大災害が起きる予兆を思わせる――」
 一連のネット情報をタブレット端末で確認し、偽情報や虚構記事を通報すると言う作業をしていたのは、比叡だったのである。
何故、彼女がこのような事をしているのは不明だが――憂さ晴らしやストレス解消、単純な作業と言う訳ではない。
彼女は情報の餞別を行えないようなネット弱者に対し、まとめサイトやネット炎上を誘導するような悪意ある発言者のつぶやきを鵜呑みにしてはいけない――それを訴えようとしている。
これらはARゲーム運営も管轄外と言う事もあって手が出せず、彼らはARゲームのフーリガンやモラル欠如をしたプレイヤーの検挙等をメインに動いていた。
しかし、比叡はネット炎上を大災害と例えている。一体、彼女は何を踏まえてネット炎上を大災害と例えるようになったのか?


 その一方で、炎上阻止に動く組織も存在した。それがARゲーム運営と思われたが――。
「愚かな事を――ネット炎上は、一部のアフィリエイト勢力や超有名アイドルファンしか喜ばないと言うのに」
 メイド服にARメット、ブーメラン型のARガジェットを振り回していたのは、飛龍丸ひりゅうまるだった。
彼女は以前に天津風あまつかぜいのりと戦闘した際にガジェットを大破、更にはアカウント凍結等のボロボロとも言える状態になる。
その後、大破したガジェットは別タイプのガジェットにアップデートしている。その形状は以前と同じだが、バックパックがシャープになって重量が1キロほど軽くなった。
凍結されたアカウントは、別のオンラインゲームで不正手段で得たレアアイテムをリアルマネーに換金しようとした高校生を逮捕し――その功績で凍結が早い段階で解除される。
「何としても――世界の真実を公表しないと」
 飛龍丸は焦るような表情を見せるが、それはARバイザーの影響で周囲には全く見えなかったという。
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