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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード5『炎上マーケティングの始まり』

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エピソード5-8

2017年1月19日付:加筆調整

 午前12時、各局がお昼のニュースを放送する時間だが、地方局ととあるテレビ局だけは足並みをそろえていない。
その理由として、視聴率とは別に大人の事情と言う物があるらしいが……。
『こちらにはこちらのやり方がある。視聴率や一部の特定アイドル投資家のご機嫌伺いだけで放送する訳ではない』
 あのテレビ局はニュースで同じ内容の物が放送された際に、こう言及した。その時に放送していたのは、旅番組だったという。
『台風や地震等の緊急性がなく、放送は後回しにしてもかまわないと判断した』
 こちらは地方局。ケーブルテレビでも特別番組を組む程の物ではないと言うのが統一見解らしい。
ARゲームに関しては特殊な事情もあるので、専門チャンネルが特集を組むだろうと判断しているかもしれないが。
『午前の東京株式市場にて、不正なインサイダー取引が確認されました』
 国営のニュースでは、これだけである。犯人が逮捕された件などは報道されたが、その具体的な内容は言及されていない。
その他の民放では話が違ってくる。中には特定芸能事務所の名前を出している番組もあった位だ。
芸能事務所の名前に関しては秘密と言う指示は出ておらず、そのまま放送したとの事だが――。
【これは、どう考えても大手芸能事務所の新人つぶしだ】
【これはひどい】
【ここまでの事が認められるとでも思っているのか――あの芸能事務所は】
【あの芸能事務所は、自分達が地球上の全能の神にでもなったつもりでいる。だからこそ――】
【まるで――】
 あるつぶやきに関しては記述が削除されているような気配だったが、単純に削除されたように偽装されたサクラだった。
つまり、この件を炎上させ、自分のアフィリエイト系まとめサイトへ誘導して金を稼ごうと言う勢力がいる証拠である。
この辺りは、もはやテンプレ過ぎてガーディアンの方も手の内が分かり過ぎている為、対応の方も手際が良すぎる気配さえ感じていた。
【炎上マーケティングの黒幕の正体は――】
 子のつぶやきに関しては、ネタバレと言う名の情報規制がされていた。
その影響もあり、未だに犯人は捕まっている状況だが――事件が解決するような気配を見せていない。
ARゲームの運営対応が神対応とは呼ばれていないが、ここまで炎上を適切に処理できるのには別の理由があるのではないか――という疑いもネットで聞かれる。
一体、この的確な行動を起こせるパイプラインは何処にあるのか?


 同刻、アンテナショップに到着したのは大和朱音やまと・あかねだった。
彼女の目的はこのアンテナショップへ向かう事に変更されている。その理由は――。
「既に――帰った後か」
 大和が周囲を見回すのだが、西雲響にしぐも・ひびきらしき人影はなかった。どうやら、一足遅かったらしい。
それに加えて、周囲が微妙に騒がしいような雰囲気だったが――大和には興味のないような話題だったのでスルーをしている。
大和の行動を考えれば、周囲が騒がしい理由も把握できるだろう。おそらく、騒がしいエリアでは超有名アイドルの投資家がいたのかもしれない。
「仕方がない――ここで弁当を食べていくか」
 買い物袋から、先ほどのスーパーで購入したのり弁当を取り出し、フォークで食べ始める。
なお、フォークに関しては自分の持っている物であり、特にスーパーでもらった物ではない。
割り箸を入れてもらわなかったという訳ではなく、エコ的な意味で割り箸を断ったような気配である。


 午前12時5分、ネット上でも不正な株取引のニュースが注目され始めた頃、大和はある動画の存在を知った。
それは、島風がプレイしていた時の動画なのだが――。
「あのプレイヤーは――?」
 3倍以上の速度で動くプレイヤー、どう考えてもARアーマーの限界を超えるような――。
一部のプレイヤーがこの事例を指摘していた一方で、大規模な違法チート集団の存在もネット上で示唆されていた。
島風の動画は1回目のプレイと2回目のプレイの物が出回っており、2回目のプレイでは新人プレイヤーに敗北している。
彼女のプレイ回数も2回と言う事で大差はないように見えるのだが――相手のプレイヤーは文字通りの初回プレイだ。
なのに、この新人プレイヤーと思わしき男性は想像を絶する力を披露する。
「この挙動――あり得ない!」
 口を押さえ、大和は目の前の光景を最初は否定したかった。
使用しているチートの類が、どう考えても常識外れだったからである。このガジェットは何処で出回っているのか? 詳細は情報不足で掴めていないだろう。
その威力は、目の前に出現したノーツを瞬時に消滅させ、適当に剣を振り回しているのにタイミングはパーフェクト判定、クリア時のスコアは理論値――。
これだけのWeb小説のチート主人公を思わせるようなあからさま過ぎる物を見たのは――初めてではないが、パワードミュージックでは初めて見る。
「ここまでの分かりやすいチートを使っている以上は――」
 大和は島風が対戦したプレイヤーのアカウントを確認しようとした。
しかし、アカウントがゲストアカウント扱いで名前の表示はバグが影響して識別不能。打つ手なしとも言える状態である。
しかし、ある挙動がきっかけで大和は今回のチートが何処から出てきたのか――あっさりと思いだす事になった。
「そう言う事か。過去にチート識別プログラムをすり抜けたガジェット――あれに由来すると言う事か」
 そして、全ての謎が解けた大和は――改めてのり弁当を食べ始めた。
その犯人は同一人物と言うわけはないはずだが、明らかにあるWeb小説を参考にしたような能力だった事。
その小説に関して数日前にチェックしていた事があっさりと思いだしたきっかけでもある。


 午前12時20分、不正な株取引のニュースを見て陽動作戦と考えていた人物がいる。
それは、大和のいるアンテナショップとは別の場所でエントリー受付をしていたアイオワだった。
「アーマーはあの時の物がそのまま使えるとして――」
 アイオワは、以前のレースで使用していたガジェットをそのまま保管しており、それを今回のレースでも使おうと考えていた。
特に違反しているアプリやパーツもない為、そのまま使える事になっているが――気分の問題もあって、一部パーツに関しては変更する事に。
ARスーツはそのままに、メットにはインストールされていないアプリをいくつかダウンロードし、前回の時とは違ったスペックで挑む事になった。
「データの方は完全仕切り直し――と言うべきか。あの時はゲストに近い状態だったし」
 ARアーマーのデザインは以前とは異なり、ミリタリー調を思わせるテイストに変更されていた。
ただし、ARメットはそのままなので――ギャップが激しいのだが。
「アーマーを初回プレイ時と同じにしなくてはいけないというルールはない。カスタマイズは自由――」
 そして、前回も使用したナックル型ARガジェットを装備し、仕切り直しのデビューレースを始める事にした。
その一方で、アイオワの姿を目撃した人物がいた。順番待ちをしていた比叡ひえいアスカである。
「あの人物は、確か――」
 アイオワの姿を見て、ふと見覚えがありそうな――と思った比叡だが、アーマーデザインが違う事もあって、他人の空似と言う事で流す。
しかし、ARガジェットが同じと言う事もあり、もしかして――という思いはあった。
特徴的なアガートラームを装備していなかった事も、他人の空似と思わせる原因だったかもしれない。
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