挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード7『架空と現実の境界線』

70/137

エピソード7-4

2017年1月25日付:加筆調整

 4月25日、この日に限って言えば新人プレイヤーのエントリー数が増えたという訳ではないのだが、想定外とも言える新人が現れた日でもあった。
次々とランカーに近い実力を持つプレイヤーが頭角を現す――新人ラッシュとも言えるような日になっていたのである。
そのメンバーの一人は、別ゲームでも強豪と言われている長門ながとクリス――ある意味でも本命が参戦したと言っていい。
次に、日向ひゅうがイオナ、アイオワ、明石零あかし・ぜろ西雲響にしぐも・ひびき等の名前が挙がっている。
それ以外でも強豪プレイヤーの名前が出ているのだが、動画として注目されているメンバーはこの5人だろうか。
 しかし、日向に関してはパワードミュージックでのプレイよりも別の意味で注目されていたと言ってもいい。
それは、不正ツール使いを潰していくというチートブレイカーとしての一面だった。
【日向は意図的にチートを使用しているプレイヤーとばかり対戦している。しかも、乱入も含めて】
【パワードミュージックで乱入とは――リスクの方が高いはずなのに】
【対戦格闘だと乱入される事のリスクは相手プレイヤーも分かるはずだが――】
【リズムゲームで乱入というシステム自体は聞いた事がない】
【ARパルクールでは飛び入り参加というシステムを採用している機種もある。システム的には、そちらを採用しているのだろう】
 つぶやきサイト上では、日向のやり方に関しては賛否両論と言う状況であり――あまり褒められるようなやり方ではないという意見が多い。
彼女のやり方は、どちらかと言うと不正ツールを使うプレイヤーやアカウント転売等を行うアイドル投資家を次々とARゲームで潰していく――。
ある意味でもARゲームで潰していくという方法には賛否があるのかもしれないが、それ以外の手段で報復をやろうとすると警察に逮捕される。
それを踏まえた上で、この方法を取ったのかもしれないが――。
「そんな戦法を取ったとしても、自分達の行動が応援していたアイドルを間接的に苦しめる。それが分からないのか?」
 ネットの書き込みなどをチェックしていた天津風あまつかぜいのりは、彼らが行っている事は自滅行為に他ならないと考えている。
その証拠として、さまざまなニュースサイトでアイドル投資家逮捕のニュースが出始めており、そこでは『芸能事務所の命令でやった』と言う趣旨の自白をする人物もいたほどだ。


 午後1時、竹ノ塚駅と谷塚駅の中間辺りに位置しているアンテナショップ――そこでは、パワードミュージックのプレイが行われていた。
コース構成は、400メートルトラックを使用した物だが、建造物の様なオブジェクトは一切ない。
「手ごたえがなさすぎる――この程度だって言うのか? 超有名アイドルファンの民度もたかが知れている――」
 まるで、かませ犬にすらならないと遠回しに明言しているような日向――。
その装備はARガジェットの中でも、かなりのカスタマイズが施されているように見える。
さすが、複数のARゲームで出入り制限等を受けただけの事はある――のかもしれない。大きな自慢にはならないと思うが。
「あれは、確か――」
 ARアーマーを装着していない状態だが、ARメットのみを被った状態で準備をしていた比叡ひえいアスカは――日向のプレイしている様子を見ていた。
そして、彼女を放置するのは非常に危険だという結論に至るのだが――彼女が狙っているのが不正ツールのユーザーばかりをピンポイントで狙っている点が気になる。
それ以外にも日向には聞かなければならない話もある。特に一連のアイドル投資家襲撃やARゲームにおける違法ガジェットの流通も――。
「彼女の真意、確かめないと――」
 そして、比叡はエントリーをしようとARアーマーの装着を行う。今のタイミングだと乱入してくるであろうプレイヤーもいない為、チャンスと考えていた。
しかし、そノ予想を裏切るような展開が目の前に起こっていたのである。
《マッチングが一定数に達しました。このステージには入る事が出来ません》
 比叡のARバイザーに表示されたエラーメッセージ、それはステージの入場者数が定員になった際のエラーである。
ARFPSではフルマッチともネット上で言われるが――簡単に言えば満員を意味していた。
「あのプレイヤーは――」
 比叡が近くを見回すと、案の定というか日向狙いのプレイヤーが次々と乱入していたのである。
その結果として、定員オーバーが早かったという事だが――。


 5分後、マッチング前のガジェットチェックで引っ掛かったプレイヤーが数人、マッチングからはじき出される結果になった。
弾きだされた理由は、言うまでもなく不正チートである。
ここ数週間の間でチートツールも巧妙化しており、チート疑惑のあるアプリは容赦なくはじくような仕様に変更した結果が――今回のチェックにあるようだ。
その為、空席が出来たような物だが――その時には比叡も別のマッチングに参加していた為、今更キャンセルも出来ない。
 日向の方も対戦相手待ちをするのだが、あからさまなチートツールを使っているようなプレイヤーでは、日向には勝てないだろう。
正攻法でもARゲームを50タイトル以上はプレイしている彼女に――だからこそ、チートを使ってでも勝とうと言う考えに至っているのかもしれない。
しかし、一時的な勝利の為に反則行為やチートに手を出した結果、一生後悔する事になった事例はいくつもある。
それがオフラインゲームであればチートの使用は個人の問題であるが、これがオンラインゲームだと話は別だ。
チートの使用は場合によってはプレイヤーが逮捕という事になり、その事例はいくつも報告されている。
だからと言って、ソーシャルゲームにおける廃課金と言う様なプレイがARゲームで認められる訳でもないが。


 ARゲームは基本的にシステムや安全性の都合で18歳以上と決まっているジャンルが多く、ソーシャルゲームでの未成年による課金破産も一切起きない。
ARゲームの場合は基本的にプレイ無料のアイテム有料と言う料金設定はとっていないのは――ある種の宿命だろうか。
その為、料金設定は100円1クレジットが基本となっている。200円と言う店舗もあるのだが、ARFPS等の一部ジャンルに限っての対応と思われる。
「相手がいないのであれば、私が相手になるが」
 日向の目の前に姿を見せたのは、重装甲ガジェットと言うよりもバランス型を思わせるカスタマイズに調整したビスマルクである。
ビスマルク自身は日向に挑むのは初めてである。他のジャンルでは日向に挑んだ事もあり――。
しかし、一部のゲームでは返り討ちになった事もあった。
「ビスマルクか――今は、お前の相手をしているほど暇ではない」
 あくまでも丁寧な言葉で返答する日向。自身が下品な言葉を嫌っているのも理由の一つだが。
「こちらとしても、お前のやっている事を見逃す訳にはいかない。お前のやっている事は――ネット炎上勢力に利用されている」
 ビスマルクの方も日向に対して――これが本心かは不明だが、周囲で様子を見ているであろう勢力を警戒している可能性も否定できない。
「ARゲームの環境を荒らすプレイヤーを掃除する――それの何処が悪いと言うのか?」
「その為にARゲームで根絶するのか? いくら何でも――」
 ビスマルクは何かを言いたそうだったが、それを遮ったのは一部プレイヤーの放ったビームライフルだ。
丁度、日向のバックパックに掠るのだが――それに日向が気づかないはずもなかったのである。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ