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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード7『架空と現実の境界線』

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エピソード7

2017年1月24日付:加筆調整

 ARゲームが市民権を得るまでには、かなりの時間を要する――そうネット上では誰もが思った。
それこそ、実現するのに10年はかかる――という話もあった位。
アニメ作品での町おこしでも理解を得るのに時間がかかる為、それをゲーム作品で――という意見に否定的だったのだろう。
しかし、それを瞬時で行ったとも言うべき事件が存在する。
ネット上では『超有名アイドル事変』とも呼ばれていた――暗黒の3日間。
一部のまとめサイト等では名称こそ違う物が使われているが、意味は同じ物なので多少の誤差はあると思うが、話は通じる。
 歴史認識を歪めた事によるネット炎上――特定芸能事務所のAとBだけが主導で行った事が最大の原因であるのは間違いない。
その後、何が起きたのかは詳細は不明だが、暗黒の3日間とは――芸能事務所や政府の暴走と言われている。
「結局、リアル炎上の様な厄災が起きる事はなかったが――小規模の争いはあった」
 そう過去を思い出していたのは、比叡ひえいアスカだった。彼女は過去の事件を思い出したくはないらしい。
それこそ、彼女のトラウマをえぐるような物である。負傷者が続出しなかったのは、ある意味でも奇跡かもしれないが――心の傷跡は想像を絶する。


 4月21日、マンガ喫茶ではなくアンテナショップの端末から超有名アイドル事変の情報を調べようとした人物がいた。
しかし、その人物はまとめサイトの記述や一般的な都市伝説としての記述しか発見できず、真実にはたどり着けなかったのである。
仮に発見出来たとしても、ガーディアンが先回りしてサイトを凍結させた跡しか発見できないだろう。
実際、そうしたサイト跡らしきものはいくつか発見していたのだが――。
「連中の言っていた、事変とは――」
 その情報を検索していたのは、インナースーツにARメットで顔を隠した天津風あまつかぜいのりである。
飛龍丸ひりゅうまるとの戦いの際、彼女は事変についても触れていたからだ。
しかし、ARメットの一部機能は復旧できたのだが――いくつかに関しては凍結されているままである。
顔を隠すのにはバイザー機能があれば何とか間に合うので、バイザー機能が使えたのは奇跡と言えるかもしれない。
『ARゲームはVRゲームの世界とは違う。興味本位でプレイすれば――』
 あの時、飛龍丸はこう言った。自分は興味本位でARゲームを始めた訳ではないのに――である。
ARゲームが草加市全体で広まったのは、町おこしから始まった事も分かっていた。
しかし、飛龍丸は町おこしというのが表の目的ではないような触れ込みで喋っていたのだが――その詳細は調べて見ないと分からない。
古代ARゲーム自体がでっち上げなのは自分でも分かっている。おそらく、カードゲームアニメの設定でも利用したのだろう。
WEB小説のネタを借用したとも言えるのだが、アカシックレコードのデータを流用すれば情報偽装は容易に出来る。
大抵の人間がアカシックレコードに何が描かれているのかが分からないので、一般市民は騙せるだろう。
しかし、アカシックレコードの中身を知っている人間には騙せない。手品のタネを知っている人間と知らない人間の差はあるだろうか。
「結局、自分は連中にとっても都合のいいネット炎上の火種だったという事か」
 他にも自覚せずにARゲームを荒らしまわる勢力はいるだろう。
そうした人間が、さりげなくアイドル投資家や一部勢力に利用されていた事も――ここで天津風は知ったのである。


 埼玉県草加市、高速鉄道等は開通していないのだが、ここ数日で1万人は観光で訪れている。
その理由の一つとしてARゲームと言う存在があったのは言うまでもない。
『ARゲームは他の都心部でも出来ますが、その中でも草加市は機種の数が多い』
『電車で行く場合は若干不便ですが、ARゲームの多さには代えられないでしょう』
『草加市へはショッピングに寄ったつもりでした。しかし、ここのARゲームは面白い作品ばかりです』
 ローカル番組の街頭インタビューでは、このような意見が出ている。
外国人観光客は聖地巡礼等がメインだったのだが、日本人ではゲーセンの遠征以外で目的があるとすればARゲームが断トツで多い。
 最近では観光専用のシャトルバスも草加市で導入する事が検討され、更には聖地巡礼マップの整備、ARゲームの対応ショップを増やす等の対応が考えられている。
市役所でも観光案内スペースでARゲームのアンテナショップを案内する施設もあるし、駅構内等でもショップ検索が可能な端末も置かれている程に、広まりを見せていた。
秋葉原、西新井、北千住、竹ノ塚等の一部エリアでもARゲームの環境整備は進んでいるのだが、それよりも草加市の整備スピードは非常に早かったのである。
 一方で、こうした動きに対して妨害をしようと言う組織もある。
一部で問題視され、違法ガジェットやチートツールでCD購入の軍資金を集めていた超有名アイドルファン、ネット炎上で目立とうとするつぶやきサイトのユーザー等の存在だ。
こうした勢力を一掃する為に、コンテンツ流通妨害の掃除屋として指名されたのがガーディアン組織だったのである。
それを生み出したのは、飛龍丸なのだが――今では別の人物がメインと言う様子を見せていた。
 ガーディアンとコンテンツ流通妨害をする勢力の争い、それをネット上では炎上の火種にならないように意図的な名称を付ける事で、一般ユーザーを遠ざけていた。
ARゲームに関係のない分野を『日常系』と言うのに対して、ARゲームを巡る争いを『新日常系』と名付けた。
しかし、このネーミングは炎上させる事を楽しむ愉快犯を増やすだけではなく、風評被害や二次被害を生み出す流れを作るきっかけになってしまう。
既に一部のユーザーは、そうなりつつあるという事を自覚していたのだが――。


 4月21日、天気予報をARガジェットでチェックしていた人物がいた。
「雨の可能性か――しかし、多少の雨であれば中止にせずに強行するゲーセンやアンテナショップが多いだろう」
 ARゲーム用のインナースーツではなく、メイド服の姿でアンテナショップを見回っていたのはローマだった。
プレイヤーの安全を確保するという意味であれば、雨天でARゲームをプレイするべきではないだろう。
しかし、屋内でプレイするようなARゲームでは雨天でも問題ない。そちらは大丈夫かもしれないが、問題は屋外でプレイするタイプだ。
「利益を優先して、安全性を無視すれば――悲劇は繰り返されると言うのに」
 ローマはネット上で発見した事件ファイルと思わしき物を思い出していた。
そこには、ARパルクールでアクロバットを披露したプレイヤーが怪我をしたというニュース記事が載っている。
しかし、このニュースは地方のローカルニュースと同じ扱いになっており、一面記事ではなかった。
ARゲーム運営側はロケテ時の事故と言う判断をしているようだが、事故が起きた同日に謝罪会見を行っている。
それ程に素早い対応で事故等を謝罪するからこそ、ARゲームは長期炎上しないのだろうか。
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