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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード6『ネット炎上とリアル炎上と――』

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エピソード6-6

2017年1月22日付:加筆調整

 午前11時45分、島風朱音しまかぜ・あかねは市街地にも近いようなフィールドのスタート地点にいた。
コースとしては、道路を直線距離で300メートル程、その後に右折するトラックタイプだが――カーブが若干道路に沿う形とはいえ、ゆるい気配もする。
道路を通行する自動車やバイクの姿がないので、おそらくは迂回指示が出ているのだろう。
駐車している車は、ゲーム終了までは移動できないので宅配業者等は痛恨の足止めを食らう事になるだろうか。
「コースの設定はしなかったけど、ランダムとはいえ――こういうコースってありなの?」
 病院や小学校、近隣住民に配慮するようなコース設定がされ、なおかつ道路事情も把握しての物だが――島風には若干不安は残る。
下手に通行人が現れて、衝突してしまうのではないか――と。しかし、そう言った心配はARゲームでは不要となっていた。
ARゲームの空間と現実空間は特殊なフィールドで隔離される為、心配は無用と言う事らしい。特撮やアニメで見かけるような異空間でのバトルと言うのが理解の早い表現だろうか?
「市街地を利用すれば――こちらも有利と言う訳か」
 島風が対戦する相手の一人は、向こうに聞こえないようにつぶやく。
装備の方は、どう考えても負けフラグの定番であるガトリング――向こうはフラグなんて気付いていないし、気にしてはいないだろうが。
しかも、大型ガトリングであり、固定砲台としての運用も可能というシロモノだが――普段は両肩に小型ガトリングとして分離して装備されていた。
「相手プレイヤーのプレイ回数は5回程度――これなら、何とかなるかもしれないわね」
 チェーンソーブレードの感触を改めて確認するのは明石零あかし・ぜろだが、データを確認したのはホストプレイヤーではなく、別のプレイヤーだけである。
「あれっ? 残高って?」
 明石はARガジェットではなく、ARバイザーで何かエラーの表示がされている事に気付く。
どうやら、電子マネーの方が足りなくなったらしい。仕方がないので、持ち込みのポーチから100円玉を取り出してコイン専用端末のある方まで走る。
「危ない危ない。チュートリアルの段階では電子マネーの方もあったはずなのに――」
 チュートリアルと通常プレイは別料金ではないのだが、どうやらこの店舗ではチュートリアルが無料の代わりにプレイの方は100円かかると言う料金設定のようだ。
チュートリアルプレイと2曲プレイで100円と言うのが基本設定のパワードミュージックだが、この辺りはアンテナショップごとに設定が違う。
中には、1曲50円設定で5曲で50円引きの200円でプレイ可能等の練習等にうってつけの場所も存在する。
この辺りはゲーセンの料金設定が店舗ごとに違うのと同じだろう。
中にはゲリラキャンペーンでサービス設定がある場所もあるのだが、ARゲームではそう言ったサービスを行っている店舗は非常に少ない。


 同刻、この中継を別の場所で見ていた人物がいた。
周囲に人影らしい人物はない訳ではないが――彼女の周囲には集まらないという状態である。
「あのガーディアンを見逃したのも痛いが――明石零もパワードミュージックに参戦するのか」
 先ほどまで別所にいた比叡ひえいアスカだった。
何故、彼女が草加駅まで来たのかは色々とあるのだが――その理由の一つは、早歩きで去って行ったガーディアンを追跡しようと考えていた事にある。
ガーディアンの追跡はストーカーと疑われないような手段で行おうとしていたのだが、ガーディアンを位置検索アプリ等で追う事は不可能だった。
「ガーディアンの仕事上、ステルスシステムを使用している噂もあったが――本当に装備しているとは」
 ガーディアンの使用しているステルスとは、ARバイザーを使用している人物の目を欺く程度であり、周囲の対象者全員を欺く事は出来ない。
それに関しては、既に天津風あまつかぜいのりや別件でアイオワが使用していたのを目撃した事がある。
逆に言えば、ARガジェット等の手段を用いなければ追跡は可能と言う事を意味しているのだが――それは一歩間違えるとストーカーと認識されかねない。
ARゲームの場合は、ARゲームをプレイ終了後のプレイヤーをストーカーするような行為は禁止されており、下手すると追放もありえるだろうか。
それ程にプレイヤーの個人情報を守ろうとする背景があるのには理由があるのだが、その理由が語られる事はない。
ネタバレと言う表現ではない為、周囲に流出する事はないだろうが――それを探ろうとした超有名アイドル投資家等が捕まっている現状を踏まえると、本当に知ってはいけない物かもしれないだろう。
「とにかく、アイドル投資家や関連勢力を警戒すると言う事には変わらないか」
 結局、比叡はガーディアンの追跡を諦めて中継を視聴する為、コンビニに立ち寄った。そして、現在に至る。
「この人物は、まさか――!?」
 比叡も驚きを隠せない人物が――そこにはいた。
自分のプレイを見てパワードミュージックを始めたと公言する、島風の姿を目撃したからである。
島風の装備は以前に目撃した物とは異なっており、この辺りは一定のカスタマイズを施しているのが分かるのだが――デカリボンは変わらないようだ。


 同刻、島風のいたアンテナショップで中継映像を見ている人物もいる。
「パワードミュージックの強豪ランカーと言えば、木曾という時代は――」
 特徴的な改造軍服姿にぽっちゃり気味な体格の――これだけ特徴的な外見の人物は、絞り込まれるのも当然だろうが――ビスマルクである。
改造軍服タイプのインナースーツはパワードミュージック非対応の為、別のインナーも用意しているが――着替えスペースの関係で順番待ちに近い。
彼女の言う木曾とは、木曾きそアスナの事であり、パワードミュージックのトップランカーでもあった。
しかし、島風や比叡、その他の人物が参戦し、更にはイースポーツ化の波もあって、木曾の上位は揺らぎつつある。
ちなみに――ビスマルクが木曾の現在順位を知ったのは、ARバイザーでパワードミュージックの自分の順位を調べていたついでで発見した物だ。
「あの特徴的なバイザーは――まさか?」
 中継映像の方で、3人のプレイヤーが映し出され、ビスマルクは明石の姿を見て、まさか――と思った。
何故にARゲームで固定ゲームが特にない明石が、パワードミュージックへ参戦する気になったのか?
「賞金制度は調整中のはずだが――?」
 明石のプレイデータをバイザーで確認するビスマルクは、そのデータを見て驚くべき物を発見する事になった。
それは、彼女がパワードミュージックを初プレイだった事である。実際、プレイ回数は0回を示す【ニューデータ】表示だった。
「一体、パワードミュージックにはどれだけのプレイヤーが集まってくるのか」
 ビスマルクは思う。プレイヤーの増える速度が、予測よりも速いような感覚を受けたからだ。
1日1万人規模ではないのだが、その増え方は他のARゲームやソーシャルゲームの比ではない。
「これも、あの動画の影響と言うのか? それこそあり得ない話だ」
 ビスマルクは自分が投稿した動画が今回のプレイヤー増加に貢献しているのではないか、とも考えた。
しかし、それこそ尚更あり得ない話。逆にパワードミュージックからは遠ざけるような口調で語り、投稿した動画だったからである。
有名プレイヤーのスーパープレイに影響を受けたのであれば話は分かるが、自分が投稿した動画はプレイ動画とは全く違う性質を持っていた。
それこそ、ARゲームが懸念しているプロパガンダ等での利用に近い物だったのである。
「ARゲームがプロパガンダで悪用される事は望んではいない。そして――」
 改めてビスマルクは思う。自分の発言で興味を持って、ARゲームの世界に絶望するプレイヤーが増えてしまったら――。
それこそ、実況者なども抱えるような問題なのかもしれないが――自分の薦めるARゲームでネット炎上する事になったら、それこそ一大事だ。
しかし、ビスマルクはそんな状況になっても動画を消す事だけはしなかった。
自分の動画を消したとしても、次々とクローン動画は増えるだろうと考えていたからである。
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