挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード6『ネット炎上とリアル炎上と――』

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

61/137

エピソード6-5

2017年1月22日付:加筆調整


 午前11時30分、試着室と言う名のコンテナルームから出てきたのは明石零あかし・ぜろなのだが――。
装備しているアーマーは、シューティング系ARゲームで使用している物とは全く異なる物だった。
両肩にはシールド機能も備えたブレードビット、背中は大型ブースターとも判断されそうなバックパック――。
脚部は最低限のアーマーのみ、ボディもスクール水着を思わせるインナーを強調する為か、アーマーは装着されていない。
逆に言えば巨乳を強調する為にスク水インナーを着用している疑惑もあるだろうか。
「振り心地は――悪くない」
 明石が右手に握っていた物、それはARガジェットなのだが――その形状はチェーンソーブレードを思わせる。
チェーンソー部分はビーム刃なのだが、それ以外の部分は実体貸しているような気配を感じる程の重量武器だ。
しかし、実際は重量が5キロにも満たないと言う。100キロの鉄塊を思わせる武器、全長2メートル以上のスナイパーライフル、更には大型のパワードアーム――。
そう言った物も、ARゲームではすべて拡張現実として扱われ、高度な技術で作られたCGとして表示される。
ARバイザーを装備していない物からすれば――何も見る事が出来ないので、面白味も何もないのだが。
それが、ある人物の残した『ARゲームはゲームであり、プロパガンダ等に悪用されるべきではない』に通じるのかもしれない。


 午前11時35分、明石がプレイし始めていたのはチュートリアルモードだった。
彼女の場合は複数のARゲームをプレイ済だが、パワードミュージックの様なシステムのリズムゲームは初めてである。
「この感覚は――VRともARとも違う感覚か」
 明石はプレイ中の挙動がVRゲームとは違い、更には同じARゲームでも若干違うと考えていた。
『――出現するプレートを曲のリズムに合わせ、ARガジェットで演奏をしていきます』
 ヘッドフォンから聞こえるシステムナレーションを確認し、手持ちのチェーンソーブレードで目の前に現れた白い壁を斬り裂く。
しかし、演出エフェクトは出現せず、バイザーにはエラーと表示された。
アクション系では、特にクリティカルと判定されるよりも少しずれた位――タイミングとしては悪くないはずだったのだが、何が悪かったのか?
『タイミングが合っていないようです。楽曲のリズムに合わせて操作をしないと、スコアにはつながりません』
 どうやら、明石のチェーンソーブレードは判定ミスとなったようである。
アクションゲームだと攻撃が当たればよいというパターンが多いが、リズムゲームではそうはいかないのだろう。
パワードミュージックで必要とされるのは――リズム感だ。明石にはリズムゲームのプレイ経験が少ない為か、タイミングがつかめていない。
明石にはリズム感が皆無という訳ではない。音楽の授業に関しては成績が悪い訳でもなかった。
しかし、明石は超有名アイドル無双が続いていた音楽業界に嫌気が差した結果、音楽からは距離を置いていたのである。
だからと言って音楽そのものをトラウマにしている訳ではない。仮にそうだった場合、スーパーやコンビニに行く事も出来ず、電車やバス等にも乗る事が出来なくなるだろう。
だからこそ、最低限の我慢はする事にしたのである。そうすれば、他人が不快に思う様な事は起こらないだろう――自分はストレスがたまって倒れそうな状態になるのだが。
『プレートを一定のリズムでタッチし、演奏していく事でコンボを繋ぐ事が出来ます』
 しばらくプレイして、明石は何かの感覚を掴みつつあった。要するにリズムゲームとしてではなく、別のゲームに当てはめる事にしたのだ。
一定のリズムでタッチする部分とコンボは格闘ゲームにおける目押しコンボで――何とかフォローする。
『ゲージはプレートのタイミングミス、ペナルティ行為等で減って行き、ゲージ0になると強制終了となります――』
『ゲージルール以外には、紋章ルールが存在します。紋章はスコア到達、隠し要素、特殊アクション等で入手し、0の状態でゴールをすると演奏失敗になります』
『ゲージルール、紋章ルールはホストプレイヤーが選択をする事が出来ます。ホストプレイヤーに関しては、ランダムで決定します』
『特殊アクションの中でも、一部のアクロバットに関してはペナルティの対象になります。詳細は電子パンフレットをご覧ください』
 ヘッドフォンにはシステムナレーションが聞こえるが、明石は特にスキップするもせず、だからと言って集中して聞いている訳ではない。
彼女の場合、単純に集中し過ぎた事で一種のトリップ状態になっているのかもしれない。
この症状は天津風あまつかぜいのりにもあるらしいが――本人は自覚していない。
「ARゲームにおけるトリップ現象――これを超有名アイドル勢力に気付かれれば、炎上マーケティングや自分達の宣伝に利用されるのは目に見えている」
 明石はバイザーを左手で抑えながら、震えが止まるのを待っていた。
これはアカシックレコードのフルアクセスとは異なる。単純な異世界トリップ現象の様な物かもしれない。
一通りのチュートリアルナレーションが流れ終わった頃、震えの方は何とか止まったのだが――。


 午前11時40分、島風朱音しまかぜ・あかねは以前とは違うカスタマイズのARアーマーを装備していた。
デザインはSFとはほど遠く、むしろ北欧神話系に近く、背中にはバーニアユニットを搭載したバックパック――。
それでも、デカリボンは特徴なので外せない。ARメットはバイザー方式の物を使用しているようだが。
ARガジェットはリズムゲームのDJテーブルを思わせる形状のハンドガンが二丁――まさかのロマン武器である。
「この段階でマッチングは――」
 島風の方は準備完了しており、その他に準備が終わっているプレイヤーをサーチする。
そして、該当プレイヤーが2人いたので3人マッチングと言う事になったのだが――。
「何、このスキル差? もう片方は更に上級みたいだけど」
 島風は一歩間違えると格ゲーにおける初心者狩りみたいな状況になると思った。
リズムゲームで初心者狩りと言う物はあり得ないのだが、スキル狩りの様な物は作品によっては存在するだろう。
この場合はマッチングで優越感に浸るような――そんなケースと思われる。
マッチングリストを見て、片方の人物は見覚えがあると思ったら、まさかの明石だった事には島風も驚いていた。
あの時のやり取りを知っていた事もあり、戦ってみる価値はありそうだと判断した。
最終的には、明石もマッチング拒否をしなかった為、3人のマッチングは成立する。
「リズムゲームに格ゲーの要素を持ち込む方が、間違っているか」
 島風は、他のゲームのルールを持ち込む方がマナー違反だと感じ取り、特にマッチングでレベル差を考えるのはやめた。
あくまでもリズムゲームは個人競技に近い。そこでスコアを競うタイプのゲームであると。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ