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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード7『架空と現実の境界線』

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エピソード7-7

2017年1月26日付:加筆調整

 事は数年前にさかのぼる。その時はVRゲームの試作機がゲームショウ等でお披露目されていた頃でもあるが――。
「アレを見ろ!」
「人間が――壁を登れるのか?」
「蜘蛛人間は海外でも見かけるが、装備などを見ると明らかに違う」
 草加市の某所、低階層ビルが多いエリアにて一人の人物がビルを上っていた。
海外では、クライマーとも呼ばれている人物はニュースにも取り上げられているが――それらとは明らかに装備は違っている。
その装備はFPSゲームであるような重武装であり――これでクライミングをする事も無茶と言われるだろう。
しかし、その人物は3階立てのビルをいとも簡単に登ると言うパフォーマンスを見せた。
当初はこれをゲリラ的な消防隊の訓練と考え、あまり見向きもしなかったのだが――これを5回~6回ほど違うビルで行った辺りで、周囲の注目を浴びることとなった。
その後、10回でパフォーマンスは終了し、そのまま撤収をしたと言う。
この時の映像も残っており、後にVRゲームに関係したスタッフは驚きの声を上げていたという。
プレイヤーの動きがプロのアスリートを思わせるような物なので、別の意味でも驚きの声を上げたのかもしれないが。
「パルクールにもにているが、微妙に雰囲気が違う」
「どちらかと言うと、フリーランニングにも見えるな」
「それよりも、テレビで放送されていた忍者を思わせるアトラクション――あれに似ている」
 この動きをパルクールと言うギャラリーもいたのだが、専門家的にはパルクールにビルとビルの間を飛ぶような危険なアクロバットを認めていない。
それらはエクストリームスポーツとして分けられるのかもしれないが――。
そして、このパフォーマンスこそARゲームの原点とされている物と言われていた。
この当時はARゲームとは呼ばれておらず、単純に大道芸の一種とみられていたようである。
あるいはストリートパフォーマーと判断されていたが、他の大道芸人などからは「常識では考えられない」という意見が多かったと言う。
これが、どのようにしてARゲームと呼ばれるようになったのかは――未だに不明である。
「VRゲームでも、屋外でプレイするような機種はない。何とも非現実的な――」
 この当時のアクションを見て、非現実的と思っていたのはビスマルクである。その当時の彼女は体感ゲームをプレイしていた訳でもない。
服装も改造軍服だがARゲーム用インナーとは違うし、緑色のセミロング(ウィッグ)だったりと違いはある。ぽっちゃり体型に近いのは共通だが。
当然のことだが、この時のビスマルクはアカシックレコードの存在も知らなければ――超有名アイドル商法に関してもノータッチだった。
しかし、後にアカシックレコードの存在をネット上で発見、その記述を目撃した事でARゲームの可能性を信じるようになり――ARゲーム稼働時にはARパルクールに参戦、現在に至ると言う。


 それから時は流れて西暦2019年、ARゲームは2016年末期から2017年頃から爆発的にヒットし――遂には、町おこしに利用しようと手を上げたのが秋葉原、北千住、竹ノ塚等である。
こちらの事例は大成功とまでは行かなかったが、それなりの好評を得ており、現在でもARゲームを利用した地域振興が行われている。
それとは別の方向性でARゲームを町おこしで利用しようと考えたのが草加市である。
その考えは的中し、今では外国人観光客もARゲーム目的で来日する等の成果を上げており、大成功とも言える。
しかし、ここまでに至るには大きな試練も存在した。それが超有名アイドル商法を巡る事件の類であるのだが――。
「謎の事件、ARゲームを巡る事件の数々は改名されていない物も多いが――放置されている物があるのも事実」
 日向とビスマルクのレースが始まるのを遠目で見ていた木曾きそアスナは、混雑してきたエリアから人が少ないエリアへと移動を始める。
そして、人が少ないエリアのベンチに到着すると、そこへ座り込み、眼帯のスイッチを入れる。
どうやら、彼女のARバイザーは眼帯型のようだ。ただし、眼帯はモニターのみで、それ以外の操作は腕に装着されたタブレットで行う。
「放置された事件の数々は有志によって報告され、犯人も捕まりつつある。しかし、放置されている背景は何だ?」
 木曾はネット上のまとめサイトを見ていく内に――放置されている背景の一部らしき記述を発見する。
【アフィリエイト系まとめサイトが儲ける為のストックとして、意図的に一部の事件を隠蔽しているらしい】
 そこには、こう書かれていた。明らかに超有名アイドル勢力は無罪と言う犯人のすり替えが行われていそうな、悪意のある記事ではあるのだが。
その内容をにわかには信じがたい一方で、フジョシ勢や他の勢力によるトラップだとしても――不特定多数のアフィリエイト系まとめサイトを敵にするのだろうか?
自分達に不利な事を書いているサイトを炎上させ、閉鎖に追い込むのは簡単だろうが――。
「マッチポンプ狙いだとしたら――吐き気がするような話だ」
 このニュースを信じる訳ではないが、木曾は内容が直球過ぎて思わず本音が出た。
超有名アイドルを神コンテンツにするという一件は、どの世界でも言及され、それはありとあらゆる世界において行われているとも書かれている。
【銀河系を作ったのは超有名アイドルであり。どの世界の歴史の教科書でも学ぶ事】
 このように書かれているWEB小説もある位である。あくまでWEB小説はフィクションであるが、ノンフィクションとして受け取るような信者もいるという意味かもしれない。
明らかに記述が嘘であるのは明白なのだが、そこに実在するアイドルグループを入れてつぶやきサイトで拡散させるだけで、アフィリエイト収入が得られるとしたら――。
そのような迷惑メールは大量に拡散し、現在に至るとしたら――。
「ここまでネットを炎上させ、ARゲームの環境を荒らし尽した報い――受けてもらうぞ」
 木曾の方も、静かではあるがARゲームのプレイ環境を荒らした犯人に対し、許せないという思いがあった。
こうした思いはARゲームに関わったランカー勢も思いは一緒である。
意思の統一は不可能かもしれないが、超有名アイドルの行っている事に関して不満を持つ者は、アンケート調査に夜ト7割を超えるらしい。


 4月25日午後1時25分、準備万端のビスマルクはスタート地点で開始を待っている。
しかし、そこに日向ひゅうがイオナの姿はない。一体、何が起こったのか?
「まさか――アレだけの事を言って逃げたのか?」
 さすがに挑戦状を出しておいて逃げたという事はないだろう。事情説明が長引いたとしたら、インフォメーションが入るはずだ。
乱入プレイヤーが来るとしても、ARバイザーにインフォメーションメッセージが表示される。
しかし、挑戦状が出された以上は乱入禁止。この状態で乱入をしようと言うのであれば――ペナルティは避けられない。
むしろ、ペナルティよりもチートガジェットやハッキング等を疑われ、アカウント凍結となる可能性もあり、最悪のケースにまで発展すればアカウント削除も視野に入る。
「逃げたのではない。別の乱入してくるプレイヤーを通報していた所だ」
 日向が姿を見せたのだが、その装備は先ほどとは若干違っている。
背中のバックパックは類似タイプのようだが、インナーカラーがネイビーブルー、リズムゲームのコントローラを思わせるアームユニットが大きな違いか?
アームユニットに関しては、ドラムセットを思わせるようなデザインだが――どうやってドラムを叩くのかは謎だ。
第一にドラムスティックは何処にあるのか――という疑問も存在する。
「別の乱入者?」
 ビスマルクが驚いていたが、特に多くを語るような事はなかった。
彼女には、レースの方を優先と言う流れがあったのかもしれない。あくまでも可能性での話だが。
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