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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード6『ネット炎上とリアル炎上と――』

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エピソード6-9

2017年1月23日付:加筆調整
 午前11時58分、ネット上が若干ざわつき始めたのが、このタイミングである。
草加市の外でも同様のニュースが流れた事が、理由の一つだろう。足立区内が特につぶやきの流れが顕著だった。
あの段階でテロップが表示されたのは埼玉ローカルではなく、あくまでも全国ネットだったからだ。
速報後は続報が発表されていないのだが、不祥事という単語は草加市内と市外でリアクションが異なっている。
これに関しては、ARゲームの認知度的な問題もあるかもしれないが――ケースバイケースと言った方が早いのかもしれない。
【不祥事? 超有名アイドルファンによる株式市場の操作が問題視されたのか?】
【株式ではない。株式だったらFX投資等も問題になっているはずだ。それを踏まえると、違う案件ではないか?】
【CDチャート操作? スクープ系週刊誌と組んでの虚偽記事でライバル潰しの工作? それとも――】
【あの芸能事務所ならば、海外の紛争を終わらせられるだけの資金力を持っている。賢者の石も――】
【しかし、あの芸能事務所は海外の大企業と比べても、あっさり吸収されるだけだ。世界進出は無駄だと思うが】
 こちらは草加市の外でつぶやかれている一連のタイムラインである。
株式市場操作の一件も解決と表向きには発表されているが、他の勢力も同じような事をしているのでは――と考えられているらしい。
しかし、ファンタジーで使われるような単語であるはずの賢者の石がトレンドに入っている事に関しては、違和感を覚える光景だろう。
実際は超有名アイドル商法の例えとして賢者の石と言う単語が使われているらしい。
現状の超有名アイドル商法を考えると、ある意味でも間違ってはいないのだろうが――。
【不祥事? まさか――】
【違法ARガジェットのバイヤーが逮捕されたニュースは稀に報道されるが】
【チートアプリやツールの存在はARゲームが出来た当時から問題視され、賞金制度やイースポーツ化はチート排除を加速化させている気配も――】
【チート排除を掲げたとしても、完全排除は無理だろう。おそらく、非公式や違法性が高い物、偽ブランドのARガジェットと言った物を排除するのが目的か?】
【海外から偽ブランドが輸入される事はないのだが――将来的には可能性があるのかもしれない】
 草加市では、今回の芸能事務所の不祥事をARゲーム絡みと考えていた。
草加市以外でもARゲームは稼働しているが、こうした話題になるのは町おこしに利用している草加市ならではだろう。
なお、この一連のタイムラインはアカシックレコードのコピペやアフィリエイトサイトへの誘導も疑われた。
最終的には、拡散している場所を踏まえても偽物ではないと判断されたのだが。


 午前11時59分、今回のニュースの衝撃は海外にも飛び火していた。
海外ではARゲームが稼働していないのだが、その独自のシステムはVRゲームよりも話題性があり、次期ブレイク候補として度々ニュースにもなる。
ゲームでは最先端に近いアメリカでもARゲームに注目しているクリエイターはゼロではなく、それだけ日本限定である事にもったいないと言及する人物も出る位。
ARゲームの誕生経緯、それを踏まえると海外では運用できない理由もあるのかもしれないが――それでも彼らはARゲームを求めたのである。
【ARゲームという技術、アレが日本限定であるのは非常にもったいない】
 このつぶやきコメントはアメリカの大手メーカーのスタッフによる物であり、その反響も非常に大きい。
日本でも一部ではARゲームの存在に否定的な意見もあるだけに、ここまで注目される事に疑問を持つ者もいた。
【日本では、近年になってリアルのスポーツよりもARゲームやイースポーツ、アニメ分野にかじ取りをしている傾向がある。もしかすると――】
 こちらは海外勢によるコメントではないのだが、同じように話題となっていたつぶやきでもある。
【リアルスポーツのラフプレーやファンによるモラルハザード等が国際スポーツ大会の辞退と言うニュースに発展し、遂にはコンテンツ流通をメインにしたクールジャパンを求めるようになった】
【今の日本は超有名アイドルと言う高級ブランドをゴリ押ししようと言う政府の後ろ盾を得た芸能事務所――それに対抗しようと言う勢力の全面戦争と言う印象が高い】
【いずれ、海外で日本のアイドルをベースとしたアイドルが現れても、それを偽ブランドとして規制すると言う展開になりかねない。それが特定芸能事務所に投資するアイドル投資家の問題行動と言えるのかもしれないだろうな】
【日本が超有名アイドルにこだわる理由は何だ? 国際スポーツ大会等でも必ずと言っていいほどに抱き合わせ商法的にタイアップを付ける理由は――】
【超有名アイドルが売れれば、政府は莫大な利益を得る事になる。それによって、さまざまな政治活動等の資金を賄っていると言ってもいい】
【つまり、日本は超有名アイドルが支配する国家だと?】
【実際、災害対策も超有名アイドルが売れた事による利益で運用しているという話だ。ポスターに起用されていたりするのは、そう言う理由もあるのかもしれない】
【要約すると、超有名アイドルはチートだと言う事か?】
【ARゲーム運営が超有名アイドルの芸能事務所を、不正ツールと同義みたいな認識をしているのは――この為か】
 海外では、日本が超有名アイドルの利益だけで国を動かしているようなレッテル貼りがされており、それが思わぬ波紋を呼んでいる。
しかし、国内では海外の反応は全くのスルーをされているのが、現状と言えるのかもしれない。
これらの発言に耳を傾けていない訳ではないのだが、大抵がまとめサイトの炎上マーケティング的な誘導等の認識をしているのが現状だろう。
それに加えて、海外勢はARゲーム目当てで観光客が日本に奪われているという現実にも直面しており、この発言は人気の裏返しと分析する者もいる。
こうした海外勢の発言に視野を向ける事になるであろう事件は――これよりも先の話となる。


 午前12時、明石零あかし・ぜろ島風朱音しまかぜ・あかねのバトルは3曲目に突入しようとしている。
結局、2曲目は島風の圧勝だったが――他のプレイヤーが乱入する事もなく、今回は無事に終わったと言ってもいい。
しかし、2曲目ではジャンルがクラシックアレンジだった事もあり、島風は予想外とも言えるニアミスをしてしまう。
それを明石はチャンスとして生かす事はあえてせず、冷静にコースを走って行く流れとなるのだが――島風に敗北する事となった。
「本当に初心者? その動きは、どう考えても別のARゲームをプレイした経験者の動きよ」
 島風は明石の動きを見て、チート使いのプレイヤーとは180度は違うであろう動きに疑問を持つ。
それに加え、パワードミュージックでは初見プレイなのかもしれないが、別のARゲームをプレイしている可能性も――と。
「まっ、別に喋りたくないなら――それでも構わないけど」
 明石は島風の疑問に答える事はなかった。ただ、無言を貫いている。緊張で無言なのか、集中しているのかは分からない。
ただし、息づかい的には若干つかれている可能性はあるのだが――島風は、それに気付いていないようでもあった。
「あのブレード――かなりの切れ味みたいだけど、攻撃力はリズムゲームには関係ないわよ」
 島風の言う事も一理ある。あくまでも出現する白い壁の様なオブジェクトはリズムに合わせ、タイミング良くタッチすればいいだけ。
真っ二つにしたり、粉々に破壊するような必要性はない。唯一、攻撃力が関係するとすればプレイヤーを妨害する為に攻撃を仕掛ける場合だ。
ただし、そのルールに関してはローカルルール扱いになっており、現在のパワードミュージックでは公式化されていない。


 同刻、2人のレース中継を見て何かを思う人物がいた。それは、アンテナショップで観戦していたビスマルクである。
2人の動きは互角にも見えるのだが、プレイ回数的には島風の方が有利。しかし、明石の方もそれに見劣りしない程のスキルを見せていた。
明石は本当の力を隠しているのでは――とネット上では詮索するユーザーもいるのだが、大体はパワードミュージックのデータを見て判断する為、特に詮索をするギャラリーは少なかったのである。
「あの明石と言う人物――まさか?」
 明石と言うプレイヤーネームは複数存在するのだが、パワードミュージックでは初プレイと言う事で新人プレイヤーか――と錯覚する所だった。
仮に明石零だとしたら、それはそれでビッグネームが来た事になる。それだけの人物なのに、この静かな反応の方が意外だったのだ。
知っているのがビスマルクだけではないのは確かだが、ARガジェット等の違いで明石だと気付かなかったと言うべきか。


 同刻、別所で弁当を購入後、レース中継ではなく録画で様子を確認していたのは大和朱音やまと・あかねだった。
その別所とはアンテナショップではなく、ARゲームを観戦可能な観戦スペースありのレストランである。
このような店舗は一部で試験的に行われていたが、草加市内ではARゲームを町おこしにしようと言う事で増えているようだ。
「あの時のニュースが本当だとすれば、一つの事件は終わると言う事だが――」
 大和の言うニュースとは、アイドルグループの解散報道――数分前のテロップ速報だ。
しかし、それで本当に終わったとは大和は思っていない。別勢力の仕掛けた罠と言う解釈も可能だったからである。
「それでも、あのシナリオ通りに進めようと言う連中がいるとすれば、これは序の口にすぎないのか」
 これはトカゲのしっぽ切りに似たような事例である事は間違いない――そう大和は感じていた。
アカシックレコードを何人が目撃し、そこに書かれた事例を何人が信じるのか――それは調べて見ないと分からないだろう。
大和の外見は、白衣を着ているとはいえ――ロリ巨乳と言われてもおかしくない。
しかし、それでも周囲がスルーしているのには、色々と理由がある。しかし、その真相はネタバレと言う名の規制で詳細不明だ。
「どちらにしても、あの勢力は何をしようとしているのか――」
 本格的に調べないと犯人は特定できないかもしれないが、一部勢力が自分達を目立たせる為だけにARゲームを炎上――。
つまり、炎上マーケティングを展開しようと言うのだ。ネット炎上自体は過去に何度か繰り返されているが。
 ネット上の平和な光景を【日常】とするのであれば、超有名アイドル投資家等によるネット炎上は【非日常】と言える。
それに加えて、ネット炎上に対してARゲームという空間で炎上勢力を物理的に倒していく――その様子を【新日常】と定義するネットユーザーも現れていた。
「新日常のフィールドとして――ARゲームが脚光を浴びるのも、こちらとしては違うと言うべきなのだが」
 大和はため息交じりにつぶやくのだが、彼女の気持ちを理解してARガジェットを扱う人物がいるのか――。
そして、最初の【敵】が倒れた事を察知し、【新たな勢力】がARゲームへと視線を向けていた。
「純粋にゲームを楽しめる環境を日常と仮定すると、ネット炎上に巻き込まれて正常な運営が出来ていない現状を――」
 大和の過程は、ある意味でも当たっていると言ってもよかった。
ネット炎上や風評被害、さまざまな荒らしによって運営終了に追い込まれる――それが非日常と言えるのは間違いないだろう。


 10分後、あるつぶやきのタイムラインがネット上を騒がしていた。
【超有名アイドルと言う時代遅れのマーケティングを行う勢力は、退場してもらわないと困る】
【ネットを炎上させ、マッチポンプ的にファンを増やしていくような方式は時代遅れなのだ】
【今度は、我々が新たなるマーケティングを提案する】
【聖地巡礼、地方とタッグを組んだコンテンツ――それに、我々が提案するのは、新たな可能性】
【アンチや○○厨と言う単語でさえ、我々にとっては登録商標に見える。そうした単語を扱う事自体、終わりにすべきなのだ】
【おそらく、連中は我々が扱いそうな単語を登録商標にして、そこから使用料を――】
【超有名アイドルは、自分達の元に全世界の金を集めれば戦争を終わらせる事が出来るとも断言している】
【アカシックレコード、何としても――】
 これらが全てアカシックレコードのコピペなのかどうかは、定かではない。果たして、真実は何処にあるのか?
しかし、具体的な単語も出ている関係もあって――犯人を探るのに有効なヒントなのは間違いないだろうか。
「このタイムラインさえも、まとめサイト等の用意したトラップと言う可能性は否定できない――」
 大和はタイムラインの単語を見て、新たな勢力とは別の勢力がなりすましをしている可能性を考えていた。
実際、偽物と疑うユーザーが今回のまとめを掲載したサイトに関して批判する書き込みをしていたのも――証拠と言えるかもしれない。
「しかし、厨に代表されるようなARゲームではタブーとされる単語を使う連中――?」
 ふと大和は思う。アイドル投資家の一部にも厨やアンチの様なタブーとされる単語をネット上でつぶやく人間はいる。
つまり、そうした連中から絞り込めば犯人を見つける事も可能なのでは――と。
+注意+
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