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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード6『ネット炎上とリアル炎上と――』

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エピソード6-2

2017年1月21日付:加筆調整

 午前10時30分、速報として飛龍丸ひりゅうまるの一件が拡散されたのだが、その反応は意外なものばかりだった。
【アイドル投資家の陰謀というか、まとめサイトの誘導じゃないのか?】
【芸能事務所側が破産しかけているので、アフィリエイトで稼ごうと言う魂胆だろう】
【アフィリエイトで稼いだとしても、すぐに現金が入る訳ではない。だとすれば、何が狙いなのか?】
【風評被害が目的じゃないのか?】
【ARゲームガーディアンの動きが俊敏と言う事もあり、ここの所は風評被害がないと聞く】
【彼らは何をしようとしているのか?】
 ネット上のつぶやきは相変わらずであるのだが、それでも炎上を誘発するような過激な発言はなく、これもガーディアンの対応による所があるのだろうか?
しかし、過激な発言がないのは一部の該当アカウントが凍結されているからとする情報も存在している。
実際、数日前に大量のアカウントが削除あるいは凍結された一件はニュースにも取り上げられるほどであり――。


 午前10時35分、アンテナショップで有名プレイヤーの来店を待っていた人物がいる。
それはガーディアンの制服を着ている人物で、名前を阿賀野あがのと言う。名前はアカシックレコードにも似たような人物がいるのだが、偶然の一致だろうか。
黒髪のロングヘアーだが、特徴的な体格でもない為に地味と言われそうな予感もする。
彼女が有名プレイヤーが来るのを待っていたのには理由があり、一連の超有名アイドル投資家の情報を得るためだ。
ネット上にも情報があるのだが、トラップと言う可能性も否定できない為――こうしたアナログな手段を取っている。
しかし、20分経過した所で何人かのプレイヤーを発見して情報を聞き出したが、想定していた人物は現れず、その部分に関しては不発に終わった。
「あのガーディアンは見ない顔だな。もしかすると、アイドル投資家の――」
 阿賀野の姿を見て、投資家サイドのスパイという説を考えたのは、何時もの白衣姿の大和朱音やまと・あかねである。
しかし、ガーディアンの人物でスパイ疑惑のある人物は既に何名かを確保していた。
その大半が男性であり、フジョシ勢力や夢小説勢を利用してARゲームの評判を落とそうとしていたのは明らかだろう。
どういう手段を使って落とそうとしたのかは伏せられているが、おそらくは実在プレイヤーを題材とした夢小説、あるいは――。


 午前10時40分、阿賀野が訪れていた場所と別の草加市内のアンテナショップ――そこには比叡ひえいアスカの姿もあった。
阿賀野に関しては向かうアンテナショップを間違えたという可能性もあるが、他にもガーディアンメンバーが潜入捜査をしているので、その部分には問題はない。
「ガーディアンが動いた理由は、大体察する事は出来るが――」
 比叡はこれからパワードミュージックをプレイする所だったが、下手にガーディアンと接触すれば迂闊な事をしゃべりかねない。
そうした観点から、意図的にガーディアンとの接触は避けていた。同じような行動をしている人物は比叡に限った話ではないのだが。
それに、比叡はアカシックレコードの一件も――。
「大きな事件の予感か――」
 周囲を見回せば、ガーディアンばかりと言う訳ではないが、赤の他人と目を合わせると危険なので視線はタブレット端末で隠す。
しかし、比叡の行動は逆に他のプレイヤーの注目を浴びるような展開になるのでは――と言う事で、すぐに視線は元に戻した。
実際に比叡の怪しい行動にツッコミを入れるようなプレイヤーはいなかったので、この辺りは余計な集中力を使ってしまったのかもしれない。
「一つの勢力を根絶したとしても、別の勢力が同じような事件を起こせば――同じことの繰り返しじゃないのか」
 比叡は思う。過去に同じような事を見た事がある彼女にとって、今回の襲撃者事件はデジャブその物だった。
その一方で、彼女は超有名アイドル勢力を炎上させた勢力に覚えがある――と言っても、それは今回より以前の話だが。
しかし、一部の事件はアカシックレコードにも記載がなく、ネタバレと言う名の情報規制が過剰にされている訳でもない。
何故、この事件だけが触れられていないのか――その理由として、事件に触れるのを意図的に避けているとしか思えないからだ。
意図して避けている理由は、ARゲームのプレイヤーがスルーし続けているのも原因だが、その詳細はネットでもリアルでも不明と言う物だった。
「ガーディアンも事件に関して触れていない以上――」
 結局、比叡はパワードミュージックをプレイする事無く、別のARゲームに関する電子パンフレットなどをダウンロードして帰って行った。
当然のことだが、ガーディアンが比叡を発見して情報を聞き出す事は出来なかったという。


 足立区に一番近い気配のする場所にもアンテナショップがある。
そのアンテナショップでは、最近になってパワードミュージックを導入したという話だ。
しかし、それでも新規プレイヤーが集まっているかと言われると疑問が残るだろう。
プレイヤーが集まるのは間違いないが、そのほとんどが草加市の方でエントリーを終えたプレイヤーばかりだからだ。
「うーむ、パワードミュージックだけでは新規ユーザーを集めるのは難しいか」
 このアンテナショップを仕切るリーダーは、導入する機種に関して悩んでいた。
AR対戦格闘をメインにしていたのだが、ここ最近ではARリズムゲームが人気になっており、格ゲーの方が下火気味になっている。
イースポーツで人気があると言っても、それはARではなくゲーセンに置かれているような対戦格闘がメインだろう。
「しかし、こちらはARゲームの特区と言う訳でもない。資金援助が得られる訳ではない以上は――厳しいかもしれない」
 足立区ではARゲーム特区だったり草加市のように町おこしでARゲームを盛り上げようという事もない為、この辺りは様々な大人の事情も発生する。
ちなみに、足立区では超有名アイドル等で町おこしをしようとしている訳でもなく、特にそう言う流れは足立区全体では聞かれない。
個別であれば――聖地巡礼等の事例もあるかもしれないが、あまり大きく取り上げられないのが現状だろう。
「ネット上で人気があるからと言って、それが人気があると限らないのは超有名アイドルでも分かり切っている話だ。稼働してから一カ月も経過していない以上、様子を見るか」
 現状では稼働してから一カ月も経過している訳でもない為、様子を見た方が良いと判断した。
足立区内で取り扱う店舗が増えれば、この状況は変わるのかもしれないが。
「下手に導入して、ネットを炎上させては――客足も鈍るだろう」
 ショップリーダーは、スタッフに突っ込まれるであろう一件に関して、ある程度は知っている。
パワードミュージックで起きているネット炎上、それはショップ側でも導入を見送りさせるような勢いになっていた。
まさにネット炎上がリアルで風評被害を生み出し、コンテンツ流通に障害を起こしている証拠でもある。
そして、最終的には超有名アイドルが宣伝を行っている機種を導入し、芸能事務所側から裏金を受け取るような構図――。
それも炎上する理由なのではないか、ともスタッフは考えているが――発言力の弱いスタッフでは、ショップリーダーに訴えるのは難しいだろう。
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